国立がん研究センターは、子供や若い世代のがん患者に対し、国内で未承認の治療薬を投与する臨床研究を1月から開始しました。海外で使われている薬が、国内で使えるようになるまでに時間がかかる「ドラッグ・ラグ」の解消につながると期待されています。
これは国立がん研究センター中央病院小児腫瘍科の小川千登世科長などの研究チームが19日に発表しました。
がんの治療では、慢性骨髄性白血病や腎細胞がんなどの原因となる遺伝子に対応した「分子標的薬」の開発が進んでいますが、小児がんは患者の数が少ないため国内での治験が進まず、海外では使われている薬でも国内で使えるようになるまでに時間がかかる「ドラッグ・ラグ」が課題となっています。
臨床研究では、標準的な治療法がない0歳から30歳未満のがんの患者を対象に、国内で未承認の5種類の分子標的薬の中から遺伝子検査などで効果が期待できると判定された薬を投与し、4年間で安全性や効果を検証します。
使われる治療薬は企業から無償で提供を受けるということで、患者は入院や検査費のみを負担すれば参加できるということです。
小川科長は、「研究に参加してもらうことで治療薬へのアクセスが改善されるが、あくまで次善の策だと考えている。最終的には製薬会社とも連携し、より多くの薬が国内でも承認され使えるようにしていきたい」と話しています。
2024年1月21日(日)
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