2022/08/11

🇰🇭仮性陥没乳頭

乳頭が乳房の内部に埋もれているものの、指でつまんで突出できる状態

仮性陥没乳頭とは、乳房の先にあって通常は突出しているはずの乳頭が、乳房の内側に埋没しているものの、指でつまみ出すことができる状態を指す症状。陥没乳頭の一種で、仮性陥没乳首とも呼ばれます。

乳頭が乳房の内側に埋没する陥没乳頭は、男女を問わず生じますが、主に女性において、外見のコンプレックスや授乳、衛生面などでのデリケートな問題が起こります。主に若い女性に多く、成人女性の1割以上が、陥没乳頭の症状に悩んでいるともいわれています。

陥没乳頭には、両側の乳房先の乳頭が埋没するケース、片側だけの乳頭が埋没するケースがあり、軽症、中等症、重症の別があります。

軽症、中等症が仮性陥没乳頭に相当し、重症は真性陥没乳頭に相当します。

軽症の仮性陥没乳頭では、乳頭を容易に指でつまみ出すことができるものの、しばらくすると埋もれてしまいます。中等症の仮性陥没乳頭では、乳頭を何とか指でつまみ出すことができるものの、指を離すとすぐに埋もれてしまいます。重症の真性陥没乳頭では、乳頭を指でつまみ出すこともできず、常にへこんでいます。

先天性と後天性の別もあります。どちらかというと、先天性の生まれ付きの体質によるほうが、多いとされています。

先天性陥没乳頭は、乳頭下にあって乳頭を支える乳管などの線維組織が発達しなかったり、繊維組織が癒着したりしたために起こります。先天性陥没乳頭が起こる根本的な原因や要因は、明確になっていません。

一説には、10歳代の成長期に、部活などで激しい運動をしたり、ストレスを感じたり、たばこを吸ったりした経験が原因で、成長ホルモンのバランスが崩れ、乳腺(にゅうせん)や乳管などが完全に発育できず、未発育にとどまってしまうために、陥没乳頭になることがあるともいわれています。

一方、後天性陥没乳頭のほとんどは、乳腺炎や乳管炎、乳がんなどが原因となって、起こります。先天性陥没乳頭は疾患を患っていませんが、後天性陥没乳頭はほかの疾患を発症している可能性もあり、やや危険です。生まれたころはごく普通な状態でも、ある日気付くと陥没乳頭になっていた場合、疾患の合図かもしれません。

原因となる疾患の一つである乳管炎では、何らかの炎症が乳管に及ぶと、乳管が委縮、屈曲、癒着および閉塞(へいそく)などを来します。つまり、炎症が及んだ乳管は伸展性が乏しく、正常な乳管の伸展性も妨げてしまい、乳頭が突出できなくなります。

陥没乳頭を起こしていると、子供ができた時の授乳の際に手間がかかります。授乳のためには、まず乳頭を突出させなくてはいけません。軽症、あるいは中等症の仮性陥没乳頭の場合は、指でつまんで乳頭を突出させることができるため、吸引反射を有する乳児は乳頭に吸い付き、自らも乳頭を突出させるようにして母乳(乳汁)を飲みます。重症の真性陥没乳頭の場合は、乳頭が突出しないため、乳児は母乳(乳汁)を飲むことをあきらめてしまいます。

衛生面での問題もあり、突出しているはずの乳頭が埋没している状態のため、清潔な乳頭を維持しにくくなります。そのために、細菌が感染しやすく、いくつかの疾患を発症することがあります。

その一つが、乳輪下膿瘍(のうよう)。乳頭の乳管開口部から化膿(かのう)菌が侵入することにより、乳輪の下に膿(うみ)がたまり、乳輪周囲の皮膚にまで広がる疾患です。乳輪の下に痛みのある硬いしこりができては破れて、膿が出ることを何回も繰り返します。

ほかにも、急性うっ滞性乳腺炎や慢性乳腺炎などを発症することもあります。急性うっ滞性乳腺炎は、授乳も関係しています。慢性乳腺炎は、妊娠や授乳に関係なく起こります。急性うっ滞性乳腺炎が進行すると、急性化膿性乳腺炎を起こし、痛み、熱感、はれなどの症状が発生します。

