2022/08/13

🇵🇱血液型不適合妊娠

母親と胎児の血液型や産生抗体の相性が悪いために、新生児溶血性黄疸が引き起こされる可能性のある妊娠

血液型不適合妊娠とは、母親と胎児の血液型や産生抗体の相性が悪いために、新生児溶血性黄疸(おうだん)が引き起こされる可能性のある妊娠。母子血液型不適合妊娠とも呼ばれます。

新生児溶血性黄疸は、さまざまな原因により新生児の赤血球が急激に破壊され、生後24時間以内に出現する早発黄疸や貧血などの症状が現れる疾患で、この血液型不適合妊娠や母体の疾患によるもの、新生児の赤血球の先天異常によるもの、薬剤や感染によるものの大きく3つに分けられます。

この中では、血液型不適合妊娠に伴う新生児溶血性黄疸が最も多くみられ、母親と新生児の間のABO式血液型不適合妊娠、およびRh式血液型不適合妊娠が代表的です。

ABO式血液型不適合妊娠は、O型の母親がA型もしくはB型の子供を妊娠した場合に起こるものです。このABO式血液型不適合妊娠は全出生の約2パーセントに認められ、ABO式血液型不適合溶血性黄疸の発症頻度は3000人に1人です。

Rh式血液型不適合妊娠は、Rh陰性の母親がRh陽性の子供を妊娠した場合に起こるものです。Rh式血液型不適合妊娠は、ABO式血液型不適合妊娠に比べて重症化することが多くなっています。

どちらの場合も、新生児の血液型抗原が母親に欠如している場合、その血液型抗原に感作されて、これに対する抗体が母親の血液中に産生されます。この抗体は、流産や出産時の胎盤剥離(はくり)の際に、少量の胎児赤血球が母体の血液に入って産生されることが多いため、普通、初回の妊娠では新生児溶血性黄疸は起こりません。

2回目以降の妊娠中には、母親の血液中の抗体が胎盤を通過して胎児の血液中に入ると、抗原抗体反応が起こり、胎児の赤血球が破壊(溶血)される際に、その中のヘモグロビン(血色素)から作られる大量のビリルビン(胆汁色素)ができてしまうことがあります。ビリルビンが胎児の体内で異常に増え、体内に一定量以上残った場合は、組織に蓄積するために皮膚などが黄色くなる黄疸を来します。

ABO式血液型不適合溶血性黄疸は、初回の妊娠から起こり、第1子から発症する可能性もあります。一方、Rh式血液型不適合溶血性黄疸は、Rh陰性の母親がRh陽性の子供を産み、次回の妊娠で胎児がRh陽性である場合に問題になります。日本人のRh陰性の頻度は、約0・5パーセントとされ、200人に1人です。

なお、輸血歴のある女性が輸血血液に感作され、妊娠出産時に特殊な血液型不適合妊娠を示す可能性もあります。

赤血球の破壊(溶血)は、胎児や新生児に貧血をもたらすほか、出生後の新生児に重症黄疸をもたらします。

妊娠中は、大量にできたビリルビンが胎盤を通じて母体へ排出されるため、胎児の黄疸は軽くてすみます。ところが、破壊(溶血)が強い場合は、貧血によって心不全、胎児水腫(すいしゅ)となり、胎内で死亡することもあります。

血液型不適合妊娠の検査と診断と治療

小児科の医師による診断では、ABO式、Rh式血液型など母子間の血液型不適合の有無を調べます。母子間に血液型不適合があり、母体血液中に胎児の赤血球に感作された結果生じた抗体が認められた場合や、新生児の赤血球に胎盤を通して移行してきた母親由来の抗体が認められた場合に、診断が確定します。

小児科の医師による治療では、新生児の血液中のビリルビン値により、光線療法や、免疫グロブリンの点滴静注を行い、新生児溶血性黄疸の改善に努めます。重症例では、交換輸血が必要です。

光線療法は、新生児を裸にして強い光を照射することで、脂溶性の間接型ビリルビンを水溶性のサイクロビリルビンに化学変化させる治療法です。水に溶けやすいサイクロビリルビンは尿によって排出されるため、体の中のビリルビンは速やかに減少します。

光線療法でビリルビン値が下がらない場合には、交換輸血を行います。新生児自身の血液をゆっくり取り出しながら、見合う量を輸血する治療法で、新生児自身の約85パーセントの血液が交換されます。

免疫グロブリンの点滴静注は、第2子以降のRh式血液型不適合溶血性黄疸を予防するための治療で、第1子出産直後に、抗Rh抗体を含むγ(ガンマ)グロブリンを母体に点滴静注し、2回目以降の妊娠の際に胎児の血液中で抗原抗体反応が起こらないようにします。

なお、Rh式血液型不適合妊娠において、妊娠中に胎児が溶血性黄疸にかかって極度の貧血になり死亡してしまう恐れが場合は、治療として早期に出産させて交換輸血を行うか、子宮内胎児輸血を行う必要があります。

