2022/08/09

🇧🇮続発性高血圧

何らかの特定される疾患があって、その症状の1つとして起こる高血圧

続発性高血圧とは、何らかの特定される疾患があって、その症状の1つとして起こる高血圧。二次性高血圧ともいいます。

原因となる疾患にもよりますが、治せる高血圧ということもできます。症状は無症状のものから、その原因となる疾患に起因した特徴的なものまでさまざまです。疾患が治れば、その症状である高血圧も解消するのが原則ですが、疾患が治っても高血圧だけが残ってしまうことがあります。この場合は、高血圧の治療が必要になります。

続発性高血圧の頻度は低く、高血圧全体の10パーセント未満で、原因となる疾患のない本態性高血圧が90パーセント以上を占めています。しかし、35歳以下の若い人に発症する若年性高血圧は、この続発性高血圧のことが多く、詳細な検査が必要になることが多いものです。また、治療でなかなか血圧が下がらない場合や、高齢者で急激に高血圧を発症した場合などに、この続発性高血圧が疑われます。

続発性高血圧は、疾患の部位などに応じて、腎性(じんせい)高血圧、内分泌性高血圧、心血管性高血圧、神経性高血圧、妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)などに分類されています。

腎性高血圧は、腎臓の疾患が原因で引き起こされる高血圧。最も頻度が高く、続発性高血圧の4分の3を占めます。高血圧を起こすのは、急性腎炎、慢性腎炎、糖尿病性腎症、痛風腎、腎盂(じんう)腎炎、腎梗塞(こうそく)、腎動脈狭窄(きょうさく)症、レニン産生腫瘍(しゅよう)、ウィルムス腫瘍、腎周囲膿瘍(のうよう)などが主なものです。

これらの疾患が起こった場合、腎臓の中を流れる血液の量が減少します。すると腎臓は、レニン・アンギオテンシン、アルドステロンという血圧を上昇させる物質の分泌量を増やします。血圧を上昇させ、腎臓へより多くの量の血液が流れるように仕向けるのです。

内分泌性高血圧は、ホルモンの分泌が異常になる疾患で引き起こされる高血圧。腎性高血圧に次いで頻度が高くなっています。バセドウ病などの甲状腺(せん)機能高進症で引き起こされることが多いのですが、原発性アルドステロン症、褐色細胞腫、クッシング症候群などの副腎の疾患が原因のこともあります。

心血管性高血圧は、心臓から出てすぐの太い血管である心血管の疾患で引き起こされる高血圧。大動脈縮窄症、大動脈炎症候群(高安病、脈なし病)などが代表的な疾患です。

神経性高血圧は、脳・神経の疾患で引き起こされる高血圧。脳の中の圧が高くなると、高血圧が起こってきます。原因となる疾患は、髄膜炎や脳腫瘍が代表的ですが、頭に外傷を受けた時や、ポリオ(小児まひ)などによる神経病の後、血圧の上がることがあります。

妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)は、妊娠に伴って起こる疾患です。高血圧、むくみ(浮腫〔ふしゅ〕)、たんぱく尿が3大症状ですが、高血圧だけしか現れないこともあります。

続発性高血圧は本態性高血圧に比べ、軽いうちから自覚症状が現れやすいものですが、 放置すると心疾患や脳血管疾患といった生命にかかわる疾患を引き起こしますので、早期発見、早期治療に努めるべきです。

続発性高血圧の検査と診断と治療

内科、あるいは循環器科の医師に診断では、まず血圧の値がどの程度変動するか、どの程度のレベルを示すかという血圧値の吟味をします。高血圧であることがわかれば、それが原因となる疾患のある続発性高血圧か、通常多くみられる本態性高血圧なのかという原因診断と、高血圧によって脳、心臓、腎臓、眼底などの重要臓器に、どの程度障害があるかという重症度診断の2つを行います。

続発性高血圧は、既往歴、家族歴、現在の検査データや経過などから、これをどの程度疑わなければならないかがかなり判明します。しかも、続発性高血圧は手術などで高血圧も根治できることがある点からも、その診断は重要で、入院しての精密検査を含めて、いろいろな検査が必要なことがあります。特に腎性高血圧が疑われる時は、静脈性腎盂撮影やCT検査が行われます。

