2022/08/16

🇧🇳フットボーラーズアンクル

足関節内の骨の増殖変化により骨の棘ができ、足首周辺が痛む疾患

フットボーラーズアンクルとは、足関節内の骨の増殖変化により骨の棘(とげ)ができ、足首の前方や後方、内側が痛む疾患。衝突性外骨腫(がいこつしゅ)とも呼ばれます。

疾患名の通り、足首を酷使するサッカー選手やラグビー選手に多く起こるスポーツ障害で、バスケットボール、ハンドボールなどのスポーツ選手にもよく起こります。

サッカー、ラグビーでは、足首を反らしたり、伸ばしたり、すなわち足首の背屈と底屈を繰り返すキック動作や、急激なダッシュやストップやターンなどの方向転換動作が、フットボーラーズアンクルを引き起こします。

一方、バスケットボール、ハンドボール、バレーボール、器械体操などでは、足首の背屈と底屈を繰り返すジャンプ動作や、急激なダッシュやストップやターンなどの方向転換動作が、フットボーラーズアンクルを引き起こします。

キック動作、ジャンプ動作、方向転換動作が繰り返されることで、足首や踵(かかと)の関節を作る骨と骨がぶつかることが繰り返されると、骨軟骨の損傷を起こし、骨の増殖変化が生じて、足首の骨に本来ないはずの棘ができます。この骨の棘が足関節運動の際の障壁となって可動範囲が制限されたり、骨の棘の刺激によって足首の前方や後方、内側に痛みや炎症を生じます。

サッカーでは、底屈で発生することが多く、アキレス腱(けん)側に痛みが出て足首が十分に底屈できなくなります。バスケットボールなどでは、逆に背屈で発生することが多く、足首の前面に痛みが出て十分に背屈できなくなります。

また、捻挫(ねんざ)を繰り返して足首が緩くなっているサッカー選手などは、足首の関節が不安定で、通常よりも動きが大きく出るために、骨と骨がぶつかりやすくて関節面を傷付け、傷付いた関節面では修復反応により骨が増殖され、やがて骨の棘ができるため、よくフットボーラーズアンクルを引き起こします。

症状が重い場合は、骨の棘の衝突によって可動域が制限され、足首の背屈や底屈ができなくなることもあります。さらに、骨の棘が骨折した場合は、関節遊離体(関節ねずみ)となって足関節の中をあちらこちらと移動するため、関節の透き間に挟まって激しい痛みを起こしたり、足関節の運動が不能となることもあります。

フットボーラーズアンクルの検査と診断と治療

整形外科、形成外科、ないし足の外科の医師による診断では、フットボーラーズアンクルの好発部位を触診すると、骨の棘による盛り上がりを感じることもあります。

骨の棘の位置やサイズを確認するためには、X線(レントゲン)検査やCT(コンピュータ断層撮影)検査を行います。骨の棘の形成は、脛(すね)の骨である脛骨(けいこつ)下端の前面、足首の一番上の骨である距骨頸部(きょこつけいぶ)前面、距骨後方のほか、距骨内外側部、内くるぶし、外くるぶしに見られることがあります。

整形外科、形成外科、ないし足の外科の医師による治療では、痛みの強い急性期は、痛み、はれに対して局所の安静とアイシング、その後ホットパック、超音波、低周波などの物理療法を行います。足関節の可動を制限するためのテーピングやサポーターなどの装具も有効です。

痛みが強い場合は、ヒアルロン酸やステロイド剤の注入も行います。

保存療法で症状が改善しない場合や、骨片が関節遊離体となった場合は、手術で骨の棘や関節遊離体を切除、摘出することがあります。

初期のリハビリテーションは、足関節の非荷重可動域訓練から開始します。次に、チューブによる軽い負荷をかけた足関節の運動を行い、エアロバイク、プール歩行へと徐々に負荷を増していきます。

根気強く治療とリハビリを続ければ、足関節の可動域の制限は残るものの予後は比較的良好で、骨の棘が存在しても日常動作に支障がないことが多く、また運動時においても、サポーターやテーピングで足関節を固定すれば問題がないことがほとんどです。

