愛知県豊山町の配水場から健康被害のリスクが高いとされる物質が検出された問題で、市民団体が周辺住民を対象に行った血液調査の結果を20日、記者会見で公表しました。
2021年3月、水道水を家庭に配水する豊山町の豊山配水場で国が定めた暫定目標値(1リットル当たり50ナノグラム)を大幅に超える有機フッ素化合物「PFAS(ピーファス)」が検出されたため、地下水のくみ上げが中止されました。
こうした状況を受け、市民団体「豊山町民の生活と健康を守る会」が6月、豊山町と、隣接する北名古屋市の住民計54人の血液検査を行ったところ、25人のPFASの血中濃度がアメリカの学術機関が定める指針値で「健康に影響がある恐れがある」とされている1ミリリットル当たり20ナノグラムを超えていたということです。PFASは濃度が高いと健康へのリスクが高まるとされています。
調査結果をまとめた京都大学の原田浩二准教授(環境衛生学)は、「配水区域の住民の血中PFAS濃度は比較的高い状況にあると考えられ、配水が停止されて2年が経過しているが、影響は持続していることがうかがえる」などと述べた上で、汚染源の特定とともに継続的なモニタリング調査が必要だと指摘しました。
記者会見に同席した小泉昭夫京都大学名誉教授(環境衛生学)は、「(豊山町の)県営名古屋空港で使われた可能性がある泡消火剤が地下水を汚していると考えられる」と述べました。1994年に同空港で起きた中華航空機墜落事故でPFASを含む泡消火剤が使用された可能性があるといいます。
PFASを含む泡消火剤を使っていたアメリカ軍横田基地(東京都)の周辺住民への血液検査でも、過半数が指針値を超えていました。
市民団体は今後、医師による個別医療相談を行うほか、豊山町や周辺の河川や井戸水の調査を行うとしています。
2023年7月23日(日)
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