2022/08/16

🇮🇩慢性円板状エリテマトーデス

皮膚限局型エリテマトーデスの一つで、慢性型のサブタイプに属する皮膚疾患

慢性円板状エリテマトーデスとは、日光露出部である頭部、顔面、四肢などに、円板状の紅斑(こうはん)が好発する原因不明の皮膚疾患。円板状エリテマトーデス、円板状紅斑性狼瘡(ろうそう)とも呼ばれます。

膠原(こうげん)病の代表的な疾患で全身性の症状を伴う全身性エリテマトーデスと異なり、皮膚症状のみ出現する皮膚限局型エリテマトーデスの1つであり、慢性型のサブタイプに相当します。皮膚限局型エリテマトーデスには、急性型、亜急性型、中間型のサブタイプもあります。

慢性円板状エリテマトーデスの症状は、類円形ないし不整形で、魚の鱗(うろこ)のようにはがれる鱗屑(りんせつ)を伴う円板状の紅斑が多発することを特徴とします。

円板状の紅斑は境目がはっきりしていて、頬(ほお)、鼻、下唇、首、耳、頭部など、日光が当たる部位にできます。皮膚面より少し盛り上がり、中心部は硬くなったり委縮していたりして、引きつったようになっています。口唇に症状が出る時はびらん、頭皮に症状が出る時は毛包破壊による脱毛を伴うことがあります。

ほとんどはかゆみがないのですが、時にかゆくなることがあり、かいたり刺激を与えたりすると、その部位に新たな円板状の紅斑が広がる傾向にあります。

この皮膚病変は、治癒過程で色素沈着ないし色素脱失、委縮を生じ、瘢痕(はんこん)を残します。ほかの症状として、発熱や倦怠(けんたい)感がみられることもあります。

全身性エリテマトーデスと異なり、全身の臓器障害はみられませんが、一部が全身性エリテマトーデスへ移行することがあります。全身性エリテマトーデスへ移行すると、円板状の紅斑が全身に広がり、内臓の炎症、腎臓(じんぞう)の機能障害が起こります。

慢性円板状エリテマトーデスは、35~45歳の女性が発症しやすいとされています。

現在のところ、慢性円板状エリテマトーデスを発症する原因はわかっていません、しかし、紫外線や寒冷刺激、美容整形、妊娠・出産、タバコ、ウイルス感染、薬物などが関係していると考えられています。/p>

全身性エリテマトーデスは、免疫システムが自己の細胞を攻撃する自己免疫が原因だとされていますが、慢性円板状エリテマトーデスは自己免疫とは無関係と考えられています。皮膚が抗原刺激や物理的刺激を受けることで、白血球のうち、リンパ球と呼ばれる細胞の一種である細胞が増殖し、細胞間で情報を伝えるタンパク質であるサイトカインの生成が促進され、症状が現れると推測されています。遺伝との関係は親族内や双子で発症する例が少ないことから、可能性は低いと考えられていますが、遺伝的要素からも分析研究が進められています。

円板状の紅斑ができて治りにくい場合、慢性円板状エリテマトーデスの可能性があります。日光を避けて、皮膚科、ないし皮膚泌尿器科を受診しましょう。治った後でも、まれに皮膚がんである有棘(ゆうきょく)細胞がんの発生母地となることがあるため、症状が軽くてもしっかり治療をすることが大切となります。

慢性円板状エリテマトーデスの検査と診断と治療

皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による診断では、視診をした上で、皮膚生検といって皮膚の一部を採取して顕微鏡で調べる検査を行い、慢性円板状エリテマトーデスと確定します。

血液検査を行うこともありますが、発症者の多くはほかの臓器に変化を伴わず正常です。しかし、一部の患者では、血液沈降速度(血沈)の高進、抗核抗体陽性、白血球減少がみられ、全身性エリテマトーデスに移行することがあります。

皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による治療では、瘢痕が残った皮膚病変を治すことはできませんが、新しい円板状の紅斑が広がらずに限られた範囲にできている場合は、ステロイド薬(副腎〔ふくじん〕皮質ステロイド薬)の軟こうを直接塗ることが一般的です。目立つほど顔にできている場合や、頭皮の脱毛がひどい場合は、内服のステロイド薬を使用します。

また、内服薬ではヒドロキシクロロキンなどのマラリア治療薬が皮膚症状に有効であり、欧米では第1選択薬の1つです。以前の日本では副作用のために使用が禁止され保険適応がありませんでしたが、2015年に承認されました。ヒドロキシクロロキンの長期間の効果としては半数弱の人に有効であり、残りの半分強は内服のステロイド薬などが必要になります。