子宮内胎児輸血には、超音波ガイド下に胎児の腹腔(ふくくう)内に母体側の抗体によって溶血されないRh陰性の濃厚赤血球を注入する胎児腹腔内輸血法と、直接胎児の血管内に輸血する胎児血管内輸血法の2つがあります。

🇵🇱結核

結核菌による感染症で、2万5000人が発症

結核とは、結核菌によって主に肺に炎症を起こす感染症。昔の疾患、あるいは発展途上国の疾患と考えられがちですが、日本では2007年の1年間で2万5000人余が新たに発症し、約1割の人が亡くなっています。

明治時代から昭和20年代にかけて、長らく死因のトップで国民病、亡国病とも呼ばれていた結核も、国を挙げて予防や治療に取り組んで死亡者は激減しましたが、現在でも決して発症者数の少ない感染症ではありません。人口10万人当たり発症者は19・8人と、米独仏伊などの10人以下に比べて高く、世界保健機関(WHO)の分類では、中まん延国とされています。

人口10万人当たり10人以下の低まん延国になるには10年以上、日本から結核を根絶できるまでには50年以上かかるだろうという予測もあります。結核をなかなか根絶できないのは、結核菌がしぶとい菌だからです。世界に目を転じれば、結核はアジアやアフリカで猛威を奮い、2006年には165万人が命を落としています。

日本の結核を巡る状況は、新しい時代に移りました。2005年4月1日に結核予防法がおよそ50年ぶりに改正され、乳幼児へのツベルクリン反応検査は廃止され、BCG接種を生後6カ月までに行うこととなり、定期結核健診の対象も変更されました。

一方、結核の抱える問題は多様化し、発症者の高齢化、都市部への集中、重症発症の増加などが認められるほか、集団感染の発生もなかなか減らず、20年前と比べて20、30歳代の発症者の減り方が他の世代に比べて鈍くなっています。

現在の高齢者は若い頃に結核流行時を経験しているため、すでに結核に感染している人が多く、体力と免疫力が低下した時に、眠っていた結核菌が目を覚まして増殖し始め、結核を発症しやすくなります。2007年の発症者のうち、70歳以上が48パーセントを占めています。

反対に、若い世代の多くは結核菌に未感染のため、結核菌を吸い込むと感染しやすく、比較的早い時期に発症する危険があります。さらに、若年層で増加するエイズ(AIDS、免疫不全症候群)と結核感染が重なると死期を早めるため、十分な注意が必要です。

結核に感染しても、必ず発症するわけではありません。発症する確率は、10人に1人程度です。通常は免疫機能が働いて、結核菌の増殖を抑えます。ただ、免疫力だけでは結核菌を殺すことはできないので、高齢になって免疫力が弱まると発症するというケースが増えているのです。免疫力の弱い乳幼児も、発症しやすくなります。

結核は、結核の発症者と接触してもそれほど簡単に感染することはありません。結核の感染は、次の4つの条件がそろうことによって決まります。

(1)感染源となる重症の発症者の、たんの中に結核菌が出ていること。たんを塗抹して調べたら、大量の菌がみられたという塗抹陽性の場合が、特に危険です。

(2)重症の発症者が激しいせきをしていること。結核菌は、せきをした際に飛び散る、飛沫(ひまつ)の中に含まれています。せきがなければ、結核菌が外に飛び散ることはめったにありません。

(3)感染を受ける側の人は、今までに結核に感染していないこと。なぜなら、すでに一度、結核に感染している人が再び感染する再感染および重感染は、普通まずあり得ないからです。

(4)感染源の発症者と感染を受ける人が、ある程度の距離で接触していること。結核は空気感染するといわれています。せき、あるいは、くしゃみの時に飛び散った飛沫の液体成分が蒸発すると、中にあった菌は裸の状態となります。こうなると軽いので、空気の流れに乗って思わぬ遠いところにいる人が感染することもあります。しかし、普通は話をする程度の距離で接触した場合に感染することが多いようです。

食べ物や食器を通して、結核が伝染することはありません。たんの中に結核菌を出していない軽症の発症者から、感染を受ける恐れもありません。重症の発症者でも結核の薬を飲み始めると、たんの中の菌は激減しますので、せきが止まれば周囲の人が感染を受ける危険性は少なくなります。

結核の約8割を占める肺結核の症状は、せき、たん、微熱、体重減少、胸痛、血痰(けったん)など。せきは最も多くて、80パーセントの肺結核発症者が訴えています。病状はゆっくり進行するので、初めは喫煙、風邪の名残、あるいは喘息(ぜんそく)が原因ではないかと思っているうちに、朝、せきをすると黄色や緑色のたんが出るようになり、やがて血液の筋が混じるようになります。たんに大量の血液が混じることは、まれです。

夜中におびただしい量の寝汗が出ることも、もう1つの症状です。汗が大量で、寝間着や寝具まで取り換えなければならないこともあります。ただし、寝汗は結核だけに特有のものではありません。せきと寝汗に加えて、全体的に気分が優れず、元気や食欲もなくなってきます。少したってから、体重も減少してきます。

