アメリカ食品医薬品局(FDA)は17日、イギリスのアストラゼネカとフランスのサノフィが共同開発した乳幼児向けのRSウイルス(呼吸器合胞体ウイルス)感染症のワクチンを承認したと発表しました。健康状態などに関係なく、2歳以下の幅広い乳幼児に使用できるRSウイルス向けのワクチンが許可されるのは初めて。
アメリカ疾病対策センター(CDC)は8月に専門家による諮問委員会を開催し、医師による具体的な使用方法などの詳細を取りまとめる計画で、これを踏まえてCDCが推奨すれば接種を始められます。
RSウイルスは大半の場合は軽い風邪のような症状ですむものの、乳幼児がかかると重症化する場合があります。アメリカでは昨年に子供の患者が急増し、緊急医療の現場が逼迫する一因となりました。RSウイルスの流行シーズンは秋から冬で、今年の流行期を前にRSウイルスワクチンへの期待は高まっています。
製薬業界では近年、RSウイルスワクチンを巡る競争が激化していました。今年5月3日、FDAが世界で初めてとなるRSウイルス向けのワクチンを承認しました。イギリスのグラクソ・スミスクライン製のワクチンで、60歳以上の高齢者を対象としていました。
RSウイルスは免疫が低下し持病のある高齢者では肺炎を起こし、重症化するリスクが高まります。アメリカ国立アレルギー感染症研究所の推定によると、アメリカではRSウイルスが原因で年間に約1万4000人の65歳以上の高齢者が死亡しています。世界では毎年6400万人が感染し、死亡者は16万人に上ります。日本では年に約6万人の入院と4000人の死亡につながるとの推計もあります。
2023年7月18日(火)
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