2022/08/02

🇲🇷小人症

何らかの原因によって身長が著しく低くなる疾患

小人(こびと、しょうじん)症とは、何らかの原因によって身長が著しく低くなる疾患。低身長症、侏儒(しゅじゅ)症とも呼ばれています。

身長が著しく低くなる原因はいろいろあり、ホルモンの不足によって起こる場合や、ターナー症候群という性染色体の異常によって発生する疾患によって起こる場合、軟骨異栄養症という生まれ付き骨に異常があって低身長、短指症になる疾患によって起こる場合などがあります。

ホルモンの不足によって起こる場合にも、成長ホルモンの不足によって起こる場合と、甲状腺(こうじょうせん)ホルモンの不足によって起こる場合とがあります。このうち、成長ホルモンの不足による場合を成長ホルモン分泌不全性低身長症、あるいは下垂体性小人症といい、最もよく知られています。

成長ホルモンは主として、脳の中にある下垂体(脳下垂体)という器官から分泌され、骨の両端にある骨端線に作用して骨を成長させる働きを持っています。この成長ホルモンの分泌量が不足することにより、骨が成長できず、低身長になります。

低身長は身長SDスコアがマイナス2SD以下という統計の基準で定義され、同性・同年齢の100人に2~3人が低身長という定義に当てはまりますが、この低身長の中で成長ホルモン分泌不全性低身長症は5パーセント以下です。

小人症の原因はいろいろありますが、最も多いのは分娩(ぶんべん)時の異常です。骨盤位分娩(逆子)で、しかも仮死を伴って生まれた男児に多い傾向がみられます。ほかに、少し大きくなってから、脳に腫瘍(しゅよう)ができ、成長ホルモンの分泌が低下するために低身長になることもあります。非常にまれには、成長ホルモンや成長ホルモン放出因子の遺伝子の異常や、下垂体の発生に関係する遺伝子(転写因子)の異常によって、低身長になることもあります。

生まれた時には、身長、体重とも健康な赤子と変わりがないのが普通です。しかし、3歳ごろになると、ほかの子供と比べて体が小さいことに家族が気付くようになります。知能の発育は、正常です。

身体的特徴は、体全体の均整がよくとれていて、成人しても顔が丸くて子供っぽく、性器は幼児型のままのことが多いようです。声変わりもなく、陰毛やわき毛もないのが普通。これは性腺刺激ホルモンの分泌も同時に障害されることが多いためです。

このほか、下垂体から分泌される甲状腺刺激ホルモンや副腎(ふくじん)皮質刺激ホルモンも低下していることがあります。

現在、低身長でなくても、成長率の低下がみられる時、学校での背の順が前になってくるような時は、成長ホルモン分泌不全性低身長症以外のホルモンの疾患による小人症が隠れている時がありますので、内科、内分泌代謝内科、小児科の専門医を受診します。

小人症の検査と診断と治療

医師による診断は、血液中の成長ホルモンの量や、ほかの下垂体ホルモンの量を測定し、総合的に診断します。病因を調べるために、下垂体とその周辺のMRI検査、CT検査を行うこともあります。小人症と鑑別すべきものに、思春期遅発症、甲状腺機能低下症による低身長などがあります。

医師による治療は、ヒト成長ホルモンを注射することが最もよい方法です。このホルモンは、以前はヒト下垂体から抽出していたので、その生産量に限りがありました。現在では、遺伝子工学技術を応用して大量に産出されるようになり、十分な治療が行われています。

本剤は注射液ですが、毎日少量ずつ投与するのが効果的で、自己注射が認められているため、小さい時は両親が、大きくなると本人が注射の打ち方を習い、毎日寝る前に皮下注射します。

1年目は平均8センチぐらいの身長の伸びが認められますが、2年目、3年目と伸びは落ちていきます。すぐに正常身長になるというような治療ではありません。長期治療した例の最終身長の平均は、男性で160センチ、女性で148センチ前後とされています。

🇲🇨股部白癬

白癬菌が皮膚、特に内またなどに感染して起こる皮膚病

股部白癬(こぶはくせん)とは、かび(真菌)の一種の白癬菌が原因となって起こる皮膚病で、特に、またやしり、太もも、下腹部など、すれて湿っている部分にできるもの。いんきんたむし、頑癬ともいいます。