🇧🇳ヒトアジュバンド病

美容整形で用いられるシリコンなどの注入で発症

ヒトアジュバンド病とは、美容整形や形成術で用いられるシリコン、パラフィンなどの異物の注入が原因となって起こる疾患。異常な免疫反応が起こることによって、強皮症やシェーグレン症候群、全身性エリテマトーデス、関節リウマチなどの膠原(こうげん)病に似た症状が起こります。

ほとんどの例はシリコンやパラフィンを直接注入する豊胸術、隆鼻術を受けており、術後数年から10年以上経過してから発症しています。シリコンを袋の中に密封した上で挿入する方式での発症は、まれです。そのため、体内に埋め込まれた異物が直接組織と接触することにより、過剰な免疫反応を引き起こした結果と考えられています。1970年以降にみられましたが、近年は形成術が進歩したため、発症が少なくなっています。

初発症状は、関節や筋肉の痛みや発熱など非特異的な症状が多く、レイノー現象、皮膚硬化、紅斑(こうはん)、目や口の渇き、骨の変形や癒着など典型的な膠原病の症状を呈することもあります。

ヒトアジュバンド病の検査と診断と治療

ヒトアジュバンド病の血液検査では、炎症反応が上昇し、免疫異常を示す抗核抗体、リウマトイド因子(リウマチ反応)、抗DNA抗体などがみられます。これらは、この疾患に特徴的な所見ではありません。診断に際しては、豊胸術など美容外科手術の既往が大切で、その際の術式や用いられた材質に関する情報も有用です。

ヒトアジュバンド病の治療は、初期であれば、体内に注入された異物を取り除くことによって、症状が軽くなったり治ることもあります。多くの例では効果が不十分なため、副腎(ふくじん)皮質ホルモン(ステロイド剤)による治療が必要になります。骨の変形など組織の変化まで進んでいる場合は、非ステロイド性抗炎症剤、副腎皮質ホルモンを使用し、膠原病に準じた治療が行われます。

🇫🇯非特異性膣炎

女性生殖器系の器官である腟に、一般的な細菌が増殖して炎症が起こる疾患

非特異性膣炎(ちつえん)とは、女性生殖器系の器官である腟に、一般的な細菌が増殖して炎症が起こる疾患。細菌性膣炎とも呼ばれます。

腟は、骨盤内にあって子宮と体外とをつなぐ管状の器官で、伸び縮みできる構造をしています。腟の前方には膀胱(ぼうこう)や尿道があり、後方には直腸があります。腟壁は粘膜に覆われ、その粘膜面には横に走るひだがあります。このひだは正中部で集合し、前壁と後壁で中央に縦に走るひだになっています。このひだは出産の経験のない人に、多く認められます。

この腟の中は、温かく湿っていて有機物が豊富にある状態で、細菌の繁殖に適しています。しかし、腟には自浄作用という働きがあります。腟壁上皮は卵巣から分泌される女性ホルモンであるエストロゲンの作用により、表皮細胞への分化が促され、細胞質の内にグリコーゲンが蓄積されます。剥離(はくり)した細胞内のグリコーゲンは、ブドウ糖に分解されて、腟内のデーデルライン桿菌(かんきん)という乳酸桿菌によって乳酸菌に換えられます。これにより腟内は酸性となり、酸性環境に弱い細菌の増殖が抑制されます。

しかし、疲労や体力の低下、生理周期や妊娠などによるホルモンバランスの変化、過度なセックスや膣洗浄のしすぎ、薬の服用などが原因で、自浄作用の働きが低下すると、ふだんから腟の中に常在しているような一般的な細菌が通常以上に増殖して、膣に炎症が起こり、非特異性膣炎を発症します。

増殖によって非特異性膣炎を起こす一般的な細菌の代表は、大腸菌、ブドウ球菌、連鎖球菌、ガードネレラ菌、B群溶連菌で、これらの菌が10~100倍に増殖します。

ふだんから腟の中に常在している細菌が多いのですが、腸の中にいる大腸菌の場合、排便した時に出てきた菌が何らかの理由により腟内に入り込み、非特異性膣炎を引き起こします。

