2022/08/10

🇨🇲尿細管間質性腎炎

腎臓の尿細管や、周囲の組織の間質に炎症が起こる疾患

尿細管間質性腎炎(にょうさいかんかんしつせいじんえん)とは、腎臓の尿細管や、周囲の組織の間質に炎症を起こり、腎臓の機能が低下する疾患。間質性腎炎とも呼ばれます。

腎臓の尿細管は、尿を作るために血液を、ろ過する糸球体から排出された尿の中の水分や、電解質など体に必要な成分を再吸収して、血液中に戻し、不要な成分を尿として排出する役割を果たしています。腎臓の間質は、尿細管と尿細管の間にある組織です。その尿細管や間質に障害が起こる疾患が尿細管間質性腎炎で、糸球体に障害が起こる疾患と異なり、障害が起きても尿検査で異常が起こることがほとんどなく、腎臓の機能障害で発見されることがほとんどです。

尿細管間質性腎炎には急性尿細管間質性腎炎と慢性尿細管間質性腎炎の別がありますが、原因や発症のメカニズムは不明なことも多く、蛋白(たんぱく)尿や血尿なども少なく、無症状のまま経過し、気が付いたら慢性腎不全ということも多いと考えられています。原因不明の腎臓機能障害の中で頻度は高く、注意が必要です。

急性尿細管間質性腎炎は、しばしば数日から数カ月で発症し、急激に腎臓の機能が低下していきます。ほとんどは、薬剤の副作用やアレルギー性の薬物反応、感染症が原因となって、急性尿細管間質性腎炎を発症します。

薬剤の副作用やアレルギー性の薬物反応としては、主に抗生物質(抗菌薬)、非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs、エヌセイズ)、抗結核薬、抗てんかん薬、消化性潰瘍(かいよう)薬、痛風治療薬などの医薬品を服用した時に起こる場合があります。

また、全身性感染症や急性腎盂(じんう)腎炎などの感染症、膠原(こうげん)病の合併症として起こる場合や、ぶどう膜炎を伴う腎眼症候群として起こることもあります。

薬剤の副作用やアレルギー性の薬物反応としての発症は、原因と考えられる医薬品の服用後2週間以内に発症することが多いものの、1カ月以上たってから起こることもあります。

症状としては、発熱、発疹(はっしん)、関節痛、吐き気、嘔吐(おうと)、下痢、腹痛など、一般的な風邪のような症状がみられます。進行すると腎臓の機能が低下して、尿量が減ったり、むくんだりします。さらに進んで症状が重くなると、急性腎不全を示すこともあり、人工透析療法が必要となることもあります。

慢性尿細管間質性腎炎は、病変が慢性に経過して尿細管の委縮や間質の線維化が進行し、次第に腎臓の機能が低下していきます。

その原因は、慢性腎盂腎炎による慢性感染症がほとんどです。また、鎮痛薬などの薬剤を長期間多量に服用していることが原因となって、発症することもあります。そのほか、サルコイドーシス、シェーグレン症候群、逆流または閉塞(へいそく)性尿路疾患、高カルシウム血症、低カリウム血症、高尿酸血症、虚血、重金属中毒、ある種の薬物(ハーブ)などが原因となって、発症することもあります。

慢性腎不全を示すまで見付からないことも多く、これは慢性尿細管間質性腎炎が潜行性であるためです。初期段階における腎臓の機能障害では、高カリウム血症や高クロール血症性アシドーシスが認められます。また、糸球体病変を合併する二次的な悪化例では、明らかな高血圧および蛋白尿が示されることもあります。

尿細管間質性腎炎の検査と診断と治療

泌尿器科、腎臓内科、内科の医師による急性尿細管間質性腎炎の診断では、血液検査で、腎臓の機能低下により尿中に排出されずに血液中に蓄積される血清クレアチニン値の上昇が認められ、アレルギー反応に関与するIgE(免疫グロブリンE)や、アレルギー反応による炎症の一因ともなる好酸球という白血球数が増加することもあります。

尿検査では、蛋白尿は軽度(1g/日以下)で、白血球尿が認められます。また、尿細管性蛋白尿(β2ミクログロブリン)や尿細管の酵素であるNAGの増加が認められます。確定診断には、腎臓の組織の一部を採取し、顕微鏡で調べる腎生検が必要です。

