2022/08/16

🇹🇼閉塞隅角緑内障

突然眼圧が高くなり、激しい目の痛みや頭痛が生じる緑内障

閉塞隅角(へいそくぐうかく)緑内障とは、眼内液である房水の出口を虹彩(こうさい)の根部がふさぎ、房水の流出が障害されて、急激に眼圧が上昇する疾患。緑内障発作、急性閉塞隅角緑内障とも呼ばれ、放置すれば短期間に失明する可能性がある疾患です。

房水の出口である前房隅角部が狭くなっている場合に、起こりやすくなります。その原因としては、生まれ付きの素因、また、強い遠視や老化のために、水晶体が膨らんで虹彩を持ち上げ、隅角部が狭くなることが挙げられます。さらに、精神的過労、睡眠不足、精神的な興奮、さまざまな生活上の誘因も考えられます。

高頻度でみられるのは、50歳以上の遠視の女性です。

自覚症状としては、急激な視力障害と、裸電球を見ると回りに虹(にじ)が見える虹視が特徴的。黒目の白濁、白目の充血、瞳孔(どうこう)の散大が起こるほか、激しい眼痛、頭痛、吐き気、嘔吐(おうと)などを伴うこともあります。頭痛や嘔吐が激しい時は、ほかの内科的疾患と誤りやすいので、注意が必要です。

この閉塞隅角緑内障の経過は急激で、視神経の急激な血行不良から神経線維が一気に、大量に死滅し、時には1日で失明してしまいます。発作が起きたら、数時間以内に専門医を受診します。

閉塞隅角緑内障の検査と診断と治療

閉塞隅角緑内障(緑内障発作)では、目の症状以外に頭痛、吐き気、嘔吐などの全身症状がみられるため、眼科以外の内科や脳外科などの診療科を受診してしまうことがありますが、視覚障害がないかどうかの確認をすることが重要です。

眼科の医師による検査では、通常は60〜80mmHgの急激な眼圧上昇と、隅角検査で閉塞隅角、充血や瞳孔の散大を認めます。

治療では、まず目を冷やし、グリセリンの内服、縮瞳剤の点眼、高浸透圧剤の点滴などで、眼圧を下げるようにします。しかし、多くは再発するため、眼圧が下がったら、房水の出口を閉じている周囲虹彩切除を主とした手術や、レーザーによる虹彩切開を行います。

最初は片方の目だけに発作が起こっても、早晩、両目に起こることが多いので、予防のために、もう一方の目の虹彩切除、またはレーザー切開が必要です。

あらかじめ、閉塞隅角緑内障を起こす危険性があることがわかれば、予防的処置を講ずることができますので、強い遠視の人、40歳すぎの人、眼球の前部にある前房が浅い、眼球が小さいなど生まれ付きの素因があると指摘されたことのある人では、定期的に緑内障の眼圧検査を受けることが大切です。

日常生活では、紅茶、酒、コーヒーなどを大量にとることを控え、水分も控えます。加えて、精神的ストレスのたまらない生活を送るように心掛けます。

🇹🇼閉塞性血栓血管炎(バージャー病)

手足の指の動脈が詰まって、指が腐ってくる疾患

閉塞(へいそく)性血栓血管炎とは、手足の爪(つめ)の周囲や指の間に、治りにくい傷ができて、ひどくなると足の指が腐ってくる疾患。1900年に最初に報告者したアメリカ人の名前からバージャー病とも、特発性脱疽(だっそ)とも呼ばれます。

脱疽または壊疽(えそ)とは体の組織の一部が生活力を失う状態のことで、このような病変が手足の指に起こるのは動脈が詰まるためです。特に膝(ひざ)から下の足と腕の動脈が、原因不明の炎症によって血管の壁が厚くなり、血流障害ができるために、そこで血液が固まり、詰まってきます。