さらには、乳がんを発症するリスクもありますし、後天性陥没乳頭が乳がんを伴っていることもあります。がん細胞が乳頭付近の乳管に浸潤すると、乳管を短縮させてしまい、乳頭が陥没します。これは乳がんの合図ですから、突然、陥没乳頭になり、痛みや体調不良も伴うようなら、その可能性も視野に入れなければなりません。

このように、陥没乳頭が原因で疾患を発症することがあります。疾患を発症してからでは遅いので、まずは陥没乳頭を改善していきましょう。

マッサージと矯正器具による仮性陥没乳頭のセルフケア

軽症、あるいは中等症の仮性陥没乳頭なら、自宅での矯正で改善できることがあり、刺激を与えることで乳頭が突出し、授乳も可能となります。

日ごろからマッサージで乳頭に刺激を与えて、突出させ、乳児に実際に乳頭を吸わせて授乳を繰り返すと、突出状態を保つようになることもあります。

マッサージ法は多々ありますが、一例を紹介します。1)親指と人差し指を乳輪の外側に置く、2)乳頭を優しく押し出す、3)乳輪を優しく広げるように親指と人差し指を水平に伸ばす、4)親指と人差し指を乳輪の上下に置く、5)乳頭を優しく押し出す、6)乳輪を優しく広げるように親指と人差し指を上下に伸ばす。

これが、基本的なマッサージ法です。マッサージは、定期的に続けることで効果が出ますから、根気よく続けることが大切です。タイミングとしては、入浴時がお勧めで、体がポカポカに温まると血行が促されるので効果的です。1日1回でも、たった2~3分でも構いません。

また、マッサージ以外にも、販売されているプチフィット、ピペトップといった吸引器などの矯正器具を利用します。吸引器の場合は、胸に吸引カップを装着して真空状態にし、吸引力によって乳頭を突出させます。毎日続けることにより、少しずつですが症状を改善していきます。

ただし、妊娠中の陥没乳頭のマッサージは、早産を招くという説もあります。慢性的な陥没乳頭の女性が、無理やりに乳頭を突出させることで、皮膚が切れて出血し、痛み、さらに感染して炎症を起こす危険もありますので、細心の注意が必要になります。

症状に合わせての治療を望む場合は、婦人科、産婦人科、乳腺外科、形成外科、あるいは美容整形外科などを受診することが勧められます。女性は出産や授乳などの将来性があるため、ほとんどの医療機関で保険が適応されますが、美容整形外科は適応外になることもあります。男性の場合は、適応外になることも少なくありません。

仮性陥没乳頭の検査と診断と治療

婦人科、産婦人科、乳腺外科、形成外科、あるいは美容整形外科の医師による診断では、陥没乳頭は見た目にも明らかになることが多いので、まず視診、触診で判断します。

続いて、治療を必要とする乳腺炎や乳管炎などの有無、腫瘍の関連の有無を調べるために、マンモグラフィー(乳房X線撮影)、超音波(エコー)、MRI(核磁気共鳴画像)検査、CT(コンピュータ断層撮影法)検査、血液検査、乳頭分泌液の細胞検査、細菌検査などを行うこともあります。

婦人科、産婦人科、乳腺外科、形成外科、あるいは美容整形外科の医師による治療では、その症状や状態によって異なる処置で改善を図ります。

軽症、あるいは中等症の仮性陥没乳頭の場合は、乳頭吸引器などの器具を活用したり、乳房マッサージを習慣にしたり、食生活を見直したりすることで、改善することも可能です。乳頭吸引器は、専用のローションを乳頭とその周辺に塗り、吸引カップで毎日乳頭を吸引していくものです。就寝中に装着、あるいは24時間装着し、持続的な吸引の力により、乳頭を少しずつ出っ張らせていきます。

ほかの疾患により後天性陥没乳頭を発症している場合、原因となっている疾患の治療を行います。

乳腺炎の治療としては、抗生剤(抗生物質)を内服したり、状況により鎮痛薬を内服します。

乳輪下膿瘍の治療としては、炎症性の膿瘍(しゅよう)と拡張した乳管の切除と、炎症の元になっている陥没乳頭が外に出る形成手術との両方を行わなければ、必ずといっていいほど再発します。まず抗生物質などで炎症を鎮静させて、それから根治手術を行います。

急性うっ滞性乳腺炎の治療としては、乳汁のうっ滞を取り除くために、乳房を温めて血液の流れをよくし、乳頭と乳輪をよくマッサージして授乳を続ければ、症状はすぐにとれてきます。また、乳頭を乳児がくわえやすいような形にしておくなどの工夫も必要です。