泌尿器科、腎臓内科、内科の医師による慢性尿細管間質性腎炎の診断では、血清クレアチニン値の上昇を認め、腎臓の機能の低下が比較的緩やかで、蛋白尿が顕著でない場合に疑われます。確定診断には、腎臓の組織の一部を採取し、顕微鏡で調べる腎生検が必要です。

泌尿器科、腎臓内科、内科の医師による急性尿細管間質性腎炎の治療では、原因となっている疾患の治療を行います。薬剤が原因となっている場合は、薬の投与を中止して腎臓の機能の回復を待ちます。早期では、薬の投与を中止すれば、特別な治療をしなくても多くは治ります。

アレルギー反応などの免疫が関与している場合は、炎症を抑えるためステロイド薬を短期間用いることもあります。病状が進行して急性腎不全となるような場合には、人工透析療法を一時的に導入することがあります。

泌尿器科、腎臓内科、内科の医師による慢性尿細管間質性腎炎の治療では、原因となっている疾患の治療を行います。進行性の腎臓機能障害がある場合は、慢性腎臓病に対する治療を行います。間質の線維化が進行した場合は、数カ月から数年以上にわたって、ゆっくりと腎不全が進行します。

🇹🇩尿道炎

尿を体外へ導く尿道に炎症が起こる疾患

尿道炎とは、膀胱(ぼうこう)から排出する尿を体外へ導く管である尿道に、炎症が起こる疾患。

女性の場合、尿道が約4センチと短いので、尿道炎の症状は弱くて気が付かないことが多いものです。男性の場合、尿道が約20センチと長いので、いろいろな障害が起こってきます。

尿道炎には、淋(りん)菌性のものと非淋菌性(単純性)のものがあります。淋菌性のものは、性感染症です。

炎症を起こすものには、細菌性のものと非細菌性のものがあります。細菌性のものは、ブドウ球菌、連鎖球菌、大腸菌などが原因となります。

非細菌性のものには、トリコモナスやウイルス、クラミジアによるものがあります。原因の多くは性行為により、そのほか尿道洗浄や避妊薬などの機械的刺激で起こることもあります。

非淋菌性尿道炎の症状として、うみの混じった尿が出ます。淋病のように黄緑色ではなく、薄い白色をしています。排尿痛も軽く、排尿不快感程度のことが多いものです。

尿道炎の検査と診断と治療

細菌性の尿道炎は抗生物質が有効ですが、淋病のように短期間で治らず、しばしば慢性化します。慢性化しても、それほど強い症状は続きません。強い症状はなくても、ぐずぐずして治りにくいのが、慢性尿道炎の特徴です。

🇹🇩ナイアシン欠乏症

不規則な食事をするアルコール多飲者に発症

ナイアシン欠乏症とは、ビタミンBの一つであるナイアシンが欠乏することにより、皮膚炎、下痢、精神錯乱などを起こす疾患。ニコチン酸欠乏症とも呼ばれ、とうもろこしを主食とする中南米などの地域ではペラグラとも呼ばれています。

ナイアシンは、ニコチン酸とも呼ばれる水溶性のビタミンで、蛋白(たんぱく)質に含まれる必須アミノ酸のトリプトファンから体内で合成されます。糖質、脂質、蛋白質の代謝に不可欠な栄養素であり、また、アルコールや、二日酔いのもとになるアセトアルデヒドを分解します。人為的にナイアシンを摂取することで、血行をよくし、冷え性や頭痛を改善しますし、大量に摂取すれば血清のコレステロールや中性脂肪を下げる薬理効果もあります。

ナイアシン欠乏症はとうもろこしを主食とする人に多い疾患ですが、日本では、不規則な食事をするアルコール多飲者にみられます。酒を飲むほどナイアシンが消費されますので、つまみを食べずに大量に飲む人は、栄養不良に注意が必要です。特にビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6が不足すると、ナイアシンの合成能力が低下します。