閉塞性血栓血管炎の原因は不明ですが、発症には喫煙が深く関係しており、たばこをやめると疾患が進行しない特徴があります。一説では、原因は口腔内の細菌、特に歯周病菌にあると指摘されています。発症者数は、日本国内で推定約1万人。男女比は10対1と男性が多く、20〜40歳代を中心に発症しています。

症状としては、膝の下の血管が詰まった場合、足先が腐ってきます。ほとんどの場合、両方の足先に病変が出現します。腕の動脈が詰まれば、手の指に壊疽が出現します。

壊疽は血管に閉塞性の病変が起きた後、数年間この閉塞に近い状態が続いた場合に起こるので、閉塞性血栓血管炎の始まりの血管炎では、指先のしびれ感、冷感として自覚されます。進行すると、長い距離を歩くと痛みが起こるようになり、休息しながら歩くようになる間欠性跛行(はこう)を生じます。さらに進行すると、手足の静脈にも炎症を起こし、静脈に沿って赤く腫(は)れ、安静にしていても激しく痛み、壊疽の状態となります。

動脈硬化によって下肢の動脈が詰まる閉塞性動脈硬化症も、閉塞性血栓血管炎と同じような症状を来しますが、閉塞性動脈硬化症は高齢者に多く、40歳以下の青年や壮年にはほとんど発症していません。

閉塞性血栓血管炎の検査と診断と治療

検査をすると、血管が閉塞した部位より先の動脈は、拍動が触れなくなります。四肢の血圧から足関節/上腕血圧比を測ることにより、下肢虚血の重症度の判定に役立ちます。確定診断には、血管造影検査が必要になります。血液検査では、特徴的な所見はありません。

壊疽、脱疽というと、すぐに手足の切断を思い浮かべる人が多いようですが、傷が治りにくくても、疾患が指先などに限られている間は治療が可能です。

薬物療法としては、血液の循環を改善して血栓を予防するために、血管拡張薬や抗血小板薬が用いられます。重症例に対しては、多くの場合、詰まっている動脈を元通りに開通させることは不可能ですが、閉塞している部位の状態によって可能であれば、バイパス手術などの血行再建を行います。

バイパス手術が適さない場合は、交感神経を切除することによって、末梢(まっしょう)血管を拡張させ、血流をよくすることを目的に交感神経節ブロックが行われています。足の場合には腰の交感神経、手の場合には胸の交感神経を手術で切除します。壊疽が進行して各種の治療が無効な場合には、手足の切断が必要になります。

治療後の生活上の注意としては、手足の保温と清潔を心掛けます。傷を付けると、壊疽の再発の引き金となりますので、靴下を履く、靴擦れを起こさないように大きめの靴を履くなど、注意が必要です。散歩などの適度な運動は、お勧めです。また、この閉塞性血栓血管炎はたばこを吸う人の発症率が高いので、禁煙を守ることも必要です。

発症した人のうち、多くは動脈の病巣は詰まったままの状態で、血行再建のバイパス手術などができるのはごく少数です。しかしながら、日ごろの注意をよく守れば、疾患の進行を食い止め、再発を減らすことができます。直接、生命に関係するような大切な臓器である心臓、脳、内臓などの動脈が侵されることはありません。予後も同年代の健常人と変わりありませんが、指の切断を必要とすることもあり、生活の質(QOL)が脅かされることは否めません。

🇲🇴閉塞性動脈硬化症

血管の病変が手足の動脈に慢性的に起こっている疾患

閉塞(へいそく)性動脈硬化症とは、手足の血管の動脈硬化によって引き起こされる疾患。主に40〜50歳以降に発症します。

動脈に脂肪分が沈着して粥状(じゅくじょう)硬化(アテローム硬化)が起こると、血管の内膜が肥厚して内腔(ないくう)が狭くなったり、潰瘍(かいよう)ができたりします。結果として、血流に障害が起き、血液が固まって血栓を生じ、詰まりやすい状態になります。こういった血管の病変が末梢(まっしょう)動脈、すなわち手足の動脈に慢性的に起こっているのが、閉塞性動脈硬化症です。

