2022/08/16

🇸🇪腓腹筋肉離れ

テニスなどの運動をする人に、ふくらはぎの腓腹筋の肉離れが起こる障害

腓腹筋(ひふくきん)肉離れとは、ふくらはぎの筋肉の1つである腓腹筋が肉離れを起こす障害。テニスをする人に起こりやすいことから、テニスレッグとも呼ばれます。

ふくらはぎは、ヒラメ筋と腓腹筋で構成され、一般にはこの筋肉群を下腿(かたい)三角筋と呼んでいます。そのうち、膝(ひざ)の少し上の部分の大腿骨からかかとまでの間に大きく伸びている腓腹筋は、すねの部分の骨と足の骨をつないでいるヒラメ筋を覆う場所に位置しています。ヒラメ筋と腓腹筋の下端は合わさって、アキレス腱となっています。

構造上、腓腹筋は肉離れを起こしやすいのですが、これにテニスなどの運動中に強い張力が加わることで、筋肉の繊維や膜が伸ばされて損傷や断裂が生じるのです。つまり、原因は限界以上の張力が腓腹筋に掛かってしまうことです。

特に、コートを前後左右に激しく動くテニスでは、突発的な方向転換で地面をけり、足首に力を入れて強く踏み込む動作や、サーブのような足関節を背屈させて前方に重心を移動させる動作で、瞬間的に強い張力が掛かるため、腓腹筋肉離れを起こしやすいといわれています。

ほかにも、急なダッシュやストップ動作、ジャンプなどの動作が必要になる短距離走やハードル、バスケットボール、サッカーなどでも、腓腹筋肉離れを起こす可能性があります。運動不足の人では、日常的な動作で起こす可能性もあります。

ふくらはぎの内側の腓腹筋の一部に肉離れを起こすことが一番多く、中にはアキレス腱の断裂を伴うことがあります。

腓腹筋肉離れを起こした際の主な症状は、急激に起こる痛みです。太ももなどほかの部位の肉離れと同様、非常に強い痛みが伴うために、運動の継続はもちろん、歩くことさえ難しくなります。

ようやく歩くことはできたとしても、ふくらはぎに負荷が掛かった途端に激しい痛みを感じることが多く、症状が重い場合には松葉杖(づえ)などが必要になってきます。

テニスをする人に注意が必要なのは、加齢とともに腓腹筋肉離れのリスクが高くなることで、多くは中高年にみられます。若いころと同じ感覚でふくらはぎに負荷をかけると、たちまち症状に見舞われるケースもあります。

腓腹筋肉離れは復帰に時間がかかる障害なので、なるべく早期に整形外科を受診して治療を受け、復帰に向けたリハビリに多くの時間が割けるようにするのがポイントです。

腓腹筋肉離れの検査と診断と治療

整形外科の医師による診断では、受傷時の状況と症状から、腓腹筋肉離れを疑います。腓腹筋の損傷や筋膜の断裂の確定診断には、MRI(磁気共鳴画像撮影)検査や超音波(エコー)検査が有効です。

整形外科の医師による治療では、原則、保存療法で対処しますが、どの部位の肉離れでも発生時にはアイシングと圧迫が必要になります。その上で圧迫のためのテーピング固定や弾性包帯での固定を行い、筋肉の繊維が修復するのを待ちます。

損傷の大きさにもよりますが、1~2週間程度は固定します。痛みが取れ始めたら、ストレッチで筋肉を動かしていき、筋肉の柔軟性を取り戻します。

部分断裂(筋損傷、筋膜断裂)のほとんどの症例は1カ月程度で治りますが、完全断裂(筋断裂)では長期に及んだり、手術を行って筋肉を縫い合せることもあります。

腓腹筋肉離れの予防には、筋肉を柔軟にするストレッチが大変有効です。ウオーミングアップの時だけでなく、クールダウン(クーリングダウン)の時も行うことで、より高い効果が期待できます。寒い日や筋肉が疲労している時などは、特に注意が必要です。