逆に、続発性高血圧の頻度は高血圧全体からみれば10パーセント未満なので、無駄な検査はせずに必要最小限ですむよう、疑わしい時は最初から専門施設に紹介されることもあります。

続発性高血圧の治療では、原因となる疾患の治療を進めながら、必要に応じて降圧剤の投与や高血圧の食事療法と運動療法を同時に進めていきます。そして、原因となる疾患が治療されれば、自然と続発性高血圧も改善されていきます。

ただし、高血圧が長く続くと腎臓を痛めてしまうので、原因となる疾患を治しても高血圧の状態が続いてしまう慢性高血圧になってしまうこともあります。

🇷🇼続発性自然気胸

肺にある疾患が原因となって肺に穴が開き、肺がつぶれてしまう疾患

続発性自然気胸とは、肺にある広範囲の疾患が原因となって肺に穴が開き、空気が胸腔(きょうくう)内に漏れて、肺の一部または全体がつぶれる疾患。

肺の疾患を持っている人が二次的に続発性自然気胸を起こしますから、比較的高齢者に多くみられます。原因となる疾患で最も多いのは肺気腫(きしゅ)で、肺の表面のややもろくなった部分で、ブラやブレブと呼ばれる肺胞内嚢胞(のうほう)が破裂するために起こります。

そのほかの原因となる疾患には、肺結核、肺がん、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺線維症、ぜんそく、肺化膿(かのう)症、肺炎、肺サルコイドーシス 、塵肺(じんぱい)、女性の子宮内膜症などがあります。

気胸の主な症状は、胸痛、呼吸困難、せきです。多くの場合、鋭い胸の痛みや息切れ、時には乾いた空せきが突然始まります。気胸を起こした肺はしぼみ切っており、機能不全状態になっているため酸素の供給量が著しく低下し、息切れを感じやすくなるのです。また、気胸で開いた穴から胸腔に空気が流れ込み、気圧が高まって肺を圧迫するため、痛みを感じやすくなるのです。肩、首、腹部に痛みを感じることもあります。

問題なのは、穴がふさがらず、肺内の空気が漏れ続ける時。胸腔に流れ込む空気の量が多くなると、緊張性気胸となります。緊張性気胸では、突然発症し、進行性の胸痛と呼吸困難が生じ、血圧が低下します。疾患のある側の肺は空気で置き換えられて完全につぶれており、気胸の起こっていない肺も次第につぶされていきます。大量の空気が心臓を圧迫して、心停止させてしまうこともあり、非常に危険です。

肺に原因疾患があるため、続発性自然気胸の症状および経過は一般的によくありません。しばしば再発も起こします。

続発性自然気胸の検査と診断と治療

内科、ないし外科の医師による診断では、まず聴診器で気胸を起こした側の肺の呼吸音の減弱、打診では横隔膜の低下を確認できます。胸部X線写真で肺の紋様がない領域が胸腔内に確認されれば、ほとんどの症例で気胸と確定されます。判断に迷う時は、息を吐いた時と吸った時の写真を比較します。

軽度の続発性自然気胸では、重い呼吸障害は起こらず、たまった空気は数日間で吸収されますので、治療は行いません。無理な呼吸や姿勢、運動をせずに自宅で安静し、外来通院で経過をみて、穴が開いた部位が閉鎖し自然に治癒するのを待ちます。

中等度以上の続発性自然気胸では、空気が完全に吸収されるのに2〜4週間かかりますが、入院して胸腔ドレナージを行えば、より早く空気を除去できます。胸腔ドレナージでは、胸部の脇の部分を数ミリ切開して挿入したチューブで、たまっている空気や新たに漏れた空気を持続的に体外に排出します。チューブからの空気漏れがなくなったら、チューブを抜去し、 肺に開いた穴が自然にふさがって肺の膨らみが良好なら退院です。

自然治癒を見込めないほど気胸の範囲が大きい場合、胸腔ドレナージを行って空気の漏れが止まらない場合、気胸が再発した場合、左右両側の肺が気胸の場合などでは、全身麻酔による胸腔鏡下手術で、ブラやブレブと呼ばれる肺胞内嚢胞の切除を行います。従来の開胸手術においては、初回の気胸について手術をすることはありませんでしたが、胸腔鏡下手術は入院期間も1週間程度ですむため、初回から手術して今後起こり得る病変まで切除してしまうこともあります。