閉塞性動脈硬化症のある人は、手足の動脈だけでなく、全身の血管にも動脈硬化を来している場合が少なくありません。3割の人で冠動脈疾患の合併、2割の人で脳血管障害の合併が認められます。

発症しやすいのは、糖尿病、高血圧、高脂血症、喫煙などの動脈硬化の危険因子を持っている人。食生活やライフスタイルの欧米化により、動脈硬化を基盤とする閉塞性動脈硬化症が急速に増えています。

初期の症状は、足の冷感やしびれです。進行すると、短い距離を歩いただけで、ふくらはぎや太ももの裏側が重くなってきたり、痛みを感じるようになります。2〜3分休むとよくなり、再び歩くことができます。この間欠性跛行(はこう)や足のしびれなどの症状が神経痛の症状と似ているために、勘違いされて見逃されることも多く見受けられます。

さらに進行すると、安静時にも痛みが現れるようになります。病変がある動脈で、急に血液が固まって急性閉塞が起きた場合には、24時間を経過した後で、筋肉に壊死(えし)が起こることもあります。

閉塞性動脈硬化症の検査と診断と治療

検査では、血管が閉塞した部位より先の動脈は、拍動が触れなくなります。四肢の血圧から足関節/上腕血圧比を測ることにより、さらに詳しく下肢の虚血を診断できます。確定診断には、血管造影検査が必要になります。

初期の冷感やしびれに対しては、血管を広げる血管拡張薬や、血液を固まりにくくする抗血小板薬を中心に治療が行われます。手足の痛みが強く、ひじや、ひざから上の比較的狭い範囲で慢性の動脈閉塞が起きている場合には、カテーテル治療、レーザー血管形成術、バイパス手術、血管新生療法などが行われます。

カテーテル治療は、狭心症や心筋梗塞(こうそく)の治療で行われるバルーン療法と同じ血管内治療。閉塞した部位にカテーテルを通し、そこで風船を膨らませて閉塞を治した後、再閉塞を防ぐためにコイルを留置します。レーザー血管形成術は、閉塞部近くまでカテーテルを挿入し、レーザー光を発して血栓や肥厚した内膜を霧状に散らす療法。

バイパス手術は、閉塞した動脈の代わりに静脈や人工血管を使ってバイパスを作り、動脈の血行を再建する治療。血管新生療法は、肝細胞を増殖させる物質の遺伝子が血管を新しく作ることがわかったため、それを使って行う新しい治療。血管を新生する因子(HGF)を産生する遺伝子を含む医薬を筋肉に注射し、新しい血管を誕生させて血流をよみがえらせます。

治療方法は数多くあるものの、閉塞性動脈硬化症が重症になり、壊死が進行した場合は、足の切断が必要になることがあります。日本では毎年、1万人程度が足の切断を余儀なくされていると推定されます。

この閉塞性動脈硬化症は、糖尿病や高血圧、高脂血症がある人に起こりやすいので、このような既往症のある人は、食生活を正して食べすぎを避け、減塩を守ること、ストレスを解消すること、禁煙をすることが必要です。

また、足の症状が出るまでは、休みながらも繰り返し歩くように心掛けます。歩くことにより、側副血行路が発達し血行が改善します。靴下、毛布などを使って、足の保温にも努めます。寒冷刺激は足の血管をさらに収縮させ、血液の循環を悪くさせるからで、入浴も血行の改善に役立ちます。足はいつも清潔にしておき、爪(つめ)を切る時は深爪をしないようにし、靴も足先のきつくないものを選ぶようにします。

🇲🇴閉塞性無精子症

精巣の中で精子が作られているものの、精子を運ぶための精路が途中で閉塞している状態

閉塞(へいそく)性無精子症とは、男性の精巣(睾丸〔こうがん〕)の中で精子が作られているものの、精子が精巣から体外へ出ていく精路のどこかが閉塞して状態。精子が精液と合流して体外へ出ていくことができず、射出精液中に、卵子と結合して個体を生成する精子が認められません。