免疫抑制剤の1つであるレクチゾールやミゾリビンの内服薬も有効なことがわかっていますが、貧血などの副作用が現れやすいため、慎重に使用する必要があります。

全身性エリテマトーデスを合併する場合には、内臓の炎症に対して内服のステロイド薬が有効で、効果を発揮しています。炎症が強くて症状が重い場合には、大量に投与し、症状が安定すれば徐々に量を減らしていきます。腎臓の障害に対して、免疫抑制剤を用いたり、血漿(けっしょう)交換療法を行うこともあります。

慢性円板状エリテマトーデスの悪化を防ぐためには、紫外線を避ける必要があります。肌の露出を控えるために、日焼け止めや帽子、サングラス、長袖(ながそで)などの対策が大切です。肌に過剰な刺激を与えることも悪影響なので、かゆみがある時でもかいたり刺激を与えないように気を付ける必要があります。薬を塗る時なども、手を洗い清潔な状態で塗るようにします。

寒冷による刺激も極力受けないほうがいいため、しっかりと防寒することが重要で、夏場は清潔な服を着る、通気性のよい天然素材の洋服を着るなどの対策も大切です。加えて、ストレスを避け、適度な運動と休養をとり、バランスのとれた食事をします。

🇮🇩慢性音響性難聴

騒音の下で過ごすことが原因になって起こる難聴

慢性音響性難聴とは、騒音の下で長期間就業することにより起こる難聴。騒音性難聴とも職業性難聴とも呼ばれます。

慢性音響性難聴を引き起こす騒音の大きさは80デシベル以上と定義されており、就業期間が長くなるとともに、難聴の症状も進行することになります。

騒音の激しい工事現場、機械の作動音の大きい工場、機械音や音楽に満ちたパチンコ店、あるいはカラオケ店などで働く人は、長年繰り返して騒音を聞き続けることで慢性音響性難聴になることがあります。慢性音響性難聴になるかどうかは個人差が大きく、同じような状況下にいても難聴になる人とならない人がいます。

また、ヘッドホンやイヤホンでいつも音楽を聞いている人や、オーケストラや吹奏楽などでトロンボーンの直前にいる奏者が、慢性音響性難聴になるといったことも起きています。

異なる周波数の音が混じった騒音の下で就業した人を比較すると、疾患の初期には4000ヘルツ付近の高音部を中心とする類似した聴力低下を示します。

従って、騒がしく、大きな音により内耳の蝸牛(かぎゅう)内の限られた部位に感覚器障害が発生することが、疾患の発生原因と考えられています。感覚器を障害するのは、同じ大きな音でも、低音よりも3000ヘルツを超えるような高音のほうが強いといわれています。

しかし、初期には4000ヘルツより低い日常会話音域は問題なく聞き取れるため、異常に気付かない人も多くなっています。

そのまま騒音を聞き続けると、高音部から低音部も聞こえにくくなり、日常会話音域の500〜2000ヘルツまで聴力低下が及んだ時に、初めて難聴を自覚することになります。

異常に気付いた時には取り返しがつかなくなっているという例が、後を絶ちません。また、発症者の中には、耳鳴り、めまいなどの症状を訴える例も多くなっています。

慢性音響性難聴は左右両側の耳に起こることが多く、両側の耳が同程度の難聴になります。

騒音のある職場では特殊健康診断が行われており、難聴が発生した場合には、その障害の程度に応じて労働者災害補償保険法による補償が行われています。申請書類の記入のために耳鼻咽喉(いんこう)科への受診が必要です。

慢性音響性難聴の検査と診断と治療

耳鼻咽喉科の医師による診断では、難聴の程度を調べるために純音聴力検査を行います。疾患の初期には、4000ヘルツ付近の高音部を中心に特徴的なC5dipと呼ばれる聴力低下像がみられ、比較的容易に診断できます。

しかし、進行すると老人性難聴や薬剤性難聴と似た聴力像を示すようになります。従って、騒音下での作業の職歴の有無が、慢性音響性難聴の診断には極めて有用です。

耳鼻咽喉科の医師による治療では、慢性の難聴のため、現時点では有効な治療手段はありません。対症療法として、循環改善薬やビタミン薬などが用いられる場合もあります。

難聴を自覚した時には、すでに疾患はかなり進行しており、元に戻すことは困難です。

従って、騒音の下で長時間就労する場合には、耳栓などの防音具の装着による予防が必要です。騒音過多の職場の環境を変えることができれば、何よりの予防になります。

🇮🇩慢性活動性エプスタイン・バーウイルス感染症

エプスタイン・バーウイルスが特定のリンパ球に感染し、ウイルスが慢性的に増殖する疾患

慢性活動性エプスタイン・バーウイルス感染症とは、ヘルペスウイルス科に属するエプスタイン・バーウイルスが特定のリンパ球に感染することにより、ウイルスが体内で慢性的に増殖する疾患。慢性活動性EBウイルス感染症、CAEBV(Chronic Active Epstein-Barr Virus infection)とも呼ばれます。

