全身の筋肉が委縮する難病、筋ジストロフィーの患者に感染症などの治療に使われる薬を投与する臨床試験を行ったところ、患者の症状を改善できる可能性が示されたと山口大学などの研究チームが発表しました。
筋ジストロフィーの一種で、国内に1万人を超える患者がいるとされる筋強直性ジストロフィーは、細胞でタンパク質がうまく作られず、全身の筋力の低下などを起こす進行性の難病で、根本的な治療法はありません。
山口大学などは、ほかの病気に使われている治療薬からこの病気に有効なものを探そうと感染症などの治療に使われる抗生物質「エリスロマイシン」に注目し、有効性や安全性を確認するための臨床試験を行いました。
患者30人を、薬を投与するグループと投与しないグループに分け、4年前から2年半にわたってタンパク質を作る機能を調べた結果、投与したグループでは検査の数値が改善したということです。
このことから、研究チームは、患者の症状も改善できる可能性が示されたとしています。
薬の投与による重篤な副作用もなかったということで、今後、患者数を増やして最終段階の治験を行い、実際に症状の改善がみられるか確認し、根本的な治療薬の開発につなげたいとしています。
山口大学の中森雅之教授(臨床神経学)は、「世界初の治療薬として患者からの期待は高く、安全性と有効性が確認できてほっとしている。治療薬につながるよう今後も開発を続けたい」と話しています。
治験の結果をまとめた論文は昨年12月、イギリスの医学系学術誌に掲載されました。
2024年1月13日(土)
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