男性の精液の大部分は、陰茎の奥にある前立腺(ぜんりつせん)と、その前立腺の奥にある精嚢腺(せいのうせん)で作られ、前立腺成分が約20パーセント、 精嚢腺成分が約70パーセントを占めます。そのほかにも、精巣や精巣上体(副睾丸)、精管でも一部作られます。

運動能力を持つ男性の精子のほうは、精巣の中で精原細胞から分化して作られ、精子を運ぶ精管が精巣のすぐ近くで膨れている精巣上体において成熟し、精嚢腺と前立腺で分泌された精液と一緒になって、尿道に出ていくのが射精です。射精によって精液が尿道から出ていく際には、最初は主に前立腺からの成分、続いて精嚢腺からの成分が出ていきます。

男性の100人に1人は、射出精液中に精子が認められない無精子症といわれています。この無精子症は、閉塞性無精子症と非閉塞性無精子症の2つの型に分類されます。

閉塞性無精子症は精巣自体の造精機能に障害がないのに対して、非閉塞性無精子症は精子が精巣から体外へ出ていく精路があるにもかかわらず、精巣の造精機能の低下により、精巣で全く精子が作られていない状態、もしくは射出精液中に精子が認められない状態を指しています。

閉塞性無精子症は、無精子症の15〜20パーセントを占めているといわれています。非閉塞性無精子症のほうは、無精子症の80~85パーセントを占めているといわれています。

閉塞性無精子症の原因となる疾患は、両側精巣上体炎、小児期の両側鼠径(そけい)ヘルニア術後、精管切断(パイプカット)術後、原因不明の精路閉塞症、先天性両側精管欠損症などです。

一方、非閉塞性無精子症の原因となる疾患は、X染色体が1つ以上多いクラインフェルター症候群などの染色体異常症、脳下垂体と視床下部の障害による性腺刺激ホルモンの低下、おたふく風邪による精巣炎、高プロラクチン血症による精子形成の低下、薬の副作用による性腺刺激ホルモンの低下、精巣が陰嚢(いんのう)内に位置していない停留精巣、精巣の上の精索部の静脈が拡張した精索静脈瘤(りゅう)などです。

閉塞性無精子症の検査と診断と治療

泌尿器科の医師による診断では、精液検査の結果、射出精液中に精子が存在しない場合に無精子症と判断します。加えて、精巣の大きさに問題がなく、ホルモン検査では脳下垂体から分泌される性腺刺激ホルモン(ゴナドトロピン)の値が正常値で、精路に閉塞部位が認められれば、ほぼ閉塞性無精子症と判断できます。

ただし、性腺刺激ホルモンの値が正常値でも、まれにY染色体の特定部位の微小欠失により、精巣内での精子の成熟が途中で停止しているケースでは、非閉塞性無精子症と判断します。

泌尿器科の医師による閉塞性無精子症の治療では、精子が精巣から体外へ出ていく精路を再開させる精路再建手術を行います。閉塞部位が短く手術でつなぎ合わせることができれば、精液に精子が出るようになり、夫婦生活による自然妊娠も期待できます。

先天性の精管欠損症などで閉塞部位が長い場合は、手術では治療できません。この場合は、閉塞性無精子症の人では精巣で精子が作られているため、精巣精子採取法によって、精巣の精細管や精巣上体、精管から精子を直接取り出し、人工授精、体外受精、顕微授精などという方法を用いて妊娠を期待します。

