アメリカで、脳死状態の患者以外では世界で初めて、遺伝子操作を行ったブタの腎臓の移植を受けた60歳代の患者が死亡しました。移植を行った病院は、患者の死亡について移植が原因ではないとみています。
これはアメリカ・ボストンにあるマサチューセッツ総合病院が11日、発表しました。
病院の研究チームは今年3月16日、当時62歳だった末期腎不全の男性患者リチャード・スレイマンさんに、拒絶反応が起きないよう遺伝子操作したブタの腎臓を「異種移植」しました。
スレイマンさんはその後、回復し、4月初めに退院していましたが、病院によりますと、このほど死亡したということです。
研究チームは詳しい経緯を明らかにしていませんが、スレイマンさんの死亡について「移植の結果だということを示すものはない」として、移植が原因ではないとみています。
スレイマンさんの家族は声明を発表し、手術を受けた理由の一つは生き続けるため移植を待つ人たちに希望を与えることだったと言及。「その目的は達した」と述べました。
アメリカでは2021年に脳死状態の患者にブタの腎臓を移植する試みが行われましたが、研究チームによりますと、脳死状態の患者以外にブタの腎臓が移植されたのは世界で初めてだったということです。
アメリカでは、遺伝子操作したブタの臓器を人間に移植できないか研究が進められており、2022年には、ほかの治療法で回復が見込めない患者がブタの心臓の移植を受けましたが、およそ2カ月後に死亡しています。
2024年5月13日(月)
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