ただし、胸腔鏡下手術には、切除した周囲の組織が気胸を起こしやすくなるというデメリットがあります。そのため、セルロース製のメッシュシートを被せるカバーリング法が、新たに注目を浴びています。セルロース製のメッシュシートは、肺組織に吸収されて厚みを増すため、気胸の再発防止に効果を発揮します。

また、続発性自然気胸の場合は、肺に原因疾患があるため、手術は危険な場合があります。手術が行えない際は、胸腔から空気を抜き取ったチューブを通して薬を入れて、肺を周囲と癒着させ気胸を起こさないようにします。この薬を使って気胸を起こした組織をやけどさせた状態にしてふさぐという治療法は、手術と比較して効果が不確実です。肺がつぶれなくなるため根本治療となり得ますが、癒着が不十分だと再発の可能性が残ります。

再発した時は、癒着しなかった部分のみがつぶれるため軽度の気胸にとどまるものの、治療に際してチューブが挿入できなくなることがあります。また、手術を行う時は癒着をはがす必要があるために、癒着のない場合より困難を来し、多くは開胸を要します。

緊張性気胸を起こした場合は、迅速な治療が求められます。緊張性気胸では、血圧が低下しショックを起こすので、直ちに治療をしないと数分間で死に至ります。大きな注射器をつけた針を胸部内に挿入し、すぐに空気を抜き取ります。その後、継続的に空気を抜くために別のチューブを挿入します。

続発性自然気胸の治療後も、しばらくは安静を要します。気道内への大きな圧力変化をもたら飛行機への搭乗、鉄道や自動車、バスでの峠越え、管楽器の演奏、スキューバダイビングなどは、事前に医師の許可を得ることが望まれます。もちろん、喫煙は厳禁ですし、せきはできるだけ我慢して、早めにせき止めを服用する必要があります。1カ月程度安定状態が続けば、運動も再開できるようになります。

🇷🇼続発性女性化乳房症

後天的な理由により、男性に乳房の発育を認める疾患

続発性女性化乳房症とは、後天的な理由により、男性の乳房が女性のような乳房に膨らむ疾患。乳がんと間違われやすい疾患です。

男性に乳房の発育を認める疾患である女性化乳房症には、この後天的に発症する続発性女性化乳房症と、小児期より発症し先天性ないし遺伝性と考えられる遺伝性女性化乳房症(アロマターゼ過剰症)とがあります。

本来、男性の乳房は女性の乳房のように発育しませんが、乳房に膨らみや、しこりが現れたり、自発痛や圧痛を感じることがあります。肥満により脂肪のボリュームが増えたことによる乳房の肥大は、通常の女性化乳房症とは区別されています。

真の意味での女性化乳房症は、両側もしくは片側の乳腺(にゅうせん)が一時的に増殖して、乳頭部や乳輪の下に腫瘍(しゅよう)のようなものが現れる症状をいいます。

女性化乳房症のうち、遺伝性女性化乳房症(アロマターゼ過剰症)は、女性ホルモン(エストロゲン)の過剰分泌により、思春期より前ごろから症状が現れ始め、父親または兄弟に同様の症状がある場合には、この遺伝性女性化乳房症が疑われます。大きな症状としては、乳房の肥大を繰り返したり、低身長、性欲の減退などがあります。この疾患は、女性にも発症することがあり、症状は巨大乳房症や不正出血になったりします。

一方、続発性女性化乳房症には、思春期や更年期の生理的なホルモンバランスの乱れによる一過性のもの、肝臓の機能障害による女性ホルモン(エストロゲン)の増加によるもの、薬剤の副作用によるものがあります。また、原因がわからないものも多くあります。

思春期や更年期の生理的なホルモンバランスの乱れによる一過性の女性化乳房症は、思春期の13~14歳、更年期から老年期の50~80歳に起こり、男性ホルモンと女性ホルモンのバランスが崩れるのが原因となって、乳腺が異常に増殖して乳房が肥大します。普通は、ほうっておけば自然によくなります。

肝臓の機能障害による女性ホルモンの増加による女性化乳房症は、重い肝臓障害や肝硬変などを患っている男性に起こることがあります。男性ホルモンは精巣で作られ、血液中に入って全身に運ばれ、筋肉、骨、脂肪、皮膚などにたどり着き、その後一部は女性ホルモンに変わります。この女性ホルモンが骨を強くしたり、抜け毛を防いだりする役割をしています。