🇸🇪皮膚結核

結核菌の感染によって起こる皮膚病

皮膚結核とは、結核菌の感染によって起こる皮膚病。自覚症状はありませんが、治っても醜い跡を残します。

病変部に結核菌が確認できる真性皮膚結核と、結核菌が確認できない結核疹(しん)に分かれます。真性皮膚結核には、尋常性狼瘡(ろうそう)、皮膚腺(せん)病、皮膚疣状(ゆうじょう)結核などがあります。結核疹には、壊疽(えそ)性丘疹(きゅうしん)状結核疹、バザン硬結性紅斑(こうはん)などがあります。

皮膚結核の現れ方としては、結核菌が外部から皮膚に感染して、そこに病巣を作る場合と、自分の体内のほかの結核感染巣から連続性に、またはリンパ管や血管を通って皮膚に生じる場合とがあります。

◆尋常性狼瘡

結核菌に対して免疫がある人の皮膚に、結核菌が感染して起こります。肺などに感染した結核菌が血液、リンパ液を介して皮膚に感染する場合と、直接皮膚に感染する場合とがあります。非常にまれな疾患ですが、真性皮膚結核の中では皮膚腺病とともに多い疾患です。

顔、特に鼻や唇に狼瘡小結節という、にきびのようなアワ粒くらいで、黄褐色調のしこりができ、これが次第に融合して赤い局面となって辺縁に広がってゆき、中心は瘢痕(はんこん)、引きつれを起こしてきます。丸い潰瘍(かいよう)ができたり、初めから不規則な塊ができる場合もあります。

◆皮膚腺病

首や腋わきの下などに、皮膚に近いリンパ節、骨、関節、筋肉、あるいは腱(けん)の結核感染巣から、結核菌が皮膚へ連続性に感染して起こります。活動性の肺結核を伴っていることがあります。

通常、首のリンパ節がはれることから始まり、その塊が少しずつ大きくなって皮膚と癒着して膿瘍(のうよう)となり、皮膚が自然に崩れて潰瘍ができます。膿瘍は、皮膚の中で互いにトンネル状に連なって、凹凸の目立つ瘢痕を作ります。

◆皮膚疣状結核

結核菌が外部から皮膚の傷に感染して、発症します。皮膚病変がいぼに似ている皮膚結核で、皮膚に傷を受けやすい四肢や尻(しり)にできることが多く、慢性に経過します。赤茶色のぶつぶつとして始まり、少しずつ広がりながら表面はいぼ状となります。中央は瘢痕を残して治ってきますが、辺縁は堤防状、いぼ状に盛り上がって、弧を描いたように連なってゆきます。

◆壊疽性丘疹状結核疹

比較的若い女性に、多く発症します。結核菌あるいはその代謝産物に対するアレルギーにより、皮膚の浅い部分の血管に炎症が起き、皮膚が小さく壊死して病変ができると考えられています。皮膚病変部には結核菌は見付かりません。

主に四肢の前側に、暗赤色のぶつぶつが多数できて、その中心部はかさぶたとなって取れ、小さい潰瘍となります。自然に治癒しますが、次々と新しいものができ、古いものと新しいものが混在します。

◆バザン硬結性紅斑

主として、若い女性の下腿(かたい)、特に両方のすねにできます。結核菌に免疫がある人の皮膚に、結核菌あるいはその代謝産物などが到達して起こるとされています。初めは、皮膚の下にエンドウ豆くらいのしこりが現れます。やがて、それが次第に大きくなって、ハトの卵くらいの赤い色をした硬いしこりとなり、長時間歩いたり、立った後などに、むくみが生じます。時には、表面がつぶれて、潰瘍(かいよう)になることもあります。

結節性紅斑の一種で、最近は結核性のものはほとんどありません。ほかの臓器に活動性の結核の合併が少ないこと、結核菌が見付けられないことなどから、結核との関連を否定する考え方もあります。

皮膚結核の検査と診断と治療

真性皮膚結核では、病変部から皮膚組織を取って結核菌を培養したり、核酸増幅法という特殊な検査で結核菌を証明します。一方、結核疹では、皮膚病変部には結核菌はいませんが、真性皮膚結核と同様、体のほかの臓器の結核感染巣を積極的に調べる必要があります。

