2021年に富山市の電気設備工事会社に勤める当時62歳の男性が出血性胃潰瘍で死亡したのは長時間労働などが原因だとして労災と認定され、遺族は6日、「会社が業務の管理を怠り過重な業務に従事させた」などとして、損害賠償を求める訴えを裁判所に起こしました。
訴えを起こしたのは、東証プライム上場の北陸電気工事の社員で、2021年12月に死亡した当時62歳の男性の遺族です。
訴状などによりますと、男性は4年前の8月に定年を迎えた後、再雇用され、放送局の新局舎建設事業で現場責任者を務めていましたが、2021年10月以降、工事日程が過密になって長時間労働が目立つようになり、12月に自宅で倒れ、搬送先の病院で出血性胃潰瘍により死亡したということです。
男性の時間外労働は、死亡前の直近1カ月が約176時間、その前の1カ月が約145時間に上っていたとしています。
男性の死亡について富山労働基準監督署は5月、現場責任者としての長時間労働やストレスが原因だとして労災と認定しました。
遺族は6日、「業務の管理を怠り再雇用した後も強い心身の負荷が生じることが明らかな過重な業務に従事させ死亡させた」などとして、会社に約7300万円の損害賠償を求める訴えを富山地方裁判所に起こしました。
厚生労働省によりますと、消化器系の病気が労災と認められるケースは極めて少ないということで、記者会見した原告の代理人で過労死弁護団全国連絡会議代表幹事の松丸正弁護士は「国が定める過労死の基準には消化器系の病気は定められていない。今回の労災認定や訴訟を切っ掛けに消化器系の病気についても過労死の認定基準を大きく広げてほしい」と話しました。
提訴について、北陸電気工事は「訴状が届いてから内容を確認して判断します」と話しています。
また、男性が労災認定を受けたことについてはコメントで、「事実を大変重く受け止めております。亡くなられた従業員のご冥福を深くお祈り申し上げます。再び同様のことを起こさないよう、今後も健康経営の推進に努めてまいります」としています。
2023年6月6日(火)
0 件のコメント:
コメントを投稿