夏季に、男性に多くみられ、時に集団発生することもあります。白癬菌は皮膚糸状菌とも呼ばれ、日本では10種類ほどみられるとされていますが、股部白癬の原因菌は大部分が猩紅(しょうこう)色菌で、まれに鼠径(そけい)表皮菌によることもあります。

初めの変化は、丘疹(きゅうしん)と小さな膿疱(のうほう)です。丘疹とは、小さなぶつぶつで皮膚面からわずかに盛り上がっているものです。膿疱とは、黄色く濁った液が入っている小さな水疱です。

これらが集まって輪状に並び、堤防状に盛り上がって、境界が鮮明になっていきます。中心部の皮膚は一見、治ったように見え、厚く硬くなって、褐色の色素沈着がみられるようになります。辺縁部には、赤いやや水っぽい丘疹が集まり、むけかかった皮がついているのが特徴です。激しいかゆみを伴い、体が温まると強くなります。

なお、白癬菌は高温多湿を好み、ケラチンという皮膚の蛋白(たんぱく)を栄養源とするため、男性の陰茎、陰のうに白癬菌がつくことは、まれです。

股部白癬の検査と診断と治療

皮膚科の医師による股部白癬の検査では、水疱部の皮膚を水酸化カリウムで溶かし、溶けずに残る白癬菌を顕微鏡で観察する方法が一般的で、皮膚真菌検査と呼ばれます。 時には、培養を行って、原因菌の同定を行うこともあります。

治療法としては、表在性の白癬菌を殺す働きのある抗真菌薬の外用が一般的です。普通、1週間から10日で症状が改善しますが、皮膚が入れ替わる数カ月間の外用が必要です。広範囲のもの、抗真菌薬でかぶれるものでは、内服療法を行います。肝臓に負担がかかることもあるため、肝臓の弱い人は内服できません。内服中は1カ月に1回、肝機能検査を行います。

生活上で、股部白癬に対処する注意点を挙げると、真菌は高温多湿を好むので、その逆の状態にすることが必要です。すなわち、蒸さない、乾かす、よく洗うといったことです。毎日、入浴して、その日についた汚れをせっけんや、ボディソープできれいに洗い流して、後は十分に水をふき取ります。湿った下着類も毎日、取り替えます。ふだんから体の清潔を心掛けることは、予防のためにも大事です。

👂鼓膜炎

外耳と中耳の境界にある鼓膜に、限定した炎症が起きている状態

鼓膜炎とは、外耳と中耳の境界にある薄い膜である鼓膜に、限定した炎症が起きている状態。

鼓膜は、耳に入ってくる音を振動に変換し、耳小骨経由で内耳に伝える働きのほか、外耳と中耳を境界する役目をしている器官です。その構造は、直径約9ミリ、厚さ0・1ミリの薄い膜状で、耳の入り口から約3センチのところに位置しており、外耳道のほうに向かって開いたパラボラアンテナのような形態をしています。

体の中には、いくつかの膜状構造物がありますが、鼓膜は常に外界に交通しているため、外力に弱い器nter官といえるでしょう。

この鼓膜炎が単独で起こることは比較的少なく、多くは風邪などに伴って起こります。子供よりも20〜40歳代の成人女性に多く、両側の耳に起こることはまれです。

鼓膜炎にはいくつかの種類がありますが、鼓膜に水疱(すいほう)の生じる急性の水疱性鼓膜炎と、鼓膜に肉芽(にくげ)やびらんの生じる慢性の肉芽腫(しゅ)性鼓膜炎に大きく分けられます。

水疱性鼓膜炎は、インフルエンザなどのウイルス感染が原因と疑われていますが、まだはっきりしていません。鼓膜の表面に水疱を生じ、激しい耳の痛みがあるのが特徴で、耳垂れ(耳漏)はあまりありません。

