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2022/07/21

🇱🇾無βリポ蛋白血症

深刻な結果を招くほど脂質濃度が低下する遺伝性疾患

無βリポ蛋白(たんぱく)血症とは、血液に含まれる脂質濃度が低下して著しい低脂血症を示す、まれな常染色体劣性遺伝疾患。バッセン・コルンツヴァイク症候群、MTP(ミクロソームトリグリセライド〔中性脂肪〕転送蛋白)欠損症とも呼ばれます。

アポB含有リポ蛋白であるカイロミクロン、VLDL(超低比重リポ蛋白)、LDL(低比重リポ蛋白)が血液中に欠損しており、乳児期から著しい低コレステロール血症、および低トリグリセライド(中性脂肪)血症を来します。

原因は、MTP(ミクロソームトリグリセライド〔中性脂肪〕転送蛋白)遺伝子の変異です。

MTPは、肝臓と小腸で合成されたアポ B 蛋白にトリグリセライド(中性脂肪)が転送され、VLDL(超低比重リポ蛋白)とカイロミクロン粒子が形成される過程に不可欠。肝臓での VLDL(超低比重リポ蛋白)の産生により末梢(まっしょう)組織に必要なコレステロールの輸送がなされ、小腸でのカイロミクロンの形成により脂肪が吸収されます。MTPの欠損により、トリグリセライド(中性脂肪)と結合しないアポ B蛋白は速やかに分解されて、血液中に分泌されません。

本来なら、トリグリセライド(中性脂肪)と結合したアポB蛋白は、LDL(低比重リポ蛋白)と略されるβリポ蛋白、VLDL(超低比重リポ蛋白)と略されるプレβリポ蛋白として血液中に分泌され、脂溶性の物質を吸収したり、運搬したりします。従って、血液中にβリポ蛋白、プレβリポ蛋白がないと、脂肪やビタミンEを始めとした脂溶性ビタミンなど多くの栄養素が臓器や組織に運ばれず、さまざまな症状が起こってきます。

無βリポ蛋白血症の症状はまず乳児期に現れ、発育不全がみられます。脂肪吸収の障害により、授乳開始とともに便に過度の脂肪が含まれる脂肪便という状態になり、便は脂っぽく、悪臭があり、水に浮かびやすくなります。慢性下痢、嘔吐(おうと)も生じます。

また、ビタミンEを始めとした脂溶性ビタミンの吸収障害により、思春期までに網膜色素変性による夜盲、視野狭窄(きょうさく)、視力低下などの目の症状が生じ、失明する可能性もあります。中枢神経系の損傷による運動失調症や精神遅滞、末梢神経系の損傷による知覚低下や腱(けん)反射消失などが起きる可能性もあります。

未治療のケースでは、30歳前後までに中枢神経系の損傷により、歩行など通常の日常生活に必要な基本的な活動が著しく障害されることもあります。

無βリポ蛋白血症の検査と診断と治療

内科、内分泌・代謝科の医師による診断では、血液検査で血中のコレステロール、トリグリセライド(中性脂肪)の値を測定します。朝食前の空腹時に採血します。

血中の総コレステロールの値が50mg/dl未満、血中のトリグリセライド(中性脂肪)の値が15mg/dl 未満で、特徴的な脂肪便、神経症状、目の症状が認められる場合に、無βリポ蛋白血症と確定します。

鑑別する疾患には、家族性低βリポ蛋白血症、カイロミクロン停滞病(アンダーソン病)、甲状腺(せん)機能高進症があります。

内科、内分泌・代謝科の医師による治療では、脂溶性ビタミン、特にビタミンEのサプリメントを使用し、多量に補充します。

無βリポ蛋白血症は遺伝子異常を背景とし、代謝異常が生涯持続するために治癒しませんが、幼児には1日1000〜2000mg、成人には5000〜10000mgの脂溶性ビタミンを長期にわたって大量に補充することによって、中枢神経系の損傷の発生と進行を遅らせることができます。

消化器症状に対しては、脂肪の摂取、特に長鎖脂肪酸の摂取を制限します。栄養障害に対しては、カイロミクロンを経ずに吸収される中鎖脂肪酸を補充することもあります。

🌍夢遊症

夢遊症とは、夢遊病とも、睡眠時遊行症とも呼ばれ、就寝中に起きて歩き回ったりするなど、まるで目的があるような行動を起こす症状です。

症例としては、毛布やシーツをきちんと直す、電気をつける、歩き回る、服を着る、ドアを開ける、トイレに行って排尿する、何かを食べる、外出するなどの行動をします。

うつろな表情で視線を動かさず、いくら呼びかけても反応しません。数分で目を覚ますことがありますが、大抵の場合、再び眠り続け、翌朝、目が覚めた時には、本人には行動した記憶がまったくありません。