急に息切れがして胸痛がある場合は、肺と胸壁の間に空気(気胸)または水(胸水)がたまっている徴候です。結核の約3分の1は、胸水から症状が始まります。放置すると、感染が肺に広がるにつれて息切れが強くなります。

新しい結核感染症の場合、菌は肺から付近のリンパ節まで移動します。体の自然な免疫機能が感染症を制御できれば、そこで感染症は止まり、菌は休眠状態になります。ところが、乳幼児の場合は自然の免疫機能が万全でないため、気管支や動脈、静脈が肺に入っていく部分の肺門にあって、肺のリンパ液の大部分が集められて流れ込んくる肺門リンパ節に結核性病巣ができて、大きくはれます。気管を圧迫し、高い音の空せきが出て、場合によっては肺虚脱まで起こることがあります。

また、リンパ管を伝って首のリンパ節まで感染症が広がる頸部(けいぶ)リンパ節結核になることもあり、はれたリンパ節から膿(うみ)が皮膚を破って出てきます。

肺以外の結核、すなわち肺外結核は、結核菌が血管を通って全身にばらまかれ、そこに病巣を作る粟粒(ぞくりゅう)結核によって起こります。肺外結核は腎(じん)臓とリンパ節に起こるものが最も多く、骨、脳、腹腔(ふくこう)、心膜、関節、生殖器にも起こります。疲労、食欲不振、時々出る熱、発汗、時に体重減少がある以外は症状に乏しく、結核が生じた部位によって痛みや不快感があったり、なかったりします。

脳や脊髄(せきずい)を包む髄膜に感染する結核性髄膜炎は、致死的な病気です。発熱、持続する頭痛などの症状で始まり、やがて嘔吐(おうと)、意識障害など重篤な症状を呈します。早い時期に強力な治療を始めないと、まひ、認知症など重大な後遺症を残すことがあり、救命できない場合も少なくありません。

結核は脳に感染することもあり、結核腫(しゅ)という病巣ができることがあります。結核腫は、頭痛、けいれん発作、筋肉脱力感などの症状を起こします。結核性心膜炎は、心膜を侵す結核です。この感染が起こると心膜が厚くなり、心臓と心膜の間に水がたまります。こうなると、心臓のポンプ機能が損なわれ、頸静脈がふくれ、呼吸が苦しくなります。

結核予防のためのBCG接種を受けていない人の場合には、結核への初めての感染に引き続いて肺門リンパ節がはれたり、4~5カ月で結核性髄膜炎になるなど、比較的早期に発症することが少なくありません。

BCG接種を受けている人の場合には、結核性髄膜炎など重い疾患は約80パーセント、肺結核は約50パーセント防止できますので、発症率はずっと低くなります。たとえ発症しても、感染後6カ月くらいたってからのことが多く、病状自体も軽くすみます。

ただし、BCGの効果は絶対的なものではないので、発症を完全に防ぐわけではないこと、一度感染を受けると、3~5年の間は大丈夫でも、もっと後になって発病することがあることを知っておいてください。

結核の検査と診断と治療

せき、たん、微熱、体重減少、胸痛、血痰などの症状が出た時、特に2週間以上たっても治らない時、あるいは治ったと思っても繰り返す時には、風邪をこじらせたか、あるいは結核も含めた何らかの呼吸器感染症かもしれないので、念のため、検査することが勧められます。

結核の感染を調べるには、ツベルクリン反応検査とQFT(クオンティフェロン®TBー2G)検査が行われます。ツベルクリン反応検査だけでは、結核菌に感染したのか、類似の非結核性抗酸菌に感染したのか、BCG接種の影響であるのかを区別できません。QFT検査はより精度が高く、2006年1月1日から保険適用されています。

結核の発症を調べるには、胸部X線検査が行われます。X線撮影では、白黒が反転して映ります。肺は空気が多いためX線を通しやすく、全体に明るく(=黒く)映ります。この肺の中に暗く(=白く)映る影があれば、何らか異常があると考えられます。

結核菌の質を調べるには、喀痰(かくたん)検査が行われます。たんを顕微鏡で見て細菌を調べたり、菌の一部を培養したりして、菌の種類を見極めます。

結核を発症したとしても、せき、たんと共に結核菌が空気中に吐き出されていない場合は、他の人に感染させる心配はありませんので、入院しなくても通院で治療ができます。医師による治療の基本は、服薬です。1944年にストレプトマイシンが開発されて以降、続々と抗結核薬が開発され、今では10種類以上の抗結核薬があります。このため結核の治療は、昔とは比べものにならないほど進歩しました。

とりわけリファンピシンという薬ができてから、治療成績はまた一段とよくなりました。リファンピシンはほかの薬に比べ、殺菌力が非常に強いからです。今では特別に重症や高齢の患者でない限り、肺結核患者は100パーセント治すことができるといえるほどです。