まれに、音を感じる内耳に影響を与えて、感音難聴を起こすことがあり、耳鳴りなどの症状を伴います。時々、中耳炎を合併することもあり、その場合は難聴や発熱を覚えます。

肉芽腫性鼓膜炎は、細菌感染が原因といわれていますが、まだはっきりしません。鼓膜の表皮が異常に増殖して肉芽やびらんを生じ、痛みは軽度ですが、頑固な耳垂れが続きます。耳の奥のほうのかゆみ、耳の詰まった感じや耳鳴り、難聴を覚える人もいます。

鼓膜炎の検査と診断と治療

耳鼻咽喉(いんこう)科の医師による水疱性鼓膜炎の診断では、顕微鏡やファイバースコープで鼓膜を拡大して観察し、鼓膜炎と似た症状の中耳炎と鑑別します。観察すると、鼓膜は出血性に赤くなり、さらに小水疱、水疱が認められるので、すぐに鑑別できます。

感音難聴を起こして耳鳴りなどの症状を伴っている場合には、聴力検査を行います。

耳鼻咽喉科の医師による肉芽腫性鼓膜炎の診断では、顕微鏡などで鼓膜を観察すると20パーセントに小さな穴を認め、中耳の慢性炎症の影響を受けていることがあります。中耳の疾患疑わしい場合は、側頭骨CT検査なども行われることがあります。また、耳垂れを調べて起炎菌を検出し、その感受性検査を行います。

耳鼻咽喉科の医師による水疱性鼓膜炎の治療では、抗生剤、鎮痛薬の内服を行います。痛みの強い場合には、痛みを緩和するために綿棒などで水疱をつぶすことがあります。通常、耳に薬剤を入れる点耳などの局所処置は必要ありません。

感音難聴が生じた場合は、突発性難聴に準じて、ステロイド剤(副腎〔ふくじん〕皮質ホルモン)、ビタミン剤、循環改善薬などを使用します。

耳鼻咽喉科の医師による肉芽腫性鼓膜炎の治療では、耳垂れの起炎菌の感受性検査の結果から、適切な抗生剤を耳浴、点耳などで局所投与します。

これで効果がない場合には、鉗子(かんし)で肉芽を切除し、トリクロリールなどの薬品で焼灼(しょうしゃく)する場合もあります。薬物療法のみでなく、適切な焼灼などの局所処置が重要で、週1〜2回根気よく繰り返すことで徐々に軽快していきます。

中耳に炎症が隠れていると再発しやすくなり、治療が長期にわたる場合もあります。

👂鼓膜裂傷

何らかの外力により鼓膜が破れたり、穴が開く症状

鼓膜裂傷とは、何らかの外的な力が加わって、耳の奥にある薄い膜である鼓膜が破れたり、穴が開く状態。外傷性鼓膜裂傷、外傷性鼓膜穿孔(せんこう)とも呼ばれます。

鼓膜は、耳に入ってくる音を振動に変換し、耳小骨経由で内耳に伝える働きのほか、外耳と中耳を境界する役目をしている器官です。その構造は、直径約9ミリ、厚さ0・1ミリの薄い膜状で、耳の入り口から約3センチのところに位置しており、外耳道のほうに向かって開いたパラボラアンテナのような形態をしています。

体の中には、いくつかの膜状構造物がありますが、鼓膜は常に外界に交通しているため、外力に弱い器官といえるでしょう。鼓膜裂傷が発生するのは、鼓膜に対する外からの力の伝わり方によって、直達性外力によるものと介達性外力によるものとに分類されます。

直達性外力による鼓膜裂傷は、鼓膜に直接力が加わった場合、例えば耳かき、マッチ棒、異物などを誤って奥に入れてしまったりすると起こります。この直達性鼓膜裂傷は鼓膜を破ってしまうだけでなく、耳小骨、顔面神経管、骨迷路に達してしまう危険があり、内耳性難聴、顔面神経まひを合併することがあります。

介達性外力による鼓膜裂傷は、耳に何かがぶつかることによって外耳道の急激な圧上昇が起こり、鼓膜がその圧変化に耐えられなくなり穴が開きます。具体的には、耳介部の平手打ちや、スポーツ中にボールが耳に当たったりすると起こります。また、爆発、爆風などによる外耳道の急激な圧上昇などの間接的な外力でも起こります。