通常、深い眠りのノンレム睡眠の時に、夢遊症は起こります。見ている夢と関係していると思われがちですが、夢とは関係なく起こります。

原因は現在、はっきりと解明されていませんが、過度のストレスや疲労、大量のアルコール摂取により脳が興奮状態になると、ノンレム睡眠中に運動抑制機能の働きが低下し、症状が起こると見なされています。脳内のセロトニンの不足が原因という説もあります。

この夢遊症は、幼児期~青年期前までに起きやすく、だいたい約3割が4歳から8歳くらいまでに発症します。大半の子供は大人になると、ほどんど自然に消失しますが、約1パーセント程度は大人になっても、夢遊症の症状を持ち続けるといわれます。

🇩🇪ムンプス(流行性耳下腺炎)

耳下腺が腫れる合併症の多い感染症

ムンプスとは、ムンプスウイルスによる急性ウイルス感染症。耳の前から下にかけての腫(は)れを特徴とします。

しっかり腫れると、おたふくのお面のように下膨れするので、おたふく風邪とも、流行性耳下腺(じかせん)炎とも呼ばれます。

感染者の唾液(だえき)から、飛沫(ひまつ)感染します。流行に周期性はなく、季節性も明確ではありませんが、春先から夏にかけて比較的多く発生します。かかりやすい年齢は1~9歳、とりわけ3~4歳。感染しても発病しない不顕性感染が、30~40パーセントの乳幼児、学童にみられます。

 耳の下の唾液腺の一種である耳下腺が腫れることで知られますが、ムンプスウイルスは、体中を回って、ほかのいくつかの臓器にも症状を起こします。

突然、37~38℃の発熱が1~2日続いた後に、耳の下に痛みを訴え、片側の耳下腺が腫れてきます。子供は口を開けたり、触ったりすると痛がります。発熱せず、最初から耳下腺が腫れてくるケースもあります。

一般的に、1~3日して、もう片方の耳下腺が腫れてきますが、4人に1人は片方の耳下腺しか腫れません。腫れは3日目ぐらいがもっともひどく、その後、徐々にひいて、5~7日で消えていきます。

発熱がある間は、水分を十分に与え、静かに過ごさせましょう。耳下腺の腫れたところは、冷湿布などで冷やして痛みを和らげます。食事は流動食、ないし軟らかい物とし、刺激物は避けましょう。特に酸っぱい物や香辛料は、耳下腺からの唾液の分泌を増加させ、痛みが強くなります。

一度下がった熱が再発し、腹痛、嘔吐(おうと)、頭痛、精巣の腫れなどを生じた場合、無菌性髄膜炎、膵(すい)炎、精巣炎などの合併症が起きた可能性がありますので、医療機関を受診しましょう。

ムンプスウイルスに効く薬はありませんが、精巣炎を起こしていれば副腎(ふくじん)皮質ステロイド薬を使ったり、頭痛や耳下腺の痛みに対して鎮痛薬を使うことがあります。

 ムンプスは合併症の多い感染症ですから、全身状態がよくても安静、保温、栄養など、乳幼児、学童に対する基本的な看護が大切です。

🇩🇪ムンプス髄膜炎

流行性耳下腺炎の原因となるムンプスウイルスが髄膜に感染し、炎症が起こる疾患

ムンプス髄膜炎とは、脳を取り巻き、内側から軟膜、くも膜、硬膜の三層からなる髄膜に、流行性耳下腺(じかせん)炎の原因となるムンプスウイルスが感染し、炎症が起こる疾患。流行性耳下腺炎の合併症の一種です。

流行性耳下腺炎のほうは、耳の前から下にかけてのはれを特徴とし、しっかりはれると、おたふくのお面のように下膨れするので、おたふく風邪、あるいはムンプスとも呼ばれます。

流行性耳下腺炎は、感染者の唾液(だえき)から飛沫(ひまつ)感染します。流行に周期性はなく、季節性も明確ではありませんが、春先から夏にかけて比較的多く発生します。かかりやすい年齢は1~9歳、とりわけ3~4歳。感染しても発症しない不顕性感染が、30~40パーセントの乳幼児、学童にみられます。子供の時に感染しなかった場合は、成人になってからでも発症します。