通常、エプスタイン・バーウイルスは、白血球の一種で、免疫をつかさどるリンパ球のBリンパ球に感染します。慢性活動性エプスタイン・バーウイルス感染症の場合は、Bリンパ球以外のリンパ球であるTリンパ球、NK細胞にも感染することが発症の原因だと考えられています。

慢性活動性エプスタイン・バーウイルス感染症と同様にエプスタイン・バーウイルスに起因し、症状も酷似している疾患としてエプスタイン・バーウイルス感染症(EBウイルス感染症、伝染性単核球症、キス病)が挙げられますが、慢性活動性エプスタイン・バーウイルス感染症で感染するウイルス量はエプスタイン・バーウイルス感染症の100〜1000倍以上多い点で異なります。

エプスタイン・バーウイルスに感染したTリンパ球、NK細胞の増殖が、慢性活動性エプスタイン・バーウイルス感染症の原因ですが、増殖の原因はわかっていません。

エプスタイン・バーウイルスは、乳幼児期には家庭内や保育所で、思春期以降では異性間の交流を中心に、キスや飲み物の回し飲みなどによる既感染者の唾液を介して、主にBリンパ球に感染しエプスタイン・バーウイルス感染症を発症させます。まれに、Bリンパ球以外のTリンパ球、NK細胞にも感染し、慢性活動性エプスタイン・バーウイルス感染症を発症させます。経口感染のほか、輸血により感染することもあります。

Bリンパ球に感染したエプスタイン・バーウイルス感染症の症状の現れ方は、感染する時期によって異なります。日本人の70パーセントは2〜3歳までに初感染しますが、乳幼児期では病原菌に感染しても症状が現れない不顕性感染が多く、症状が現れても軽度です。

思春期以降に感染すると、約50パーセントが発症します。ただし、感染してもほとんどが4~6週間で、症状は自然になくなるといわれています。20歳代では90パーセント以上が抗体を持っているといわれていますが、成人になってから初感染した場合、症状が重くなります。6カ月以上症状が続く場合は、重症化している可能性があります。

エプスタイン・バーウイルスは一度感染すると、その後は潜伏感染状態となり、終生にわたって共存します。そのため、急性感染症以外にもいろいろな疾患を引き起こすことがあります。再感染はしないものの、免疫力が低下した場合に発症することもあります。

エプスタイン・バーウイルス感染症の主な症状は、発熱、頸部(けいぶ)リンパ節の腫脹(しゅちょう)、咽頭(いんとう)痛、肝臓と脾(ひ)臓が次第に大きくなる肝脾腫、肝機能異常。 症状が進行して、劇症肝炎や血球貪食(どんしょく)症候群などを併発すれば、生命の危険があります。

15~30歳くらいの青年期に、エプスタイン・バーウイルス感染症は多くみられます。

一方、Bリンパ球以外のTリンパ球、NK細胞にも感染した慢性活動性エプスタイン・バーウイルス感染症では、発熱や頸部リンパ節の腫脹、咽頭痛、肝脾腫、肝機能異常、内臓や血管などの炎症、皮膚炎などエプスタイン・バーウイルス感染症と同じ症状を発症し、再燃を繰り返します。

急変により、数年以内に約半数の人が、そして十数年の経過でほぼすべての人が、死に至ります。急変の代表例は、肝不全や心不全、腎(じん)不全などの多臓器不全、悪性リンパ腫、血球貪食症候群、上咽頭がん、胃がん、日和見感染です。

10歳までの小児に、慢性活動性エプスタイン・バーウイルス感染症の大半がみられますが、50歳以上で発症することもあります。男女差は認められません。

乳幼児、小児の発熱が1週間続き、普通の風邪にしては変な症状を示した場合は、内科、あるいは耳鼻咽喉(いんこう)科の医師を受診し、精密検査を受けることが勧められます。