どのような場合でも、結核菌の接触に対して発症するため、治療は抗結核療法を行うことになります。治療には数カ月ほど必要とされ、入院を行って治療する必要があります。

尋常性狼瘡の診断は、発疹の特徴、皮膚から取った組織の所見、結核菌の証明などから行います。ゴム腫、円板状エリテマトーデス、ハンセン病、サルコイドーシス、スポロトリコーシス、クロモミコーシスなどとの区別が必要です。治療は、抗結核薬のイソニアジドとリファンピシンの2剤やエタンブトールを加えた3剤を一緒に内服する併用療法を行い、半年から1年継続することが必要です。治っても瘢痕を残し、そこに有棘(ゆうきょく)細胞がんが発生するこがあるので、注意が必要です。

皮膚腺病の検査は、病巣からうみを取って結核菌の培養を必ず行います。ツベルクリン反応は陽性となり、赤沈も高進します。病巣部の範囲をCTやMRIで確認し、ほかの臓器に結核病変がないかを調べます。診断は、皮膚病変の特徴などから容易ですが、ゴム腫、悪性リンパ腫、非結核性抗酸菌症などとの区別が必要です。治療は、尋常性狼瘡に準じて抗結核薬を半年から1年間、内服します。

皮膚疣状結核の検査では、ツベルクリン反応は陽性になります。皮膚を取って組織の検査を行い、結核菌も必ず培養して診断の参考にします。尋常性狼瘡、クロモミコーシスなどとの区別が必要です。治療は、尋常性狼瘡に準じて抗結核薬を内服します。

壊疽性丘疹状結核疹では、抗結核薬などが使用されますが、治療に抵抗することが多く、皮膚病変は出たり消えたりします。

バザン硬結性紅斑の検査では、よく似た疾患である結節性紅斑、血栓性静脈炎、ベーチェット病などと区別するために、皮膚組織を取って調べます。治療は、下肢の安静が最も重要で、寝る時に下腿を高くし、長時間の歩行や立ち作業はやめなければなりません。抗結核薬や非ステロイド性消炎薬も用いられます。

🇸🇪皮膚線維腫

腕や足にできる直径1センチほどの黒褐色の硬い腫瘍

皮膚線維腫(せんいしゅ)とは、主に四肢の皮膚にできる腫瘍(しゅよう)の一種。

色は黒褐色で、大きさが直径1センチほどの硬いしこりで、ちょうどボタンを皮膚に挿入したような外観を見せます。皮膚表面から半球性にやや隆起していることもあります。単独で一個できる場合がほとんどですが、多発して複数個できる場合もあります。

虫に刺された傷、転んだりぶつけたりしてできた傷、女性が無駄毛の処理をする際にカミソリでつけた傷などに反応して、小さな傷の真皮から皮下の脂肪組織に至る範囲に、マクロファージが増殖した組織球や、結合組織要素である線維芽細胞、膠原(こうげん)線維からなる結節が生じ、皮膚の表面に黒褐色の色素沈着を示します。

良性腫瘍のため害はなく、自覚症状もほとんどありません。時に押すと痛みを感じたり、軽いかゆみを感じたりする程度です。やや隆起していると、たまに衣類などとこすれて出血することもあります。

脚にできやすく、また女性に多くみられます。時に巨大型のものが、下腿(かたい)にみられることもあります。

一般的には、一定の大きさに発育すると変化を示さず、その発育も緩やかになります。放置してもなくなることはありません。

良性で悪性化することはないため、特に治療の必要はありませんが、皮膚線維腫ができていることが気になったり、大きくなってきた時は、皮膚科、皮膚泌尿器科を受診することが勧められます。

皮膚線維腫の検査と診断と治療

皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による診断では、視診で直径1センチほどの黒褐色の硬いしこりが認められます。硬いしこりの範囲を正確に確認するためには、MRI(磁気共鳴画像撮影)検査を行います。さらに、局部麻酔をして組織の一部を採取し、病理検査を行うことで悪性腫瘍などが否定されると、皮膚線維腫と確定します。