急性化膿性乳腺炎の治療としては、初期には乳房を冷湿布して、乳汁は搾乳器で搾り出し、抗生物質の注射か内服と、鎮痛薬、消炎薬の内服をします。化膿が進み膿瘍ができたら、注射針を刺して膿を吸引したり、局所麻酔をかけて皮膚を切開して膿を出さなければなりません。これらの治療が功を奏すると、急速に症状は改善します。膿瘍ができた場合、抗プロラクチン薬で乳汁分泌を抑制します。

重症の真性陥没乳頭の場合など症状によっては、乳輪部分を切開し、裏側から乳頭を押し上げて突出させ、固定する形成手術を行います。手術法にはいくつものパターンがあり、大きく分けると、乳管を温存する方法と乳管を切断する方法の2種類があります。乳管を切断すると乳頭の陥没は改善されますが、母乳(乳汁)の分泌が不能になり、将来の授乳などに影響を来します。

🇻🇳仮性近視

目の疲労によって、一時的に近視と同じ症状を生じる状態

仮性近視とは、目の中の毛様体筋の持続的緊張が起こり、近視と同じ症状を生じるに至った状態。偽近視、調節緊張性近視とも呼ばれ、近視に含めない考えで単に調節緊張とも呼ばれます。

目には、近くを見る時に網膜上に正しく焦点を合わせるため、毛様体筋を働かせて水晶体を厚くし、屈折を強くする調節力が備わっています。子供などが試験前の猛勉強や読書、ゲームなどで、近い距離に長時間視点を合わせた場合には、毛様体筋の緊張が続いて一時的に水晶体が元の厚さに戻りにくくなり、軽い近視と同じ仮性近視になります。文字や画面の距離の近すぎのほか、照明や姿勢の不良も原因となり、軽い遠視がある子供がなりやすい傾向があります。

子供の仮性近視は、あまり長時間近くを見ないように心掛けるだけで、いずれは治ります。しかし、仮性近視を放置して、同じような目に悪い生活習慣を続けると、症状はますます悪化して本当の近視になります。

仮性近視にもかかわらず、眼鏡やコンタクトレンズを使用してしまった際にも、毛様体筋の緊張がなく、水晶体が薄くても楽に近くが見えるような目に適応し、本当の近視になります。学校の健康診断などで視力の低下が指摘された時は、すぐに眼鏡やコンタクトレンズを作る前に、まずは眼科で正確な屈折検査を受け、本当の近視なのか一時的な仮性近視なのかを調べることが大切です。

授業の合間に行われることが多い学校の健康診断の場合は、教科書などの近くの文字を見た後にすぐ目の検査をすることになり、調節力が大人より強い子供では近くにピントがあったままになってしまい、遠くが見えない仮性近視を生じていることもある点に、留意が必要です。

大人になると、毛様体筋の緊張が長時間続きにくくなるため、仮性近視は起こりにくくなります。ただし、パソコンを始めたりして目を酷使すると、大人でも仮性近視になりやすいので注意が必要です。時々、パソコン作業を中止して目を休めたり、遠くを見る必要があります。

仮性近視の検査と診断と治療

子供の近視が増えている時勢ですが、子供の近視は大人の近視と違い、一時的な仮性近視の場合があります。視力が低下したからといって、すぐに眼鏡やコンタクトレンズを使用するのではなく、本当の近視なのか一時的な仮性近視なのかを眼科で検査する必要があります。

眼科では、裸眼視力の測定、機械による屈折力の測定、眼鏡をかけての矯正視力の測定を行います。機械による屈折検査で近視がみられ、これを矯正する眼鏡をかけて視力が1・0以上あれば、近視です。調節をまひさせる点眼薬をさして、もう一度屈折検査を行い、屈折度が1D(ディオプター)以上遠視側、すなわち近視度が少ない方向に変化すれば、仮性近視と診断されます。

わざとピントが合わないようにした眼鏡を20分ほどかけて、調節ができない状態から仮性近視を診断する雲霧(うんむ)法が行われることもあります。

仮性近視と診断されると、ミドリン、もしくはサンドールという調節をまひさせる点眼薬を処方されます。この点眼薬を何日か寝る前にさすことにより、寝ている間に目の回りの筋肉である毛様体筋がリラックスし、近視が改善することがあります。ミドリンは本来、眼底を検査するために用いられる薬ですが、硬くなった毛様体筋を緩めることを目的に、濃度を薄めて用いられています。