治療では普通、最初の2カ月間はリファンピシン、ヒドラジド、ピラジナミド、エタンブトールまたはストレプトマイシンの4種類の薬を使い、その後はリファンピシンとヒドラジドの2種類、または、エタンブトールを加えた3種類の薬にし、合計6カ月で治療を完了します。

ピラジナミドを初め2カ月間使うと殺菌力が強く有効ですが、80歳以上の高齢者や肝機能障害のある人には使えません。この場合には、治療は6カ月では短すぎ、最も短くて9カ月の治療が必要です。

たんの中に結核菌が出ていず、結核菌が増殖する病巣である空洞が胸部X線検査でも見えない軽症の場合にも、同じ治療が進められます。最近はヒドラジドの耐性が増えているので、初めから2つの薬だけで治療することは進められず、少なくとも最初は3つの薬で治療することが必要です。

結核の服薬治療で大切なことは、以下の3点になります。

(1)薬を確実に服用すること。結核が治るようになったのは、抗結核薬ができたからで、結核という疾患が変わったわけではありません。薬を飲まなければ昔と同じで、結核は非常に恐ろしい疾患であることに変わりはありません。せきが治まったからといって治療の途中で薬をやめてしまうと、菌は薬への耐性を増し、時に薬の効かない多剤耐性菌になることがありますので、医師の指示を守って服薬を続けてください。

(2)必ず全部の薬を飲むこと。結核の治療は2種類または3~4種類の薬を同時に使うことが原則です。どれかを飲むのを忘れ、例えば1種類だけの薬を服用すると、その薬に対し、結核菌が耐性になり、効かなくなってしまうことがあります。こうして一度効かなくなってしまうと、元には戻りません。抗結核薬のうち最も強力で副作用が少ないのがリファンピシンとヒドラジドで、このどちらかに耐性をつけてしまうと治療は難しくなりますし、副作用の多い薬を飲まなければならなくなります。全部の薬を必ず飲むことが必要です。

(3)最初の2カ月間の薬の服用を特に大切にすること。もちろん、6カ月ないし12カ月、場合によってはもっと長期間の服薬はすべて確実に行うことが大切ですが、特に最初の2カ月間の服薬がポイントです。初めのうち、疾患発見のショックや、胃腸の調子が悪いなどのために、服薬が不確実になることが少なくありません。しかし、病巣内には多数の結核菌がいますので、強力な治療が必要。初めにいい加減に飲んでいては、後になって一生懸命に飲んでも、病巣は治りにくくなり耐性ができたりしますので、初めのマイナスは取り戻せないのです。抗結核薬の服用は副作用を伴うこともあるので、疑問があれば小さなことでも主治医に相談してください。

なお、結核は継続して治療が受けられるように、2005年4月1日に改正された結核予防法に基づく結核医療費公費負担制度により、治療が公費により負担される場合があります。このような負担制度の詳細につきましては、最寄りの保健所に相談してください。

改正された結核予防法では、高齢者や、大都市などの特定地域に発症者が集中している状況に対応するため、集団から個々のリスクに応じた、予防・治療中心の対策を中心としています。具体的には、リスクに応じた健康診断の実施、乳幼児期のツベルクリン反応検査を廃止しBCGの直接接種の導入、DOTS(ドッツ、直接服薬確認療法)体制の強化、国・都道府県による結核予防計画の策定、といった内容が盛り込まれています。

DOTSとは、服薬を確実にするために、確実に服薬したことをチェックしながら行う治療法です。チェックは、看護師、保健師、薬剤師など実情に応じてさまざまな医療従事者により、いろいろな方法で行われています。治療の途中で服薬を止めてしまうのを防ぐためにもDOTSは有効で、入院患者に対する院内DOTSから始めて、退院者への手厚いケアを行う地域DOTSの必要も叫ばれています。

🇵🇱結核性脊椎炎

肺結核から二次的に起こる骨関節結核の一つ

結核性脊椎(せきつい)炎とは、肺の病巣の結核菌が血流に乗って脊椎に到着し、転移して脊椎を破壊する疾患。肺結核から二次的に起こる骨関節結核のうちで代表的な疾患であり、脊椎カリエスとも呼ばれます。

この結核性脊椎炎は、昭和40年代に非常に多くみられました。背骨の痛みといえば結核性脊椎炎といわれ、治療の困難な疾患でした。しかし、抗結核化学療法(ストレプトマイシン)が発達して以降は急激に減少し、近年ではほとんどみることがなくなりましたが、根絶したわけではありません。

現在、結核にかかっている人はもちろんのこと、過去に結核にかかった経験がある人も発症の危険性がある疾患であるため、安心することはできません。過去に結核にかかったことがある人は、結核菌が体内で生き続けていて、体力や免疫力が弱った時などに発症することがあるからです。

胸椎と腰椎部に多く発生し、初期は背中が痛んだり、病巣部を背中からたたくと痛みを感じたりします。腰が痛んだり、足を動かすと腰の痛みが強くなったり、安静にしても痛んだりすることもあります。全身的な反応として、微熱、赤血球沈降速度の促進がみられます。