鑑別を必要とする疾患としては、青色母斑(せいしょくぼはん)、ほくろ、隆起性皮膚線維肉腫、黄色腫などが挙げられます。また、悪性黒色腫も重要で、特に発育が早かったり、黒色調が濃厚であれば、鑑別が必要です。

皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による治療では、悪性化することはないため、処置をせずに経過をみる場合もあります。

治療をする場合は、真皮の全層欠損を生じるレーザー治療が不適当なため、局所麻酔をした後にメスを用いて、皮膚の緊張が少ない方向に腫瘍を紡錘形に切り取り、表皮を縫い合わせる手術を行うことになります。

手術後しばらくは、出血する場合があるのでガーゼを当ててテープで固定し、感染症を防ぐために抗菌薬(抗生物質)を処方することや、痛みを感じた時のために痛み止めを処方することもあります。約一週間後に抜糸を行います。 

🇫🇰皮膚掻痒症

皮膚掻痒(そうよう)症とは、皮膚には発疹(はっしん)も出ないのに、かゆみだけを訴える病態です。全身性と局限性の掻痒があり、心理的ストレスにより皮膚のかゆみが誘発されるケースと、体質的に皮膚が知覚過敏で弱いため、ちょっとした刺激に過剰に反応して、かゆくなるケースがあります。

心理的ストレスがかゆみが誘発することは、成人の場合よく見られる現象です。性格的には、他人に対して敏感なのに、自分の感情をうまく表現することができない人、攻撃性がうまく処理されずに抑圧され、攻撃衝動のうっ滞しやすい人によくみられます。攻撃性や、怒り、不安を抑制する防衛機制に破綻(はたん)を来すことから、掻痒症が現れるのです。

皮膚の神経の知覚過敏のほうは、 肌がカサカサになりやすい乾燥性ドライスキンの人によくみられ、 空気の乾燥した冬には老人に多く発症します。動物性の脂肪の多い食事を取ると、かゆみが増加する場合もあります。チリやダニアレルギーの体質があれば、ハウスダストの多い生活環境下では悪化しやすくなります。

このように性格や生活環境に、皮膚掻痒症の症状を増悪させる原因が隠されている場合が多いので、総合的に判断して、それらの原因を取り除くことが大切となります。

気持ちをゆったりする、下着などの素材に注意する、脂肪の多い食品や刺激の強い食品を避ける、アレルギーの炎症を抑えるタイプの油を多く含むサプリメントを内服する、ドライスキン対策としてワセリンなどの保湿剤をまめに塗る、などです。

2022/08/15

🇫🇰皮膚粘膜眼症候群

主に医薬品の服用が原因となって、全身の皮膚や粘膜に症状が現れる重篤な疾患

皮膚粘膜眼症候群とは、皮膚や粘膜の過敏症である多型紅斑(こうはん)の一種で、最悪の場合は死に至ることもある重篤な疾患。スティーブンス・ジョンソン症候群(SJS:Stevens-Johnson syndrome)とも呼ばれています。

医薬品の副作用が主な原因と考えられていますが、一部は単純疱疹(ほうしん)ウイルス、肺炎マイコプラズマ、細菌、真菌などの種々のウイルスや細菌による感染症、悪性腫瘍(しゅよう)が原因となって発症します。原因不明な場合も、少なくありません。

発症メカニズムについては、医薬品などにより生じた免疫・アレルギー反応によるものと考えられていますが、さまざまな説が唱えられており、いまだ統一された見解は得られていません。

原因と推定される医薬品は、抗生物質、解熱消炎鎮痛薬、抗てんかん薬、痛風治療薬、サルファ剤、消化性潰瘍(かいよう)薬、催眠鎮静薬、抗不安薬、精神神経用薬、緑内障治療薬、筋弛緩(しかん)薬、高血圧治療薬など広範囲に渡り、その他の医薬品によっても発生することが報告されています。また、総合感冒薬(風邪薬)のような市販の医薬品が原因となることもあります。

