イギリス議会下院(定数650)で11月29日、終末期患者の「安楽死」を認める法案を巡る1回目の採決が行われ、賛成多数で法案審議が次の段階に進むことになりました。2015年に同様の法案が提出された際は反対多数で廃案となりました。世論は安楽死容認派が多く、法制化されるかどうか注目が集まっています。
法案は議員立法の形で、与党・労働党の議員が提出しました。余命6カ月未満の18歳以上の患者が、医師から処方された薬物を服用して命を絶つことを認めます。患者の明確な意思があることなどを2人の医師が確認した上で、裁判官が最終的に判断します。
賛否が拮抗(きっこう)するとの見方もありましたが、採決の結果は賛成330、反対275。イギリス国民の間では安楽死を受け入れる考えが広まっている模様で、調査会社ユーガブが11月19、20日に実施した世論調査では法案への賛成は73%で、反対は13%でした。
一方、採決前の討論では、家族などに負担をかけたくないとの思いから安楽死を選ぶ人が増えるといった反対意見が出ました。今後の審議で条文は修正される可能性があり、下院での法案採決は来年になる見通し。法案成立には上院に当たる貴族院も通過する必要があります。
安楽死には、医師が患者に薬物を投与する「積極的安楽死」もあります。イギリスBBCによると、安楽死はオランダやベルギー、スペイン、カナダ、アメリカの一部の州などで合法化されています。
ロンドン中心部のイギリス議会の前では、議員たちに自らの声を直接届けようと、法案に賛成と反対、それぞれの立場をとる合わせて数百人が集まりました。
賛成派が掲げたプラカードには「幸福な人生には、幸福な死を」などという主張が、反対派のプラカードには「死ぬためではなく、生きるための支援を」などという訴えがそれぞれ書かれていました。
2024年12月1日(日)
0 件のコメント:
コメントを投稿