非特異性膣炎を発症すると、灰色または黄色の水っぽい下り物があります。魚のような生臭い悪臭を伴うこともあります。臭いが発生するかどうかは増殖した細菌の種類により、ガードネレラ菌が増殖すると悪臭のもとになります。生理後やセックスの後では、細菌が増えるため特に臭いが強くなります。

腟内の炎症が強い場合には、排尿時に尿が染みて痛みが出たり、尿道周辺の違和感を感じることもあります。また、膣入口部が発赤し、灼熱(しゃくねつ)感、掻痒(そうよう)感などが起こることもあります。

ただし、一般的な細菌は病原性が弱いため、増殖しても腟内に炎症が起きず、半数異常の人は症状を感じません。このため、正確には非特異性膣炎ではなく非特異性の膣症、すなわち細菌性腟症と呼ばれます。

腟炎には、特異的病原微生物の感染によって起こるカンジダ腟炎、トリコモナス腟炎、淋菌(りんきん)性腟炎、あるいは委縮性膣炎などいろいろな種類がありますが、割合としてはこの非特異性膣炎になる女性が最も多く、若い女性の1割以上が発症していると見なされています。ホルモンの影響などで妊婦では特に非特異性膣炎になりやすく、2割から3割の妊婦は非特異性膣炎を発症していると見なされています。また、トリコモナス腟炎では、非特異性膣炎を同時に発症することが多くみられます。

非特異性膣炎は自然治癒することもありますが、治療しなければずっと続くこともあります。

非特異性膣炎の検査と診断と治療

婦人科、産婦人科の医師による診断では、腟の分泌物を顕微鏡で観察し、炎症反応やその原因となった病原体を検出したり、時には培養したりして特定します。

婦人科、産婦人科の医師による治療では、膣錠を使っての治療が一般的です。薬が効けば通常、2~3日で症状は消えます。しかし、いろいろな細菌が原因となって起こるため、薬を投与しても増えている菌によっては効果がないこともあり、なかなか治らないような場合には、さまざまな薬を試していくこともあります。

一番よく使われる薬は、保険が効くクロロマイセチン(クロマイ、ハイセチン)の膣錠で、臭いのもととなるガードネレラ菌に効果はありますが、同時に乳酸桿菌も殺してしまうという欠点があります。

効果的な薬は、トリコモナス膣炎の治療薬であるメトロニダゾール(フラジール)の膣錠で、乳酸菌を殺すことなく、ガードネレラ菌を退治します。値段の高い薬ではありませんが、非特異性膣炎(細菌性膣炎)の場合には保険が効かないという欠点もあります。

最初の治療の前には、膣洗浄を行って増えた細菌を洗い流して症状を抑えます。この膣洗浄を行うのは、普通は初回の治療だけで、治療のたびに膣洗浄を行うと、せっかく増えた乳酸桿菌が消えてしまうためです。

非特異性膣炎は再発が多いため、治療が長期間に及ぶこともあります。

🇫🇯マイコプラズマ肺炎

微生物のマイコプラズマの感染で、子供に多く起こる肺炎

マイコプラズマ肺炎とは、微生物のマイコプラズマの感染によって起こる肺炎。マイコプラズマは細菌より小さくウイルスより大きな微生物で、生物学的には細菌に分類されますが、ほかの細菌と異なるところは細胞壁がない点です。

感染している人との会話や、せきに伴う唾液(だえき)の飛沫(ひまつ)によって感染します。インフルエンザのような広い地域での流行はみられず、学校、幼稚園、保育所、家庭などの比較的閉鎖的な環境で、散発的に流行します。日本では一時期、4年ごとのオリンピックの開催年に一致してほぼ規則的な流行を認め、オリンピック病とかオリンピック肺炎と呼ばれたこともありましたが、1990年代に入るとこの傾向は崩れて毎年、地域的に小流行を繰り返すようになっています。

