2022/08/18

🇲🇦膣乾燥症

温かく、湿っている膣の中が乾燥し、潤いを欠く状態

膣(ちつ)乾燥症とは、女性生殖器系の器官である膣の中が乾燥し、潤いを欠く状態。

膣は、骨盤内にあって子宮と体外とをつなぐ管状の器官で、伸び縮みできる構造をしています。膣の前方には膀胱(ぼうこう)や尿道があり、後方には直腸があります。膣壁は粘膜に覆われ、その粘膜面には横に走るひだがあります。このひだは正中部で集合し、前壁と後壁で中央に縦に走るひだになっています。このひだは出産の経験のない人に、多く認められます。

この膣の中は、温かく湿っていて有機物が豊富にある状態で、細菌の繁殖に適しています。しかし、膣には自浄作用という働きがあります。膣壁上皮は卵巣から分泌される女性ホルモンであるエストロゲンの作用により、表皮細胞への分化が促され、細胞質の内にグリコーゲンが蓄積されます。剥離(はくり)した細胞内のグリコーゲンは、ブドウ糖に分解されて、膣内の乳酸桿菌(かんきん)によって乳酸菌に換えられます。これにより膣内は酸性となり、酸性環境に弱い細菌の増殖が抑制されます。

しかし、40歳代の後半くらいから閉経を迎える女性、および閉経後の女性では、膣の正常な柔軟性、酸性度、潤滑性を維持するために必要不可欠なエストロゲンの分泌量が減り、これが膣壁の粘膜を薄くして柔軟性を失わせるとともに、潤滑性を失わせ、膣乾燥症の原因になります。膣の中が乾燥することにより、痛みやかゆみを覚え、膣壁がこすれたりすることによる炎症なども起こることがあります。

性交渉の際にも、膣の中が乾燥し、潤いがない上に、膣壁の柔軟性がないことで痛みを伴ったり、状態によっては性交渉そのものが苦痛になることもあります。

エストロゲンは、閉経期および閉経後のほか、妊娠中、授乳中に減少し、卵巣の摘出、喫煙によっても減少します。無理なダイエットによって月経周期が崩れたり、生理がこないという若い女性でも、エストロゲンは減少します。ごくまれに、食べ物などのアレルギー反応に関連して、エストロゲンの減少を経験することがあります。

膣が乾燥する理由としては、エストロゲンの減少以外にもいくつかあります。風邪薬、アレルギー治療薬、一部の抗うつ剤は、膣を含め体全体の乾燥の原因になります。乳がんの治療に使用されるような化学療法薬も、膣を含め体全体の乾燥の原因になる可能性があります。市販のビデ(膣洗浄剤)を使用すると、膣の中の自然な化学的バランスが崩れて、これが炎症や乾燥の原因になることがあります。

自分自身の体を異物と認識して攻撃する自己免疫性疾患の一種で、全身の分泌腺(せん)組織を侵して唾液(だえき)や涙などが出にくくなるシェーグレン症候群という難病の一症状としても、膣にあるバルトリン腺と呼ばれる分泌腺が侵され、膣乾燥症がみられることもあります。40~60歳の女性に多いのが特徴で、女性ホルモンの要因も関連して発症すると考えられています。

膣乾燥症の検査と診断と治療

婦人科、産婦人科の医師による診断では、まず膣乾燥症の原因を探し出すために、問診を行います。自覚症状に関する質問をしたり、治療中の病気や市販薬、処方薬にかかわらず使用している薬について質問をしたりします。

確実な診断を得るためには、内診のほか、超音波検査、MRI検査、基礎体温の測定、血液中ホルモン検査、腎臓(じんぞう)と尿管の検査、膣分泌物の顕微鏡検査や培養検査などを行うこともあります。原因を特定できない場合や、ほかの症状がある場合は、追加の検査を行うこともあります。

婦人科、産婦人科の医師による治療では、閉経期および閉経後の女性ホルモンのエストロゲン不足によるものであれば、天然のエストロゲンを薬として補充します。

しかし、ホルモン療法はすべての人に適した治療というわけではなく、副作用が出ることもあります。副作用には、体重増加、体液貯留、吐き気、頭痛、乳房を押した時の痛み、皮膚にできる色の濃い斑点(はんてん)、脳梗塞(こうそく)、血栓、認知症、乳がんや卵巣がんのリスクの増加があります。