鼓膜裂傷の症状としては、直達性にせよ介達性にせよ、最初耳に痛みがあり、少し出血しますが、徐々に治まります。しかし、難聴、耳鳴り、耳閉感が残ります。

鼓膜裂傷の検査と診断と治療

耳鼻咽喉(いんこう)科の医師による診断では、鼓膜の視診と聴力検査を行います。鼓膜の視診では、耳鏡を使って裂傷の程度などを観察します。聴力検査では、音を聴神経へ伝える外耳・中耳・鼓膜に障害が生じたために起こる伝音性難聴か、音を感じる内耳から聴覚中枢路にかけて障害が生じたために起こる感音性難聴かを調べて、症状の進行状況を把握します。

耳鼻咽喉科の医師による治療では、外耳道に付着した血液や耳垢(みみあか)を取り除いてきれいにし、抗生物質や消炎薬を服用します。鼓膜に開いている穴が小さい場合は、通常、数日で鼓膜の穴はふさがります。

鼓膜は外耳道側から上皮層、固有層、粘膜層からなる3層構造をしており、いったん鼓膜が破れると、生体の修復機構が働き、まず上皮層の増殖が開始されます。次に固有層と粘膜層の修復が開始されていきます。この際に、上皮層が内側に入り込んでしまい、固有層、粘膜層の再生のじゃまをしてしまうことがあります。こうなると鼓膜に開いた穴はふさがらなくなってしまいます。

上皮層が内側に入り込んでいる状態が、耳鏡での観察で確認された場合は、穴の縁を薬や針を使って取り除きます。さらに、滅菌された薄い紙、被覆保護材料のキチン膜、植皮手術の時に使用する皮膚被覆用のシリコン付きコラーゲン膜などで、鼓膜表面を被い、鼓膜の再生を促進します。

自然治癒傾向が強く、ほとんどが2カ月以内に治癒しますが、鼓膜の穴が完全にふさがるかどうかは、2次的に起こった細菌感染の期間と穴の大きさに左右されます。

2カ月以上経過しても穴がふさがらない場合、鼓膜形成術が必要になります。フィブリン糊(のり)を使用した鼓膜形成術であれば、日帰り手術が可能な場合もあります。

鼓膜裂傷になった場合、鼓膜に穴が開いている状態なので、鼻を強くかまないように注意し、風呂(ふろ)に入る際は耳に水が入らないように注意しなければなりません。防水耳栓もあります。

🇲🇿こむら返り

こむら返りとは、ふくらはぎの筋肉が突然、けいれんして激しい<痛みを伴う状態。専門的には腓腹(ひふく)筋けいれんと呼ばれ、俗称でこぶら返りとも呼ばれます。

同じような筋肉のけいれんは、太もも、足の裏、首、腹などにも起こります。こむら返りが起こりやすいのは、登山や水泳などの運動中や睡眠中。立ち仕事の多い人や、高齢者に多くみられます。局所的けいれんは無痛なケースが多いものの、一般的には激痛を伴います。

原因の多くは筋肉の疲れや冷え、運動不足、いつもと違う動きをしたことなどによるものです。血液の電解質異常、腎臓(じんぞう)や心臓の病気、糖尿病、腰椎(ようつい)の病気などが原因で起こる場合もあります。

人間の体は、筋肉の収縮と弛緩(しかん)を調節することによって、バランスのとれた動きをします。この筋肉の調節の仕組みは、脳や脊髄(せきずい)などの中枢神経からの信号が末梢神経を通って筋肉に送られて、筋肉の収縮が起こり、次に筋肉や腱(けん)のセンサーから逆方向に信号が中枢神経に送られ、どれくらい収縮するか弛緩するかが決められています。こむら返りは、この仕組みの中で起こる異常収縮で、ふくらはぎの腓腹筋が異常な緊張を起こし、収縮したまま弛緩しない状態になり、激しい痛みを伴います。

筋肉の異常収縮が起こる理由は、2つ考えられます。1つは、神経や筋肉が刺激を受けやすい状態になっていることです。運動などで多量の汗をかいた時は、血液中のナトリウムやカリウムなどの電解質のバランスが崩れ、神経や筋肉が興奮しやすくなります。