進行してくると、脊椎の周囲の筋肉が硬くなって脊椎運動制限が現れ、次に椎体運動制限が現れ、さらに進むと椎体が破壊されて脊柱の後湾変形、いわゆる亀背(きはい)がみられます。この時期には、腹部や臀部(でんぶ)に大量のうみがたまり、脊椎を圧迫し、排便障害、排尿障害、下肢まひなどを生ずることもあります。

周囲に結核の人や過去に結核にかかった人がいて、症状に心当たりがある場合は速やかに整形外科、ないし内科の専門医を受診する必要があります。結核性脊椎炎と診断されれば、結核予防法が適用され、結核菌を排出しているかどうかなどを調べて、周囲への感染を防ぐ必要があります。早期に発見し、治療を開始すれば、変形を残さず治ります。

医師の診断では、X線検査が不可欠で、X線写真をみると椎間板が狭くなり、脊椎の不整像や楔(くさび)状化が見られます。胸椎部では、たまったうみが脊椎周囲に紡錘状に映ることもあります。ただし、早期ではX線写真に特徴的な所見がみられないこともあるので、必ずしも安心できません。

結核性脊椎炎の治療は、安静と抗結核化学療法(ストレプトマイシン)が基本です。1~2年間の抗結核化学療法とコルセットの装着が必要で、治すのに忍耐が必要です。

痛みが強く安静にしていても治る気配がない場合や、浸出したうみが神経を圧迫しているような場合、X線写真で死んだ骨(腐骨)などが見付かった場合には、手術して病巣を摘出する脊椎固定術を行うと、治癒を早めることができます。

🇸🇰血管運動性鼻炎

特定のはっきりした原因が不明ながら、くしゃみ、鼻水、鼻詰まりが起こる鼻炎

血管運動性鼻炎とは、アレルギー反応の関与が証明できないため原因がはっきりしないものの、鼻粘膜の自律神経の過敏反応により、くしゃみ、鼻水(鼻汁)、鼻詰まり(鼻閉)などの症状を示す疾患。血管運動神経性鼻炎、寒暖差アレルギーとも呼ばれます。

くしゃみ、鼻水、鼻詰まりは、体への異物の侵入を阻止し、排除しようとする防御のメカニズムで、これらの症状が過剰に現れた状態を鼻過敏症といいます。鼻過敏症には、血管運動性鼻炎とアレルギー性鼻炎の2つがあり、ほぼ同じ症状を示します。

鼻の粘膜でアレルギー反応が起こるのがアレルギー性鼻炎で、繰り返す発作性のくしゃみ、鼻水、鼻詰まりの3つが主な症状。鼻から吸い込まれた抗原(アレルゲン)が、鼻の粘膜でアレルギー反応を起こして発症することから、空気中を浮遊している抗原が原因となります。代表的な抗原は、ハウスダスト(室内のほこり)やダニ、花粉などです。

一方、血管運動性鼻炎は、特定のはっきりした原因が不明なものの、アレルギー性鼻炎とほぼ同じ症状を示します。ただし、アレルギー性鼻炎とは異なり、鼻や目のかゆみは起こりません。

特定できないものの、鼻粘膜の無意識に作用する自律神経の働きが過敏になって発症すると考えられています。自律神経の働きを過敏にさせる要因には、急激な温度変化、寝不足や慢性的な疲れ、精神的なストレス、たばこの煙の吸入、化粧品などの香料の吸入、飲酒などがあります。

特に、温度変化によって引き起こされることが多く、暖かい場所から寒い場所へ移動した時や、熱い物を食べた時などに症状が現れやすく、空気が乾燥すると悪化するという特徴があります。

例えば、寒暖差の大きい冬の朝、暖かい布団から抜け出た直後から鼻の血管が拡張し、鼻粘膜の細胞から滲出(しんしゅつ)液がにじみ出て鼻粘膜がむくみ、水様性の鼻水が分泌される状態がしばらく続き、食事を終えて出勤、登校するころになると、周囲の温度に慣れて症状が治まってきます。しかし、暖かい家から空気の冷たい戸外へ出た時には、症状が再発します。

逆に、夜になり布団に入って暖まってくると、鼻詰まりなどの症状がしばらく続きます。鼻詰まりがひどくなると、鼻での呼吸が十分にできなくなり口で呼吸するようになるため、のどの痛みやいびき、不眠、注意力散漫などの症状が出ることもあります。

血管運動性鼻炎の症状は、冬に限ったものではなく、冷房の効いた夏場など年間を通じて起こり得ます。暑い戸外から冷房の効いた室内に入った時などに、鼻水が分泌されて不調になる症状が出ることも多々あります。

