2022/08/18

🇰🇮乳腺葉状腫瘍

短期間のうちに増大することを特徴とする乳腺腫瘍

乳腺葉状腫瘍(にゅうせんようじょうしゅよう)とは、女性の乳房内の乳腺が増殖することで形成される腫瘍。急速に増大することが、特徴です。

組織学的には乳腺線維腺腫(せんいせんしゅ)に類似していますが、主に乳腺の小葉(しょうよう)内の結合組織が増殖する線維腺腫に対し、乳腺葉状腫瘍では線維性間質(かんしつ)と乳管上皮が急速に増殖し、生物学的には血液や骨などの腫瘍に近い性質のものです。

短期間のうちに増大して、巨大な腫瘤(しゅりゅう)をつくるのが特徴で、7割は5センチを超え、わずか数カ月で10センチ以上になることも珍しくありません。中には、30センチ以上になることもあります。

大きさや増大速度、そして組織学的所見から良性、境界病変、悪性の3段階に分類され、悪性の場合は肉腫に分類されます。

乳腺葉状腫瘍にかかりやすい年齢は、30歳~55歳。しかし、10歳~20歳の非常に若い人にも発症することもあります。原因などは、不明とされています。

初めのうちは、乳腺線維腺腫に似たしこり、すなわち腫瘤ができ、形は分葉状です。しこりの中に液状成分を持つ嚢胞(のうほう)ができるので、硬いところと弾力のある部分とが入り交じっている感じで、しこりと周囲の境界ははっきりしています。

しこりができてから数カ月で大きくなり、握りこぶし大や、それ以上になり、左右の乳房のバランスが著しく違ってきて気付くこともあります。

時には、自発痛、圧迫感、皮膚の発赤、皮下静脈の怒張(どちょう)による血管の盛り上がりなどの症状がみられます。

しこりに気が付いた場合は、乳腺科、乳腺外科を受診します。

乳腺葉状腫瘍の検査と診断と治療

乳腺科、乳腺外科の医師による診断では、視診、触診で乳房の形の変化や皮膚の色の変化などをみてかなり判断できますが、乳腺線維腺腫や炎症性乳がんとの鑑別が必要ですので、マンモグラフィー(乳腺X線検査)と超音波(エコー)検査を行います。

そこで疑わしい場合は、乳腺のしこりに針を刺し、しこりの細胞を微量採取して病理学的に細胞を調べる穿刺(せんし)細胞診や、局所麻酔をしてからしこりの一部を切り取り、顕微鏡で調べる針生検を行います。悪性の場合は、転移していないか調べるため、CT(コンピュータ断層撮影法)検査やPET(陽電子放射断層撮影)検査などを行います。

乳腺科、乳腺外科の医師による治療では、手術による切除を行います。良性とされる乳腺葉状腫瘍でも、周囲の健常な乳腺組織を含めて切除しないと、同じ部位に再発を起こしやすいためです。

小さな腫瘍は、外来で局所麻酔のもとで手術できますが、大きな腫瘍になると、入院して全身麻酔のもとで切除します。切除直後はかなり乳房の変形が著しくても、圧迫されていた乳腺が次第に元通りになることが多く、人工乳腺などで形成を要することはあまりありません。

腫瘍が大きく、境界病変や悪性の場合には、乳房切除術が必要となります。

🇹🇴乳頭異常分泌症

妊娠や授乳期以外に起こる乳頭からの乳汁などの分泌

乳頭異常分泌症とは、妊娠や授乳期以外に乳頭から分泌物がみられる状態。異常乳頭分泌とも呼ばれます。

妊娠期間中や授乳期に女性の乳頭から乳汁(母乳)が出るのは普通ですが、乳頭異常分泌症ではそれ以外の時期に乳頭から分泌物がみられるわけです。

乳頭の片方からだけ分泌物がみられることもあれば、乳頭の両方から分泌物がみられることもあります。何もしなくても気付くほどの分泌物がみられることもあれば、軽くまたは強く乳頭を圧迫しないと分泌物がみられないものもあります。