慢性活動性エプスタイン・バーウイルス感染症の検査と診断と治療

内科、耳鼻咽喉科、あるいは血液腫瘍(しゅよう)科の医師による診断では、血液検査を行って、末梢(まっしょう)血液中のエプスタイン・バーウイルスDNA量を計り、その増加を確認します。また、血液検査や、浸潤組織の一部を採取し、顕微鏡で調べる生検を行って、通常はBリンパ球に感染するエプスタイン・バーウイルスが、Tリンパ球、NK細胞にも感染していることが確認された場合に、慢性活動性エプスタイン・バーウイルス感染症と確定します。

鑑別すべき疾患には、同じように発熱、リンパ節腫脹、肝脾腫などが持続する若年性関節リウマチ、リウマチ熱、川崎病、急性リンパ性白血病、悪性リンパ腫などがあります。

内科などの医師による治療では、発症メカニズムが不明で治療法が確立されていないため、免疫化学療法、悪性リンパ腫に準じた抗がん剤の多剤併用療法、抗ウイルス療法などを試みます。これらの療法はある程度有効ですが、その効果は一時的で、完全治癒には至りません。

造血幹細胞移植(骨髄移植)が治癒可能な唯一の治療法で、大量の抗がん剤で感染細胞を含む自己の血液細胞を破壊するとともに、健常なドナーから提供された造血幹細胞を投与し、健全な造血を回復させます。しかし、合併症などのリスクを伴うことが多く、成功率は約50〜70パーセントで、進行してからの移植では成功率が低くなります。

🇬🇫慢性化膿性中耳炎

急性中耳炎で鼓膜に開いた穴が残り続け、中耳腔に慢性炎症が生じる疾患

慢性化膿(かのう)性中耳炎とは、急性中耳炎で鼓膜に穴が開き、急性炎症が治まった後も鼓膜の穴が残り続け、中耳腔(こう)に慢性炎症が生じる疾患。慢性中耳炎の一つです。

耳には、急性中耳炎がひどくなると鼓膜に穴が開き、中耳の中にあるうみを自然に出して、急性炎症を治そうとする働きがあります。この時に開いた穴は自然に閉じますが、中耳炎を繰り返したり、治り方が不十分だと、穴が閉じなくなって慢性化膿性中耳炎になります。

種々の程度の難聴を引き起こす厄介な慢性化膿性中耳炎の多くは、大人にみられます。幼少期に急性中耳炎にかかり鼓膜穿孔(せんこう)を起こしたものがそのまま慢性化することが多いのですが、幼少期にはあまり耳の疾患に気付かずに大人になって発症する場合もあります。

大人になってから発症する慢性化膿性中耳炎は、糖尿病や甲状腺(こうじょうせん)の疾患、進行がんやエイズなどで免疫力が低下することに関係していると考えられます。この場合の起炎菌となるのは、MRSA(メチシリン耐性ブドウ球菌)、緑膿(りょくのう)菌、連鎖球菌、ブドウ球菌、インフルエンザ菌などです。まれに、重い糖尿病の人では真菌の感染によることもあります。

小さな子供では、急性中耳炎から頑固な難聴を起こすような慢性化膿性中耳炎に移行することは、まずありません。乳幼児の場合は急性中耳炎を繰り返すタイプが多く、その結果鼓膜に穴が残って慢性化膿性中耳炎のようになることはあります。しかし、病変としては比較的軽いケースがほとんどです。

慢性化膿性中耳炎の症状としては、鼓膜に穴が開いているために、外耳道を通して中耳に汚い水が入ったり、風邪を引くなどにより耳管を通して中耳に細菌が入り、うみが出てきたり、じくじくしたりします。これは耳垂れ、あるいは耳漏と呼ばれ、持続します。

また、鼓膜に穴が開いているために、音が伝わりにくくなる上、中耳腔にある小さな3つの骨である耳小骨の周囲に炎症が及び、耳小骨の動きも悪くなります。その結果、伝音難聴が出現します。鼓膜に開いた穴が小さい時の伝音難聴は軽度ですが、穴が大きくなり細菌感染が続くと、その影響が中耳の奥にある内耳にも及んで感音難聴や、耳鳴り、めまいが出現してくることもあります。こうなると聞こえはかなり悪くなります。

慢性化膿性中耳炎は、痛くない中耳炎です。耳垂れが主症状で、同じ中耳の炎症でも、耳痛、発熱、耳鳴りを伴う急性中耳炎とは、かなり様子が違っています。痛みがないため、聴力の回復を強く望まない人の中には、病院に行くのが面倒という理由から疾患をそのままにしてしまうこともあります。

放置しておくと、感音難聴が進行したり、まれに顔面神経まひ、脳腫瘍(しゅよう)などに発展することもあるので、症状が進行または悪化するようなら耳鼻咽喉(いんこう)科を受診したほうがよいでしょう。