季節的にはほぼ1年中みられ、特に初秋から早春にかけて多発する傾向がみられます。好発年齢は、幼児から学童、特に5~12歳に多くみられます。4歳以下の乳幼児にも感染はみられますが、多くは不顕性感染または軽症です。潜伏期間は1~3週間。

風邪に似た症状が現れ、中でもせきが激しいのが特徴。たんは少なめです。たんの出ない乾いたせきが激しく、しかも長期に渡って続き、発作性のように夜間や早朝に強くなります。胸や背中の筋肉が痛くなることも、珍しくありません。

38〜39度の高熱、のどの痛み、鼻症状、胸痛、頭痛などもみられますが、肺炎にしては元気で全身状態も悪くなく、普通とは違う肺炎という意味で非定型肺炎とも呼ばれます。

マイコプラズマ肺炎の検査と診断と治療

学校、幼稚園、保育所などで小流行することが多いので、子供のにせきや発熱などの症状がみられたら、早めに呼吸器科や小児科を受診します。比較的軽症なために普通の風邪と見分けがつきにくく、診断が遅れることがありますが、まれに心筋炎や髄膜炎などを併発することもありますので、油断はしないほうがいいでしょう。

胸部X線撮影によって肺炎自体の診断はつきますが、原因を確定するのに時間がかかります。咽頭(いんとう)から採取した液を培養してマイコプラズマを検出するまでに、通常1~2週間を要するためです。

一般に自然治癒傾向の強い疾患ですが、マイコプラズマが検出できない間は、細菌性肺炎とマイコプラズマ肺炎の両方を想定した治療が行われます。細菌性肺炎と同様、抗生物質によってマイコプラズマを排除しますが、有効な薬を選ばなければ効果が得られません。

マイコプラズマは細胞壁を持たないので、細胞壁合成阻害剤であるペニシリン系やセフェム系の抗生物質は効果がありません。蛋白(たんぱく)合成阻害剤を選択しなければなりません。中でもマクロライド系、テトラサイクリン系、ニューキノロン系の抗生物質が効果を上げます。小児では、副作用のことも考慮してマクロライド系の抗生物質が第1選択薬です。ニューキノロン系も有効ですが、小児への適応のないものがほとんどです。

ほとんどの場合、外来の内服治療でマイコプラズマ肺炎は治ります。ただし、小児では重症例や合併症も多く、高熱で脱水症状があるとか、激しいせきで眠れなかったり、食欲が大きく妨げられているような場合は、入院が必要になります。

子供が学校などからマイコプラズマを持ち帰ると、1〜3週間の潜伏期間を経て、家族に感染することがよくあります。予防接種はなく、決定的な予防法はありません。家庭ではマスクやうがい、手洗い、発症者の使うタオルやコップを使わないなど、普通の風邪と同じような予防法を心掛けます。

🇫🇯埋没陰茎

下腹部に陰茎が埋もれて、実際のサイズよりも小さく見える疾患

埋没陰茎とは、男性の陰茎が周囲の皮下脂肪に埋もれたり、恥骨上の過剰な皮下脂肪に埋もれたりして、実際のサイズよりも小さく見える疾患。

先天的に発症する場合と、後天的に発症する場合があり、先天的な発症は幼小児に多くみられます。

幼小児にみられる埋没陰茎では、陰茎は皮下脂肪に埋もれながらも、そのサイズは長さ、太さとも年齢相応に発育していくケースが多いとされています。陰茎を持ち上げると、正常の外観となります。

陰茎は基本的に、陰茎ワナ靭帯(じんたい)と陰茎提靭帯という靭帯で、骨盤の前面にある左右2つの恥骨とつながっています。靭帯と恥骨とのつながり方が先天的に悪い場合には、陰茎が根元周囲の皮下脂肪の中に引き込まれ、表面に出ている陰茎の部分が少なくなり、実際のサイズよりも小さく見えます。