役割を終えた女性ホルモンは、その後肝臓に向かい、最終的には肝臓で分解されます。そのため、肝臓の機能に障害があると、女性ホルモンがうまく分解できなくなる結果、男性の乳房に女性ホルモンがたまって乳房が膨らむことがあります。

薬剤の副作用による女性化乳房症は、女性ホルモンに似た働きをする薬剤などを摂取したことによる副作用として起こりますが、理由ははっきりわかっていません。薬剤としては、女性ホルモン剤、前立腺(ぜんりつせん)疾患治療剤、男性型脱毛症治療剤、利尿剤、降圧利尿剤、血管拡張剤、降圧剤、強心剤、抗結核剤、抗潰瘍(かいよう)剤、抗アレルギー剤、抗けいれん剤、胃腸運動賦活剤、抗真菌剤、向精神剤などで起こっています。

男性の続発性女性化乳房症の多くは問題のないものですが、原因がはっきりしないものもあり、乳がんなどのほかの疾患と区別するためには、外科、乳腺外科を受診することが勧められます。また、女性のように乳房が大きくなることで、特に思春期で大きな悩み、心の負担になるような場合は、美容外科や美容皮膚科などを受診し、美容的な乳房の外科手術などを受けることも勧められます。

続発性女性化乳房症の検査と診断と治療

外科、乳腺外科の医師による診断では、原因がわからないものも多いため、問診を行って、合併症の有無や服薬の有無とその種類について聞きます。

続いて、触診と、乳がんと鑑別するための超音波(エコー)検査、マンモグラフィー(乳房X線検査)を行います。

触診した時の多くは、乳頭部や乳輪を中心とした境目の不明瞭な堅い塊として触れます。片側の乳房だけにしか認められない場合や、比較的境目が明瞭で弾力があって、硬く平らなしこりとして触れる場合もあります。

超音波(エコー)検査では、境界が不明瞭な低エコー像として見られることが多く、マンモグラフィー(乳房X線検査)では、乳頭部の下に広がる乳腺の肥大が腫瘍様の濃厚陰影として見られます。

確定診断のためには、穿刺(せんし)吸引細胞診、あるいは、針生検(せいけん)を可能な限り行います。

穿刺吸引細胞診は、専用の針をしこりに刺して一部の細胞を吸引して取り、顕微鏡で細胞の形などを調べる検査。体への負担が少ないのが利点ですが、しこりとして触れないような小さながんなどは、診断できないことも少なくありません。

針生検は、少し太めのコア針で局所麻酔をして、組織を取り出して調べる検査。体への負担が少ないのが利点ですが、病変が小さい場合は何度も刺す必要があったり、診断が付かないこともあります。

この際、初回の細胞診、組織診で悪性像がない場合でも、中~高年齢者では、一定期間は外来で経過観察を続けます。

外科、乳腺外科の医師による治療では、ホルモン異常などの疾患による女性化乳房症の場合でも、原則的には経過観察のみで薬物療法などの治療は必要ありません。薬剤の副作用として現れている女性化乳房症の場合、服用を一度中止したりして原因を調べ、さらには肝硬変などの重篤な肝機能障害などほかの疾患がないか精査します。

痛みがひどい時は、状況によって非ステロイド系の消炎鎮痛剤を使い、痛みを和らげます。

副作用の原因になる薬剤を軽減しても症状が改善されない場合や、女性のように乳房が大きくなることで悩んでいる場合は、外科的手術を行い、肥大した乳腺の組織をほぼ全部、または一部切除します。

手術後、乳腺を切除した部分に空洞ができるため、血液がたまって血腫ができた場合は、ドレーンチューブを留置します。細菌が感染した場合は、抗生物質を投与したり、乳腺を切除した部分を洗浄したりしながら経過をみていきます。乳頭部や乳輪の血流障害や皮膚の壊死が起こった場合は、皮膚がゆっくり覆うのを待つ必要があります。