遺伝病であるハートナップ病の人も、トリプトファンが腸から吸収されないために、ナイアシン欠乏症を発症します。

症状としては、日光に当たることによって手や足、首、顔などに皮膚炎が起こります。同時に、舌炎、口内炎、腸炎などを起こし、そのために食欲不振や下痢なども起こします。その後、頭痛、めまい、疲労、不眠、無感情を経て、脳の機能不全による錯乱、見当識の喪失、幻覚、記憶喪失などが起こり、最悪の場合は死に至ります。

日本では普通の食事をしている限り、重症にはなりません。食欲減退、口角炎、不安感などの軽いナイアシン欠乏症が見られる程度です。

ナイアシン欠乏症の検査と診断と治療

内科の医師によるナイアシン欠乏症の治療は、ナイアシン(ニコチン酸)を含むビタミンB群の投与です。ナイアシンを1日50〜100mg投与し、他のビタミンBの欠乏を合併することも多いので、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6も併用して投与します。ビタミンB群は、お互いに協力し合って活動しているため、それぞれの成分だけではなく、ビタミンB群としてまとめて投与することが望ましい栄養素でもあります。

ナイアシンの過剰症は特にありませんが、合成品のナイアシンを100mg以上摂取すると、皮膚がヒリヒリしたり、かゆくなることがあります。とりわけ、ナイアシンの摂取に際して注意が必要なのは、糖尿病の人です。ナイアシンはインシュリンの合成に関与し、大量に摂取すると糖質の処理を妨げてしまいます。 一部の医薬品との相互作用を示唆するデータもあるため、すでに他の薬を服用中の場合は主治医に相談の上、ナイアシンを摂取する必要があります。

🇨🇫内因性眼内炎

体のほかの部位に感染していた細菌や真菌が目の中に転移して、炎症を引き起こす眼病

内因性眼内炎とは、目以外の体の部位に感染していた細菌や真菌(カビなど)が血流に乗って目に波及し、炎症を引き起こす眼病。転移性眼内炎とも呼ばれます。

内因性眼内炎のほとんどは、糖尿病を患っている、抗がん剤投与を受けている、肝臓や心臓に感染症を起こしている、体が弱り免疫力が落ちている、血管内カテーテル(栄養のチューブ)が挿入されているなどで起こります。

症状としては、 ひどい目の痛み、明るい光の非常なまぶしさ、充血、目やに、急な視力低下、視力の部分的な欠損があり、視力の完全な欠損によって失明を起こすこともあります。

真菌の転移による内因性眼内炎の場合は、目の症状が出る前に発熱することが多く認められます。発熱のほかに全身症状が出ることもあります。続いて1週間前後で、目の前に蚊など小さい物が飛んでいるように見える飛蚊(ひぶん)症や、視界に霧がかかっているように見える霧視などの症状が出ます。

症状が出たら、早めに眼科を受診します。真菌によるものは、飛蚊症が出た時期に眼科的な検査を行い適切な薬剤を使用すると、ほとんどのケースで治癒します。

しかし、細菌によるものは数時間から数日の単位で、真菌によるものは数日から数週間の単位で進行し、重症になった場合は、最大限の治療を施しても目を救えないこともあります。

内因性眼内炎の検査と診断と治療

眼科の医師による診断では、眼球の検査の前に、問診で全身的な要因の有無や、血管内カテーテルの使用有無、発熱の有無を確認します。

続いて、目の表面を拡大して見る細隙灯(さいげきとう)顕微鏡を用いて眼球を丹念に調べます。さらに、分泌液の培養検査を行います。場合によっては、抗体検査やDNA検査も行います。

分泌液の培養検査では、眼球内の前方にある液体である房水や、眼球後部の内部にあるゼリー状の組織である硝子体(しょうしたい)から採取し、感染の原因菌を早急に特定するとともに、どの薬剤が最も有効かを調べます。

眼科の医師による治療では通常、視力を守るために、抗菌剤または抗真菌剤による治療を直ちに開始します。極端な場合、数時間の遅れが、回復不可能な視力の低下につながることがあります。

眼内炎の原因であると判明した菌に応じて、抗菌剤や抗真菌剤の選択を調整することがあります。抗菌剤や抗真菌剤は、眼内注射、あるいは静脈内注射、または経口で投与します。