また、陰茎を包み込む皮膚の内側にある浅陰茎筋膜(ダルトス筋膜、コーレス筋膜 )、深陰茎筋膜(バック筋膜)という筋膜の付着異常で先天的に進展性が悪い場合にも、陰茎が根元周囲の皮下脂肪の中に引き込まれ、表面に出ている陰茎の部分が少なくなり、実際のサイズよりも小さく見えます。

程度にもよりますが、基本的には埋没陰茎に包茎を伴います。仮性包茎ならば、思春期以後から包皮を押しのけて亀頭が現れるようになりますが、真性包茎を伴っていると、陰茎が年齢相応に発育せず亀頭も露出しません。

埋没陰茎に真性包茎を伴って、生殖年齢になっても埋没陰茎が自然に改善していない場合、表面に出ているいる陰茎が短いために、パートナーの女性との性行為の際に陰茎を膣(ちつ)に挿入することが困難となり、性交困難症の原因になることがあります。このことがコンプレックスとなり、心因性(機能性)勃起障害(ED )の原因となる場合もあります。

一方、後天的に発症する埋没陰茎は、肥満によって起こります。恥骨付近に皮下脂肪がたまったり、肝臓や腸管などの内臓の周囲に脂肪がたまったりした結果、陰茎が下腹部に埋もれ、表面に出ている陰茎が割合として少なくなり、実際のサイズよりも小さく見えます。皮下脂肪が厚ければ厚いほど、つまり肥満であればあるほど陰茎が埋もれた状態になります。

肥満をベースとするので、多くは後天的に発症する埋没陰茎ですが、まれにプラダー・ウィリー症候群という先天的な肥満疾患が、埋没陰茎の原因となる場合もあります。

なお、外傷によっても埋没陰茎が生じることがあり、この場合は外傷性埋没陰茎として、別に扱われます。埋没陰茎といった場合は、一般的に非外傷性を指します。

先天的に発症する埋没陰茎の多くは、両親などが気付いて心配し、小児泌尿器科、小児外科などを受診します。後天的に発症する埋没陰茎の場合は、生殖年齢になって本人が悩み、泌尿器科、外科などを受診します。

埋没陰茎の検査と診断と治療

小児泌尿器科、小児外科、泌尿器科、外科などの医師による診断では、ほとんどのケースで、体形や陰茎の視診と触診、生下時からのエピソードの問診によって判断します。陰茎の根元周囲や恥骨上の皮膚を抑えて、陰茎を引き出して触診すると、年齢相応のサイズの陰茎と亀頭を触知することが可能です。

診断に際しては、矮小陰茎(ミクロペニス)との鑑別を行い、矮小陰茎の原因となる疾患である性腺(せいせん)機能低下症、類宦官(るいかんがん)症、クラインフェルター症候群などを除外します。

小児泌尿器科、小児外科、泌尿器科、外科などの医師による治療では、基本的に形成手術は必要ないとされ、問題の多い重症例が形成手術の対象になります。

形成手術を行う場合は、陰茎の根元周囲の脂肪組織を切除して陰茎の皮下組織を固定する方法、恥骨上の脂肪組織を切除して陰茎の皮下組織を固定する方法があります。

さらに、陰茎と恥骨の結合部にある靭帯の一部を剥離(はくり)し、埋没してたるんでいた陰茎を引き出し、陰茎の皮下組織を吸収糸で固定す方法、浅陰茎筋膜や深陰茎筋膜を剥離、切除し、埋没してたるんでいた陰茎を引き出し、陰茎の皮下組織を吸収糸で固定する方法などがあります。

通常の包茎として間違えて包皮切除術を行うと、埋没陰茎自体に対する改善処置が行いにくくなってしまう場合があるので、 その鑑別は慎重に行います。

一方、肥満によって後天的に陰茎が埋もれている場合は、食生活など生活習慣を改善することによる減量が治療となります。重症例では、恥骨付近の皮下脂肪を減らす脂肪吸引なども行います。