慢性化膿性中耳炎の検査と診断と治療

耳鼻咽喉科の医師による診断では、鼓膜を観察することが第一で、できれば手術用顕微鏡や拡大耳鏡を用いて、よく観察します。うみがあるかどうか、穿孔の大きさ、位置、発赤の有無、肥厚、石灰化などを調べることで、現在の慢性化膿性中耳炎の程度や、今まであった炎症の程度を判断します。

純音聴力検査で難聴の程度を調べ、伝音難聴なのか、伝音難聴と感音難聴の両方が起きている混合難聴なのかを判断します。鼓膜の穿孔を和紙などでふさいで聴力が改善するかどうかを調べると、耳小骨の音を伝える機能が正常かどうかがわかります。

耳垂れの細菌検査を行い、細菌の種類と抗生剤の感受性を判断します。細菌としては、MRSA、黄色ブドウ球菌、緑膿菌などが多く検出されます。X線(レントゲン)検査、CT(コンピューター断層撮影)検査も行います。

耳鼻咽喉科の医師による治療では、急性増悪時は中耳腔の鼓室洗浄、細菌の種類に合う適切な抗生剤の内服および点耳を行います。抗生剤の効きにくいMRSAや緑膿菌などの細菌感染を起こしている場合は、耳垂れを止めて炎症を軽くするのに苦慮することがしばしばあります。耳垂れが一時的に止まっても風邪を引いたり、体調を崩すと再発します。

根本治療法としては、手術療法が唯一の方法となり、難聴は手術により鼓膜の穴をふさいで正常な鼓膜を作る鼓膜形成術、さらに耳小骨の伝音機能を治す鼓室形成術を行わなければ改善しません。慢性化膿性中耳炎を放置しておくと内耳性の感音難聴が進行し、手術によって聴力を改善することが難しくなりますので、医師は早期に手術を受けることを発症者に勧めます。

昔の中耳炎の手術は、耳垂れを止めるために聴力を犠牲にしたり、耳の後ろに穴が開いたり、いろいろ厄介な面もありましたが、現在では技術が飛躍的に進歩し、顕微鏡や内視鏡を用いて微細な部分まで手術を行えるようになり、これらの厄介な問題は解決しています。

穴の開いた鼓膜は側頭筋の筋膜でふさぎ、固着した耳小骨を動くようにしたり、役に立たない耳小骨の代わりに軟骨などを用いて、音を伝える仕組みを再建することにより、耳垂れを止めるだけでなく、難聴もかなりの率で改善しています。手術療法には年齢制限はなく、高齢者の手術も増えています。

🇬🇫慢性関節リウマチ

手足を始めとする全身の関節に慢性的な炎症を生じる全身性疾患

慢性関節リウマチとは、手足を始めとする全身の関節に激しい痛みや腫(は)れを起こす疾患。単に関節リウマチとも、リウマチ様関節炎とも呼ばれます。

医学の発展した現在でも原因は不明のため、完治することは難しく、進行すると関節が変形して日常生活にも支障を来すことがあります。さらに、心臓や消化器などで血管炎を起こしたり、心筋梗塞(こうそく)や重い肺炎を引き起こすような悪性関節リウマチへ進展することもあります。

悪性関節リウマチは厚生労働省の「特定疾患治療研究事業対象疾患」、いわゆる原因が不明で治療法が確立されていない難病に指定されており、医療費の自己負担分について公的な補助を受けることができます。

慢性関節リウマチは毎年、約1万5000人が発症し、現在の日本で約70万人の患者がいるといわれています。男女比は、女性が男性の4倍以上。女性に多い疾患です。

発病する年齢の傾向は30~50歳の働き盛りの年代であるため、症状が重い場合は日常生活に支障を来すなど、発症者にとって精神的にも、経済的にも大きな負担となっています。

前述したように、慢性関節リウマチの原因は現在も解明されていませんが、本来は自分の体を守るべき免疫機能に異常が起こり、誤って自分の体を攻撃してしまうことから起こると考えられています。免疫機能に異常を起こす要因としては、慢性関節リウマチになりやすい体質(遺伝的な素因)であることや、ウイルスや細菌の感染の関与が考えられています。

慢性関節リウマチは、関節の滑膜という組織に炎症が起こり慢性化していく疾患で、まず初めに手足の指や手首に痛みと腫れが起こることが典型的な症状とされています。慢性化して進行すると、四肢の大きな関節が腫れてくるようになります。