仮性近視ではない軽度近視の始まりの場合は、調節をまひさせるミドリンの点眼で近視を改善することは困難なものの、進行を遅らせる可能性はあります。しかし、黒板の字が見えにくいなどの不都合が生じた時点で、眼鏡やコンタクトレンズを作ることになります。

仮性近視の進行を予防する一般的な注意事項としては、悪い姿勢や暗い照明の下で、勉強、読書、ゲームなどをしないことです。目に疲れが出たら、こまめに目薬を点眼するのも効果的です。そのほか、ブルーベリーなどのサプリメントの効果が期待できるのも仮性近視の特徴ですので、積極的に服用します。ブルーベリーに含まれるアントシアニンは、視覚機能を高めるということから、近年とても注目されているところです。

🇻🇳仮性思春期早発症

早期に性ホルモンの分泌が盛んになり、性的に早熟する疾患

仮性思春期早発症とは、性腺(せいせん)刺激ホルモンの影響を受けることなく、早期に女性ホルモンまたは男性ホルモンの分泌が盛んになり、第二次性徴が早く起こる疾患。偽性思春期早発症、末梢(まっしょう)性思春期早発症とも呼ばれます。

仮性思春期早発症に対して、真性思春期早発症があります。真性思春期早発症は、下垂体(脳下垂体)から性腺刺激ホルモンが早期に分泌され、それにより性腺から性ホルモンが分泌されて引き起こされ、性的に早熟する疾患を指します。

仮性思春期早発症の場合は、下垂体から性腺刺激ホルモンが分泌されていないにもかかわらず、性腺または副腎(ふくじん)で性ホルモンがつくられて、性的に早熟します。

副腎腫瘍、卵巣腫瘍、精巣( 睾丸〔こうがん〕)腫瘍、治療不十分な先天性副腎皮質過形成症、特殊な遺伝子異常によるマッキューン・オルブライト症候群、家族性男性性早熟症などがその原因です。

女子では、乳房が少しでも膨らんできた時が、思春期の開始です。この乳房の発育が7歳6カ月以前に起こった時、仮性思春期早発症の可能性が高いといえます。8歳より前に陰毛が生えてくる、10歳6カ月より前に月経が発来するなどの症状も認めます。

乳房発育だけがみられる時は、女性ホルモンの分泌の一過性の高進によると考えられる乳房早期発育症との区別が必要です。

男子では、精巣( 睾丸)が4ミリリットル以上の大きさになった時が、思春期の開始です。この精巣の発育が9歳未満で起こった時、仮性思春期早発症の可能性が非常に高いといえます。10歳より前に陰毛が生えてくる、11歳より前にひげが生えたり、声変わりするなどの症状も認めます。

女性ホルモンまたは男性ホルモンが早期に分泌されることにより、成長のスパート(急激な進行)が起こります。

未治療で放置すると、実際の年齢に対して、実際のその人の体の年齢を現す骨年齢が促進して、骨が成長する骨端(こったん)が早期に融合するため、一時的に身長が伸びた後、最終的に低身長で成長が終わります。

低年齢で乳房が大きくなってきた場合や、急に背が伸びてきた場合には、小児内分泌科などを受診することが勧められます。

仮性思春期早発症の検査と診断と治療

小児内分泌科、小児科、内分泌科、内分泌内科、内分泌代謝内科の医師による診断では、問診でいつごろから、どのような症状が始まったかを聞き、視診と触診で全身および外性器の性成熟の状態をチェックします。

また、ホルモン検査で血液中の性ホルモンの分泌状態、腹部超音波(エコー)検査で副腎腫瘍や卵巣腫瘍、精巣(睾丸)腫瘍の有無を調べることもあります。手と手首のX線(レントゲン)検査を行い、骨年齢を判定して骨の成熟の有無を調べることもあります。

ホルモン検査では、性ホルモンの上昇は認められますが、性腺刺激ホルモンの分泌は抑制されています。

小児内分泌科、小児科、内分泌科、内分泌内科、内分泌代謝内科の医師による治療では、原因となる病変がある場合、それを治療します。先天性副腎皮質過形成症が原因であれば、副腎皮質ホルモンを投与します。

副腎腫瘍、卵巣腫瘍、精巣( 睾丸)腫瘍などが原因であれば、外科手術により腫瘍を摘出した後に、ホルモン剤を投与して症状を緩和します。腫瘍を摘出が不可能な場合には、放射線療法も行います。

