2022/08/10

🌄国内で21万2552人が新型コロナ感染 死者278人、過去3番目の多さ

 国内では9日午後6時15分の時点で、東京都で2万9115人、大阪府で2万5296人、愛知県で1万6940人、神奈川県で1万3613人、福岡県で1万665人、兵庫県で1万560人など全47都道府県と空港検疫で、新たに21万2552人の新型コロナウイルスへの感染が発表されました。

 全国の新規感染者は1週間前の同じ曜日と比べ0・7%増と横ばい。秋田、長野、岐阜、和歌山、鳥取、愛媛、熊本の7県は過去最多となりました。

 また、大阪府で39人、福岡県で22人、東京都で20人、愛知県で19人、神奈川県で19人、北海道で17人、兵庫県で12人、千葉県で12人、埼玉県で10人、静岡県で10人など計278人の死亡の発表がありました。死者は過去3番目の多さで、流行「第7波」では最多となりました。

 国内で感染が確認された人は、空港検疫などを含め1465万2361人、クルーズ船の乗客・乗員が712人で、合わせて1465万3073人となっています。

 感染して亡くなった人は、国内で感染が確認された人が3万4126人、クルーズ船の乗船者が13人で、合わせて3万4139人です。

 厚生労働省によりますと、新型コロナウイルスへの感染が確認された人で、人工呼吸器や集中治療室などで治療を受けるなどしている重症者は、前日より26人増えて9日時点で581人となっています。

 一方、大阪府は9日、新たに2万5296人が新型コロナウイルスに感染していることが確認されたと発表しました。1日に発表される感染者数としては、7月26日の2万5747人に次いで、2番目に多くなりました。前週同曜日(2万5130人)と比べると166人増えました。府内の感染者の累計は154万4590人。

 新たに50~100歳代の男女39人の死亡が判明し、府内の累計死者数は5525人。

 9日時点の重症者は前日から3人増の74人で、重症病床(598床)の同日の実質使用率(重い持病などを抱える軽症・中等症患者らを含む)は25・1%になりました。軽症・中等症病床には3060人が入院しており、軽症・中等症病床(4229床)の使用率は72・4%となりました。

 新規感染者のうち、感染者と同居して症状があり、PCR検査を受けずに医師の診断で陽性と判断された濃厚接触者は1032人でした。自宅療養者は14万7373人。公費によるPCR検査などを2万7512件実施しました。

 2022年8月10日(水)

✍ドケルバン病

手首の親指側にある腱鞘と、そこを通過する2つ伸筋腱に生じる炎症

ドケルバン病とは、手首の親指側にある腱鞘と、そこを通過する長母指外転筋腱と短母指伸筋腱に生じる炎症。狭窄(きょうさく)性腱鞘(けんしょう)炎、橈骨(とうこつ)茎状突起痛とも呼ばれます。

親指を広げると手首の親指側の部分に腱が張って、皮下に浮かび上がる2本の線があり、下側の線が長母指外転筋腱、上側の線が短母指伸筋腱に相当します。長母指外転筋腱は主に親指を広げる働きをする伸筋腱の1本で、短母指伸筋腱は主に母指を伸ばす働きをする伸筋腱の1本です。

親指の使いすぎによる負荷のために、2本の伸筋腱が通るトンネルである腱鞘が炎症を起こして肥厚すると狭窄が生じ、2本の伸筋腱の表面が傷んだり、癒着したりして、ドケルバン病となります。この手首の親指側にある腱鞘には、2本の伸筋腱を分けて通過させる隔壁が存在するために、狭窄が生じやすいという特徴があります。

ドケルバン病を発症すると、腱鞘の部分で2本の伸筋腱の動きがスムーズでなくなり、親指の付け根や手首の親指側が痛み、はれます。親指を広げたり、動かしたりすると、強い痛みが走ります。 タオルを絞ったりすると、手首の親指側が痛むこともあります。