もう1つは、筋肉や腱のセンサーがうまく作動しないことで、立ち仕事の後や、久しぶりに運動した後、加齢とともに夜に起こりやすくなるこむら返りなどに相当します。足の筋肉が緊張した状態が長時間持続すると、センサーが常に刺激された状態に置かれ、やがてセンサーがうまく働かなくなります。この時に、ふくらはぎに余分な力がかかるとセンサーが過剰に反応し、異常な収縮が引き起こされこむら返りが起こります。

高齢者では、慢性の運動不足のために常に腓腹筋が緊張した状態にあり、少し脚を伸ばしたりふくらはぎを打っただけでも、こむら返りを起こすことがあります。

また、寝ている時は脚の温度が低下し、センサーの感度が鈍くなることも理由に挙げらます。布団の重みや重力のため足先が伸びた状態になっていることも、こむら返りを起こしやすくします。寝ていて伸びをする時に、かかとを前に出すようにすると少なくなります。

ほとんどのこむら返りは病気とは無関係に起こるものですが、健康な人でも夏に多量の汗をかいた時に水だけ飲んで電解質が補給されないと、熱けいれんと呼ばれるこむら返りを起こすので危険です。妊娠中のカルシウム不足、下痢によるカリウム不足などでも起こりやすくなります。

利尿剤やある種の漢方薬、民間薬などの薬剤も、電解質バランスを崩すことがあります。アルコール依存症や胃摘出後数年たってからビタミン欠乏によって起こることもあり、近年では、若者の食生活の偏りによるビタミンB1不足によって起こることも増加しています。

腎臓や心臓の病気、糖尿病のほか、ある種の筋肉や神経の病気、甲状腺の病気でも、こむら返りが起こりやすくなることがあります。腰椎の変形が原因で、脊髄神経を圧迫するために神経の異常な興奮が起こりやすくなり、こむら返りを起こすこともあります。

頑固なこむら返りや、足以外の筋肉にけいれんが起こる場合は、医師による診察が必要です。こむら返りがひどい時には、筋弛緩薬、抗不安薬、漢方薬などが用いられます。一般的には、ビタミンEを摂取すると効果的といわれています。

スポーツや立ち仕事の後では、筋肉の疲労をとることが予防に大切。血行をよくする意味からスポーツマッサージや指圧などを早めに行い、スポーツドリンクなどで水分と電解質の補給を心掛けます。また、慢性的なこむら返りでは運動不足の注意信号と考え、ふだんから脚のストレッチやマッサージをすることが予防になります。寝る前に、軽いストレッチやマッサージをするのもお勧めです。

カリウムやカルシウム、マグネシウムなどの電解質を補給するために、野菜や果物、海藻類、牛乳、小魚などをバランスよく食べることも、予防に役立ちます。ビタミンB1も筋肉代謝には重要な成分といえるので、多くを含む卵や豚肉、ぬか漬けなどを食べるようにします。

予防に心掛けてもこむら返りが起きてしまった時は、片方の手で痛いところを優しくさすって、もう片方の手で足のつま先をゆっくり顔の方へ曲げるようにして、ふくらはぎの筋肉をよく伸ばします。そうすれば、少しずつ痛みは治まります。

🇲🇽孤立性拡張期高血圧

60歳以下にみられ、下の拡張期血圧が90mmHg以上と高い状態

孤立性拡張期高血圧とは、上と下に分かれている血圧のうち、下の拡張期血圧が90mmHg(ミリエイチジー、ミリ水銀柱)以上と高い状態。拡張期高血圧とも呼ばれます。

血管壁に及ぼす血液の圧力であるところの血圧は上と下に分かれており、上は収縮期血圧(最大血圧、最高血圧)といい、下は拡張期血圧(最小血圧、最低血圧)といいます。正常血圧は、収縮期血圧が130mmHg未満、かつ拡張期血圧が85mmHg未満とされています。収縮期血圧が130〜139mmHg、かつ拡張期血圧が85〜89mmHgは、正常高値血圧とされています。