年間を通じてよくなったり悪くなったりを繰り返し、症状が数週間続く場合もあれば、すぐに治まることもあります。

くしゃみや鼻水などの症状が長引く場合は、耳鼻咽喉(いんこう)科を受診し、自分に合った治療やアドバイスを受けることが勧められます。

血管運動性鼻炎の検査と診断と治療

耳鼻咽喉科の医師による診断では、まず、くしゃみ、鼻水、鼻詰まりの3つの症状が1年中起こるのか、あるいは春や冬の季節などに限定して起こるのかを調べます。それをもとに、アレルギー性鼻炎かどうか、もしそうならば原因となる抗原は何かを鼻汁検査、特異的IgE抗体検査、皮膚テスト、鼻粘膜誘発テストを行って調べます。

検査結果で陽性を示す場合に、アレルギー性鼻炎と確定します。検査結果で陰性を示し、抗原(アレルゲン)を特定できない場合に、血管運動性鼻炎と確定します。

耳鼻咽喉科の医師による治療では、アレルギー性鼻炎の場合は抗原の除去・吸入回避が重要ですが、血管運動性鼻炎の場合はアレルギー反応の関与が証明できないので、症状を抑える対症療法を主体に行います。

薬物療法では、抗ヒスタミン薬や漢方薬などの内服薬、副腎(ふくじん)皮質ホルモンや抗ヒスタミン剤が含まれる点鼻薬を主に使います。しかし、長期間の経過観察が必要です。症状を抑える薬を使用すると、その時は改善しても、再発することが多く、完全に治ることが難しいからです。

薬物療法に効果を示さない場合は、手術療法を行うこともあります。鼻詰まりに対しては、鼻粘膜の一部を固める電気凝固術やレーザー手術、凍結手術、鼻粘膜の一部を切り取る鼻粘膜切除術などがあります。また、鼻水に対しては、自律神経の副交感神経を遮断する後鼻神経切断術が行われることもあります。

血管運動性鼻炎に関しては、睡眠不足にならない、精神的ストレスをためない、たばこの煙を吸わない、アルコールを飲みすぎない、規則正しい生活とバランスの取れた食事を心掛ける、適度な運動をして体力を付けるなどの点に注意し、症状を悪化させない努力も大事です。

また、体を温めることが効果的です。朝起きたら家の中で軽く体を動かすなど、血行をよくして体を温めると、症状が治まることもあります。服を一枚多く着て体温を調整すると、症状が治まることもあります。

🇸🇰血管拡張性環状紫斑

下肢に環状の紫斑ができ、慢性化して褐色調の色素沈着をみる皮膚疾患

血管拡張性環状紫斑(しはん)とは、主に下肢の両側に紫色の点状斑が多発して環状に配列し、慢性化するうち、次第に褐色調の色素沈着をみるようになる皮膚疾患。マヨッキー紫斑、マヨッキー血管拡張性環状紫斑とも呼ばれます。

この血管拡張性環状紫斑は、慢性(特発性)色素性紫斑という疾患群の一つに分類されています。その慢性色素性紫斑には、血管拡張性環状紫斑のほかに、不規則な斑(まだら)ができるシャンバーグ病、丘疹(きゅうしん)状の皮疹をみる色素性紫斑性苔癬(たいせん)様皮膚炎(グージュロー・ブルム病)、かゆみの強い瘙痒(そうよう)性紫斑など、いくつかの型があります。

血管拡張性環状紫斑は比較的まれな皮膚疾患ですが、中年以降の人に好発し、やや女性に多くみられます。時に小児、若年者にもみられます。

真の原因は不明ながら、静脈性の微小循環障害と毛細血管壁の弱さが関係するものと考えられています。また、何らかの遅延型過敏反応であるという説もあり、衣類の接触、扁桃(へんとう)炎などからの病巣感染、ある種の薬剤の関与などを指摘する報告などがあります。

紫色の点状斑の多発で始まり、毛細血管が拡張し、次第に進行して環状に配列する紫斑となります。この環状の紫斑が主体で、通常、かゆみなどの自覚症状はありません。紫斑は赤血球を主とする血液が皮膚の表面近くの微小な毛細血管壁から漏れた状態で、皮膚に出血がみられますが、血液学的に異常はなく、内臓などの全身臓器からの出血はありません。内臓疾患、他の全身症状を伴うことはなく、予後も心配ありません。

基本的に下肢、特に下腿(かたい)の裏側が好発部位で、おおかたは両脚に発症します。紫色の環状斑が大腿、腰臀(ようでん)部へと拡大することもあり、ひどいと手や上半身にも出ることもあります。色はやがて薄れてゆきますが、しばしば新生を繰り返して慢性化し、数年に渡ることもあります。

慢性化すると、褐色調の色素沈着を来します。沈着する色素は、メラニンだけでなく主にヘモジデリン。ヘモジデリンは、赤血球の中にあるヘモグロビンに由来する褐色調の顆粒状あるいは結晶様の色素であり、鉄を含んでいます。

血液の疾患や血管の疾患で、血管拡張性環状紫斑と似たような症状が出ることもあります。血管拡張性環状紫斑に気付いたら、疾患を正しく把握するためにも、皮膚科、ないし皮膚泌尿器科の医師に相談してみることが勧められます。