関節の痛みや腫れは、初めに1、2個所の関節が同時に腫れ、左右の同じ場所が腫れることも特徴的です。

腫れている部分は、滑膜の炎症が起こっているために関節液の分泌が増え、水がたまったような状態になります。その部分は軟らかく、強く圧迫すると痛みがあります。タオルを絞ったりしても痛く、時には何の動作もしていないのに激しい痛みを感じることもあります。

また、体を動かし始める際にこわばりが強く、動かしにくく感じられます。特に朝起きた際によくみられるので「朝のこわばり」と呼ばれています。曲げ伸ばしをしているとこわばりは解消されますが、炎症が重い時には、こわばりが一日中続くこともあります。

関節の痛みや腫れは放置しておくと次第に炎症が重くなり、関節軟骨の破壊から骨の破壊まで進み、関節の脱臼(だっきゅう)などによって関節の変形が始まります。そうなると、痛みが激しく曲げ伸ばしも不自由になるため、筋肉を縮めたり伸ばしたりする働きも衰えて、よりいっそう関節が動かなくなって変形の度合いが強くなります。

関節の変形には慢性関節リウマチ特有のものが、いくつかあります。手指の付け根から小指側に曲がる尺側偏位(しゃくそくへんい)、白鳥の首のように曲がるスワンネック変形、親指がヒッチハイクをする時に合図する指の形に曲がるヒッチハイカー変形などです。

足の関節でも同様の変形が起こります。歩く時に体重を支えクッションの役目をしている土踏まずのアーチがつぶれたり、歩行困難になる重大な変形もみられます。

慢性関節リウマチは関節で起こるだけでなく、全身的な症状が現れる場合もあります。脱力感、疲れやすさ、体重減少、貧血などが代表的です。また、リウマチ結節といって皮膚の下にすぐ骨があるような肘(ひじ)関節の外側や後頭部などに、こぶ状の塊ができることもあります。

重症の場合には、血管の壁に炎症が起こる血管炎によって皮膚潰瘍(かいよう)、神経炎などがみられます。

慢性関節リウマチの検査と診断と治療

内科、膠原(こうげん)病(リウマチ)内科、整形外科の医師による慢性関節リウマチの検査の主なものには、リウマトイド因子(RF)、血沈、CRP(C-反応性たんぱく)、MRI(核磁気共鳴撮像法)があります。

リウマトイド因子(RF)は、体の防御反応として作られた免疫グロブリンに対する自己抗体で、血清中のリウマトイド因子の有無を調べます。慢性関節リウマチ患者で陽性を示すのは約80パーセント陽性ですが、肝硬変でも約50パーセントが陽性を示すといわれており、必ずしも陽性だからといって慢性関節リウマチとはいえないので注意が必要とされています。

また、赤血球の沈降速度を測ることで、炎症の強さを調べます。通常は1時間に10mm以下ですが、慢性関節リウマチの場合40~100mmの異常値を示します。さらに、血清中にたんぱく質の一種が増えているかを測定することで、炎症の度合いを調べます。陽性で増えている場合は慢性関節リウマチが疑われます。初期の関節の異常を発見するには、MRIによる画像診断が有効です。

慢性関節リウマチの診断基準として、アメリカリウマチ協会(ARA)(現・アメリカリウマチ学会(ACR))の「ACR改訂診断基準」が用いられています。

1)1時間以上続く朝のこわばり(主に手指)、2)3個所以上の関節の腫れ、3)手の関節(手関節、中手指節関節、近位指節関節)の腫れ、4)対称性の関節(左右同じ関節)の腫れ、5)手のエックス線写真の異常所見、6)皮下結節、7)血液検査でリウマチ反応が陽性

上記の1)から7)のうち、4項目以上を満たせば、慢性関節リウマチと診断される。ただし、1)から4)までは、6週間以上持続することが必要。

この診断基準や検査の結果、問診、全身症状の観察などから慢性関節リウマチを診断します。また、進行度を表す基準については、アメリカのスタインブロッカーによる「進行度の病気分類」と「日常動作における機能分類」があります。

原因がまだ解明されていない慢性関節リウマチは、完治させるための治療は難しく、現在は症状を軽減したり、進行を防ぐことに重点が置かれています。特に関節の痛みや腫れを放置することは、関節の変形を引き起こすことにもなるので、早期にしっかりと治療することが大切です。

慢性関節リウマチは原因が不明の疾患ですが、恐れずに前向きに付き合うことが肝心です。わずかな変化を見逃さないことが進行を防ぎ、症状の軽減にもつながります。関節の痛みや腫れがひどい炎症の激しい時に体を動かすことは、炎症を助長させることになります。炎症が激しい時には安静が第一です。