抗菌剤や抗真菌剤を眼内に注射した後、数日間にわたって痛みを和らげるコルチコステロイド剤を経口で投与することもあります。感染を食い止める確率を上げるため、眼球内部の感染組織を取り除く手術を行うこともあります。

🇨🇫内因性細菌性眼内炎

体のほかの部分に感染していた細菌が目の中に入り、眼球の内部が炎症を起こす感染症

内因性細菌性眼内炎とは、体のほかの部分に感染していた細菌が血流に乗って目に波及し、眼球の内部が炎症を起こす感染症。

内因性細菌性眼内炎のほとんどは、糖尿病を患っている、抗がん剤投与を受けている、肝臓や心臓に感染症を起こしている、体が弱り免疫力が落ちている、血管内カテーテル(栄養のチューブ)が挿入されているなどで起こります。

原因となる細菌は、グラム陰性桿菌(かんきん)である肺炎桿菌や大腸菌が多くみられ、グラム陽性球菌であるB群レンサ球菌もみられます。

肺炎桿菌は、口腔(こうこう)や腸管に常在する細菌で、免疫力の低下した人に感染し、肺炎や尿路感染症、敗血症などを起こしています。大腸菌は、代表的な腸内細菌で、血液中や尿路系に侵入した場合に病原体となり、敗血症、尿路感染症などを起こしています。B群レンサ球菌は、糖尿病やがんなどを基礎疾患に持つ人に感染しています。

内因性細菌性眼内炎の症状としては、ひどい目の痛み、目のかすみ、明るい光の非常なまぶしさ、充血、目やに、急な視力低下、視力の部分的な欠損があり、視力の完全な欠損によって失明を起こすこともあります。

目のかすみ、痛みの症状が出たら、早めに眼科を受診します。数時間から数日の単位で進行し、重症になった場合は、最大限の治療を施しても目を救えないこともあります。

内因性細菌性眼内炎の検査と診断と治療

眼科の医師による診断では、内因性細菌性眼内炎が疑われる場合には、問診で全身的な要因の有無や、血管内カテーテルの使用有無を確認します。

確定するためには、目の表面を拡大して見る細隙灯(さいげきとう)顕微鏡を用いて眼球を丹念に調べ、瞳孔(どうこう)を開いた散瞳下の精密眼底検査を行います。

続いて、分泌液の培養検査を行います。場合によっては、抗体検査やDNA検査も行います。

分泌液の培養検査では、眼球内の前方にある液体である房水や、眼球後部の内部にあるゼリー状の組織である硝子体(しょうしたい)から採取し、感染の原因となっている細菌を早急に特定するとともに、どの薬剤が最も有効かを調べます。

また、同じような症状が出る内因性真菌性眼内炎や、悪性リンパ腫(しゅ)などと慎重に区別していきます。

眼科の医師による治療では通常、視力を守るために、第1選択の抗菌剤による治療を直ちに開始します。極端な場合、数時間の遅れが、回復不可能な視力の低下につながることがあります。

第1選択の抗菌剤としては、グラム陰性桿菌が起炎菌と推定される場合は、アミノグリコシド系薬のベカナマイシン、ないしセフェム系薬のセフタジジムが選択されます。グラム陽性球菌が起炎菌として推定される場合は、グリコペプチド系薬のバンコマイシンが選択されます。

後に、感染の原因であると判明した細菌に応じて、抗菌剤の選択を調整することがあります。抗菌剤は、眼内注射、あるいは静脈内注射、または経口で投与します。

抗菌剤を眼内に注射した後、数日間にわたって痛みを和らげるコルチコステロイド剤を経口で投与することもあります。感染を食い止める確率を上げるため、眼球内部の感染組織を取り除く手術を行うこともあります。

🇬🇶内因性真菌性眼内炎

体のほかの部分に感染していた真菌が目の中に入り、眼球の内部が炎症を起こす感染症

内因性真菌性眼内炎とは、体のほかの部分に感染していた真菌が血流に乗って目に波及し、眼球の内部が炎症を起こす感染症。

真菌は、カビ、酵母(イースト)、キノコなどからなる微生物の総称であり、菌類に含まれる一部門で、細菌と変形菌を除くものに相当します。葉緑素を持たない真核生物で、単細胞あるいは連なって糸状体をなし、胞子で増えます。

