世界保健機関(WHO)傘下の国際がん研究機関(IARC)は14日、ダイエット飲料やシュガーレス製品に広く使われている人工甘味料のアスパルテームについて、「人の発がんの可能性がある」物質に分類すべきだとする見解を初めて発表しました。
IARCが研究論文などを検証した結果、アスパルテームと肝臓がんが関係している可能性があることがわかりました。ただし、アスベストやたばこのように確固たる結論が出ているわけではありません。
IARCは、アスパルテームを4段階ある「人の発がんの可能性がある」物質のうち下から2番目の「2B」に指定。ガソリンを使用したエンジンの排ガスや、鉛などと同じレベル。発がんの可能性が最も高い「1」にはタバコやアルコール、紫外線などが含まれています。
アスパルテームについてアメリカ食品医薬品局(FDA)などは、一定の基準以内であれば安全に消費できると繰り返し説明しています。アスパルテームのリスク評価を行ったWHOの別の専門家委員会は14日、WHOの基準を変更する必要はないとの見解を示しました。
WHOは発がんの可能性を指摘することで、アスパルテームやがんとの関係についてさらなる研究を促したい考え。
ノンアルコール飲料業界団体のアメリカン・ビバレッジは声明を発表し、「学会および規制機関において、アスパルテームは安全だという幅広いコンセンサスがある。それは世界中の食品安全機関が何度も何度も出した結論だ」と強調しました。
アスパルテームは歯磨き粉や医薬品などに使われることもあり、「ダイエット」「ゼロシュガー」をうたう飲料や食品、甘味料などの製品に多く見受けられます。
WHOが定めるアスパルテームの1日の許容摂取量は体重1キロ当たり40ミリグラムで、1981年以来変わっていません。
アメリカン・ビバレッジによると、ダイエットソーダに含まれるアスパルテームの量は平均で1缶当たり100ミリグラム。アメリカ人の平均体重83キロで換算すると、1日に33缶までが許容範囲内になります。
2023年7月14日(金)
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