また、2本の伸筋腱の周囲の組織が骨のように硬くなったり、手首の親指側の関節にある橈骨茎状突起部の周囲がはれ、押すと痛むという症状もみられます。

仕事やスポーツで手や指を酷使している人のほか、女性の場合、妊娠や出産、更年期が切っ掛けとなって、ドケルバン病を発症するケースもあります。中には、腱の変性により老人に発症する場合や、外傷で発症する場合、ガングリオン(結節腫)などの腫瘍(しゅよう)によって伸筋腱が圧迫されて発症する場合もあります。

ドケルバン病の検査と診断と治療

整形外科、ないし外科の医師による診断では、針を刺して関節液を採取する穿刺(せんし)検査を行います。

親指を使用した時の手首の親指側の痛み、また橈骨茎状突起部にはれや圧痛があれば、診断を確定できます。誘発試験として、医師が患者の母指を握って、手関節を小指側に曲げるフィンケルスタインテストを行い、痛みが増強するか否かで判定します。

区別する必要がある疾患として、母指CM関節症、月状骨(げつじょうこつ)軟化症、舟状骨(しゅうじょうこつ)骨折などがあり、単純X線撮影を行います。ドケルバン病は単純X線写真では異常が認められないことから、区別が可能です。

整形外科、ないし外科の医師による治療では、まず手をなるべく使わないよう指導します。また、湿布剤、軟こうなどの使用、非ステロイド性鎮痛消炎剤の投与を行います。時には、副木(ふくぼく)やバンドを当てて固定することもあります。

症状が強い時には、局所麻酔薬入りステロイド剤(副腎〔ふくじん〕皮質ホルモン)を発症している腱鞘に直接注射するのが有効です。3回以上の直接注射は、腱の損傷を起こすことがあるので避けます。

これらの保存療法を3カ月程度行って症状が改善しない場合、腱鞘を切開する手術を行います。手術は局所麻酔を用い、橈骨茎状突起部に2cmほどの皮膚切開を入れて、まず橈骨神経浅枝という神経をよけ、長母指外転筋腱鞘と短母指伸筋腱鞘を出して、隔壁を含めて全長にわたり切離し、腱の滑りをよくします。手術成績は良好です。

ドケルバン病を予防するには、手、特に親指の酷使を避けることが一番大切です。

✍手首トンネル症候群

手首にある手根管というトンネル内で神経が圧迫されて、手や指がしびれ、痛みが起こる疾患

手首トンネル症候群とは、手首の手のひら側にある骨と靭帯(じんたい)に囲まれた手根管(しゅこんかん)というトンネルの中で、神経が慢性的な圧迫を受け、しびれや痛み、運動障害を起こす疾患。手根管症候群、カーパルトンネル症候群とも呼ばれます。

手根管は、手関節部にある手根骨と横手根靱帯で囲まれた伸び縮みのできない構造になっており、その中を1本の正中神経と、9本の指を動かす筋肉の腱(けん)が滑膜性の腱鞘(けんしょう)を伴って通っています。

初期には人差し指、中指がしびれ、痛みが出ますが、最終的には親指から薬指にかけての親指側にしびれ、痛みが出ます。

このしびれ、痛みは明け方に強く、目を覚ますと指がしびれ、痛みます。ひどい時は夜間の睡眠中に、痛みやしびれで目が覚めます。この際に手を振ったり、指を曲げ伸ばしすると、楽になります。手のこわばり感もあります。

進行すると親指の付け根の母指球筋という筋肉がやせてきて、親指と人差し指できれいな丸(OKサイン)ができなくなります。細かい作業が困難になり、縫い物がしづらくなったり、細かい物がつまめなくなります。

原因が見いだせない特発性というものが多く、原因不明とされています。妊娠期や出産期、更年期の女性に多く生じるのが特徴で、骨折などのけが、仕事やスポーツでの手の使いすぎ、腎不全のために人工透析をしている人などにも生じます。腫瘍(しゅよう)や腫瘤(しゅりゅう)などの出来物でも、生じることがあります。