🇸🇹続発性赤血球増加症

貧血とは逆に、何らかの原因に反応して血液中の赤血球が増加する疾患

続発性赤血球増加症とは、貧血とは逆に、何らかの原因に反応して血液中の赤血球総数が正常範囲を超えて増加する状態。二次性赤血球増加症とも呼ばれます。

血液中の赤血球の増加は、腎臓(じんぞう)で産生される造血ホルモンのエリスロポエチンが過剰に分泌され、刺激を受けた骨髄が赤血球を大量に作るために生じます。

ある種の先天性心臓病で動脈血に静脈血が混じる場合や、肺気腫(はいきしゅ)、慢性気管支炎、肺線維症などの慢性肺疾患のため肺からの酸素摂取がうまくいかない場合、あるいは過度の喫煙で大量の一酸化炭素を肺から血液中に取り込んだ場合などに、全身の組織が酸素欠乏状態に陥り、エリスロポエチンの産生が高まります。その結果、赤血球が大量に作られれば、単位容積血液当たりの酸素運搬量が増えます。この一連の現象は、酸素欠乏を解消しようとするための、目的のある反応と解釈できます。

この点、海抜の高い地域の住民は、常に低酸素状態で生活しているため続発性赤血球増加症になっています。

一方、腎臓の疾患とか、一部の腎がん、肝細胞がん、子宮がん、小脳腫瘍(しゅよう)などの悪性腫瘍によって、酸素欠乏がなくても、エリスロポエチンの過剰産生を来すことがあり、続発性赤血球増加症を生じます。

続発性赤血球増加症の症状としては、血液中の赤血球が増加すると血液の粘度が増加し、血流障害を起こすことから、顔面紅潮と結膜充血のほか、疲れやすい、頭痛、めまい、耳鳴り、高血圧などが生じます。さらに、一過性脳虚血発作、脳梗塞(こうそく)、心筋梗塞などの血栓症状を呈する場合もあり、基礎になる疾患いかんにより、それぞれの症状が加わることになります。

なお、この続発性赤血球増加症には、赤血球が腫瘍性に増殖する真性赤血球増加症(真性多血症)は含まれません。また、体液中の水分が失われて脱水症になった場合に、血液が濃縮して起こる見掛け上の赤血球増加症(相対的赤血球増加症、相対的多血症)、あるいは、脱水症状もなく、はっきりとした原因がないストレス性赤血球増加症も含まれません。

続発性赤血球増加症の検査と診断と治療

内科の医師による診断では、血液検査で赤血球数の増加が認められます。脱水症が原因となって起こる見掛け上の赤血球増加症、ストレス性赤血球増加症と区別するために、循環赤血球量の測定を行い、血液中の総赤血球数が実際に増加していることを確認します。

さらに、心・肺疾患の有無の確認、動脈血酸素飽和度の測定、大量喫煙歴の確認、血中エリスロポエチン量の測定などを順次行います。

真性赤血球増加症(真性多血症)の場合と異なり、白血球および血小板数の増加は伴わず、また脾臓(ひぞう)のはれも認めません。エリスロポエチンを産生する悪性腫瘍が疑われる場合には、腫瘍の検索を併せて行う必要があります。

続発性赤血球増加症の治療では、心・肺疾患、エリスロポエチンを産生する悪性腫瘍など、原因となる疾患の治療が主となります。過度の喫煙が原因の場合には、禁煙が重要になります。

🇸🇹続発性貧血

造血器以外の疾患の症状として、続発性にみられる貧血

続発性貧血とは、造血器疾患以外の他の疾患の症状として、続発性にみられる貧血。二次性性貧血、症候性貧血と呼ばれることもあります。

主な原因としては、慢性感染症、膠原(こうげん)病などの慢性炎症、悪性腫瘍(しゅよう)、腎(じん)疾患、肝疾患、内分泌疾患などがあります。特に、慢性感染症、膠原病などの慢性炎症、悪性腫瘍による貧血は病態が共通しているため、慢性疾患による貧血とも呼ばれています。 白血病に随伴する貧血も、通常、この続発性貧血の一種です。

続発性貧血の症状は、他の何らかの疾患に基づいて徐々に進行するため、初期段階では自覚されにくいという特徴があります。進行すると、動悸(どうき)や息切れ、立ちくらみなどの貧血特有の症状が現れます。