血管拡張性環状紫斑の検査と診断と治療

皮膚科、ないし皮膚泌尿器科の医師による診断では、出血傾向の一般検査を行い、血液学的に異常をみないことを確認します。組織を病理検査すると、慢性的な出血性の炎症がみられ、真皮上層の血管周囲にリンパ球浸潤、血管拡張および出血を認めます。病変部は明らかな色素の沈着を残すので、診断は比較的容易です。うっ滞性紫斑との鑑別が必要です。

積極的な治療の必要はありません。症状の程度によって、ビタミンCなどの血管強化剤、止血剤、抗プラスミン剤、抗炎症剤などが使用されます。病因を絶つ根本治療ではなく、対症的治療にとどまります。

適当な強さの副腎(ふくじん)皮質ホルモン剤(ステロイド剤)の外用が有効なことがあります。慢性かつ進行性で一進一退を繰り返し難治性ですが、自然軽快もあり得ます。

対症的治療にとどまるため、症状が悪化しないように下肢の安静や、足先を少し高くして休むようにする挙上を心掛けることが重要です。弾性ストッキングの着用が有効な場合もあります。

衣類の接触とともに、使用中の薬剤などが疾患を悪化させているかどうかを観察し、日常生活の中で関係していると思われるものがあれば、それを避けるようにします。下肢の血液の循環に負担をかけないように心掛けることが大切で、長時間の歩行、立ち仕事などは避けるようにします。

🇸🇰血管脂肪腫

脂肪腫の特殊なタイプで、血管成分が多く、四肢や体幹の皮下組織に多発する腫瘍

血管脂肪腫(しゅ)とは、四肢や体幹などの皮下組織に多発し、脂肪組織と血管組織からなる良性の腫瘍(しゅよう)。多発性血管脂肪腫とも呼ばれます。

皮膚のすぐ下に脂肪組織が蓄積して発生する良性腫瘍である脂肪腫の特殊なタイプで、脂肪腫の約10パーセントを血管脂肪腫が占めると見なされます。

通常の脂肪腫は痛みやかゆみなどの自覚症状がなく、ゆっくり増大する軟らかな腫瘍であるのに対して、血管脂肪腫では軽い自発痛や圧痛が認められることが多いのが特徴の一つで、脂肪腫より境界がはっきりとし、やや硬い感じがします。

血管脂肪腫の大きさは直径1〜2センチ程度までのものが多く、小さめです。しかし、腫瘍が発生してから大きくなるまでの期間が短く、まれに鶏卵並みの大きさになることもあります。

中高年の男性に好発し、上肢、下肢、腰腹部にしばしば多発しますが、頭部、顔面、手のひら、足底に発生することはまれです。

血管脂肪腫は繊維質の薄い膜に包まれてできていることが一般的で、赤色が混じった白色をしています。顕微鏡で組織を検査した場合、さまざまな割合で脂肪組織と毛細血管組織から構成されています。

血管脂肪腫が発生する詳しい原因は、不明です。元々ある血管腫が脂肪組織内に侵入して血管脂肪腫になるという説や、脂肪腫として発生した組織の辺縁にある血管が外的刺激で血栓を生じ、内皮細胞が増殖して血管脂肪腫になるという説などがあります。

残念ながら、一度発生すると自然に消えることはまずありません。血管脂肪腫の受診科は、皮膚科、皮膚泌尿器科、整形外科、形成外科です。

血管脂肪腫の検査と診断と治療

皮膚科、皮膚泌尿器科、整形外科、形成外科の医師による診断では、ほとんどの場合は皮膚症状だけで判断できます。触診で疑問があったり、変わった部位に発生している場合は、そのほかの種類の腫瘍である疑いも出てきますので、超音波(エコー)検査、CT(コンピュータ断層撮影)検査、MRI(磁気共鳴画像撮影)検査を行います。

それでもはっきりしない場合は、確定診断のために、局所麻酔をしてから腫瘍の一部を切り取り、顕微鏡で調べる検査である生検を行います。画像検査では、悪性腫瘍に分類される脂肪肉腫と区別が困難なこともあり、生検を行ったほうがよいこともあります。

皮膚科、皮膚泌尿器科、整形外科、形成外科の医師による治療では、部位的に接触することが多くて痛みを感じる場合、化膿(かのう)した場合、関節の部位に発生して普通の動きを妨げる場合、大きくなってきた場合、体の比較的目立つ部位に発生し見掛けが気になる場合は、手術によって血管脂肪腫を摘出します。

手術では局所麻酔をした上、腫瘍の直上をほぼ腫瘍の直径に一致するように切開し、被膜を破らないように周囲組織からはがして、赤色が混じった白い脂肪の塊を摘出します。摘出後は、血がたまる血腫を予防するため十分に止血し、縫合処置を施します。

必要に応じて、ドレーン(誘導管)という合成樹脂性のゴムを挿入し、貯留する血液や浸出液を体外へ排出する処置を施し、切開部を圧迫、固定する縫合処置を施すこともあります。ドレーンは2日後に取り除き、1週間後に抜糸します。