高血圧は、収縮期血圧が140mmHg以上、拡張期血圧が90mmHg以上とされており、収縮期血圧と拡張期血圧の両方、あるいはどちらかの血圧が一定以上高い状態を指します。

両方の血圧が基準値以上に高い状態は、収縮期拡張期高血圧といいます。

下の拡張期血圧は90mmHg未満と正常なのに、上の収縮期血圧が140mmHg以上と高い状態は、孤立性収縮期高血圧(収縮期高血圧)といい、60歳以上の高齢者に多くみられます。

一方、上の収縮期血圧は140mmHg未満と正常なのに、下の拡張期血圧が90mmHg以上と高い状態が、孤立性拡張期高血圧(拡張期高血圧)に相当し、60歳以下の若年層にみられます。

そもそも拡張期血圧は、心臓が体全体に血液を送り出していない状態、つまり心臓に負荷がかからずに膨らんで、拡張している状態で、血液を動脈に送る準備をしている段階です。血液は心臓に集まっていることから、血管壁に最も血液の圧力が加わっていない時です。

この時に血圧が高いというのは、常に血管の内壁が強い圧力を受けていることを意味し、異常な状態だといえます。

この孤立性拡張期高血圧は、血管の中でも終わりのほうの細い血管である末梢(まっしょう)の血管が硬くなってきていて血管抵抗が増加しているものの、太い血管の弾力性がまだ保たれている状態で起こることが多く認められます。

まだ太い血管は軟らかくても末梢の細い血管が硬くなる原因は、肥満、運動不足、大量の飲酒、喫煙、ストレス、睡眠不足などの生活習慣であると見なされていて、孤立性拡張期高血圧は、60歳までの比較的若い世代に多くみられます。

孤立性拡張期高血圧を生じた場合、時間のとともに上の収縮期血圧も上昇していく傾向があります。このことから、孤立性拡張期高血圧は、動脈硬化の前触れともいえます。

動脈硬化が進むと、血管の柔軟性が低下するため、上の収縮期血圧は上昇し、下の拡張期血圧は低下します。そのため、収縮期血圧と拡張期血圧の差である脈圧が、拡大してきます。この脈圧は、加齢に伴って大きくなる傾向にあり、脈圧が大きいと心臓病や脳卒中の可能性が高まるとされます。

孤立拡張期高血圧を予防ためには、症状がないからといってそのままにしておかず、血圧を時々でもよいので測るということが大切です。最近は、簡便な自動血圧測定器が市販されていますから、家庭でも血圧測定が可能になっています。自分で血圧測定する場合は、測定精度の面から上腕にカフを巻いて測定できる血圧計が勧められます。自分で測定した血圧は、診察室で測定した血圧より低めになる傾向があります。収縮期血圧が135mmHg以上、拡張期血圧が85mmHg以上は、高血圧と考えるべきです。

健康診断などで高血圧の指摘を受けたり、自分で測定した血圧が高血圧の範囲に入るなら、内科や循環器科の医師の診察を受け、アドバイスを受けることです。

なお、何らかの原因で高血圧になっている二次性高血圧症でも、孤立性拡張期高血圧が目立つ場合もありますので、この際には原因となっている疾患を調べてもらう必要があります。

孤立性拡張期高血圧の検査と診断と治療

内科、循環器科の医師による診断では、正確な血圧測定のためには、水銀血圧計を用いて聴診法で測定します。最低5分間、座位安静にして足を床に置き、腕を心臓の高さに保って測定します。

孤立性拡張期高血圧と診断されれば、生活習慣のチェック、高脂血症や糖尿病などのほかの心血管危険因子の合併確認、二次性高血圧の精密検査、高血圧の影響を強く受ける心臓、脳、腎臓(じんぞう)、目などの臓器の障害の程度を評価するための検査を行います。

内科や循環器科の医師による治療では、生活習慣改善と薬物療法の2本立てとなります。まず薬に頼らない生活習慣の改善が重要で、これだけで治療効果の上がらない場合に初めて降圧薬を使います。二次性高血圧の場合は、高血圧の原因となる疾患を治すことが主体になります。

生活習慣改善では、(1)食塩摂取の制限や肥満の解消など食事療法、(2)ストレスの軽減や適度の運動など日常生活の改善、(3)禁煙や深酒の禁止など、嗜好(しこう)品の摂取の改善などを行います。