症状は、紅斑、水疱(すいほう)、びらんが皮膚や粘膜の大部分の部位に広く現れることに加え、高熱や悪心を伴います。目の粘膜の変化は、皮膚などの粘膜の変化とほぼ同時に、あるいは皮膚の変化より半日もしくは1日程度、先に現れ、両目に急性結膜炎を生じて、充血、目やに、涙、かゆみ、はれなどが起こります。唇や陰部のびらん、のどの痛み、排尿排便時の痛みも起こります。

発症すると予後不良となる場合があり、皮膚の症状が軽快した後も目や呼吸器、肝臓などに障害を残すこともあります。

原因と考えられる医薬品の服用後2週間以内に発症することが多く、数日以内あるいは1カ月以上たってから起こることもあります。

皮膚粘膜眼症候群の発生頻度は、人口100 万人当たり年間1〜6人とされています。死亡する確率は、患部が体表の10パーセント未満の場合なら致死率5パーセントといわれています。

その症状が持続したり、急激に悪くなったりした場合、何らかの医薬品を服用している人は放置せずに、すぐに医師、薬剤師に連絡してください。

皮膚粘膜眼症候群の診断と治療は、皮膚科の入院施設のある病院で行うことが望ましいとされています。入院に至った際は、 皮膚科と眼科、呼吸器科などとのチーム医療が行われることになります。

医師による診断では、皮膚生検で確定診断を早急に行い、血液検査、呼吸機能検査なども行います。また、原因と推定される医薬品や、ウイルスの感染などを検索します。

医薬品の服用後に高熱を伴う皮膚、粘膜、目の症状を認めたケースでは、原因と推定される医薬品の服用を直ちに中止することが最も重要で、最良の治療法となります。しかし、服用を中止しても重症化する場合があるので、注意が必要です。

一般に、皮膚粘膜眼症候群を発症した場合、副腎(ふくじん)皮質ホルモン剤(ステロイド剤)の全身投与、あるいは血漿(けっしょう)交換療法、ビタミン類の投与、さらに二次感染予防の目的で抗生物質の投与が行われ、皮膚の症状に対しては外用抗生物質、外用副腎皮質ホルモン剤が用いられます。粘膜の症状に対しては、うがい、洗眼など開口部の処置が行われます。

🇬🇱飛蚊症

眼前に蚊が飛んでいるように見える症状

飛蚊(ひぶん)症とは、目の疾患の一つ、あるいは症状の一つ。眼科分野では発現する頻度の高い症状で、目の前に蚊など小さい物が飛んでいるように見えます。

発症すると、ある日突然に、あるいは、いつの間にか、視野の中に蚊のほか、ゴミ、糸くず、ハエのような物が飛んで見えたり、小さな虫のような物が動いて見えたり、雲のようなものが浮いて見えたり、墨を流したように見えたりします。

色も黒い物から透明な物までさまざまで、数も1個から数個、時に多数のこともあります。これらの物は、明るい場所で白い物や空を見た場合によく見え、視点を変えるにつれて、 ふわっといった感じで目と一緒に動き回って見えます。

あらゆる年齢層で起こり、高齢者ほど、特に近視の人ほど多くみられます。飛蚊症自体は完全に消えることはありませんが、慣れてくると、ふだんはその存在に気付かなくなります。

飛蚊症を自覚しても、問題のない場合がほとんどで、心配ありません。ただし、自覚症状が少なく、視力が低下したり痛んだりしないことが多いので、たいしたことはないと考えて、眼科医に受診せずに放っておいたために、網膜剥離(はくり)や眼底出血などの重大な目の病気を見逃してしまい、失明することがあります。

発症の原因は、眼球の内部を満たす硝子(しょうし)体にできる濁りです。硝子体は眼球の大部分を占め、目のレンズに相当する水晶体の後方から網膜に達しています。その中には、生卵の白身に似た透明でゼリー状の物質が詰まっていて、99パーセント以上が水分で構成され、わずかに線維を含んでいます。

本来は透明である硝子体に、何らかの原因で濁りができると、その影が網膜に映って、目の前に見えるようになります。実際の濁りは目の中にあるために、目を動かすと一緒に動くわけです。また、網膜に近い部位にある濁りほど、よりはっきり見えますし、濁りの大きさや量によって見える物の形や大きさが異なるわけです。