    閉塞性無精子症と診断された段階で、我が子をあきらめる必要はありません。 

🇲🇴ページェット病

乳房、外陰部、肛門部に発生する皮膚の異常

ページェット病とは、乳房、わきの下、外陰部、肛門(こうもん)部などに発生する皮膚の異常。

通常、乳房(にゅうぼう)ページェット病と、乳房外ページェット病に分けられます。前者は、乳がん、すなわち乳管浅部がんの皮膚への浸潤で、イギリスの外科医ジェームス・ページェットによって発見されました。後者の多くは、がん前駆症と見なされます。

症状は一般に、かゆみやムズムズする違和感から始まり、淡紅褐色から鮮紅色の赤色調の色素斑(はん)として、病変が皮膚に現れます。乳房にできるものは、湿疹(しっしん)様の変化のほか、乳頭のびらんがあります。腫瘤(しゅりゅう)は触れません。

乳房外にできるものは、男女ともに外陰部を中心に発生し、わきの下も含めて、体臭のもとであるアポクリン汗腺(かんせん)の多い皮膚に同時に多発することもあります。男性ではペニスの根元に病巣の中心を持つことが、また、女性では太ももの根元に左右同時に発生することが多いようで、時に脱色素斑もみられます。

いずれも赤みの強い、ジトジトした局面で、湿疹として治療されている場合が多いので、注意が必要です。乳房外にできるものは、男性ならば、いんきんたむし、女性ならば、カンジダ症と間違いやすく、市販の湿疹や水虫の薬を塗り、医師に診せてもページェット病と診断が確定できずに時間がたってしまいがちです。

診断や治療が遅れれば、真皮内に浸潤してページェットがんになり、びらんや潰瘍(かいよう)を伴うようになり、予後不良となる場合があります。乳房外ページェット病の場合、日本では高齢者に好発して、男性が女性の2倍ほど多く、女性のほうが多い欧米と異なっています。

ページェット病の検査と診断と治療

長い間続いていた皮膚の異常が急に変化して、びらん、潰瘍を生じたり、大きさが増した時には、すぐに皮膚科専門医の診断を受けます。

乳房外ページェット病の場合、病変が外陰部であるため病院に行くのが恥ずかしく、いんきんたむし、湿疹、カンジダ症と自己診断して市販薬を購入し、使用している発症者を多く見掛けます。当然のことながら、これらの自己治療には反応しません。

専門医が視診すると診断がつくことが多いのですが、湿疹など他の皮膚病との鑑別は必ずしも簡単ではありません。確実に診断するためには、病変の一部を切り取って組織検査をする生検が必要です。

 ページェット病の治療法としては、外科的切除が原則です。外科手術以外の方法として、体力のない高齢者に対する放射線照射、抗がん剤による化学療法などが行われていますが、あまり効果は期待できないとされています。

切除範囲の決定には、手術前に病巣辺縁部から少し離れた部位で、多数箇所の生検を行います。乳房外ページェット病では、組織学的には乳房ページェット病ではみられない表皮内におけるページェット細胞のスキップ現象がみられることが多いため、切除範囲を決定するのが容易ではありません。

ページェット病の原発巣が大きい場合は、ページェットがんに進行していることもあり、特に隆起性病変となっている時は、進行がんを疑います。一方で、意外に早く浸潤してリンパ節に転移する場合がありますので、MRI検査あるいはCT検査により、リンパ節の検索も行ったほうがよいとされています。

手術では、病巣辺縁から3~5センチ離して、皮下脂肪組織の中層の深さで切除します。広範な欠損となりますが、一般的には植皮で修復されます。リンパ節転移が疑われる場合には、リンパ節郭清(かくせい)術を行います。

女性の乳房外ページェットがんの進行例では、時に尿路変更や人工肛門の造設を必要とし、会陰部の組織欠損に対しては筋皮弁などを用いた再建手術を行います。

予後は、ページェット病かページェットがんかで全く異なります。ページェット病であれば、根治手術さえなされれば予後は良好です。ページェットがんでは、転移の程度にもよるものの予後は良好とはいえません。