この真菌が全身感染により、血行性に目の中に入って起こるのが、内因性真菌性眼内炎。そのほとんどは、糖尿病を患っている、抗がん剤投与を受けている、肝臓や心臓に感染症を起こしている、体が弱り免疫力が落ちている、血管内カテーテル(栄養のチューブ)が挿入されているなどで起こります。

原因となる真菌は、皮膚や腸管に普通に存在しているカンジダが多く、次いでアスペルギルス、クリプトコックス、フサリウムなどが続きます。

内因性真菌性眼内炎を発症すると、目の症状が出る前に、発熱することが多く認められます。発熱のほかに全身症状が出ることもあります。続いて1週間前後で、目の前に蚊など小さい物が飛んでいるように見える飛蚊(ひぶん)症や、視界に霧がかかっているように見える霧視などの症状が出ます。

眼内の炎症が悪化すると、ひどい目の痛み、明るい光の非常なまぶしさ、充血、目やに、視力低下を自覚するようになり、さらに進行すると、視力の部分的な欠損があり、視力の完全な欠損によって失明を起こすこともあります。

 一般的に、内因性の真菌性眼内炎は程度の差こそあれ、両目に生じることが多いのが特徴です。片目のみに生じ、視力低下が軽度の場合には、ほとんど自覚症状がないため、発症に気付くのが遅れがちになります。

飛蚊症が出た時期に眼科を受診し、適切な治療を受ければ、ほとんどのケースで治癒します。しかし、数日から数週間の単位で進行し、重症になった場合は、最大限の治療を施しても目を救えないこともあります。

内因性真菌性眼内炎の検査と診断と治療

眼科の医師による診断では、内因性真菌性眼内炎が疑われる場合には、問診で全身的な要因の有無や、血管内カテーテルの使用有無、発熱の有無を確認します。

確定するためには、目の表面を拡大して見る細隙灯(さいげきとう)顕微鏡を用いて眼球を丹念に調べ、瞳孔(どうこう)を開いた散瞳下の精密眼底検査を行います。

続いて、分泌液の培養検査を行います。場合によっては、抗体検査やDNA検査も行います。

分泌液の培養検査では、眼球内の前方にある液体である房水や、眼球後部の内部にあるゼリー状の組織である硝子体(しょうしたい)から採取し、感染の原因となっている真菌を早急に特定するとともに、どの薬剤が最も有効かを調べます。

眼科の医師による治療では通常、視力を守るために、抗真菌剤による治療を直ちに開始します。極端な場合、数時間の遅れが、回復不可能な視力の低下につながることがあります。

原因となる真菌はカンジダがほとんどですので、第1選択の抗真菌剤としてトリアゾール系薬剤のジフルカンを用います。

後に、内因性真菌性眼内炎の原因であると判明した真菌に応じて、抗真菌剤の選択を調整することがあります。ジフルカンが無効な場合は、ほかのファンギゾン、アンコチル、フロリード、イトリゾールなどの抗真菌剤を選択します。

抗真菌剤は、眼内注射、あるいは静脈内注射、または経口で投与します。抗真菌剤を眼内に注射した後、数日間にわたって痛みを和らげるコルチコステロイド剤を経口で投与することもあります。

感染を食い止める確率を上げるため、眼球内部の感染組織を取り除く手術を行うこともあります。

🇬🇶内頸動脈狭窄症

頸動脈から分枝する内頸動脈が動脈硬化を起こし、血液が流れる道が細くなる疾患

内頸動脈狭窄(ないけいどうみゃくきょうさく)症とは、心臓から脳に向かう左右2本の頸動脈から分枝する内頸動脈が動脈硬化を起こし、血液が流れる道が細くなる疾患。頸部内頸動脈狭窄症とも呼ばれます。

左右に1本ずつある太い頸動脈は、あごの下の高さで、大脳に血液を送る内頸動脈と、顔面や頭皮に血液を送る外頸動脈に分かれます。この分岐する部分では、狭窄が好発します。