痛みや腫れがひどくなく、炎症も治まっている時には、運動機能訓練を行います。筋肉は使わないと筋力がどんどん低下し、日常生活を不自由なく過ごすことが難しくなることもあります。プールでの水中運動訓練を始め、無理のない運動で筋力を高めます。

疾患への理解、安静と運動と同時に、医師の側では、関節の痛みや炎症を抑えるために非ステロイド性抗炎症薬や副腎(ふくじん)皮質ステロイド剤などを用います。その他、抗リウマチ薬で炎症を抑えます。また、抗リウマチ薬が効かない場合は、免疫抑制薬を用いる場合があります。

滑膜の炎症が激しい場合には、滑膜切除術が行われ、関節の骨が破壊されてしまった場合には人工関節置換術などが行われます。

関節の痛みを和らげ、筋肉の緊張をとるための温熱療法、関節の動かせる範囲をゆっくりと十分に伸ばし、筋力を強化する関節可動域体操と筋力強化や、関節の変形予防、すでに変形していても残った機能を支えるための補助具などがあります。

🇬🇫慢性気管支炎

せきとたんが長期間に渡って続く呼吸器の疾患

慢性気管支炎とは、持続性あるいは反復性のたんを伴うせきが少なくとも連続して2年以上、毎年3カ月以上続く疾患。ただし、肺結核、肺化膿(かのう)症、気管支喘息(ぜんそく)、気管支拡張症などの肺疾患や心疾患を伴うものは除外します。

気管や気管支には防御機構として、呼吸とともに侵入してくるほこりや細菌を内側の粘膜が粘液を分泌して吸着させ、それを繊毛の運動でのどのほうへ押し出すたん作用があります。この防御機構としての働きが弱まると、増えてしまった粘性のあるたんが、のどに押し出されにくくなり、せきでたんを出すようになります。

このため、気管や気管支は弱くなり、粘膜はせき込んだ時にすぐに傷付いてしまい、炎症が深くなっていきます。

炎症を繰り返すことで、次第に息切れが起こるようになっていき、その程度も増していきます。一度かかると全快することはなく、難治性の疾患です。発症者の多くは、中年以上の男性。

はっきりとした原因は不明ですが、気道への何らかの刺激が長期間に渡って続き、その刺激がもとで粘液の分泌が増加したり、繊毛が減少することが発症に関係していると考えられています。急性気管支炎が長引いて、慢性化するのではありません。

気道を刺激する原因には、たばこの煙、汚染した空気、ほこり、刺激性の化学物質が挙げられます。

症状としては、せきとたんが続き、当初は冬季だけに現れます。階段の昇降や速足で歩いた時に、息切れが起こることもあり、喫煙者ではたばこを吸った時にせき込んだりします。

寒さや空気汚染、細菌感染によって次第に悪化すると、1年中症状がみられるようになっていき、病状も進展します。

たんは白色の粘液性で、初めは細菌が感染するなど病状が悪化した時だけ、黄色いうみのような粘液膿性(のうせい)になります。しかし、後には冬の間ずっとたんが出るようになります。肺の下葉(かよう)に気管支の拡張がある場合は1年中、粘液膿性のたんが出ます。

たんの量は普通、軽症な場合には、起床後に出るだけで多くありません。時に、1日にコップ一杯程度の大量の粘液膿性のたんが出る場合は、気管支拡張症や肺化膿症にかかっている可能性を疑う必要があります。

喫煙による慢性気管支炎は、しばしば肺気腫(きしゅ)を伴い、慢性閉塞性肺疾患(COPD)と呼ばれます。病状が進展すると呼吸困難に陥ることもあり、心臓に負担がかかって肺性心という心臓の障害が起こり、高齢者では心不全の危険もあります。

慢性気管支炎の検査と診断と治療

完治しない疾患なので、風邪などの感染症を避けるために人込み、厳しい寒さ、喫煙などを避けることが大切ですが、それを実行することは容易ではないので、早期に発見して、内科、呼吸器内科、呼吸器科の専門医を受診します。

長期に渡って、せきやたんがみられることで、医師の側はおおよその診断がつけられます。ほかの疾患と区別するためには、喀(かく)たん検査や胸部X線検査、CT検査などが行われます。

合併している呼吸不全を知るためには、肺機能検査を行って、一気に空気を吐き出す力の低下具合を調べたり、動脈血に含まれる酸素の量を調べたりします。感染を起こしている細菌に有効な抗生物質を決定するために、たんの培養を行うこともあります。