🇭🇰ベーチェット病

多彩な症状を示す膠原病類縁疾患

ベーチェット病とは、原因不明の膠原(こうげん)病類縁疾患。目のぶどう膜炎に加えて、口腔(こうくう)粘膜のアフタ性潰瘍(かいよう)、皮膚症状、外陰部潰瘍を主症状とし、血管、神経、消化器などの病変を副症状として、急性炎症性発作を繰り返すことを特徴とします。

疾患名は、トルコの医師フルス・ベーチェットが1936年、初めて報告したことに由来しています。日本では現在、厚生労働省の特定疾患医療に認定されている難病の一つで、平成19年3月末現在、ベーチェット病の特定疾患医療受給者数は16638人を数えます。

地域的には、中近東諸国や地中海沿岸諸国、日本、韓国、中国に多くみられるため、シルクロード病ともいわれています。日本においては北海道、東北に多くて、北高南低の分布を示し、男女比は1対1、20歳代後半から40歳代にかけての働き盛りに、多く発症しています。

疾患の原因は、現在も不明です。しかし、遺伝因子など何らかの内因と、感染病原体やそのほかの環境因子など何らかの外因が関与して、白血球の異常が生じるために発症すると考えられています。単純な遺伝性疾患と捕らえるのは、妥当ではありません。

内因中の遺伝因子で一番重要視されているのは、ヒトの組織適合性抗原であるヒト白血球抗原(HLA)のHLA-B51というタイプです。HLAのうちB51を持っている日本人の一般的割合は10~15パーセントですが、べーチェット病の発症者では50~60パーセントと非常に高い割合になっています。

また、そのほかの遺伝因子についても、発症や病状に影響を及ぼす可能性が指摘されています。

外因としては、ある種の工業汚染物質の影響を考える説もありますが、虫歯菌を含む細菌やウイルスなどの微生物が関わっているのではないかという考え方が有力です。

ベーチェット病の主な症状は、以下の4症状です。

●目の症状 

この疾患で最も重要な症状が目のぶどう膜炎で、ほとんど両目が侵されます。ぶどう膜とは、虹彩(こうさい)、毛様体、脈絡膜の総称です。

目に最初に出現する自覚症状として最も多いのは、目のかすみや視力低下。医師が細隙燈(さいげきとう)顕微鏡で見ると、角膜と虹彩とに囲まれた前眼房が混濁し、ベーチェット病のぶどう膜炎特有の白色の蓄積物が認められます。これを前眼房蓄膿(ちくのう)といいます。

再発を繰り返しながら、徐々に視力低下を来しますが、発症者本人がその再発を直接的に自覚する場合が多く、眼発作と呼ばれています。障害が蓄積され、網膜脈絡膜炎に進む例では、失明に至ることもあります。

●口腔粘膜のアフタ性潰瘍

頬(きょう)粘膜、舌、口唇、歯肉に白く、痛みのある、アフタという円形の潰瘍ができます。初発症状として最も頻度の高い症状ですが、経過を通じて繰り返しできることも特徴です。

●皮膚の症状

皮膚に結節性紅斑(こうはん)や、にきびのような発疹(はっしん)がみられます。結節性紅斑は、隆起性で圧痛を伴う紅斑が手足に現れます。にきびのような発疹は、前胸部、背部、頸部(けいぶ)などに現れます。

皮膚は過敏になり、かみそり負けを起こしやすかったり、針反応といって、注射や採血で針を刺した後、赤く腫(は)れたりすることがあります。

●外陰部の潰瘍

男性では陰嚢(いんのう)、陰茎、亀頭に、女性では大小陰唇、膣(ちつ)粘膜に有痛性の潰瘍がみられます。外見は口腔粘膜のアフタ性潰瘍に似ていますが、深掘れになることもあり、傷跡を残すこともあります。ベーチェット病に特徴的な症状で、しばしば発症者が自らの病気を自覚するきっかけになります。