この狭窄の原因としては、動脈硬化が最も多く、狭窄によって血液が流れる道が細くなって血液の流れが妨げられると、遠位部の脳への血流が不足するために症状が生じることがあります。主な症状は、左右どちらかの半身の運動障害や知覚障害、言語障害、顔面下半分のまひで、立ちくらみ、揺れるようなめまいなどを覚えることもあります。

また、狭窄部で血液の流れが乱れることによって血の塊である血栓が形成されると、血栓がはがれて遠位部の脳に飛び、細い血管に詰まって閉塞(へいそく)させたりして、症状が生じることがあります。症状は障害の部位や程度によりさまざまで、一過性視力障害、一過性脳虚血発作など一時的な症状を起こして回復する場合と、脳梗塞(こうそく)を起こす場合があります。脳梗塞を来すと、その部位に応じた運動まひ、知覚障害、言語障害、視機能障害、高次機能障害などを示し、重症の場合には寝たきりや植物状態、さらには生命の危険を生ずることがあります。

近年、食事摂取の欧米化で、日本人の血清コレステロール値は米国人と同じレベルに増加しています。この結果、比較的大きい血管の動脈硬化による疾患が増加しつつあり、その中でも内頸動脈は最も影響を受けやすく、動脈硬化が進行した場合、狭窄や場合によっては閉塞を来すこともあります。

内頸動脈狭窄症の急性期には、症状の進行や脳梗塞の再発が多いため、症状に気付いた場合にはすぐに神経内科、ないし脳神経外科を受診することが重要です。最近では、脳ドックや他の疾患の検査などの際に、症状が出る前に内頸動脈狭窄症が発見されることも多くなっています。

内頸動脈狭窄症の検査と診断と治療

神経内科、脳神経外科の医師による診断では、首に超音波を当てて診断する頸部血管ドップラー検査、CTやMRIによる血管の検査で容易に確定されます。近年では、狭くなった部位の診断やその程度のほか、動脈硬化の性質、血流の早さなどの質的診断も行え、よい治療方法が選択できるようになりました。

治療上必要な場合は、内頸動脈を直接レントゲンで撮影する血管撮影が行われます。また、血液が到達する脳の状態を調べるため、脳のMRIや核医学による脳血流検査なども行われます。さらに、心臓などほかの血管に、同じような疾患がないか調べることも重要です。

神経内科、脳神経外科の医師による治療では、禁煙、運動療法、食事療法などに加え、高血圧、高脂血症、糖尿病に対する薬による内科的治療が基本となります。これに加えて脳梗塞を予防するために、軽度から中等度の内頸動脈狭窄症では、血液の流れをよくする抗血小板療法の薬が追加されます。

内頸動脈の狭窄が強くなった場合には、その程度により手術、ないし血管内治療が追加されます。内頸動脈狭窄のみが発見されて、脳の症状がなく内頸動脈の狭さが60パーセント以上の場合は、脳神経外科医により手術で内頸動脈の病変を摘出することが脳梗塞を予防するためによいとされています。一方、脳の症状がある場合の手術の基準は70パーセントの狭さに上昇し、手術により脳梗塞が拡大することを防止します。この脳神経外科医による手術法は、長年に渡って世界中で行われ、多くの結果が蓄積された結果、現在の基準が確立されました。

血管内治療は新しい治療法で、太ももの付け根から血管の中にカテーテルと呼ばれる管を入れ、これを内頸動脈の狭窄した部位に誘導します。ここでカテーテルの先についたバルーンと呼ばれる風船を広げ、網目状に血管の中で拡張し、内頸動脈の内側を適切な太さに保つステントと呼ばれる形状記憶合金で作られた機器を留置してきます。この治療法は歴史が浅いため、病変を直接取り除く手術のリスクが高いと思われる場合や高齢者の場合などに行われています。

🟥COP30、合意文書採択し閉幕 脱化石燃料の工程表は見送り

 ブラジル北部ベレンで開かれた国連気候変動枠組み条約第30回締約国会議(COP30)は22日、温室効果ガス排出削減の加速を促す新たな対策などを盛り込んだ合意文書を採択し、閉幕した。争点となっていた「化石燃料からの脱却」の実現に向けたロードマップ(工程表)策定に関する直接的な記述...