認知症の前段階と診断された高齢者の約3割は、5年後に認知機能が正常に戻ったとする研究結果を、九州大のチームがまとめた。生活習慣病がないことや、筋力が保たれていることなどが関係しており、認知症の発症予防につながる可能性があるという。日本老年精神医学会で報告された。
この研究は、福岡県久山町の65歳以上の住民を対象に1961年から行われている追跡調査の一環。
調査は2012年と2017年、認知症の前段階である軽度認知障害(MCI)と診断された高齢者計398人を対象に実施。このうち5年後の状況を追跡できた380人を分析した。正常に戻ったのは119人(31%)で、MCIのままだったのは102人(27%)、認知症に移行したのは106人(28%)だった。
認知機能が回復した人の背景を解析すると、糖尿病がないことや、血圧が低い、年齢が若い、握力が強いなどの要因があった。
九州大の二宮利治教授(公衆衛生学)は、「認知症になる可能性は誰にでもある。診断を恐れて検査を受けるのを遅らせるよりも、早い段階から認知機能を理解し、対策に役立ててほしい」と話す。
2025年10月15日(水)
0 件のコメント:
コメントを投稿