硝子体の濁りの原因は、生まれ付きのもの、年を取ることによって生じた硝子体の変化、硝子体の周囲の出血や炎症性物質の硝子体内への進入、遺伝性の硝子体の病気、全身の病気などが考えられています。

胎児のうちは、硝子体の中に血管が走っていますが、普通は出産までにはなくなります。ところが、時に血管の一部、あるいは血管周囲の組織の一部が、生後も硝子体の中に濁りとして残るケースがあります。

硝子体に生まれ付きの濁りがあるものは、明るい日に白い壁を見て飛蚊症に気付くといったふうで発生時期は明白ではありません。見える形も水玉、泡、水滴、カエルの卵のようなどとはっきりした形ではなく、多くの場合は白色ないし不透明です。

このような生まれ付きの濁りは、視力さえよければ特に急いで治す必要もありませんし、時々検査をして異常がなければ、放置していても心配のないものです。

年を取ることによって生じた硝子体の変化では、離水(りすい)と後部硝子体剥離が硝子体の濁りの原因となります。

40歳代になると、透明でゼリー状の硝子体は組成が変化し、硝子体の中に液体がたまった空洞のようなものができてきます。これを離水(りすい)といいます。さらに年を取ると、液体のたまった空洞はどんどん大きくなる一方で、硝子体そのものは収縮してしまいます。この変化によって生じた硝子体の濁りが、飛蚊症の原因になることがあります。

離水によってできた液体のたまった空洞は、やがて後側の壁が破れて、液体は流れ出してしまいます。その結果、前方に収縮した硝子体、その後方に液体に変わった硝子体がたまります。ゼリー状の硝子体は時には網膜と軽く癒着していますが、硝子体の収縮と前方への移動のために癒着もはがれ、線維の塊が眼球内をふわふわと浮いた状態になります。これを後部硝子体剥離といい、生後に現れる突然の飛蚊症の原因として最も多いものです。

一般に、後部硝子体剥離による飛蚊症は突然起こり、蚊、ゴミ、糸くず、ハエ、雲など、はっきりした形がいつも見えます。大形のものが多く、色の濃いのが特徴です。

また、飛蚊症になる前か後に、ピカピカ光るものが見えることがあります。完全に網膜と離れ切っていない硝子体が網膜を引っ張ると、せん光が走ったように感じる症状が出現するのです。

後部硝子体剥離は、60歳代前半に好発します。ただし中等度以上の近視の場合には、10年くらい早く起こります。また、白内障の手術を受けた場合には、1年以内に出現することもあります。

後部硝子体剥離自体は疾患ではなく、硝子体の年齢による変化として起こるのですが、これが引き金となって網膜裂孔や網膜剥離を起こすことがあるので、注意が必要です。

中で最も注意を要するのは、癒着部の網膜が引っ張られた結果、網膜に穴が開いてしまう網膜裂孔で、後部硝子体剥離の6~19パーセントに起こり、しばしば飛蚊症を自覚します。

網膜裂孔を放置しますと、裂孔から液体状になった硝子体が網膜の後に入り込んで、網膜がはがれる網膜剥離という怖い疾患につながります。

また、頻度は少ないのですが、後部硝子体剥離に際して、網膜血管が引っ張られることで破れ、血が硝子体の中に流れ出て硝子体出血になることがあります。

硝子体出血が糖尿病や高血圧、外傷などが原因で起こることもあり、出血が軽度の場合は硝子体の濁りとして存在するため、飛蚊症として自覚されることがあります。しかし、網膜の血管の病気によって起こる硝子体出血は通常多量であり、光線は出血に遮られて網膜に達しなくなり、ひどく視力が低下します。つまり、可能性はあるのですが、硝子体出血が飛蚊症の原因になる場合は意外にまれです。

一部のぶどう膜炎でも、硝子体に濁りを生じるため、飛蚊症を引き起こします。ぶどう膜は虹彩(こうさい)、毛様体、脈絡膜という3つの組織の総称で、これらに起こる炎症をぶどう膜炎といいます。このうち毛様体と脈絡膜の炎症が起こると、炎症性物質や白血球が硝子体の中に押し出され、硝子体の濁りを起こします。