ホルモン療法以外の選択肢はいくつかあり、膣の乾燥に対応するために特別に作られた保湿剤を使うと、1回の使用で最大3日間症状を和らげることができます。性交痛の対策としては、性交渉の際に膣用のゼリーやローションといった潤滑剤を使用すると、痛みを和らげることができます。潤滑剤が膣壁の粘膜に潤いを与え、1回の使用で数時間効果が持続します。

市販のビデ(膣洗浄剤)、せっけん、リンスなど膣を洗うために作られた製品を使用して膣の乾燥を生じている場合は、その使用を避けることで悪化させないようにします。

ほかにも、エストロゲンと似た作用をするイソフラボンを含む大豆と大豆製品を食事で摂取すると、膣の乾燥が和らぐことがあります。八味地黄丸(はちみじおうがん)、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)などの漢方薬を服用することで、膣の乾燥が和らぐこともあります。

シェーグレン症候群による膣乾燥症であれば、内科などでステロイド薬や免疫抑制薬などの服用を含めて、適した治療を受けてもらいます。そちらの治療を行うことで、改善する可能性が考えられます。

🇲🇦膣狭窄症

女性性管の膣が狭窄を来した状態

膣狭窄(ちつきょうさく)症とは、先天性あるいは炎症や外傷などによって、女性性管の膣が狭窄を来した状態。

膣狭窄症には、胎児期におけるミュラー管という組織の発生障害によって生じる先天性のものと、小児期のジフテリアや、はしか(麻疹〔ましん〕)などによる膣炎の後遺症として生じた癒着による後天性のものとがあります。

狭窄の程度によって全く症状を欠く場合もありますが、高度の場合は月経血の排出障害、分泌物の貯留を起こしたり、膣炎が起きたり、異常な下り物があることもあります。月経血の排出障害により、下腹部痛を感じたり、子宮機能に異常が現れることもあります。

膣が狭いために、性交渉に問題を抱えます。

思春期に初経がこないため婦人科を受診し、発見される例がほとんどです。

膣狭窄症の検査と診断と治療

婦人科、産婦人科、あるいは小児科の医師による診断は、内診を中心に、超音波検査やCT検査で腟や子宮に液体がたまっていないかどうかを検査します。血液中ホルモン検査、腎臓(じんぞう)と尿管の検査などを行うこともあります。

婦人科などの医師に膣狭窄症の治療は、程度に応じて頸管(けいかん)拡張器による膣腔(ちつくう)の拡大、狭窄部の小切開、さらに全体的膣形成までさまざまな手術が行われます。

頸管拡張器は、医師の指導の元に患者自身が使用する医療器具であり、腟部分の皮膚に圧力を加えて伸展させ、徐々に腟腔を形成するため、当初は幅1・5センチ、長さ2、3センチ程度のごく小型のものを用い、サイズを増していきます。使用前に入浴して、伸展部の皮膚を軟らかくすると効果的。

使用の開始年齢は、自分の状態を理解して使用できる年代が好ましく、思春期以降の性的関係を持つ時期が適切です。

🇲🇦腟けいれん

腟口や腟周囲の筋肉が不随意にけいれん、収縮を起こし、性交ができなくなったりする状態

腟(ちつ)けいれんとは、女性の腟口や腟周囲の筋肉が不随意にけいれん、収縮を起こし、性交時に痛みを感じたり性交ができなくなったりする状態。単に腟けいとも呼ばれます。

この腟けいれんは、性交経験のない人に起こる原発性腟けいれんと、性交経験のある人に起こる続発性腟けいれんとに分かれます。

原発性腟けいれんでは、初交の際に男性が陰茎を膣に挿入しようとすると、外陰部の疼痛(とうつう)を覚えるため、不随意反射的に膣口の括約筋である球海綿体筋や外肛門(こうもん)括約筋を強く締めてしまい、挿入が困難か、あるいは挿入に強い痛みを伴います。挿入後に起こった場合は、陰茎を抜去するのが困難になります。

原発性腟けいれんの多くは、幼少期の性的障害や、性への消極的思考の教育、宗教的な罪悪感、望まない結婚などが関係するといわれています。無意識の心理的葛藤が身体的症状として現れる、いわゆる心身症としてとらえることもできます。

続発性腟けいれんの場合は、結婚後何年もしてから症状が現れることもあります。また、陰茎挿入時に疼痛を覚えることもしばしばです。

続発性腟けいれんは、性交を望まない気持ちが無意識にあると生じることがあります。例えば、過去に性交で経験した痛みが、症状のの原因となっている場合があります。このほか、妊娠すること、パートナーに支配されること、自制が利かなくなることなどに対する恐れなどが、性交を望まない気持ちにつながります。