💅巻き爪

つめの甲が高度に弓なりに曲がり、両側縁に食い込んだ状態

巻き爪(づめ)とは、爪の甲が両側縁に向かって深く湾曲して、側爪廓(そくそうかく)に巻き込み、爪廓部を損傷する状態。

側爪廓に食い込んでいるものは陥入爪(かんにゅうそう)といい、側爪廓に巻き込んでいて爪の両端が丸まっている巻き爪は、陥入爪の変形です。巻き爪と陥入爪は、合併して起ることもあります。

巻き爪は足の爪に起こることがほとんどで、まれには手の爪にもみられます。統計的に欧米人に多く、また3対1の割合で男性に多いとされていましたが、近年では、日本人の間にも老若男女を問わず急速に増加し、ことに若い女性での発生が目立ちます。

主な原因は、先天的な爪の異常、爪の外傷、爪の下がうむ疾患であるひょうそ後の変形です。これに、窮屈な先の細い靴による爪の圧迫、不適当な爪切り、立ち仕事や肥満による過度の体重負荷ないし下肢の血流障害、あるいは、爪の水虫による爪の甲の変形などが加わって、悪化します。

爪の甲の端が爪廓に巻き込むと、圧迫によって痛みを生じます。また、巻き込んだ爪の甲が爪廓の皮膚を突き刺すようになると、指の回りがはれたり、その部分を傷めて痛みが増強します。

爪の甲の端が変形して起こるため、肉眼で確認しづらい状態で進行していくことが多く、気付いた時には皮膚に深く巻き込んでしまっていることもあります。場合によっては、出血を起こすほどに爪が深く突き刺さってしまうこともあります。

この傷に、ばい菌が入ると、より赤くはれ上がってくるとともに、赤い出来物を生じるようになります。これを化膿性肉芽腫(かのうせいにくげしゅ)と呼びます。

ひょうそなどの感染は、巻き爪や陥入爪を誘発したり、悪化させたりするため、早期に適切な治療を必要とします。巻き爪や陥入爪の再発を繰り返す場合や、側爪廓の盛り上りが強すぎて歩行に支障を来すような場合には、皮膚科専門医による外科的治療を行わないと完治しません。

巻き爪の検査と診断と治療

皮膚科の医師による治療の基本となるのは、爪の端を皮膚に刺さらないように浮かせて伸ばし、とげ状の部分をカットする方法と、手術で爪の端を取り除く方法です。爪の変形が強くなるため、原則的に抜爪は行われません。

巻き爪の矯正にはさまざまな方法があり、プラスチック製のチューブを爪の端に装着するガター法も行われています。爪を切開して、爪の端をチューブで包むことで指の組織を保護するのが目的で、傷口が化膿している場合などに、ガーター法は行われます。

形状記憶合金のワイヤーやプレートを使用する方法もあります。ワイヤー法は、爪の先端に2カ所穴を開け、太さ0・5ミリ程度の特殊なワイヤーを通して矯正する方法です。早ければワイヤーを装着した直後に痛みが治まり、ほとんどが数日中には痛みなどの症状が軽くなります。2~3カ月に1度、ワイヤーを入れ替えて爪を平らな状態に近付けていきます。ワイヤーの装着後も通常、運動の制限や入浴の制限などありません。

プレート法は、主に巻き爪と陥入爪を併発して症状がひどく、痛みもひどい場合や、ワイヤーの穴を開ける余裕がない場合などに行われます。爪の表面に、形状記憶合金製のプレートを医療用の接着剤を使用して接着します。後は自宅で、ドライヤーなどの熱を利用して1日に2〜3回、巻き爪の部分に熱を加えてプレートを伸ばすだけです。

また、深爪した爪、巻き込んでいる爪の先端にアクリル樹脂の人工爪を装着して、人工的に爪が伸びた状態を作り、周囲の皮膚への巻き込みを緩和し、巻き爪を矯正する人工爪法もあります。