妊産婦と中年の女性にはっきりした原因もなく発症する特発性の手首トンネル症候群は、女性のホルモンの乱れによる滑膜性の腱鞘のむくみが誘因と考えられ、手根管の内圧が上がり、圧迫に弱い正中神経が偏平化して症状を示すと見なされています。けがによるむくみや、手の使いすぎによる腱鞘炎などでも、同様に正中神経が圧迫されて症状を示すと見なされています。

最近では、パソコンの使用者が多いアメリカや日本で、手首トンネル症候群が女性を中心に増えていることが注目されています。パソコンは、手首を不自然な位置に置いたまま動かします。そして、長い時間キーを打ち、マウスを操作することは、手首に大きな負担をかけます。また、キーを打つ際に、無意識に力を入れている人もいます。こうして特定の筋肉や腱だけを繰り返し使うことで、手首を傷めてしまうのです。

パソコン作業者だけでなく、レジスター係、食肉加工業者、電気機器組み立て工、建築施工業者、板金工、自動車修理工、調理員、包装・箱詰め作業者、音楽家、針仕事・編み物作業者、農業従事者、歯科衛生士なども、仕事での手の使いすぎによって手首トンネル症候群を発症する可能性がある職業です。

指にしびれ、痛みがあり、朝起きた時にひどかったり、夜間睡眠中に目が覚めるようなら、整形外科を受診することが勧められます。

手首トンネル症候群の検査と診断と治療

整形外科の医師による診断では、手首の手のひら側を打腱器などでたたくとしびれ、痛みが指先に響きます。これをチネル(ティネル)サイン陽性といいます。手首を手のひら側に最大に曲げて保持し、1分間以内にしびれ、痛みが悪化するかどうかをみる誘発テストを行い、症状が悪化する場合はファレンテスト陽性といいます。母指球筋の筋力低下や筋委縮も診ます。

補助検査として、電気を用いた筋電図検査を行い、手根管を挟んだ正中神経の伝導速度を測定します。正中神経を電気で刺激してから筋肉が反応するまでの時間が、手首トンネル症候群では長くなります。知覚テスターという機器で感覚を調べると、手首トンネル症候群では感覚が鈍くなっています。 腫瘤が疑われるものでは、エコーやMRIなどの検査を行います。

首の病気による神経の圧迫や、糖尿病性神経障害、手指のほかの腱鞘炎との鑑別も行います。

整形外科の医師による治療では、消炎鎮痛剤やビタミンB12などの内服薬、塗布薬、仕事やスポーツの軽減、手首を安静に保つための装具を使用した局所の安静、腱鞘炎を治めるための手根管腱鞘内へのステロイド剤注射など、保存的療法が行われます。

保存的療法が効かない難治性のものや、母指球筋のやせたもの、腫瘤のあるものなどは、手術が必要になります。以前は手のひらから前腕にかけての大きな皮膚切開を用いた手術が行われていましたが、現在はその必要性は低く、靭帯を切って手根管を開放し、神経の圧迫を取り除きます。手根管の上を4~5cm切って行う場合と、手根管の入り口と出口付近でそれぞれ1~2cm切って内視鏡を入れて行う場合とがあります。

とりわけ母指球筋のやせたものは、手術を含めた早急な治療が必要となります。母指球筋のやせた状態が長く続くと、手根管を開放する手術だけでは回復せず、腱移行術という健康な筋肉の腱を移動する手術が必要になります。

👏手湿疹(主婦湿疹)

水をよく使う主婦などの手に発症する皮膚炎

手湿疹(てしっしん)とは、主婦など水をよく使う人の手に起こる皮膚病。主婦湿疹、進行性指掌(ししょう)角皮症とも呼ばれます。

主婦だけに限らず、調理師、美容師、理容師など毎日、水仕事をする男女にもみられます。そのほかに、紙を頻繁に扱う仕事を行っている人にもみられます。

原因は、水やお湯、洗剤やせっけん、食物の残りかすなどの物理的、化学的な刺激によって、手の表面を覆っている皮脂膜の脂が落ちることにあります。皮脂膜の脂は皮膚表面を刺激や乾燥から守る脂であり、これが落ちると角質の表面の水分保有力が低下し、外的刺激に対する抵抗力が弱くなるために、皮膚炎が生じます。