 耳の下の唾液腺の一種である耳下腺がはれることで知られますが、ムンプスウイルスは、体中を回って、ほかのいくつかの臓器にも症状を起こします。

突然、37~38℃の発熱が1~2日続いた後に、耳の下に痛みを覚え、片側の耳下腺がはれてきます。子供は口を開けたり、触ったりすると痛がります。発熱せず、最初から耳下腺がはれてくるケースもあります。

一般的に、1~3日して、もう片方の耳下腺がはれてきますが、4人に1人は片方の耳下腺しかはれません。はれは3日目ぐらいが最もひどく、その後、徐々にひいて、5~7日で消えていきます。

この流行性耳下腺炎の合併症には、ムンプス髄膜炎のほか、ムンプス難聴、ムンプス睾丸(こうがん)炎が知られています。

ムンプスウイルスは中枢神経系に親和性があるため、流行性耳下腺炎の合併症として最も頻度の高いものがムンプス髄膜炎で、約3〜10パーセントに合併するといわれています。

そのほか、流行性耳下腺炎の中枢神経合併症としては、髄膜脳炎、脳炎があります。感染した単核球(リンパ球)を介して、中枢神経系に侵入するといわれています。

通常、耳下腺のはれから5日くらいたってから、ムンプス髄膜炎を発症することが多いといわれていますが、耳下腺のはれより前に発症したり、耳下腺のはれを認めずに発症する場合もあります。

症状は、年齢によって多少違いがあります。年長児や成人では、頭痛、嘔吐(おうと)、首が強く突っ張る項部強直などが多く認められます。年少児では、これらの症状がはっきりしない場合が多いといわれています。

さらに、炎症が脳そのものまでに及ぶと髄膜脳炎、脳炎を合併し、意識障害や手足のけいれんを起こすこともあります。

流行性耳下腺炎の経過中に髄膜炎を疑わせる症状がある場合は、早めに小児科あるいは内科を受診する必要があります。

ムンプス髄膜炎の検査と診断と治療

小児科、内科の医師による診断では、流行性耳下腺炎の発症時に発熱、嘔吐、頭痛、項部硬直などの症状を認めた場合は、通常、脊髄(せきずい)液を腰椎(ようつい)から穿刺(せんし)する髄液検査を行います。

髄液の検査所見では、単核球(リンパ球)を主とする細胞の増加が認められます。髄膜炎を疑わせる症状がなくても、髄液検査を行うと髄液中の細胞が増えていることもあります。

髄液からのウイルス分離で、ムンプスウイルスを証明します。あるいは、RT‐PCR法(逆転写酵素ーポリメラーゼ連鎖反応法)を用いて、ウイルス遺伝子(RNA)を検出します。最近の分子生物学的手法により、ウイルスがワクチン株(ワクチン由来)か野生株かの判定が可能になりました。

髄膜炎や脳炎の程度を見るために、CT(コンピューター断層撮影)検査やMRI(核磁気共鳴画像)検査も行います。

小児科、内科の医師による治療では、流行性耳下腺炎にムンプス髄膜炎を合併した場合は、通常、入院治療が必要になりますが、ウイルスに特異的な治療法がないため、発熱や痛みに対する対症療法が行われます。

髄液検査において穿刺(せんし)をすると、頭痛や嘔吐がある程度改善します。一般的に予後は良好で、後遺症を残すことはほとんどありません。髄膜脳炎を合併した場合でも、ほかの原因による髄膜脳炎に比べると予後は良好といわれています。

ムンプス髄膜炎の予防は、流行性耳下腺炎ワクチンを接種することにより流行性耳下腺炎の発症そのものを防ぐ以外、方法はありません。

🇫🇷ムンプス精巣炎

流行性耳下腺炎の原因となるムンプスウイルスが感染し、精巣に炎症が起こる疾患

ムンプス精巣炎とは、流行性耳下腺(じかせん)炎の原因となるムンプスウイルスに感染することによって、男性の生殖器官である精巣に炎症が起こる疾患。ムンプス睾丸(こうがん)炎とも呼ばれます。

精巣、すなわち睾丸は、男性の陰嚢(いんのう)内に左右各1個あって卵形をしており、男性ホルモンおよび精子を産生しています。

ムンプス精巣炎は、ムンプスウイルスの血行感染によって起こり、思春期以降に、おたふく風邪、あるいはムンプスとも呼ばれる流行性耳下腺炎にかかった人の10〜30パーセントが、ムンプス精巣炎も合併して発症します。