以上の療法を1カ月以上行ってもなお血圧値が高い場合に、降圧薬が処方されます。高い血圧を下げるための降圧薬の進歩は目覚ましく、今日ではいろいろの種類のものが用いられ、血圧のコントロールは多くの場合、可能となっています。拡張期血圧、収縮期血圧のどちらかだけを下げる降圧薬そのものはないため、拡張期血圧をコントロールするということは、収縮期血圧のコントロールをするということになります。

しかし、降圧薬を内服しているからといって、生活習慣改善を軽んじることはできません。高血圧症治療はあくまでも食事療法と日常生活の改善などが中心であり、その効果を高めるために行われるのが薬物療法です。

🇲🇲孤立性収縮期高血圧

60歳以上の高齢者に多くみられ、上の収縮期血圧が140mmHg以上と高い状態

孤立性収縮期高血圧とは、上と下に分かれている血圧のうち、上の収縮期血圧が140mmHg(ミリエイチジー、ミリ水銀柱)以上と高い状態。収縮期高血圧とも呼ばれます。

血管壁に及ぼす血液の圧力であるところの血圧は上と下に分かれており、上は収縮期血圧(最大血圧、最高血圧)といい、下は拡張期血圧(最小血圧、最低血圧)といいます。正常血圧は、収縮期血圧が130mmHg未満、かつ拡張期血圧が85mmHg未満とされています。収縮期血圧が130〜139mmHg、かつ拡張期血圧が85〜89mmHgは、正常高値血圧とされています。

高血圧は、収縮期血圧が140mmHg以上、拡張期血圧が90mmHg以上とされており、収縮期血圧と拡張期血圧の両方、あるいはどちらかの血圧が一定以上高い状態を指します。

両方の血圧が基準値以上に高い状態は、収縮期拡張期高血圧といいます。下の拡張期血圧は90mmHg未満と正常なのに、上の収縮期血圧が140mmHg以上と高い状態が、孤立性収縮期高血圧に相当し、60歳以上の高齢者に多くみられます。一方、上の収縮期血圧は140mmHg未満と正常なのに、下の拡張期血圧が90mmHg以上と高い状態は、孤立性拡張期高血圧といい、60歳以下の若年層にみられます。

血圧は寒暖、季節、精神活動、肉体活動などの変化によって容易に揺れ動きますが、全般的には年齢とともに上昇し、高齢者においては約3分の2の人が高血圧だといわれています。

そもそも収縮期血圧は、心臓から血液を体全体に送り出す状態を現し、収縮した心臓から血液が絞り出されることになりますから、大動脈が弾力を持って広がり、血液が勢いよく流れますので、血管壁に最も血液の圧力が加わっている時です。

逆に、拡張期血圧は、心臓が体全体に血液を送り出していない状態、つまり心臓に負荷がかからずに膨らんで、拡張している状態で、血液を動脈に送る準備をしている段階です。血液は心臓に集まっていることから、血管壁に最も血液の圧力が加わっていない時です。

年齢による血圧の変化は収縮期血圧と拡張期血圧で異なり、収縮期血圧は加齢とともに上昇を続けます。拡張期血圧のほうは50〜60歳くらいで最高となり、それ以降は低下し、高かった血圧が正常値になることもあります。

そのため、高齢者においては、収縮期血圧と拡張期血圧の差が大きくなり、孤立性収縮期高血圧の人が増加傾向にあるのです。この孤立性収縮期高血圧は、大きな血管の動脈硬化が進んだことを現しています。

孤立性収縮期高血圧では一般に自覚症状はない場合が多く、健康診断や病気で病院にいった時、たまたま血圧を測って発見されるというのが普通です。症状が現れやすいのは、血圧が高くなり始めた初期です。主な症状は、脳神経症状である頭痛、頭重(ずじゅう)感、めまい、耳鳴り、肩凝り、手足のしびれと、循環器症状である動悸(どうき)、脈の乱れ、心臓部の圧迫感などです。