すでに起きている早発月経や陰茎発育などの症状については、特別な治療をせず、社会的心理的サポートを行います。

🇻🇳仮性小児コレラ

ロタウイルスの感染により、乳幼児に起こる腸炎

仮性小児コレラとは、米のとぎ汁のような白い水様便を頻繁に繰り返し、 激しい嘔吐(おうと)を伴う、乳幼児にみられる腸炎。別名は、乳児嘔吐下痢症、白色便性下痢症、ロタウイルス腸炎など。

冬季に気温が5℃以下になると、流行することがあります。オーストラリアのビショップが1975年に発見したロタウイルスの感染によるもので、コレラとは関係ありません。

発展途上国では乳児死亡の主な原因の一つに挙げられていますが、生後6カ月から2歳までの乳幼児が好発年齢であり、発症すると重症化しやすくなります。3カ月未満では母親からの免疫で守られ、3歳以上の年齢層では発症しても一般には軽症です。

症状としては、48時間未満と短い潜伏期間をへて、1日に数回から十数回の下痢が5~7日続き、酸っぱい臭いの、白い水様便が出ることが特徴です。目に見えるほど大量の血液や粘液が混じることはあまりありません。発症初期には嘔吐、吐き気を伴うのが普通ですが、通常、半日から1日で落ち着きます。軽い発熱と、せきを認めることもあります。

ロタウイルスは感染力が強く、下痢便中に大量に排出されるウイルスなので、便に触った手から、口に感染することがほとんどです。乳幼児の世話をする人は、便とオムツの取り扱いに注意が必要です。せっけんを使って十分に手洗いをし、漂白剤や70パーセントアルコールの消毒液で、オムツ交換の場所や周辺をふきましょう。

仮性小児コレラには特効薬はありませんが、現在はロタウイルスの抗原を検出する検査が簡単に行えるようになっています。小児科、内科の医師による治療では、嘔吐の時期には絶食、絶飲、吐き気が治まると、下痢による脱水症状を改善するための対症療法が用いられます。水分投与から始まり、徐々に増量し、さらに野菜スープなどへと進め、脱水と電解質の補給が行われます。

脱水症状の兆候としては、ぐったりしている、機嫌が悪い、顔色が悪く目がくぼんでいる、皮膚の張りがない、唇が乾燥しているなどが挙げられます。これらの脱水症状の兆候が見られたら、できるだけ速やかに医療機関を受診することが、体力のない乳幼児にとって大切なことです。

🇵🇭化生性胃炎

委縮性胃炎が進行して、委縮した胃粘膜が腸のような粘膜に置き換わる疾患

化生性胃炎とは、委縮性胃炎が進行して委縮した胃粘膜の性質が変わり、腸のような粘膜に置き換わる疾患。腸上皮化生性胃炎とも呼ばれます。

化生性胃炎に進行する委縮性胃炎は、慢性的な胃の炎症によって、胃液を分泌する胃腺(せん)の部分の粘膜が委縮していく疾患。胃粘膜の委縮の度合はさまざまで、胃の一部しか委縮しないケースから、胃全体が委縮するケースまであります。

委縮性胃炎の経過はまず、胃の粘膜が赤く痛んだ状態になることから始まり、胃の粘膜の細胞が次第に少なくなって、胃液(胃酸)を分泌する力が次第に衰えていきます。

さらに進行すると、粘膜の性質が変わって、腸の粘膜に近いような細胞に姿を変えます。これを腸上皮化生といい、それが著しい場合は化生性胃炎となります。

委縮性胃炎には、大きく分けてA型胃炎(自己免疫性胃炎)とB型胃炎(多巣性委縮性胃炎)という2つのタイプが存在しています。

A型胃炎(自己免疫性胃炎)は、胃の真ん中の部分を中心として、広い範囲で委縮が広がり、主に胃液を出す壁細胞という細胞が減っていきます。その進行した病態が腸上皮化生、化生性胃炎で、自分の細胞に対する抗体ができることによる疾患であり、一種の自己免疫疾患です。

悪性貧血という貧血を伴い、カルチノイドという腫瘍(しゅよう)を誘発しやすいのも特徴です。このタイプは、海外に比較的多く、日本では非常にまれだと見なされています。

一方、B型胃炎(多巣性委縮性胃炎)は、ほとんどの場合、委縮が胃の出口の付近から始まり、進行とともに、次第に胃の上のほうへと上がっていきます。進行すると、胃の全体に広がり、腸上皮化生、化生性胃炎がみられるようになります。