しかし、同じ程度の水仕事をしていても全く症状の出ない人もおり、皮膚表面の角質の水分保有能力の悪い体質の人、生まれ付きの過敏症であるアトピー性体質の人に生じやすいと考えられています。

手湿疹には、湿潤型と乾燥型という2つのタイプがあります。湿潤型は、小さな赤い発疹や水膨れができるのが特徴です。多少じくじくし、かゆみを伴います。指の腹や手のひらから発症することが多く、手の甲にも症状がみられます。

乾燥型は、皮膚がカサカサして皮がむけ、ひどくなるとひび割れが生じます。指紋が消える、皮膚が硬くなるなどの症状もみられます。かゆみよりも、ヒリヒリした痛みを伴います。個人差はありますが、利き手の親指、人さし指、中指などよく使う指先から症状が始まり、次第に手のひら全体に広がっていくこともあります。

一般には、空気が乾燥した冬に悪くなり、暖かい夏には軽くなりますが、なかなか治らず、通年で悩まされる人も少なくないようです。

手湿疹の検査と診断と治療

手湿疹(主婦湿疹)の治療では、皮膚表面の皮脂膜が食べ物で補えないため、手指の休息と保護が最も大切です。

湿潤型と乾燥型では、治療法が異なります。湿潤型や、特に症状が強い部位には、市販のステロイド外用剤を使用します。乾燥型は、市販の保湿剤による治療がベースとなります。刺激物が入っていないワセリンか、保湿に優れている尿素やヘパリン類似物質などを、皮膚の症状に合わせて使用します。また、保湿成分の入った化粧品や入浴剤を合わせて使うと、より効果的です。

湿潤型と乾燥型が混在している場合には、保湿剤を塗った上に、炎症症状がある部位にのみステロイド外用剤を使うようにします。保湿剤は一日に何度使ってもよいので、水仕事の後に繰り返し塗り、刺激や乾燥から手を守ります。ステロイド外用剤は1日2回、朝と入浴後に塗ります。用法をきちんと守れば、ステロイド外用剤は安全に使える薬です。

また、水仕事をする時には、薄い木綿の手袋をした上からゴム手袋をするとよいでしょう。木綿の手袋は、ゴムの刺激から皮膚を守ります。

通気性がよく、皮膚を保護してくれる木綿の手袋をさまざまな場面で活用すれば、症状の改善を助けることになります。水仕事以外の家事で、洗濯物を干したり、布団の上げ下げをしたり、掃除機をかける時でも、木綿の手袋をします。夜寝る際には、保湿剤をたっぷり塗って木綿の手袋をすれば、保湿剤の浸透がよくなる上、寝ているうちに無意識にかいて炎症を悪化させるのも予防できます。肌寒い日や乾燥している日は、手袋をして外出します。

皮膚の負担を軽くするために、洗剤やシャンプー、ボディーソープ、せっけん、ハンドソープなどは、低刺激性のものを選ぶようにします。食器洗浄機などの機器を利用したり、症状が強い時は上手に手を抜いたり、家族に手伝ってもらうことも大事です。

薬物療法と生活改善によって手湿疹が治っても、根本原因である刺激や乾燥を減らさなければ再発します。手の皮膚を保護する生活を習慣にし、炎症が起こり始めたら早めに治療を行います。

🏋鉄欠乏性貧血

鉄欠乏性貧血とは、体内の鉄が不足することにより、赤血球の中に含まれているヘモグロビン(血色素)の産生が不十分になって、発症する貧血です。

その貧血とは、赤血球中のヘモグロビンの量が減少したり、血液中の赤血球の数が減少した状態をいいます。原因によりいくつかの種類がある中で、最も多いのが鉄欠乏性貧血。

ヘモグロビンは肺から各臓器や組織に酸素を運び、不必要になった二酸化炭素を持ち帰って、肺から外に出すなど重要な働きをしていますので、ヘモグロビンの産生が不足すると、全身に運ばれる酸素の量が減少し、体が酸素不足になってさまざまな症状が起きてしまいます。