これらの症状は、ある程度の期間、高血圧が持続すると、むしろ軽減するか、消失することが多いといえます。ところが、血圧の治療を受けずに放っておくと、高血圧が引き金となっていろいろな重大な疾患が起こってきます。例えば、いつもの血圧値より大幅に、しかも急激に血圧が上昇し、激しい頭痛、めまい、耳鳴り、吐き気、嘔吐(おうと)などに見舞われることがあります。高血圧性脳症といわれるもので、最高血圧は200mmHgを超えていることも少なくありません。

血圧の高い状態をそのまま放置すると、脳や心臓の合併症を起こし、この合併症によって死亡する頻度も高くなります。日本人の死亡原因の第1位はがんですが、第2位は心筋梗塞(こうそく)や狭心症などの心臓病、第3位は脳出血や脳梗塞などの脳血管障害です。この第2位と第3位の疾患はいずれも、その原因に高血圧が大きく関与しているのです。

また、高血圧が長く続くと、腎(じん)臓の細い動脈に動脈硬化が起こって腎臓の機能が失われ、人工腎臓や腎臓移植を必要とすることもあります。動脈硬化は眼底の細動脈にも出現し、眼底出血を起こして突然目が見えなくなることも少なくありません。

そのため、孤立性収縮期高血圧を放置することは大変危険です。自覚症状はなくても、心臓や血管への悪影響を及ぼすことには変わりなく、血圧の上昇に気が付いた場合は、血圧測定を毎日の習慣にして、速やかに内科か循環器科を受診し、降圧治療を受けることが大切です。

孤立性収縮期高血圧の検査と診断と治療

内科、循環器科の医師による診断では、孤立性収縮期高血圧は主に動脈硬化が原因で起こるため、動脈硬化の進み具合を調べる血圧脈波検査を行います。

検査では、ベッドに横になった状態で、両手と両足首の4カ所にベルトを装着して、左右の上腕部と左右の足首の血圧を同時に測定します。所要時間は5分程度で、脈波伝播(でんぱ)速度、上腕と足首の血圧比の2つがすぐにわかります。

脈波伝播速度は、心臓から送り出された血液により生じた拍動が、血管を通じて手や足に届くまでの速度のことで、血管が硬いほど速くなります。上腕と足首の血圧比は、血管の詰まり具合を示す数値で、通常は足首の血圧は上腕よりもやや高いものですが、その数値が逆になっている場合は動脈が脂質などで詰まって、血流が悪くなっていることが疑われます。

孤立性収縮期高血圧と診断されれば、生活習慣のチェック、高脂血症や糖尿病などのほかの心血管危険因子の合併確認、二次性高血圧の精密検査、高血圧の影響を強く受ける心臓、脳、腎臓、目などの臓器の障害の程度を評価するための検査を行います。

内科や循環器科の医師による治療では、生活習慣改善と薬物療法の2本立てとなります。まず薬に頼らない生活習慣の改善が重要で、これだけで治療効果の上がらない場合に初めて、血圧を下げる降圧薬を使います。

生活習慣改善では、(1)食塩摂取の制限や適性体重の維持など食事療法、(2)ストレスの軽減や適度の運動など日常生活の改善、(3)禁煙や深酒の禁止など、嗜好(しこう)品の摂取の改善などを行います。

以上の療法を1カ月以上行ってもなお血圧値が高い場合に、降圧薬を処方します。高い血圧を下げるための降圧薬の進歩は目覚ましく、今日ではいろいろの種類のものが用いられ、血圧のコントロールは多くの場合、可能となっています。

しかし、降圧薬を内服しているからといって、生活習慣改善を軽んじることはできません。高血圧症治療はあくまでも食事療法と日常生活の改善などが中心であり、その効果を高めるために行われるのが薬物療法です。

🟥COP30、合意文書採択し閉幕 脱化石燃料の工程表は見送り

 ブラジル北部ベレンで開かれた国連気候変動枠組み条約第30回締約国会議(COP30)は22日、温室効果ガス排出削減の加速を促す新たな対策などを盛り込んだ合意文書を採択し、閉幕した。争点となっていた「化石燃料からの脱却」の実現に向けたロードマップ(工程表)策定に関する直接的な記述...