委縮の進行した粘膜には遺伝子異常が起こり、これが胃がんの大きな原因となるのも特徴です。このタイプが、日本人の委縮性胃炎の大部分を占めます。

B型胃炎(多巣性委縮性胃炎)の原因の大部分は、ピロリ菌の感染であると見なされています。

人間の胃にピロリ菌が感染すると、まず表面が赤くはれるようなタイプの胃炎が起こります。その中には潰瘍化するものもあり、しばらくすると、胃の出口から胃の細胞の減少、すなわち委縮が始まります。

さらに進行すると、胃の粘膜の細胞に遺伝子異常が起こり、腸上皮化生、化生性胃炎が起こります。この化生性胃炎が進行すると、胃酸はほとんど出なくなり、胃の中の酸度は低下します。

ピロリ菌は胃粘膜の環境に適合しているので、委縮性胃炎が高度になると、ピロリ菌はかえって減少し、時には胃の中からいなくなります。つまり、委縮性胃炎の原因はピロリ菌なのですが、進行した委縮性胃炎では、往々にしてピロリ菌は見付からないことがあるのです。

ピロリ菌の感染から数十年を掛けて、委縮性胃炎が発生し、それからさらに十数年を経て腸上皮化生、化生性胃炎が生じるというのが、一般的な時間経過と考えられています。従って、高齢者に多く見られ、食欲不振、食後のもたれ、上腹部の張りを覚える人もいます。

腸上皮化生、化生性胃炎の初期には、委縮した胃粘膜が小腸のような粘膜に置き換わります。進行すると、大腸のような粘膜に置き換わります。後者では、がん化のリスクが高いとされ、委縮の程度は進んでいます。

化生性胃炎が進行すると、胃酸はほとんど出なくなり、胃の中の酸度は低下しますので、食事を消化することができず、胃の動きも悪くなるために、食物は胃の中に停滞し、発酵してガスを出します。胃の中はただれ、胃はもたれ、下痢になり、体調は悪化します。

化生性胃炎の検査と診断と治療

消化器科、内科の医師による診断では、胃内視鏡検査で胃の粘膜の状態を見て、委縮や腸上皮化生が生じているかどうか判断します。通常の粘膜であれば胃の血管は見えませんが、委縮が生じている場合は、粘膜が薄くなり、胃の血管が黄色っぽく見えてきます。腸上皮化生が生じている場合は、粘膜の凹凸が目立ちます。

また、胃内視鏡検査の時に胃の粘膜の一部を採取し、顕微鏡で調べる生検を行うと、胃粘膜が組織学的および機能的に、小腸や大腸のような粘膜に置き換わっているかどうかを確認できます。生検を行うと、原因となるヘリコバクター・ピロリがいるかどうかを確認することもできます。

委縮性胃炎、腸上皮化生、化生性胃炎と区別すべき疾患としては、胃がんが最も重要です。

消化器科、内科の医師による治療では、委縮してしまった粘膜を元に戻す画期的な方法はありません。ピロリ菌が原因のB型胃炎(多巣性委縮性胃炎)の場合は、除菌という方法があります。ピロリ菌に感染しているかどうかを調べ、陽性の場合は、除菌すれば胃の壁の状態が回復し、胃液分泌も元に戻ります。しかし、除菌したからといって、委縮が治るわけではありません。

胃がんを発症した人はほぼ100パーセントがピロリ菌に感染していたことがわかっており、ピロリ菌の除菌をすれば、胃がんのリスクの減少につながります。もちろん、ピロリ菌に感染している人がすべて胃がんになるわけではなく、1000人の陽性者のうち胃がんを発症する人は2~3人にすぎません。

除菌だけで、すべてが解決するわけでもありません。委縮性胃炎、腸上皮化生、化生性胃炎の状態では、胃液の分泌が少ないかほとんどないため、できるだけ胃に負担をかけない食生活を心掛けることが大切です。1日3食を規則正しく摂取するようにして、脂っこいものなど消化の悪いものや、香辛料など刺激の強いものは控えめにします。