思春期以降に、流行性耳下腺炎にかかる人は、小児期にかかっていなかったり、ワクチンの予防接種を受けていなかったりして、ムンプスウイルスに対する免疫を持っていない人です。

思春期以前に、流行性耳下腺炎に合併してムンプス精巣炎を発症することは、まれです。

症状は、流行性耳下腺炎を発症した4〜7日後に、急激な精巣の痛みとはれが起き、陰嚢の発赤、発熱、頭痛、悪心、倦怠(けんたい)感などが現れ、3〜7日くらい続きます。通常、排尿に関する症状はありません。

まれに精巣の委縮を起こすこともありますが、大部分は片側だけの精巣に炎症が起こります。両方の精巣に炎症が起こると、後遺症として無精子症など男性不妊の原因になることがあります。完全な男性不妊の原因となることは比較的まれながら、回復後に精子数の異常がみられ、受精能力が減退することもあります。

ムンプス精巣炎を発症したら、できるだけ精巣へのダメージを少なくするため家で安静にし、陰嚢をつり上げて固定し、さらに冷湿布をすると痛みは軽くなります。

男性不妊になるのを予防するためには、やはり一度は泌尿器科の専門医を受診しておいたほうが安心です。

ムンプス精巣炎の検査と診断と治療

泌尿器科の医師による診断は、精巣の痛み、はれ、硬化などの症状から簡単に判断できます。流行性耳下腺炎の先行と、咽頭(いんとう)や精液からのウイルス分離や、血液中のウイルスに対する抗体の値が初回より2回目の測定で上昇することで、確定できます。尿中に、うみや細菌は認められません。

泌尿器科の医師による治療としては、全身の安静、陰嚢の固定や冷湿布とともに、ムンプスウイルスが原因の時は抗生物質は有効ではないため、熱を抑えるための消炎鎮痛剤を投与します。陰嚢の固定では、スポーツ用のサポーターや大腿(だいたい)部の間に張った粘着テープで陰嚢を支えることもあります。

1週間程度で炎症は治まりますが、長期化したり両側の陰嚢に炎症を起こすと、精巣の中の精子の元になる細胞が死んでしまい、精巣が委縮し、男性不妊の原因になります。ムンプス精巣炎の20〜30パーセントに、男性不妊が起きると見なされています。

2022/07/16

🇦🇫ムンプス難聴

流行性耳下腺炎の原因となるムンプスウイルスが内耳に感染し、急性発症する難聴

ムンプス難聴とは、流行性耳下腺(じかせん)炎の原因となるムンプスウイルスが内耳に感染し、急性に発症する難聴。流行性耳下腺炎の合併症の一種です。

流行性耳下腺炎のほうは、耳の前から下にかけてのはれを特徴とし、しっかりはれると、おたふくのお面のように下膨れするので、おたふく風邪、あるいはムンプスとも呼ばれます。

流行性耳下腺炎は、感染者の唾液(だえき)から飛沫(ひまつ)感染します。流行に周期性はなく、季節性も明確ではありませんが、春先から夏にかけて比較的多く発生します。かかりやすい年齢は1~9歳、とりわけ3~4歳。感染しても発症しない不顕性感染が、30~40パーセントの乳幼児、学童にみられます。子供の時に感染しなかった場合は、成人になってからでも発症します。

 耳の下の唾液腺の一種である耳下腺がはれることで知られますが、ムンプスウイルスは、体中を回って、ほかのいくつかの臓器にも症状を起こします。

突然、37~38℃の発熱が1~2日続いた後に、耳の下に痛みを覚え、片側の耳下腺がはれてきます。子供は口を開けたり、触ったりすると痛がります。発熱せず、最初から耳下腺がはれてくるケースもあります。

一般的に、1~3日して、もう片方の耳下腺がはれてきますが、4人に1人は片方の耳下腺しかはれません。はれは3日目ぐらいが最もひどく、その後、徐々にひいて、5~7日で消えていきます。

この流行性耳下腺炎の合併症には、ムンプス難聴のほか、ムンプス髄膜炎、ムンプス睾丸(こうがん)炎が知られています。ムンプス難聴になるのは、流行性耳下腺炎の発症者1万5000人に1人程度といわれています。また、15歳以下、特に5~9歳が合併しやすいとされています。