骨盤内の感染、けが、出産、手術などによる腟口の傷跡などの身体的な問題が、腟けいれんを引き起こしていることもあります。腟洗浄、殺精子剤、コンドームのラテックスなどによる刺激も、腟けいれんの原因となることがあります。

腟けいれんの痛みのため、性交に耐えられない女性もいますが、こうした女性でもペニスの挿入を伴わない性行為であれば楽しめることがあります。逆に、月経の際の生理用タンポンの挿入にさえ耐えられないような場合もあり、こうした人では医師による検査の際に麻酔が必要となります。

医師による診断が難しいことと、治療には時間がかかることがあるので、腟けいれんに気付いたら、まずは産婦人科に相談に行くのがよいでしょう。その後、必要に応じて専門家の治療を受けることになります。

腟けいれんの検査と診断と治療

婦人科、産婦人科の医師による診断は、発症者による症状の説明、病歴によって腟けいれんを疑いますが、確定診断は腟の検査を行うことになります。ただし性器という場所ゆえに、なかなか検査を行いにくいというのが現状です。

身体的疾患が腟けいれんの原因となっている場合は、その治療を行います。原因が精神的なものである場合は、性交や性器に対する不安の除去を図る精神医学的療法を行います。同時に、パートナーとの関係の見直しや、家庭環境の改善も必要になってきます。

物理的な治療として、器具の挿入による腟の段階的拡張を行うほか、局所への麻酔薬入りゼリーの塗布、処女膜切開、向精神薬の内服などの方法があります。

腟の段階的拡張は、潤滑剤を塗ったプラスチック製の棒(拡張器)を自分で腟に挿入し、腟を徐々に広げていくという方法です。初めは細い拡張器を使用し、楽に挿入できるようになったら徐々に太いものに変えていきます。十分な太さの拡張器を入れていても不快感を感じないようになったら、改めてパートナーとの性交を試みます。

この拡張器を挿入した状態で、骨盤部の筋肉を強化するケーゲル体操を行うと効果的な場合があります。ケーゲル体操は、排尿を途中で止める時のように、腟、尿道、直腸の周りの筋肉に力を入れて約10秒間引き締め、次に力を抜いて約10秒間緩めます。この動作を10〜20回繰り返すのを1セットとして、1日に3セット以上行います。この体操により、不随意に収縮していた筋肉をコントロールする感覚を身に着けることができ、尿失禁や便失禁の予防や軽減にもつながります。

🇦🇶チック症

不随意に急速な運動や発声が起きる疾患

チック症とは、チックという一種の癖のようなものが固定、慢性化した疾患。心身症ないし神経症レベルのチック症や、チック症の重症型といわれる慢性多発性のトゥレット症候群は、学童期、思春期の子供に比較的多くみられます。

チックというのは、ある限局した一定の筋肉群に、突発的、無目的に、しかも不随意に急速な運動や発声が起きるもの、とされています。従って、チック症の症状には、運動性チック、音声(発声)チックがあります。

運動性チックの症状としては、まばたき(瞬目)、首振り、顔しかめ、口すぼめ、肩上げなど上位の身体部位によく現れますが、飛び跳ね、足踏み、足けりなど全身に及ぶものもあります。音声(発声)チックの症状としては、咳(せき)払い、鼻鳴らし、舌鳴らしのほか、叫びや単語を連発するものがあります。

3〜4歳の幼児期から11歳ごろに発症することが多く、ピークは6〜8歳です。男児に多い傾向にあり、男女比は3対1。その意味付けに関して定説はありませんが、一応この時期の男女の成長、発達の特異性によるものと考えられています。

原因は、慢性的なものであれば、遺伝的なものを含め脳にあると考えられていますが、環境や心の問題も症状に影響します。一過性のものの中には、心因性のものもあると考えられていますが、その場合自然に軽快することが多いといわれています。脳については、線状体の障害説などがあります。

チック症は、 一過性チック症、 慢性チック症、トゥレット症候群(トゥレット障害)に分類されます。

一過性チック症は、1種類または多彩な運動性チックおよび音声チックが、頻回に起こりますが。1年以内に症状が消失するものです。心と体の成長、発達の過程で、子供の10~20パーセントに何らかのチック症が見られるとされていますが、多くは一過性と考えられています。