分泌物は乳汁のようなさらっとした白色のものもありますが、膿(うみ)が混じって黄色や緑色っぽく、粘り気があることもあります。また、分泌物に血液が混じって茶褐色であることもあります。

その原因は、さまざまです。乳汁をつくる乳腺(せん)に何らかの異常がみられる場合と、乳腺以外の部分の異常が原因の場合とがあります。

ほとんどは乳腺に異常がある場合に生じ、乳腺症や乳管内乳頭腫(しゅ)などによって生じます。また、割合として多くはないものの、乳がんによって生じることもあります。

乳腺以外に原因があるものとしては、薬剤の副作用による場合があります。ある種の抗うつ剤や胃薬、降圧剤、経口避妊薬(低用量ピル)などが原因で、乳汁を産生するプロラクチンというホルモンの下垂体(脳下垂体)からの分泌を刺激することがあり、そのような薬剤を長期服用することで乳頭異常分泌症の症状がみられることもあります。

さらには、下垂体(脳下垂体)の疾患や脳の疾患、甲状腺や卵巣の異常による乳頭異常分泌症もあります。下垂体(脳下垂体)に腫瘍(しゅよう)があり、プロラクチンの分泌が高まると、乳汁のような分泌物が左右の乳頭から出ます。指で乳頭をつまむと、ピューっと出ることもあります。

乳管内に、いぼのような乳頭状の構造を持った良性のしこりができる乳管内乳頭腫では、多くの例で、乳頭から分泌物が出るのが自覚症状となります。分泌物の性状は、血性のことが5割、粘り気の少ない漿液(しょうえき)性のことが5割で、水のように透明なこともあります。分泌物の色も、赤色、赤褐色、茶褐色、白色、透明などさまざまです。分泌物の量にも個人差があり、下着に付着する程度から、大量に乳汁のように分泌するものまでさまざまです。

血液が混じった血性分泌物の場合は、乳がんの発見の切っ掛けになる場合もあります。分泌物に血液が混じっても良性の病変によることがほとんどですが、約5%に乳がんが見付かります。まだしこりにならない早期のがんは乳管内にとどまっており、乳頭からの血性分泌物が唯一の症状です。この場合は、片方の乳頭の1カ所の乳管から出ます。

しかも、明らかにわかる程度の血液が混じっていることもあり、目でみてもほとんどわからない程度の血液が混入していることもあります。従って、片方の乳頭の1カ所の乳管からの分泌は、潜血反応で血液成分が混じっているかどうかを調べることが大切です。潜血反応が陰性の場合は、がんである可能性が極めて低くなります。

膿が混じって黄色や緑色っぽく、粘り気がある分泌物の場合は、乳房の先にあって通常は突出しているはずの乳頭が乳房の内側に埋没した陥没乳頭により、乳頭の乳管開口部から化膿(かのう)菌が侵入することにより、乳輪の下に膿がたまる乳輪下膿瘍を起こしている可能性があり、片方の乳頭から出ます。

乳汁のような白色もしくは透明の分泌物が少量、いくつかの乳管から出る場合は、大抵の場合、ストレスなどによりホルモンバランスが乱れたりすることが原因で、深刻な問題ではないことがほとんどです。

それ以外の分泌物が出た場合は、早めに婦人科 、内科、乳腺科などを受診することが勧められます。

乳頭異常分泌症の検査と診断と治療

婦人科 、内科、乳腺科などの医師による診断では、まずは原因を調べるために、乳房の視診や触診のほか、分泌物の検査、マンモグラフィー(乳腺X線検査)、血液検査、超音波(エコー)検査、乳管造影などを行います。