貧血の症状としてみられるのは、めまい、立ちくらみ、頭が重い、頭痛、耳鳴り、顔色が悪い、唇の色が悪い、肩や首筋が凝る、動悸(どうき)、 息切れ、むくみ、疲れやすい、体がだるい、手足が冷える、注意力が散漫になる、などです。

鉄欠乏性貧血を発症する原因として、以下のものが考えられます。

出血が原因:傷などによる一過性の出血だけでなく、胃・十二指腸潰瘍(かいよう)や痔(じ)、子宮筋腫(きんしゅ)、胃や大腸のがんなどで、持続的あるいは反復的に出血がみられると、少しずつ鉄分を失います。

食生活が原因:偏食やダイエットなどで、食物からの鉄分の摂取が不足するような栄養バランスの悪い食事をしていると、発症します。

激しい運動が原因:スポーツなどで激しい筋肉運動をする人は、赤血球が早く壊されて鉄分が不足しがちになります。

不規則勤務が原因:体内の鉄分は夜になると減少するため、深夜勤や不規則勤務に就いている人は、同じ食事をしていても貧血になりやすくなります。

鉄欠乏性貧血は、生活習慣の改善によって予防することができます。まず、無理なダイエットや不規則な食事を改め、鉄分の多い食品を積極的に摂取します。成人男性は鉄分を1日約12~15mg、成人女性は15~20mgの摂取を心掛けたいもの。女性は月経や妊娠、授乳のため鉄分が失われやすいので、男性より多くを必要とします。

鉄分を多く含む食品は、大豆、大豆製品、レバー、ひじき、もずく、のり、あさり、かき、ほうれん草、小松菜、切干大根、いわし丸干し、牛もも肉、まぐろ赤身など。

たんぱく質を摂取することも、大切です。ヘモグロビンは鉄とたんぱく質でできているので、肉や魚、豆腐、卵などを適量食べましょう。また、ビタミンCは鉄の吸収を促進させる働きがあるので、野菜や果物なども食べるようにしましょう。緑茶や紅茶、コーヒーに含まれるタンニンを鉄分と一緒に取ると、鉄分の吸収が悪くなりますので、食事とは時間をずらして飲むといいでしょう。

医師による治療では、鉄剤を内服します。この鉄剤には、徐放性鉄剤と非徐放性鉄剤があります。徐放性鉄剤は、胃から腸にかけてゆっくりと鉄を放出して、少しずつ吸収されるため、胃粘膜への刺激は少なく、空腹時に飲むことができます。ただ、この製剤は胃酸がないと効果がないため、胃の切除を受けた人には使えません。非徐放性鉄剤は、胃を切除した人や胃酸の分泌が低下している高齢者、低酸症の人に吸収可能な薬剤です。

徐放性、非徐放性ともに主な副作用として、悪心、嘔吐(おうと)、食欲不振、腹痛、下痢、便秘などの胃腸障害を起こすことがあります。鉄剤を服用すると便が黒くなることがありますが、心配はいりません。貧血が改善されたからといって、医師の指示なしに服用をやめてはいけません。ヘモグロビンの量が正常になっても、その後2~3カ月は服用を継続する必要があります。

🎾テニス肘

テニスのストロークの繰り返し動作などで、利き腕の肘に起こる障害

テニス肘(ひじ)とは、ストロークの繰り返し動作などで慢性的に衝撃がかかることによって、利き腕の肘に炎症や痛みが起こる関節障害。

中年以降のテニス愛好家に生じやすいのでテニス肘と呼ばれていますが、テニスに限らず他のスポーツや手の使いすぎが原因となって、誰にでも発症する可能性がある関節障害でもあります。

このテニス肘には、バックハンドストロークで肘の外側を痛めるバックハンドテニス肘と、フォアハンドストロークで肘の内側を痛めるフォアハンドテニス肘とがあります。どちらもボールがラケットに当たる時の衝撃が、手首を動かす筋肉の肘への付着部に繰り返し加わることによって、微小断裂や損傷を来して起こると考えられています。