慢性チック症は、1種類または多彩な運動性あるいは音声チックのどちらかが、頻回に起こり1年以上持続するものです。

トゥレット症候群(トゥレット障害)は、多彩な運動性チックおよび1つまたはそれ以上の音声チックが、同時ではなくても頻回に起こり1年以上持続するものです。10歳過ぎになると、卑猥(ひわい)な単語などをいってしまう汚言症、他人のいった言葉などを繰り返す反響言語、音声や単語を繰り返す反復言語などの複雑な音声チックが出現することがあります。このトゥレット症候群、時に慢性チック症にも併発することがあるものとして、強迫性障害、注意欠陥/多動性障害(AD/HD)、学習障害、不登校、衝動性、攻撃性の高進、自傷・他害行為が挙げられます。

以上の3つの障害は、連続するものかどうかは明らかでありませんが、大きく見れば1つの集合と考えられています。そして問題なのは、どのようなタイプの一過性チック症が、慢性チック症あるいはトゥレット症候群に進展するかがわかっていないことです。

チック症の検査と診断と治療

チック症の診断は、一般には症状や治療経過の特徴などからなされています。精神科などでの治療は、「チック症という疾患を治すのではなく、チック症の子供を治療する」ことになります。治療の目標は、ストレスなどへの適応性を高め、人格の発達援助を目指すことです。

軽症の場合は、遊戯療法などの行動療法的なアプローチが有効とされています。その際は、親へのカウンセリングが重要になります。親の対応としては、症状を誘発する緊張や不安を軽減、除去することや、それへの耐性(精神的抵抗力)を高めるように援助することが肝要です。症状の出現をやめるように、いたずらに叱責(しっせき)して注意を促すことは、避けるべきです。チックは、緊張や不安、興奮、疲労などによって影響されます。ちょっとした変動で、一喜一憂しないことです。

学校ではチックが目立たないのに、家庭では多い場合もあります。これは家庭に問題があるのではなく、むしろリラックスできるからであることが多いと思われます。 本人が症状に捕われすぎないように配慮し、ゆったりと過ごせるようにします。全身運動による発散に関心を向けさせ、一方では、何か興味を抱いて熱中できる、趣味的なものを持たせることが有効です。

チック症の症状が長期、慢性化し、多発、激症化する場合には、子供専門の精神科などの医療機関への受診が必要になります。トゥレット症候群や慢性チック症の治療には、主としてハロペリドールなどの向精神薬による薬物療法が有効です。その他の治療法の併用も行われます。

🇦🇶腟欠損症

先天的に女性の腟の一部または全部が欠損した状態

腟(ちつ)欠損症とは、先天的に女性の腟の一部、または全部が欠損した状態。

この腟欠損症の女性では、先天的な原因により腟や子宮の異常がさまざまな程度に起こります。染色体は正常女性型で、卵巣はほとんど正常にあり、女性ホルモンも正常に出ています。外陰部も正常で、女性としての二次性徴も正常です。

母親の子宮の中にいる胎児の時には、卵巣、腟・子宮・卵管、外陰部は別々に発生してきて、本来はこれらがうまくつながります。このうち、腟・子宮・卵管はミュラー管という組織が分化して形作られますが、たまたま分化が行われずに発生不全が起きると、子宮はわずかに痕跡(こんせき)を残す程度にしか発育せず、腟も長さが2~3センチと短いか、全くない状態になります。これが腟欠損症です。

はっきりした原因はまだわかっていませんが、血管に異常が起こってミュラー管へ血液が流れなくなり、正常な発生ができなくなると推測されています。

腟欠損症は、医学的には上部腟欠損、下部腟欠損、全腟欠損に分類されます。頻度は4000~5000人に1人とされ、そのうち95パーセントは月経を起こし得る機能性子宮を持ちません。

全腟欠損で機能性子宮を持たない場合をロキタンスキー・キュストナー・ハウザー症候群と呼び、腟欠損の中で最も頻度が高いものです。月経機能を失っている状態で、月経血の貯留による症状はなく、無月経がほぼ唯一の症状となります。卵巣からの排卵はありますが、体内で死滅して吸収され、体外に排出されるということはありません。

一部の腟欠損で機能性子宮を持つ場合には、思春期以後、月経に伴って子宮や卵管への月経血の貯留を起こすため、月経血をみないまま周期的な腹痛が出現する月経モリミナという症状が現れます。