委縮性胃炎、腸上皮化生、化生性胃炎を持っている人は胃がん発症のリスクが高くなりますから、最低でも年に一度の内視鏡検査は必ず受けることも大切です。

たとえ胃がんが発生したとしても、早期発見ならば内視鏡による胃粘膜切除手術で、簡単に切除することができます。早期の胃がんの5年生存率は90パーセント以上と高くなっています。

🇵🇭仮性半陰陽

外性器の形態が染色体による性別と逆になっている状態

仮性半陰陽(はんいんよう)とは、性腺(せいせん)は男女いずれか一方のみしかないものの、外性器の形態が染色体による性別と逆になっている状態。半陰陽の一種に相当します。

その半陰陽は、外性器の形態からでは男性か女性かが判断できない状態、あるいは外性器の形態と染色体によって決められる性とが異なっている状態。インターセックス、両性具有などとも呼ばれます。また、この状態を有する人を半陰陽者、インターセクシュアル、両性具有者、あるいは、ふたなりと呼ぶこともあります。

胎児期の性の分化発達の過程で生じた単体奇形の一種で、その過程で細胞分裂がうまくいかなかったり、性を決定する遺伝子に異常が起こったりすると半陰陽が起こると考えられています。

半陰陽には、仮性半陰陽のほか、真性半陰陽などがあります。真性半陰陽は、男性の性腺である精巣(睾丸〔こうがん〕)と女性の性腺である卵巣の両方を有する状態です。

また、仮性半陰陽には、 染色体による性は男性なのに女性のような外性器を有する男性仮性半陰陽と、逆に染色体による性は女性なのに男性のような外性器を有する女性仮性半陰陽があります。

仮性半陰陽は、副腎(ふくじん)皮質機能高進により男性化症状を現す副腎性器症候群、精巣の女性ホルモンの分泌が男性ホルモンよりも優勢になったために女性化が起こる精巣性女性化症候群など、ホルモン異常によるものが多く、ほかに遺伝性のもの、染色体の異常によるもの、あるいは全く原因不明のものなどがあります。

男性仮性半陰陽は、胎児の時期に男性ホルモン(テストステロン)が作用しなかったり、男性を決定付ける遺伝子が作用しなかったりして起こります。男性ホルモン合成障害を来す疾患や男性ホルモンを活性化する酵素の欠損症などが原因になります。

男性仮性半陰陽では、陰茎が小さく、また停留精巣を合併していることが多いので、陰嚢(いんのう)に精巣が触れません。従って、女性の外性器のように見えます。鼠径(そけい)ヘルニアの合併も多い傾向にあります。

女性仮性半陰陽は、胎児の早い時期に大量の男性ホルモンが作用して起こると考えられ、多くは副腎皮質ホルモンを作る酵素に異常のある先天性副腎過形成症(副腎性器症候群)が原因です。このほか、母体から男性ホルモン様作用を受けて起こる、非進行性のものもあります。

女性仮性半陰陽では、あたかも陰茎があるかのように見えます。

仮性半陰陽の多くは、出生直後に医師や看護師によって発見されます。すでに外性器の形態を見ても男女の判別ができない場合には、性別の決定に染色体や性染色体の検査が必要となることがあります。

新生児では、染色体上の性と社会生活上の性とを一致させないほうがよい場合、つまり染色体は男性型であっても女性としたほうが自然な社会生活を送れるであろうと考えられる場合もあるので、子供の性の決定に関しては、外性器や内性器の有無を参考に医師と両親がよく話し合って行います。

出生時に発見することが望ましいのですが、思春期や成人後に仮性半陰陽が発見されることもあります。幼児期から早くも第二次性徴が起こった早発思春期の場合、あるいは思春期になって女の子のはずなのに初経(初潮)がなかったり、陰核の肥大や多毛などの男性化が起こってくる場合、反対に男の子のはずなのに乳房の肥大が認められるなどの場合には、できるだけ早く小児科、あるいは内科、内分泌代謝内科などの専門医の診断を受けるようにします。

仮性半陰陽の検査と診断と治療

小児科、内科、内分泌代謝内科の医師による仮性半陰陽、すなわち男性仮性半陰陽と女性仮性半陰陽の診断では、染色体分析検査、性ホルモンの測定、副腎皮質ホルモンの測定や超音波検査、X線造影検査、CTやMRI検査による男性性器、女性性器の存在確認を行います。

男性仮性半陰陽、女性仮性半陰陽の治療では、育てていく性を決めることが最も大事です。一般的には、染色体や精巣、卵巣によって将来の性を決めるより、現在の外性器の状態、将来の生活、本人の希望や心理状態をも考慮して、男性か女性かを決めます。