また、高齢者でみられる軽度から中等度の貧血は、大部分が続発性貧血で、陰に消化器系の悪性腫瘍が潜んでいることがあるので注意が必要です。

結核、感染性心内膜炎、肝膿瘍(のうよう)などの慢性的な感染症のほか、慢性関節リウマチ、全身性エリテマトーデスなどの膠原病に伴う慢性炎症、悪性腫瘍があると、鉄分を摂取しても治らない貧血が起こることがあります。その原因は、免疫にかかわる組織が活発になり、鉄が組織に取り込まれて鉄欠乏の状態になることにあります。

次に、造血を促すホルモンであるエリスロポエチン(赤血球生成促進因子)が産生されにくくなるために、続発性貧血が起こります。そのほかにも、腎臓の排出機能の低下によって体内にたまる尿毒症性物質による造血抑制や、溶血の高進、低栄養、透析に伴う失血など、さまざまな原因が関係して起こります。

さらに、肝硬変や慢性肝炎などの肝疾患がある場合にも、肝臓が体内の一大化学工場のような臓器であるため、さまざまな物質の代謝機能が低下し、続発性貧血が起こります。甲状腺(せん)機能低下症、下垂体機能低下症、副腎皮質機能低下症などの内分泌疾患がある場合も、赤血球の産生能力が低下するため、続発性貧血が起こります。

医師による診断では、血液一般検査で貧血の有無がわかります。続発性貧血の治療では、原因となっている疾患を治療すれば貧血も回復しますが、原因がはっきりせず診断に時間が掛かることもあります。

腎疾患による場合は、造血を促すホルモンであるエリスロポエチンが不足するため、静脈内注射ないし皮下注射によるエリスロポエチンの投与や、造血に必要となるビタミンB12、葉酸などのビタミン剤の投与が行われます。ただし、エリスロポエチンの投与で血圧上昇、高血圧性脳症、脳梗塞(こうそく)を来すこともあるので、あまり急速に貧血を改善させないほうが安全です。エリスロポエチンの投与でも貧血が改善しない場合は、ほかの原因を調べる必要があります。

内分泌疾患による場合も、不足したホルモンの補充などが行われます。重度の貧血症の場合には、赤血球を輸血するなどの治療を行うこともあります。

なお、徐々に続発性貧血になると、体がそれに慣れて、かなり重症でも自覚症状があまり出ない場合があるので、定期的に検査を受けることが大切です。

🇨🇻先天性内反足

生まれた時から、足の外縁が下がり、足底が横を向いている状態がみられる疾患

先天性内反足とは、生まれた時から、後足部の内反、前足部の内転、足全体の尖足(せんそく)の3要素からなる変形がみられる疾患。

内反は、足の外縁が下がり、足底が内側にねじれて横を向いている状態で、正確には、後方から見て、踵(かかと)の骨である踵骨(しょうこつ)が脛(すね)の骨である脛骨(けいこつ)に対して、体の中央寄りに回転している状態です。内転は、水平面で足先が親指側に向いた状態です。尖足は、足全体が下を向き、足先が足の甲のほうに上がらない状態です。

先天性内反足の原因は、いまだにはっきりしていません。多因子遺伝によるともされ、足部の骨格の形態異常、胎生期の子宮内における足の回旋異常、神経まひなどの説があります。通常は、他の疾患を合併していない場合に先天性内反足と呼びます。

およそ1000人に1人の発生率で、男児は女児の2倍多く、両足での発生が片足での発生よりやや多く、片足での発生では2対1で右側に多いと見なされています。

足を構成するいくつかの骨の形態や骨同士の配列に異常があり、変形の程度はさまざまです。変形のある足は動きが少なく、筋肉の委縮がみられ、靱帯(じんたい)や腱(けん)も短縮しています。

ほうっておくと普通に歩行することが困難になり、変形が高度な場合には、起立時に足底で接地できず、足が裏返って足の甲で接地して歩行することになります。

新生児期には軽症でも、放置すれば変形が高度となるので、治療は早く開始することが大切です。

先天性内反足の検査と診断と治療

整形外科、形成外科、ないし足の外科の医師による診断では、足部の外観的な変形から判断します。生後間もない新生児では、力を抜いた状態だと外観的に内反の形を示しますが、通常の力での徒手矯正操作で中間の位置まで簡単に戻り、足関節の動きも十分良好で、真の内反足ではありません。変形が硬く、徒手矯正操作で戻そうとしても中間の位置まで戻らない場合や、足関節の動きが不十分で硬い場合に、先天性内反足と確定します。