また、機能性子宮の有無にかかわらず、普通の性行為はできません。まれに、骨の異常があることもあります。

腟欠損症に気付いたら、婦人科医、ないし産婦人科医を受診してください。

腟欠損症の検査と診断と治療

婦人科、産婦人科の医師による診断は、内診のほか、超音波検査、MRI検査、基礎体温の測定、血液中ホルモン検査、腎臓(じんぞう)と尿管の検査、骨のレントゲンなどを行います。

婦人科、産婦人科の医師による治療では、性行為ができるように人工的に膣を造る造腟手術を行います。子宮に異常を伴う場合には妊娠が不可能な場合もあり、造腟手術により性行為を可能にして患者の精神的不具感をいやすことが治療の主眼となります。手術は、思春期以降の性的関係を持つ時期を目安に行われます。

造腟手術には数多くの術式があり、今なおさまざまな工夫が試みられています。主な術式は、フランク法、マッキンドー法、ダビドフ法、ルーゲ法の4つです。

フランク法は、腟前庭(ぜんてい)をヘガール持針器などで圧伸して腟腔(ちつくう)を形成したのち、その腟腔を拡張する方法。マッキンドー法は、出血を余儀なくされる処置で腟腔を形成したのち、皮膚移植により腟壁を形成する方法。ダビドフ法は、出血を余儀なくされる処置で腟腔を形成したのち、骨盤腹膜を利用して腟壁を形成する方法。ルーゲ法は、出血を余儀なくされる処置で腟腔を形成したのち、開腹してS状結腸を切り離し、腟管として利用する方法。

以上4つの方法が従来行われてきましたが、近年では腹腔鏡下手術が行われることも増えてきました。患者の体にかかる負担を軽減し、骨盤腹膜やS状結腸を使った手術が可能となっています。

このような手術の後には、膣管の状態を維持する必要があります。定期的な性交渉やプロテーゼ(腟ダイレーター)により、状態を保たなければいけません。プロテーゼ(腟ダイレーター)とは、筒状の拡張器具のことを指し、皮膚を伸展させて腟腔を形成する目的で使用されます。

🇦🇶腟中隔

先天的に、女性性管の腟に縦方向の隔壁が残った状態

腟中隔とは、先天的に女性性管の腟の中央に、縦方向の隔壁が残った状態。腟縦中隔とも呼ばれます。

母親の子宮の中にいる胎児の時には、卵巣、子宮・腟・卵管、外陰部は別々に発生してきて、本来はこれらがうまくつながります。このうち、子宮と腟の上部は、ミュラー管と呼ばれる左右2対の原器が中央で癒合して形成されます。その癒合に障害を来すと、ミュラー管の末端部の細胞とそれに接する部分の尿生殖洞の細胞が増殖して形成する腟板の発生と、その空洞化に異常を来し、腟の中央に縦方向の隔壁が残ると考えられています。

腟の全長に及ぶ中隔では、腟を2つ持つ重複腟となります。腟中隔の大部分は無症状で、日常生活に障害を来すことは少なく、性交渉によっても腟中隔の存在には気付かれないことが多く見受けられます。

ただし、重複腟で片方の腟が閉鎖していると、腟内や子宮、卵管に月経血、分泌物などがたまり、下腹部痛を起こしたり、しこりを生じたり、腰痛を起こしたりします。

また、同じミュラー管の癒合障害によって、中隔子宮や双角子宮などの子宮奇形を伴うこともまれではありません。発生段階で関連があるために、腎臓(じんぞう)や尿管の異常を伴うこともあります。

別の疾患が原因で婦人科を受診した際や妊娠出産を契機に、初めて腟中隔を発見されることが多くなります。

子宮奇形は、子宮の形が本来と異なるものをすべて含みます。正常な子宮は長ナスのような形をしていますが、子宮が途中で2つに分かれてハート型になっていたり、1つのはずが2つあったりすることがあります。どのような形態をしているかで、弓状子宮、中隔子宮、単角子宮、双角子宮、重複子宮、副角子宮などに分類されます。

子宮に形態的な異常があることが、習慣流産や不妊、早産、難産の原因になることがあります。しかし、特別な問題を引き起こさないことのほうが多く、子宮の形に異常があるからすぐに何らかの処置が必要ということではありません。

子宮の形は正常で、中に隔壁がある中隔子宮が、流産を繰り返す不育症と最も関連しているといわれています。逆に、子宮腔(くう)が2つ存在している双角子宮は、不育症とはあまり関係ないといわれています。

腟中隔の検査と診断と治療

婦人科、産婦人科の医師による腟中隔の診断は、内診のほか、超音波検査、MRI検査、基礎体温の測定、血液中ホルモン検査、腎臓(じんぞう)と尿管の検査、骨のレントゲンなどを行います。