4つの主症状以外に、以下の副症状があります。後期に起こる症状であり、生命や予後に影響を及ぼします。

●関節炎

膝(ひざ)、足首、手首、肘(ひじ)、肩などの大関節が侵され、一般的には、むくみがみられます。急性、亜急性で繰り返す場合と、慢性に持続する場合があります。非対称性で、変形や剛直を残さず、手指などの小関節が侵されない点で、関節リウマチとは異なります。

●血管病変

この疾患で大きな血管に病変がみられた時、血管型ベーチェット病といい、圧倒的に男性に多い病型です。動脈、静脈ともに侵されますが、静脈病変が多く、深部静脈血栓症などの原因となることがあります。深部静脈血栓症は下肢に多くみられ、皮下静脈に沿った発赤、圧痛と周囲のむくみが主な症状です。

動脈病変は少ないのですが、大動脈炎を起こしたり、肺動脈炎から大量喀血(かっけつ)を来すことがあります。血管病変に伴う脳血管障害や心筋梗塞(こうそく)を起こす場合もあります。

●消化器病変

腸管の潰瘍を起こした時、腸管型ベーチェット病といいます。主症状は、腹痛、下痢、下血など。部位は右下腹部に当たる回盲部が圧倒的に多く、上行結腸、横行結腸にもみられます。潰瘍は深く下掘れし、消化管出血や腸管穿孔(せんこう)により、緊急手術を必要とすることもあります。

●神経病変

神経症状が前面に出た時、神経型ベーチェット病といいます。難治性で、男性に多い病型です。髄膜(ずいまく)炎、脳幹脳炎として急性に発症するタイプと、片まひ、小脳症状などの神経症状に加えて認知症などの精神症状を来し、慢性的に進行するタイプに大別されます。慢性的に進行するタイプは特に予後不良で、あまり治療も効きません。

●副睾丸(こうがん)炎

男性に頻度が高く、特徴的症状として挙げられています。睾丸部の圧痛と、むくみを伴います。

ベーチェット病の検査と診断と治療

ベーチェット病の主症状が2つ以上あれば、定期的な経過観察が重要となりますので、リウマチ・膠原病科、眼科、皮膚科の専門医を受診します。

診断のための特殊な検査はなく、これがあればベーチェット病だと診断できる特別な症状もありませんが、主症状と副症状から総合的に診断が行なわれます。HLA―B51陽性や針反応は、診断の参考になります。

主症状がすべて出現した時は診断はそれほど難しくはありませんが、副症状が主体になる時は診断が困難なことがあります。また、多彩な症状は一度に出てくるわけではなく、長い年月をかけて症状がそろい、初めてベーチェット病と診断される場合も少なくありません。

目、口、皮膚、外陰部の4主症状すべてがそろったものを完全型ベーチェット病、2~3主症状に加えて2副症状を示したものを不全型ベーチェット病と呼ぶこともあります。

ベーチェット病の症状は非常に多彩ですので、現在のところ、すべての症状に対応できる単一の治療はありません。急性炎症性発作を完全に食い止める治療法もなく、いかに発作を軽症化し、回数を減らすかが治療の最大の課題となっています。

現在の治療は、ステロイド剤(副じん皮質ホルモン)と免疫抑制剤が中心となっています。生命に影響を及ぼす臓器病変や、重篤な目の病変などでは、高用量のステロイド剤や免疫抑制剤を含む強力な治療が行なわれます。

一度臓器病変を起こした場合や、血管型、神経型、腸管型に分類される特殊型ベーチェット病の場合は、症状が軽減、解消した後も容易に再燃するのを防ぐため、少量のステロイドを飲み続けるケースが多くなります。

難治性の目の病変に対しては、抗腫瘍(しゅよう)壊死因子抗体のインフリキシマブを使用することもあります。インフリキシマブは世界に先駆けて2007年1月、日本で保険適用となったもので、まだ長期成績は出ていませんが、従来の治療薬にない効果が期待されています。