骨の形の詳細、変形の程度を判定するためには、X線(レントゲン)検査、MRI(磁気共鳴画像撮影)検査を行います。

整形外科、形成外科、ないし足の外科の医師による治療では、発見次第、すぐ治療を始めますが、保存的な矯正が主体となります。大腿(だいたい)あるいは下腿から爪先(つまさき)まで固定する矯正ギプスを巻き、初めは1週間に1度、次第に2週間に1度とギプスを巻き替えて、漸進的矯正を図ります。

矯正ギプスだけでは変形がとれない場合には、小さな皮膚切開でアキレス腱を切る手術である皮下切腱術を途中で行うこともあります。ある程度矯正したら、装具をつけて矯正位を維持します。

どうしても十分な矯正が得られない場合には、1歳前後で本格的な手術である距骨(きょこつ)下全周解離術などを行うこともあります。

先天性内反足の治療は、根気よく長い時間をかけて行うことが必要です。矯正が得られた後も、歩行開始後は必ず矯正靴を履かせ、その後も成長が停止するまで、再発について定期的に観察し続けることが大切です。

🇨🇻先天性白皮症

先天的にメラニン色素の合成能力に障害がある疾患

先天性白皮症とは、先天的にメラニン色素の合成能力に障害があり、皮膚や毛が白くなる疾患。白皮症、白子症とも呼ばれます。

まれな疾患で、2万人に1人の割合で発症しますが、世界中、あらゆる人種でみられます。原因は、メラノサイト(色素細胞)内にあるメラニン顆粒(かりゅう)合成に関与するチロシナーゼなどの酵素の異常のために、メラニン色素の合成ができないことにあります。

目、毛髪、皮膚と全身の色素ができない全身性の先天性白皮症と、額と体の一部の皮膚が対称的、部分的に白くなる限局性の先天性白皮症の二型があります。全身性の先天性白皮症では、チロシナーゼの活性が全くないために全くメラニン色素を作ることができません。限局性の先天性白皮症では、チロシナーゼの活性があって多少のメラニン色素を作ることができます。全身性の先天性白皮症は劣性遺伝、限局性の先天性白皮症は優性遺伝をします。

全身性の先天性白皮症の人(アルビノ)は、出生時より毛髪が白く、皮膚は白色調となります。目は薄い青色調となり、網膜血管の赤い色が透けて赤く見えます。目や皮膚を日光から守る働きを持つメラニン色素がないため、光に対して大変まぶしがります。また、視力の低下が現れ、不随意の眼球運動が現れることもあります。

紫外線に弱く、すぐに日焼けをして赤くなりますが、黒くはなりません。中年以後に、日光の当たる部位に皮膚がんが発生することがあります。チロシナーゼ活性がある限局性の先天性白皮症の人では、毛は黄色調となる場合もあります。皮膚だけに症状が現れる場合や、目だけに症状が現れるという場合もあります。特殊なタイプとしては、出血しやすいような症状を伴ったり、感染症を繰り返すタイプもあります。

先天性白皮症の検査と診断と治療

皮膚科や眼科での診断は、その特徴的な見た目から容易に行うことができます。チロシナーゼ活性があるかどうかについては、毛髪を用いて検査ができます。詳しい疾患の分類についての遺伝子検査が行われる場合もありますが、治療に役立つものではありません。

先天性白皮症には、現在のところ根本的な治療法はありません。視力の低下には、矯正ですむ場合もありますが、強度の視力低下が見られる場合もあります。

先天性白皮症の人は、目と皮膚への影響を極力避けるため、日ごろから直射日光にに当たらない工夫が必要です。外出時には、帽子をかぶり、サングラスをかけて、長そでと長ズボンを身に着け、紫外線のブロック効果の最も高い日焼け止めを塗るといった方法を取ります。予防を行っていたとしても、長い時間直射日光に皮膚をさらすことは避けるべきです。

🟥COP30、合意文書採択し閉幕 脱化石燃料の工程表は見送り

 ブラジル北部ベレンで開かれた国連気候変動枠組み条約第30回締約国会議(COP30)は22日、温室効果ガス排出削減の加速を促す新たな対策などを盛り込んだ合意文書を採択し、閉幕した。争点となっていた「化石燃料からの脱却」の実現に向けたロードマップ(工程表)策定に関する直接的な記述...