新型コロナウイルス対策について助言する厚生労働省の専門家会合が感染症法上の位置付けの5類への移行後初めて開かれ、新規患者数は緩やかな増加傾向が続いていて、夏の間に一定の感染拡大が起きる可能性があると分析しました。手洗いや換気、マスクの効果的な場面での着用などの基本的な対策が重要だとしています。
専門家会合は、5類への移行後初めて開かれ、感染状況や医療提供体制の状況について分析し、今後求められる対応について検討しました。
専門家会合によりますと、新規患者数は4月上旬以降緩やかな増加傾向で、5類移行後も4週連続で増加が続いていて、地域別では36の都道府県で前の週より増え、沖縄県では感染拡大の傾向がみられるとしています。
新規入院者数や重症者数も増加傾向で、医療提供体制は全国的にひっ迫はみられていないものの、沖縄県の状況には注意が必要だとしています。
また、検出される新型コロナウイルスの種類はオミクロン型のうちの「XBB系統」が大部分を占めていて、民間の検査会社で検出された結果をもとにした分析では、6月下旬時点にはインドなどで拡大し免疫を逃れやすい可能性が指摘されている「XBB・1・16」が49%になると推定されています。
さらに今後の感染の見通しについて、過去の状況などを踏まえると夏の間に一定の感染拡大が起きる可能性があり、医療提供体制への負荷が増大する場合も考えられるとしていて、感染やワクチンによって得られた免疫が弱まる状況や、より免疫を逃れやすい可能性がある変異ウイルスの増加、接触する機会の増加によって感染状況に与える影響にも注意が必要だとしています。
こうしたことを踏まえ、専門家会合は、感染の動向をさまざまな指標で把握し、医療提供体制を注視すること、高齢者や基礎疾患のある人へのワクチン接種、感染拡大が起きても必要な医療が提供されるよう体制の移行を進めることが求められるとした上で、手洗いや換気、マスクの効果的な場面での着用など、基本的な感染対策を呼び掛けました。
厚労省は同日、新型コロナの感染で得られた抗体の有無を5月17~31日に調査した結果、抗体保有率は42・8%(速報値)だったと明らかにしました。前回2月の調査(42・0%)から横ばいで、年代が上がるほど保有率が低くなる傾向がみられました。
専門家会合の座長の脇田隆字・国立感染症研究所所長は「2月以降、それほど感染が拡大しなかったことを示している。時間とともに免疫の状態は低下している可能性がある」と述べました。
調査は日本赤十字社の献血ルームなどを訪れた全国の16~69歳の1万8048人分の血液を対象にしました。
2023年6月16日(金)
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