日米共同で運営する放射線影響研究所(放影研)は23日、被爆者と被爆2世のゲノム(全遺伝情報)解析を始めたと発表した。親の放射線被曝(ひばく)が子供のDNA配列に影響を与えるかは明らかになっていない。今回の解析で、親が高線量の放射線を受けた場合に、子供のDNA配列に変化が起きやすいかどうかを調べ、今後の研究につなげる。
放影研によると、調査対象となるのは1985年以降に血液の提供を受けた広島、長崎の約400家族、約1400人。そのうち被爆2世ら子供は約580人。同意を得られた人で実施する。
父母と子供を3人一組として変化を調査。その上で、親が高線量の放射線を被爆した子供と、それ以外の子供との間で比較する。
今回同定された変化が放射線によるものなのかどうかは判別できず、がんなど特定の病気との因果関係や罹患(りかん)率までは明らかにできないという。結果の公表は5年後を目指し、今後の遺伝的影響の研究基盤とする。
神谷研二理事長は、「DNAは究極的な個人情報だ。倫理的観点から適切に実施されるよう取り組む」と述べた。
被爆2世は被爆者援護法の対象外で、遺伝的影響を受けた可能性があるとして国に損害賠償を求める訴訟を起こしているが、退けられている。長崎訴訟は敗訴が確定。広島訴訟は「多数の研究者から支持されているとはいえない」などとして一、二審とも敗訴し、最高裁に上告している。
2025年12月27日(土)
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