男性仮性半陰陽、女性仮性半陰陽の子供は陰茎も腟(ちつ)も未熟なことが多いので、男性として生きていく決定をした場合には陰茎形成術を、女性として生きていく決定をした場合には腟形成術を行います。また、選択した性に応じた性ホルモンの補充療法も必要に応じて行います。

🇵🇭下前腸骨棘裂離骨折

骨が弱い成長期に発生しやすいスポーツ障害で、骨盤の下前腸骨棘にある骨端線の部分が裂離骨折する障害

下前腸骨棘(かぜんちょうこつきょく)裂離骨折とは、骨盤の下前腸骨棘にある骨端線という、骨の端にある成長軟骨が骨に変わってゆく境目の部分が裂離骨折する障害。骨が弱い成長期に発生しやすいスポーツ障害で、骨盤裂離骨折の1つです。

骨盤の中でも、股(こ)関節の前方部分にある腸骨の下前腸骨棘には、大腿(だいたい)四頭筋の1つである大腿直筋が付着しています。

この下前腸骨棘に付着している大腿直筋が、スポーツで生ずるキック動作、疾走動作、ジャンプ動作で収縮することによって、骨盤付着部を急激に牽引(けんいん)するために、成長期の骨盤に残っていて、完成された大人の骨と比べると力学的に弱い骨端線の部分が引きちぎられるように裂離骨折します。

下前腸骨棘裂離骨折は、スポーツの種目では圧倒的にサッカーが多く、次いで陸上、野球の順です。股関節伸展位から急激な屈曲動作が加わるキックや、ハードル走での着地などにより、大腿直筋が急激に収縮するために発生することが多いのが特徴的です。ハードな練習が続いて疲労が蓄積し、大腿直筋が硬くなっていることも原因の1つになります。

発生すると、多くは股(こ)関節の前面やや上の辺りに突然の激痛が出現し、走行不能、歩行困難になり、股関節周囲の圧痛、はれが認められます。

下前腸骨棘裂離骨折は、中学生、高校生である12~18歳に好発し、14~16歳がピーク。女子より強い筋力を持つ男子に圧倒的に多く、ほとんどは右側の骨盤部分に発生しています。

同じ年齢層、同じ部位に痛みを来す障害に、下前腸骨棘骨端炎があります。下前腸骨棘裂離骨折が急激な強い力で発生する障害であるのに対して、下前腸骨棘骨端炎は反復する小さな力による障害といえ、下前腸骨棘裂離骨折の前触れとしてみられることがあります。

下前腸骨棘裂離骨折の検査と診断と治療

整形外科、形成外科の医師による診断では、X線(レントゲン)検査を行うと、受傷時はわかりにくいものの、腸骨部に剥離(はくり)した骨折片を認めます。必要に応じてCT(コンピュータ断層撮影)検査を行うと、こちらでも骨折片を確認でき、骨折部のずれの程度を知ることができます。

整形外科、形成外科の医師による治療では、基本的に、骨盤付着部が筋肉に引っ張られないように、股関節を軽度に曲げた肢位での安静による保存的治療を行います。1週間のアイシングを徹底し、1~2週間の安静後に松葉杖(づえ)歩行を行い、歩行時痛がなくなってから可動域訓練と筋力訓練を行います。少しずつ負荷を増やし、8~12週でのスポーツ活動への復帰を目指します。

成長期の障害であるため、骨の癒合は良好で、多少の骨変形が残存しても、骨の癒合が完了して十分な時間が経過すれば、スポーツ活動に支障は少なく、比較的予後は良好です。

骨折片が大きい時、骨折部のずれの大きい時、早期のスポーツ活動への復帰を望む時は、骨折片をスクリューなどで整復固定する手術を行うこともあります。

再発予防のためには、骨盤周囲の筋肉や股関節のストレッチを十分に行うことが重要です。

🟥COP30、合意文書採択し閉幕 脱化石燃料の工程表は見送り

 ブラジル北部ベレンで開かれた国連気候変動枠組み条約第30回締約国会議(COP30)は22日、温室効果ガス排出削減の加速を促す新たな対策などを盛り込んだ合意文書を採択し、閉幕した。争点となっていた「化石燃料からの脱却」の実現に向けたロードマップ(工程表)策定に関する直接的な記述...