婦人科、産婦人科の医師による腟中隔の治療は、性交渉や分娩(ぶんべん)の障害となっていれば、腟の中隔の切除を行います。重複腟で片方の腟が閉鎖している場合は、閉鎖部位を切開して、月経血や分泌物などの通り道を作ります。

婦人科、産婦人科の医師による子宮奇形の診断は、子宮卵管造影検査、超音波検査、MRI検査、子宮鏡、腹腔鏡などを用いて総合的に行います。一番簡単な検査は超音波検査ですが、弓状子宮や中隔子宮の場合は、超音波検査だけでは十分に診断できないことがあります。MRI検査や子宮卵管造影検査を組み合わせることによって、より詳しく子宮の形を見ることができます。

婦人科、産婦人科の医師による子宮奇形の治療は、症状がなければ行う必要はありません。習慣流産や不妊の原因になっている時は、手術で正常な形に整えます。手術の方法は、開腹して子宮の形を本来の形に整える形成術や、腹腔鏡補助下に形成術を行う方法のほか、最近では子宮鏡手術で中隔子宮の治療を行う方法も選択できるようになってきました。

子宮奇形があるからといって必ずしも手術が必要なわけではなく、あくまでも妊娠率を上げたり、流産率を下げたりする可能性が高いと考えられる場合に、手術を行います。形成術を行った場合、子宮の壁は通常の子宮よりも若干弱くなっている可能性があるので、分娩は通常の経腟分娩ではなく帝王切開になります。

🇲🇭膣トリコモナス感染症

トリコモナス原虫の繁殖によって、腟や尿道に起こる性感染症

膣(ちつ)トリコモナス感染症とは、トリコモナス原虫という単細胞生物の繁殖によって、腟や尿道に起こる性感染症。トリコモナス膣炎、トリコモナス症とも呼ばれます。

もともとの感染経路には不明な面もありますが、男女間の性行為で感染することは確かなので、性感染症の中に含まれています。しかし、性交経験のない女性でもみられることがあり、便器、入浴、タオルなどを介しての感染もまれにあるようです。

トリコモナス原虫は一般に、男女両方の生殖器や尿管に感染しますが、症状が出るのは主に女性です。男性では、症状がほとんどない尿道感染症がよくみられ、まれに精巣上体や前立腺(ぜんりつせん)が感染します。

女性は通常、黄緑色の泡立った分泌物が腟から出ることで発症します。分泌物の量は少ないこともあります。外陰部が過敏になって、かゆみ、痛み、性交痛も起こります。重症の場合、外陰部や周辺の皮膚が炎症を起こし、陰唇が腫(は)れます。排尿痛や頻尿など、膀胱(ぼうこう)感染症で起こるのと同じような症状だけが起こることもあれば、他の症状と併せて起こることもあります。

トリコモナス原虫に感染した男性は、症状はなくてもセックスパートナーに感染を起こします。また、尿道から分泌物が出て、排尿痛、頻尿などの症状を伴う非淋菌(りんきん)性尿道炎にかかっている男性もたくさんいます。

膣トリコモナス感染症の検査と診断と治療

婦人科、産婦人科、男性なら泌尿器科、皮膚科、性病科の医師による診断は、女性では膣分泌物の顕微鏡検査や培養法で、白血球より一回り大きめで鞭毛(べんもう)がむち打つように運動しているトリコモナス原虫を確認します。男性では尿または尿道分泌物、前立腺液、精液中のトリコモナス原虫の有無を確認しますが、発見するのは女性より困難です。

医師による治療では、女性はメトロニダゾール(フラジール)の内服、またはメトロニダゾールの膣剤、またはその併用です。男性ではメトロニダゾールの内服を7日から10日間。男性、女性とも薬が良く効きますが、セックスパートナーも同時に治療しなければ、再感染する恐れがあります。

メトロニダゾールは、アルコールと一緒に服用すると、悪酔いや吐き気、肌の紅潮を引き起こします。内服治療中は、アルコールは飲めません。

🟥アフリカ連合、エムポックス緊急宣言終了 新規感染者数減少で拡大抑止

 アフリカ連合(AU)の疾病対策センター(CDC)は23日までに、エムポックス(サル痘)の拡大を受けて2024年8月に出した緊急事態宣言を終了した。22日付。2025年前半から後半にかけて新規感染者数の減少傾向が続き、拡大を抑止できたためとしている。  アフリカでは2024年に...