皮膚などの軽度の症状や、症状が軽減、解消した時期には、コルヒチン、サラゾピリンなども用いられます。

主症状に関しては、慢性的に繰り返し症状が出現するものの、一般に予後は悪くありません。10年くらい経つと疾患の勢いは下り坂となり、20年くらいを越えるとほぼ再燃しないと見なされています。ただし、目の病変については、治療が遅れるなどすると失明することもあり、若年者の失明の重大な原因の一つです。特殊型ベーチェット病も、いろいろな後遺症を残すことがあります。

🇭🇰ベッカー母斑

思春期前後になってから肩などに生じる褐色調のあざで、発毛を伴うことも

ベッカー母斑(ぼはん)とは、思春期前後になってから、肩や胸などに生じる比較的大きな褐色調のあざ。

いわゆる茶あざの一種で、先天的もしくは後天的に、顔面および四肢、体幹の体表面に生じる淡褐色から褐色の平らなあざである扁平(へんぺい)母斑に類似しており、色素細胞の機能高進により、表皮基底層でメラニン色素が増加するために、ベッカー母斑が生じます。

多くは、体の片側に10~20セント前後の大きさで出現します。周囲の正常な皮膚との境界がはっきりしており、表面はザラザラとしています。好発部位は、肩、胸、背中、上腕など体幹と四肢の境界部。

女性よりもやや男性に多く、過半数に少し濃い発毛を伴うという点が特徴といえます。あざの部分に、髪の毛くらいの太さの毛が密に生えることもあります。皮膚から盛り上がることはありません。

発毛を伴う場合は、毛包という毛を包んでいる組織に、メラニン色素を作る色素細胞も入っています。

海水浴や強い日光にさらされた後などに、ベッカー母斑が現れることもあります。通常、悪性化することはありません。

ベッカー母斑は、多少の色の変化はありますが、自然に消えるあざではありません。色が淡褐色で、肌と違和感が少ないため気にならなければ、強いて治療する必要はありません。気になる場合は、皮膚科、皮膚泌尿器科、形成外科を受診することが勧められます。

ベッカー母斑の検査と診断と治療

皮膚科、皮膚泌尿器科、形成外科の医師による診断は、特徴的な母斑なので、ほとんどは見ただけでつきます。

皮膚科、皮膚泌尿器科、形成外科の医師による治療は、医療レーザーによる治療が第一選択とされます。レーザー治療の長所は、治療を行った部位に傷跡ができにくいことです。

Qスイッチルビーレーザー、Qスイッチヤグレーザー、炭酸ガスレーザーなどを照射すると、メラニン色素に選択的に吸収され、多くのケースでベッカー母斑が消失したり軽快します。

有毛性のベッカー母斑では、レーザー治療の前に脱毛するなどの処理できれいにすることが、重要になります。

有毛性のベッカー母斑に対して、脱毛処理を行わずにレーザー治療を行うと、最初は周囲の正常な皮膚と同じ肌色になりますが、時間が経つにつれて、ポツンポツンと毛穴に一致して色素沈着が出てきます。毛包の中のメラニン色素を作る色素細胞が、過剰に反応してしまうためです。

医療機関によっては、剛毛が生えていたり、多毛である際には、Qスイッチヤグレーザーなどと医療脱毛用のレーザーを併用することもあります。

レーザー治療が無効でベッカー母斑が再発する場合には、ドライアイスや液体窒素を使用した治療や、グラインダーで皮膚を削る皮膚剥削(はくさく)術という手術、植皮術などが行われます。傷跡を残すことがあるので、第一選択ではありません。

🟥インフルエンザ感染者、2週連続増加 1医療機関当たり11・33人

 厚生労働省は23日、全国約3000の定点医療機関から12~18日の1週間に報告されたインフルエンザの感染者数は計4万3027人で、1医療機関当たり11・33人だったと発表した。前週比1・07倍で、2週連続の増加となった。全国平均で警報レベルとされる1医療機関当たり30人を下回...