バックハンドテニス肘では手首を甲側に曲げる筋肉が骨に付いている上腕骨外側上顆(がいそくじょうか)に、フォアハンドテニス肘では手首を手のひら側に曲げる筋肉が骨に付いている上腕骨内側上顆に発生するため、正式にはそれぞれ上腕骨外側上顆炎、上腕骨内側上顆炎といわれます。

バックハンドテニス肘(上腕骨外側上顆炎)の発生頻度については、若年層で少なく、30歳代後半から50歳代に多いことがわかっています。

症状としては、バックハンドテニス肘ではバックハンドストロークのたびに肘の外側に、フォアハンドテニス肘ではフォアハンドストロークのたびに肘の内側に疼痛(とうつう)が現れます。また、テニス以外の日常生活でも、物をつかんで持ち上げる、タオルを絞る、ドアのノブを回すなどの手首を使う動作のたびに、肘の外側から前腕にかけて疼痛が出現します。多くの場合、安静時の痛みはありません。

この関節障害は、一定の動作を繰り返し行うことで症状を発症するオーバーユース症候群として知られています。しかし、テニスを始めたばかりの初心者であっても、症状を発症する可能性がないわけではありません。むしろ初心者の場合は、筋を痛めたような感覚、もしくは筋肉痛などと思い込み、痛みを抱えたままプレーを続けることで、症状を悪化させてしまうことに注意が必要となります。

また、男性と比べると筋力の弱い女性や、まだ体が完成していない子供にもテニス肘は多く発症する傾向にあります。これは、ゲーム中に強いサーブやボレーを打ちたいという思いから力みが生じて、フォームのバランスを崩し、関節に無理のあるフォームでのラリーが続くことが原因の一つになっています。

そして、スポーツ競技としては比較的長時間のゲームとなるテニス競技では、片手で軽く持てるラケットの重さも徐々にフォームの悪化を招く要因となります。

テニス肘の検査と診断と治療

整形外科の医師による診断では、肘の外側または内側に圧痛が認められます。バックハンドテニス肘(上腕骨外側上顆炎)では、手首を甲側に曲げる動きで肘の外側に運動痛を生じます。

また、抵抗を加えた状態で手首を甲側に曲げてもらうトムセンテスト、肘を伸ばした状態で椅子を持ち上げてもらうチェアーテストなどの疼痛を誘発する検査を行い、肘外側から前腕にかけての痛みが誘発されたら、テニス肘と確定診断します。

整形外科の医師による治療法は、大きく分けて4つあります。1つは、肘の近くの腕をバンド状のサポーター(テニスバンド)で押さえること。2つ目は、肘を伸ばし手首を曲げて筋肉を伸ばすストレッチング、痛い所を冷やして行う冷マッサージ、超音波を当てるなどのリハビリテーションを行うこと。3つ目は、痛みや炎症を抑える飲み薬や湿布薬を使用する薬物治療を行うこと。4つ目は、炎症を抑えるステロイド剤の痛い部分への注射を行うこと。

同時に日常生活では、強く手を握る動作や、タオルを絞る、かばんを持ち上げるなどの動作をなるべく避けるようにします。物を持つ時には、肘を曲げて手のひらを上にして行うことを心掛けます。

このような治療で、大部分の人が6カ月ほどで治ると考えられます。しかし、痛みがよくならない難治性テニス肘では、手術を行う場合もあります。手術方法としては、伸筋腱(けん)起始部解離術、伸筋筋膜切開術、輪状靭帯(じんたい)や関節包の部分切除術、関節内の滑膜切除術などがありますが、成績にはっきりした差は認められていません。

テニス肘は再発性が極端に高い障害で、一度発症すると数年後、もしくは数カ月後に再発してしまうことも多くみられます。再発予防も含めたテニス肘の予防法としては、ラケットのガットを緩めにするなどのラケットの選択や、フォームの改良、テニスで使用する部位の筋肉強化や手首の筋力強化、前腕のストレッチング、サポーターの活用、テニス後の肘のアイシングなどが挙げられます。