慢性気管支炎の治療では、気管支内の感染を抑えて分泌物を取り除くために、禁煙したり、ほこりや冷気を避けることにより、まず気管支への刺激を排除します。薬物を用いるのは、主に細菌感染を起こして高熱、呼吸困難、粘液膿性(のうせい)のたんがみられる急性悪化期で、ペニシリンなど抗生物質を投与します。

また、たまったたんが細菌を繁殖させるので、たんの切れをよくする粘液溶解剤や去たん剤、たんを出しやすくするために気管支拡張剤が投与されます。気管支粘膜の炎症を治すために、エリスロマイシンという抗生物質を少量、長期に用いることもあります。

ほかに、たんを出しやすくするために、体位性ドレナージという体位を一定時間とることもあります。足のほうを高くしたり、頭のほうを低くしたりして、たんがのどのほうへ流出しやすい姿勢をとることを毎朝合計30分くらい行うもので、その際、他人にバイブレーターなどで背中に振動を与えてもらうと、より効果的です。

日常生活での注意としては、日ごろからマスクを着用し、ほこりや冷気にさらされないように注意し、刺激の強い食べ物や冷たい物を控えます。たんを出しやすくするために、水分を十分に取ります。

冬季には室内の保温、保湿を心掛け、あるいは思い切って暖かい地域に転地すると、症状を和らげることができます。

🇵🇦慢性結膜炎

結膜の充血、目やにが長く続く状態

慢性結膜炎とは、結膜の軽い充血、目やにが続く状態。急性結膜炎より症状は軽いものですが、なかなか治りにくいことがあります。

結膜とは、まぶたの裏側から白目の表面を覆っている薄い膜のことで、この部分に起こる炎症を総称して結膜炎といい、症状が比較的急激に現れる急性結膜炎と、発症が緩やかでいつごろかわからない慢性結膜炎とに大きく分けられます。

慢性結膜炎の原因はいろいろで、細菌の感染、真菌(かび)の感染、アレルギー、機械的刺激、薬品類の化学的刺激、涙液の分泌が低下するドライアイなどによるものがあります。細菌類では、ブドウ球菌類や緑膿(りょくのう)菌が主な原因となります。

症状としては、結膜の軽い充血があり、少し目やにが出ます。また、流涙、異物感、不快感、かゆみ、目が乾いた感じなどがあることがあります。目やには、急性結膜炎ほどではなく、朝の起床時に目頭やまつげに少量ついている程度のことがほとんど。

時々、症状がひどくなることもあります。コンタクトレンズの使用などが原因となって、まぶたの裏側の眼瞼(がんけん)結膜に、ぶつぶつの乳頭ができたり、小さな砂状の結晶である結膜結石ができることもあります。

なお、白目が赤く充血してはいるものの結膜炎ではないものに、虹彩(こうさい)毛様体炎、強膜炎、上強膜炎などがあります。目だけではなく全身の疾患の一つの現れである場合がありますので、気を付けなければいけません。

慢性結膜炎の検査と診断と治療

ひどくない程度でも不快な症状が持続するようなら、眼科専門医の診察を受けます。

医師の診断では、目やにの中の細菌培養を始め、結膜からこすり取った細胞のサンプルや目やにの構成成分の顕微鏡検査などが行われます。ドライアイが疑われれば、涙液分泌能検査が行われます。

治療としては、細菌性、真菌性では抗菌剤の点眼が行われます。非ステロイド性消炎剤や消炎酵素剤の点眼も行われます。アレルギー性でかゆみの強い場合は、初めはステロイド剤の点眼で強力に炎症を抑え、次いで非ステロイド性の抗アレルギー剤、消炎剤や消炎酵素剤の点眼で病状の鎮静化が図られます。

ドライアイでは、人工涙液の点眼、乾燥予防などが行われます。結膜結石では、結膜から露出すると異物感の原因となるので、点眼麻酔をして針先などで除去します。

慢性結膜炎は、急性結膜炎に比べるとなかなか頑固で、治りにくいものです。根気よく治療し、睡眠、食事にも気を配り、体調を整えることが必要となります。急性結膜炎の場合と同様、洗眼はかえって好ましくありません。

充血を除く目的のみで点眼薬を連用するのも、副作用を招いたり、後にかえって充血を招いたりすることがあるので、好ましくありません。

🟥インフルエンザ感染者、2週連続増加 1医療機関当たり11・33人

 厚生労働省は23日、全国約3000の定点医療機関から12~18日の1週間に報告されたインフルエンザの感染者数は計4万3027人で、1医療機関当たり11・33人だったと発表した。前週比1・07倍で、2週連続の増加となった。全国平均で警報レベルとされる1医療機関当たり30人を下回...