矯正や人工爪による治療は時間がかかりますが、手術と違ってメスを使わないので痛みもほとんどなく、見た目も正常にになるという利点があります。

巻き爪を治療するためではなく、化膿した組織を治すためには、硝酸銀が使われます。硝酸銀を巻き爪でできた傷口に滴下し、傷口を溶かし正常な組織への再生を促します。硝酸銀が滴下された皮膚は、しばらくの間、黒く染色されます。

巻き爪がひどい場合、激しい痛みがある場合には、爪の元となる組織である爪母を除去する外科手術を行って、改善を図ることがあります。爪母を外科手術で除去する鬼塚法と、薬品で爪母を焼き取るフェノール法がありますが、どちらも再発する可能性があるというデメリットがあります。近年では、レーザーメスを使って爪母を切除する方法も開発されています。いずれにしろ、外科手術は最後の手段となる場合がほとんどです。

生活上の注意としては、まず足指を清潔に保つことが大切なので、多少ジクジクしていても入浴し、シャワーでばい菌を洗い流します。ばんそうこうなどで傷口を覆うと、かえって蒸れてばい菌が増殖します。消毒した後、できれば傷を覆わないか、風通しのよい薄いガーゼ1枚で覆います。

窮屈な靴、特にハイヒールや先のとがった革靴などは、爪を過度に圧迫するので避けます。爪切りの際には、かえって巻き爪を増強させる深爪にしないように気を付けます。

🇬🇺麻疹

麻疹ウイルスによって引き起こされる小児期に多い急性の感染症

麻疹(ましん)とは、麻疹ウイルスによって引き起こされる小児期に多い急性の感染症。麻疹と書いて「はしか」とも読み、こちらのほうが一般に知られています。

麻疹ウイルスの感染経路は、空気感染、飛沫(ひまつ)感染、接触感染で、その感染力は極めて強く、免疫を持っていない人が感染するとほぼ100パーセント発症します。一度感染して発症すると、一生免疫が持続するといわれています。

流行するのは初春から初夏にかけてで、秋から冬にかけては流行はみられません。好発年齢は1歳代が最も多く、次いで6~11カ月、2歳の順です。生後5〜6カ月までは母親の免疫抗体が体内に残っているので、かかりません。近年は、成人麻疹の増加が問題となっており、10歳代、20歳代での発症が多くなっています。

10~12日の潜伏期の後、発熱で発症します。発熱期はせき、鼻水、結膜の充血、目やにの症状が強く、38℃以上の発熱が数日続きます。疾患の経過中、最も感染力が強い時期です。その後、いったん解熱傾向を示しますが、すぐに耳後部付近から発疹が現れるとともに、39℃以上の発熱が数日続きます。

発疹の出現前後1、2日間に、臼歯(きゅうし)の横付近の口腔(こうくう)粘膜にコプリック斑(はん)と呼ばれる白い粘膜疹が現れます。この粘膜疹は麻疹に特徴的であるため、早期診断に役立ちます。

発疹はその後、顔面、体幹、手足に広がって全身の発疹となります。発疹は鮮紅色で少し盛り上がったものが点在しますが、数が多くなると部分的に融合して地図状になる傾向があります。

発疹の出現後、熱は3、4日で下がり、発疹もやや遅れて暗赤色からさらに薄くなり始め、褐色の色素沈着を残して回復に向かいます。色素沈着以外の症状は7〜10日で回復し、色素沈着も徐々に薄れていきます。

麻疹の後、肺炎、中耳炎を合併することが多く、1000人に0・5~1人の割合で脳炎を合併することがあり、中にはこのために死亡することもあります。

また、麻疹ウイルスに感染後、5~10年の潜伏期間を経て特に学童期に発症することの多い中枢神経疾患として、亜急性硬化性全脳炎(SSPE)があります。知能障害、運動障害、けいれん発作などの症状を示し、発症から平均6~9カ月で死亡する進行性の予後不良な疾患で、発症頻度は麻疹にかかった10万人に1人程度といわれています。