耳下腺のはれる4日前から、耳下腺のはれが現れてから18日以内に、ムンプス難聴は発症します。発症すると、耳の奥にある内耳の蝸牛(かぎゅう)にあって、音を感じ取る有毛細胞という感覚細胞に障害が生じるために、片方の耳に重度の感音難聴が起こるのが一般的です。まれに、両方の耳に重度の感音難聴が起こることもあります。

そのごく初期の段階で、周波数の高い音を聞き取る聴力が低下します。周波数の低い音は聞き取れるため、日常の会話ではなかなか気付けません。重度になると、聴力が急激に低下し、高い音が聞き取りにくくなります。ひどい場合には、全領域の音が聴こえなくなり、難治性です。耳鳴りやめまいを伴うこともあります。

症状を適切に訴えられない幼児、小児では、聴力の低下が見逃されている場合もあり、ムンプス難聴は子供時代にいつの間にか聴力を失っている主要な原因の一つです。

難聴の発生は、耳下腺のはれの強さとは無関係で、耳下腺がはれない不顕性感染でも難聴が発生することがあります。

また、片方の耳に重度の感音難聴が起こった後、長い年月を経てから回転性めまい発作や聴力低下を来し、症状が繰り返すことがあります。これを遅発性内リンパ水腫(すいしゅ)と呼びます。

片方の耳の重度感音難聴に遅発性内リンパ水腫が合併して発症する頻度は、15~20パーセントといわれています。原因は、内耳に入っている内リンパ液が過剰に増えることによると考えられています。

遅発性内リンパ水腫は、重度感音難聴側の耳が原因で起こる同側型と、聞こえのよい側の耳が原因で起こる対側型とに分類されます。まれに、両側型もあります。同側型の場合はすでに難聴になっているため、回転性めまい発作の繰り返しが主な症状で、対側型の場合は回転性めまい発作の繰り返しと、聞こえのよい側の耳の聴力の変動が症状となります。

流行性耳下腺炎を発症した時に、ムンプス難聴になっていないかを調べる方法として、耳元で指こすりをするものがあります。指こすりは、適度に高い音域で小さな音です。もし、指こすりで聴力の低下が認められたら、耳鼻咽喉(いんこう)科を受診することが勧められます。

ムンプス難聴の検査と診断と治療

耳鼻咽喉科の医師による診断では、症状によって判断しますが、耳下腺がはれない不顕性感染でも難聴が発生することもあるため、確定診断には血液検査でムンプスウイルスに対する抗体価を測定します。

難聴の度合は、純音聴力検査を行って判断します。耳の障害部位をある程度特定するために、聴性脳幹反応、耳音響放射、画像診断など特殊な検査を行うこともあります。

耳鼻咽喉科の医師による治療では、ムンプスウイルスに効く薬はなく、引き起こされたムンプス難聴にも有効な治療法がありませんので、少ない可能性を信じてステロド剤(副腎〔ふくじん〕皮質ホルモン)の投与を行いますが、聴力の改善はほとんど期待できないのも事実です。

片方の耳が正常であれば、通常の社会生活には問題はなく、補聴器や人工内耳などは適応にはなりません。両側の耳がムンプス難聴になった場合、または全領域の音が聴こえなくなった場合は、人工内耳の適応となり、それを挿入する手術を行うこともあります。

ムンプス難聴は発症すると治療が困難なため、流行性耳下腺炎を予防するワクチン接種を受けることが勧められます。

遅発性内リンパ水腫の治療は、同様の病態を示すメニエール病に準じて行います。根本的な治療法は見付かっていないため、回転性めまい発作時にその症状を抑えるための薬物による対症療法が基本になります。

回転性めまい発作を起こしている時には、まず、めまいを止める薬を点滴します。落ち着いたら、内リンパ液を減らす薬を点滴。それで聴力が回復したなら、ステロド剤(副腎〔ふくじん〕皮質ホルモン)中心の薬による治療が行われます。

具体的には、循環改善剤、血管拡張剤、ビタミン剤、利尿剤などが使われ、末梢(まっしょう)血管の血行をよくしたり、体内の余分な水分を排出することで、内リンパ水腫の状態を緩和します。また、発作時には、鎮痛剤を使用することもあります。

背景に自律神経失調やストレスがある場合は、自律神経調節薬や抗不安剤などを用います。

 薬で症状が改善せず、頻繁に再発を繰り返す場合は、内耳の過剰なリンパ液を取り除くなどの手術も行われます。

遅発性内リンパ水腫の確立された予防方法はありませんが、体調やストレスなどが発症の誘因となりやすいため、普段から規則正しい生活をして、ストレスをためないように心掛けることが重要です。

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