🎾テニスレッグ

テニスをする人などに、ふくらはぎの腓腹筋の肉離れが起こる障害

テニスレッグとは、ふくらはぎの筋肉の1つである腓腹(ひふく)筋が肉離れを起こす障害。テニスをする人に起こりやすいことから、この呼称が付けられました。

ふくらはぎは、ヒラメ筋と腓腹筋で構成され、一般にはこの筋肉群を下腿(かたい)三角筋と呼んでいます。そのうち、膝(ひざ)の少し上の部分の大腿骨からかかとまでの間に大きく伸びている腓腹筋は、すねの部分の骨と足の骨をつないでいるヒラメ筋を覆う場所に位置しています。ヒラメ筋と腓腹筋の下端は合わさって、アキレス腱となっています。

構造上、腓腹筋は肉離れを起こしやすいのですが、これにテニスなどの運動中に強い張力が加わることで、筋肉の繊維や膜が伸ばされて損傷や断裂が生じるのです。つまり、原因は限界以上の張力が腓腹筋に掛かってしまうことです。

特に、コートを前後左右に激しく動くテニスでは、突発的な方向転換で地面をけり、足首に力を入れて強く踏み込む動作や、サーブのような足関節を背屈させて前方に重心を移動させる動作で、瞬間的に強い張力が掛かるため、腓腹筋の肉離れを起こしやすいといわれています。

ほかにも、急なダッシュやジャンプなどの動作が必要になる短距離走やハードル、バスケットボール、サッカーなどでも、テニスレッグを起こす可能性があります。運動不足の人では、日常的な動作で起こす可能性もあります。

テニスレッグを起こした際の主な症状は、急激に起こる痛みです。太ももなどほかの部位の肉離れと同様、非常に強い痛みが伴うために、運動の継続はもちろん、歩くことさえ難しくなります。

ようやく歩くことはできたとしても、ふくらはぎに負荷が掛かった途端に激しい痛みを感じることが多く、症状が重い場合には松葉杖(づえ)などが必要になってきます。

テニスをする人に注意が必要なのは、加齢とともにテニスレッグのリスクが高くなることで、多くは中高年にみられます。若いころと同じ感覚でふくらはぎに負荷をかけると、たちまち症状に見舞われるケースもあります。

テニスレッグは復帰に時間がかかる障害なので、なるべく早期に整形外科を受診して治療を受け、復帰に向けたリハビリに多くの時間が割けるようにするのがポイントです。

テニスレッグの検査と診断と治療

整形外科の医師による診断では、受傷時の状況と症状から、テニスレッグを疑います。腓腹筋の損傷や筋膜の断裂の確定診断には、MRI(磁気共鳴画像撮影)検査や超音波(エコー)検査が有効です。

整形外科の医師による治療では、原則、保存療法で対処しますが、どの部位の肉離れでも発生時にはアイシングと圧迫が必要になります。その上で圧迫のためのテーピング固定や弾性包帯での固定を行い、筋肉の繊維が修復するのを待ちます。

損傷の大きさにもよりますが、1~2週間程度は固定します。痛みが取れ始めたら、ストレッチで筋肉を動かしていき、筋肉の柔軟性を取り戻します。

部分断裂(筋損傷、筋膜断裂)のほとんどの症例は1カ月程度で治りますが、完全断裂(筋断裂)では長期に及んだり、手術を行って筋肉を縫い合せることもあります。

テニスレッグの予防には、筋肉を柔軟にするストレッチが大変有効です。ウオーミングアップ時だけでなく、クールダウン(クーリングダウン)の時も行うことで、より高い効果が期待できます。寒い日や筋肉が疲労している時などは、特に注意が必要です。

🟥COP30、合意文書採択し閉幕 脱化石燃料の工程表は見送り

 ブラジル北部ベレンで開かれた国連気候変動枠組み条約第30回締約国会議(COP30)は22日、温室効果ガス排出削減の加速を促す新たな対策などを盛り込んだ合意文書を採択し、閉幕した。争点となっていた「化石燃料からの脱却」の実現に向けたロードマップ(工程表)策定に関する直接的な記述...