ワクチンの予防接種が、有効です。ワクチンを接種する前に麻疹の発症者と接触したことが判明した場合は、48時間以内に麻疹含有ワクチンを接種することも、効果的です。接触後5、6日以内であれば、γ(ガンマ)-グロブリン製剤の注射で発症を抑える、あるいは軽くすませる可能性があります。が、安易にとれる方法ではありません。ただし、家族内感染の場合は、これらの予防法では間に合わないことがほとんどです。

麻疹を発症してしまった場合は、早急に掛かり付けの小児科、成人の場合は内科あるいは皮膚科を受診し、入院の必要性を含めて対応を相談することが必要です。

麻疹の検査と診断と治療

小児科、内科、皮膚科の医師による診断は通常、二峰性発熱、せき、鼻水、目やになどの症状、発疹の性状や特にコプリック斑だけで、ほぼ確実につきます。コプリック斑や発疹が出る前の時期は、風邪と似た症状のため診断がつきにくいことがあります。ただし、地域で麻疹の流行が確認されている場合は、かなり早い時期から麻疹の疑いがもたれます。

診断を確定する必要がある場合は、急性期の血液や咽頭(いんとう)ぬぐい液、尿から麻疹ウイルスを分離したり、RT‐PCR法で麻疹ウイルスの遺伝子(RNA)を検出することで、証明します。この検査は全国の地方衛生研究所(地研)で実施されており、麻疹を疑った場合は、保健所を通して地研に臨床検体を搬送します。地研での実施が困難な場合は、国立感染症研究所で実施します。急性期と回復期に採血して、麻疹ウイルスに対するIgG抗体が陽性に転じたことで診断する場合もあります。

近年、成人での麻疹の発症が増えていますが、内科医が麻疹患者を見慣れていないという事情もあり、診断が遅れがちです。成人の麻疹の場合、腹痛、黄疸(おうだん)、肝機能障害といった腹部症状が通常の麻疹の症状とともによくみられます。

小児科、内科、皮膚科の医師による治療では、発症してしまった場合はウイルスに特異的な治療方法がないため、対症療法と細菌感染の予防を行います。対症的薬物療法としては、高熱や頭痛には解熱剤、鎮痛剤、不安や興奮には鎮静剤、せきには鎮咳(ちんがい)、去たん剤を使用します。肺炎、中耳炎を合併することも多く、入院率は約40パーセントといわれています。

なお、麻疹は2008年1月1日から、全数報告の感染症となり、診断したすべての医師が最寄りの保健所に1週間以内に届け出ることが義務付けられました。

熱が続いている間は安静にし、水分補給を心掛けます。部屋の加湿は、せきを軽減させる効果があります。部屋の温度は、涼しくしすぎないよう注意します。光をまぶしがる時は、部屋の中をやや暗めにします。小学生以上の場合、麻疹と診断されれば出席停止となります。解熱後3日以上たてば登校できるようになりますが、その際には医師による登校許可が必要となります。

ワクチンを接種して発症そのものを予防することが、最も重要です。接種時期は、1歳になったらできる限り早く接種することが望まれます。日本では、2006年からMR(麻疹・風疹混合)ワクチンが広く使用されるようになり、2006年6月からは、1歳児と小学校入学前1年間の幼児を対象とした2回接種制度が始まっています。これらの時期に受けるワクチンは、定期接種として通常、無料で接種が受けられます。

また、2007年の全国的な麻疹流行は10歳代、20歳代が中心で、大学や高校で休校が相次いで問題になったため、国の麻疹対策が大きく変わりました。2008年度から5年間の時限措置として、10歳代への免疫強化を目的に、中学1年生(13歳)と高校3年生(18歳)に対する2回目の予防接種(原則としてMRワクチン)が、予防接種法に基づく定期接種に導入され、2012年度で終了しました。

🟥インフルエンザ感染者、2週連続増加 1医療機関当たり11・33人

 厚生労働省は23日、全国約3000の定点医療機関から12~18日の1週間に報告されたインフルエンザの感染者数は計4万3027人で、1医療機関当たり11・33人だったと発表した。前週比1・07倍で、2週連続の増加となった。全国平均で警報レベルとされる1医療機関当たり30人を下回...