海外での臓器移植を希望する患者に対し、国の許可を受けずに臓器提供をあっせんした罪に問われているNPO法人の理事の裁判で、検察は「移植の公平性を損なう行為だ」として、懲役1年と罰金を求刑しました。
一方、弁護側は「あっせん行為には当たらない」などと無罪を主張しました。
NPO法人「難病患者支援の会」(東京都目黒区)の理事菊池仁達(ひろみち)被告(63)=横浜市都築区=は、国の許可を受けずに昨年、海外での臓器移植を希望する患者2人に対し、東欧ベラルーシで腎臓の移植手術を受けさせるなど臓器提供のあっせんをしたとして、臓器移植法違反(無許可あっせん)の罪に問われています。
10日の裁判で検察は「患者の募集や病院への連絡・調整をしていてあっせんに当たる。国内外の移植の公平性を損なう行為だ」などとして、菊池被告に懲役1年と罰金100万円、NPO法人に罰金100万円をそれぞれ求刑しました。
一方、弁護側は「海外での移植に臓器移植法は適用されず、仮に適用されたとしても臓器の提供者側とは接触しておらず、あっせん行為には当たらない」などとして、無罪を主張しました。
菊池被告は審理の最後に、「私はこれまでに100人以上の命を救ってきていて、恥ずべきことはない」と述べました。
判決は11月28日に言い渡されます。
起訴状によると、菊池被告は2021年、海外での臓器移植を希望する患者をホームページで募集。問い合わせをしてきた慢性腎臓病の患者と肝硬変の患者・親族に対し、ベラルーシでの死体からの臓器移植を厚生労働相の許可なくあっせんし、計5150万円を受け取ったとされます。患者2人は2022年に現地で移植手術を受けました。
2023年10月11日(水)
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