このようにして摘出した血管脂肪腫の再発は、まれです。

🇨🇿血管腫(赤あざ)

皮膚の毛細血管の増殖、拡張でできる赤あざ

血管腫(しゅ)とは、真皮および皮下組織の中にある毛細血管の増殖、拡張を主としてできる母斑。内部の血液によって皮膚表面は赤く見えるので、赤あざとも呼ばれます。

異常を示す血管のある部位と、血管の構造の違いにより、いろいろの型があります。代表的なものは、ポートワイン母斑(単純性血管腫)、正中線母斑(サーモンパッチ)・ウンナ母斑、苺(いちご)状血管腫(ストロベリーマーク)です。

ポートワイン母斑(単純性血管腫)は、赤ブドウ酒色をした皮膚と同じ高さの平らで、境界が鮮明な斑です。 普通は出生時からあって、その後、拡大することも、自然に消えることもありません。加齢とともに少し膨らみ、いぼ様の隆起が出現することもあります。

この母斑は、真皮の上の部分の毛細血管の拡張、充血の結果できるものです。多くは、美容的な問題があるだけであり、放置してもかまいません。ただし、この型の大きな血管腫が顔の片側にある時は、スタージ・ウェーバー症候群といって、眼球や脳の中に血管腫が合併することがあります。

また、片側の腕や下肢に大きな血管腫がある時は、クリッペル・ウェーバー症候群といって、その部分の筋肉や骨の肥大などの合併症がある場合があるので、注意が必要です。

正中線母斑(サーモンパッチ)・ウンナ母斑は、乳幼児の顔、後頭部の正中線に沿ってみられる、淡紅色ないし暗赤色の毛細血管の拡張した赤い斑点です。額、眉間(みけん)、上まぶたにあるものを正中線母斑、またはサーモンパッチといい、1歳から3歳までの間に自然に消退するものの、完全ではありません。

また、うなじから後頭部にみられるものをウンナ母斑といい、消退するのに時間がややかかり、また一生消えない場合もあります。

苺状血管腫(ストロベリーマーク)は、出生時より、または生後間もなく出現する赤色、ないし暗赤色の軟らかい小腫瘤(しゅりゅう)で、表面が苺の実のように粒々しています。

出生後、半年から2年までは急速に増大して、大きいものでは鶏卵大以上の大きなしこりになることもあるものの、5~6歳ころまでには完全に消失します。このあざは、真皮内に未熟な血管がたくさん増殖するためにできるものです。

自然に治るので慌てて治療する必要はありませんが、未熟な血管の集団があるため、外傷を受けるとなかなか出血が止まらないことがあるので、注意が必要です。出血した時には、清潔なタオルかガーゼで十分に圧迫して、出血が止まるまで押さえておく必要があります。

血管腫の検査と診断と治療

血管腫を早期に的確に診断することは、必ずしも簡単ではありません。皮膚科専門医を受診して、診断を確定するとともに治療法についても相談します。

医師は通常、見た目と経過から診断します。スタージ・ウェーバー症候群やクリッペル・ウェーバー症候群が疑われる場合には、画像検査などが必要になります。

ポートワイン母斑(単純性血管腫)に対しては、パルス色素レーザー治療が第一選択です。うすいあざなので、手術をすると残った傷が目立つためです。レーザー治療の効果の程度は病変の深さによって違いますが、傷を残さずにほとんどの赤あざを消退させることができます。乳幼児期から開始する早期治療が、有効です。

カバーマークによる化粧で色を隠すのも、選択肢の一つです。

顔面の正中線母斑(サーモンパッチ)は、自然に消えていく場合が多いので、治療せずに経過をみます。完全に消えない場合には、露出部位のあざなので、パルス色素レーザー治療が勧められます。ウンナ母斑は、髪に隠れて目立たない部位に生じるので、ほとんど治療しません。

苺状血管腫(ストロベリーマーク)は自然に消えていくので、特に合併症の危険がない大部分のものは無治療で経過をみて差し支えありません。ただし、まぶたに生じ、目をふさいでしまうようになったものや気道をふさぐものなどは早急な治療が必要です。

即効的な治療として、副腎(ふくじん)皮質ステロイド剤の大量投与が行われます。効果が不十分な場合には、インターフェロンαの連日皮下注射が行われる場合もあります。これらの治療は効果的ですが、いずれも重い副作用を生じる可能性があります。

単に色調だけを自然経過よりも早期に淡くしたい場合には、パルス色素レーザー治療を行います。この治療は副作用が少ないのですが、こぶを小さくする効果は期待できません。こぶを縮小するためには、内部にヤグレーザーを照射します。

🟥COP30、合意文書採択し閉幕 脱化石燃料の工程表は見送り

 ブラジル北部ベレンで開かれた国連気候変動枠組み条約第30回締約国会議(COP30)は22日、温室効果ガス排出削減の加速を促す新たな対策などを盛り込んだ合意文書を採択し、閉幕した。争点となっていた「化石燃料からの脱却」の実現に向けたロードマップ(工程表)策定に関する直接的な記述...