ぶどう膜炎の主な症状は目のかすみ、視力低下などで、飛蚊症で疾患に初めて気付く場合もあります。ぶどう膜炎が長引いて重症になると、硝子体にも変化が起こって膜様の混濁ができ、黒い雲のような飛蚊症を自覚するようになります。

その他、遺伝によって起こる網膜と硝子体の疾患は、網膜硝子体ジストロフィと呼ばれますが、まれです。全身の病気によって起こる硝子体の濁りとしては、硝子体アミロイドーシスという疾患が有名ですが、さらにまれです。

飛蚊症の検査と診断と治療

飛蚊症を自覚したら眼科を受診し、詳細な眼底検査を受け、放置しておいてよいものかどうかを診てもらうことが大切です。

特に60歳前後に突然、飛蚊症を自覚した場合には、なるベく早く眼科医を訪ね、後部硝子体剥離の有無、後部硝子体剥離によって生じる可能性のある疾患、特に網膜裂孔の有無をチェックしてもらうことが大切となります。

後部硝子体剥離の際に網膜裂孔ができた場合に、放置しておくと発症する網膜剥離に対しては、入院、手術しか治療方法がありません。しかし、網膜裂孔だけの時期に発見できますと、外来で行えるレーザー光凝固療法によって網膜剥離を防ぐことができます。従って、飛蚊症を自覚したら、なるベく早く眼科を受診することが大切で、早いほどよいわけです。

網膜裂孔以外のものでも、早期治療が大切です。例えば、硝子体出血の場合にも、出血の原因を調ベてもらうことによって、原因疾患に応じた適切な治療が受けられます。ぶどう膜炎でも、原因の精査と原因に応じた治療が受けられます。

何も治療を必要とするような疾患のなかった場合には、飛蚊症をあまり気にせず、眼科で時々チェックしてもらい、今まで通りの生活を続ければよいわけです。離水と後部硝子体剥離による飛蚊症は、硝子体を手術で切除することにより理論上消失しますが、病的ではない症状に対して手術を選択されることはありません。

💅ヒポクラテスつめ(時計ガラスつめ)

つめが肥大化、変形して指先を丸く包むような状態

ヒポクラテスつめとは、つめの成長が著しくて湾曲度を増し、指先を丸く包むような状態。古代ギリシアの医学者、ヒポクラテスが発見したことにちなんで命名されていますが、時計ガラスつめ、時計皿つめとも呼びます。

見た目は、つめの甲が時計の風防ガラスのようになります。さらに変化が強くなると、指の末端も肥大してきて、見た目は、太鼓のバチのような感じになります。

こういう状態は、指の末端の軟部組織にムコ多糖類が沈着するために生じ、肺の慢性疾患である肺がん、肺膿瘍(のうよう)、気管支拡張症、肺気腫(きしゅ)、肺結核などのほか、チアノーゼを伴う先天性心臓疾患および亜急性心内膜炎、甲状腺(せん)機能高進症、肝硬変、潰瘍(かいよう)性大腸炎などの時に、その一症状として現れます。

ほかに、内臓の疾患と関係のない特発性のもの、厚皮骨膜症の一症状として現れる遺伝性のものもあります。

片側だけのつめが肥大化し、変形した場合は、その側の大きな血管に異常があることがあります。

ヒポクラテスつめの検査と診断と治療

思い当たる疾患がないのに症状が出た場合は、どこか悪いところがあるというサインかもしれないので、早めに病院で診てもらうようにします。

医師による治療では、原因となっている疾患の治療を最優先します。

🟥インフルエンザ感染者、2週連続増加 1医療機関当たり11・33人

 厚生労働省は23日、全国約3000の定点医療機関から12~18日の1週間に報告されたインフルエンザの感染者数は計4万3027人で、1医療機関当たり11・33人だったと発表した。前週比1・07倍で、2週連続の増加となった。全国平均で警報レベルとされる1医療機関当たり30人を下回...