薬剤が原因のこともありますから、服用中の薬についても問診し、血液中のプロラクチン濃度を測定することもあります。

婦人科、内科、乳腺科などの医師による治療では、原因に応じた処置を行います。

原因が薬剤の服用である場合は、減量もしくは休薬を考えます。乳汁の分泌が見られるだけで、ほかに特別な異常や兆候がなければ、経過観察も可能です。

原因が乳管内乳頭腫などの良性の疾患の場合は、大抵は外科手術の必要はありません。乳がんなどの場合は、外科手術で腫瘍を切除し、抗がん剤による化学治療などを行います。

原因が陥没乳頭による乳輪下膿瘍の場合は、炎症性の膿瘍と拡張した乳管の切除とともに、炎症の元になっている陥没乳頭が外に出る形成手術を行わなければ、必ずといっていいほど再発します。まず抗生剤などで炎症を鎮静させて、それから根治手術を行います。

🇹🇴乳頭炎、乳輪炎

乳頭や乳輪の皮膚が過敏になって炎症を起こし、湿疹、ただれ、かゆみが生じる状態

乳頭炎、乳輪炎とは、女性の乳頭や乳輪に湿疹(しっしん)や、ただれが生じ、かゆみを伴っている状態。

乳首、すなわち乳頭や、乳頭の周囲を取り囲む輪状の部位である乳輪には、多くの皮脂腺(せん)があり、皮脂腺から分泌される皮脂によっていつも保護されているのですが、皮脂の分泌の減少などによって皮膚が乾燥して過敏になると、炎症が起こることがあります。ここに細菌が入り、感染すると化膿(かのう)が起こることがあります。

また、母乳をつくる乳腺が発達する思春期の女性では、ホルモンのバランスが不安定になって、乳頭から分泌液が出現し、乳頭炎、乳輪炎になることもあります。

乳頭炎、乳輪炎になると、湿疹や、ただれが生じ、かゆみを伴います。分泌液が出現したり、はれが認められることもあります。

大体は、両側に症状が現れます。かゆみを伴うため、無意識のうちにかいてしまって悪化したり、治ってもまた再発し、繰り返すこともあります。下着のサイズや形が合っていないために、乳首や乳輪が下着と擦れ合い、炎症を繰り返すこともあります。また、化膿している状態であれば、下着にくっ付き、かさぶたのようになることもあります。

乾燥肌、アトピー性皮膚炎、陥没乳頭の女性が、乳頭炎、乳輪炎になりやすいとされています。

乳頭炎、乳輪炎になった場合には、まず化学繊維でできた下着をやめ、木綿やシルクなどの自然素材でできた下着に替えて、症状が治まるかどうか確かめます。また、患部を軟こうで覆い、下着と擦れ合わないようにガーゼ付きのばんそうこうなどで保護して、経過を観察すればよいでしょう。

それでも症状が改善しない場合には、皮膚科、ないし婦人科、乳腺科を受診することが勧められます。

乳頭炎、乳輪炎とよく似た症状が、乳房パジェット病よって引き起こされることがまれにあります。乳房パジェット病は、乳がんの特殊なタイプであり、乳頭炎、乳輪炎と同じように湿疹、ただれ、かゆみを伴います。そして、乳がん全体の1~2パーセントを占めるという非常にまれな疾患のため、見落とされがちです。発症年齢は乳がんよりやや高く、50歳代の女性に最も多くみられます。

症状としては、ヒリヒリとした痛みを伴う場合もあり、乳頭からの分泌物や出血もみられる場合もあります。通常の乳がんのようにしこりを触れることはないので、急性湿疹やたむしなどの皮膚病と間違えられやすく、乳がんの一種とは思われないこともあり注意が必要です。

進行すると、表皮が破れてただれ、円状に乳頭や乳輪を超えて拡大したり、乳頭が消失してしまうこともあります。

しかし、長期に放置したとしても進行する速度が遅いので、乳腺内のがん細胞が表皮内に浸潤することはまれであるとされています。早期に治療すれば予後は良好ながんで、転移が確認されなければ心配はないといわれています。

乳頭炎、乳輪炎の検査と診断と治療

皮膚科、婦人科、乳腺科の医師による診断では、視診、触診で判断し、マンモグラフィー(乳房X線撮影)、超音波(エコー)などで検査することもあります。

乳房パジェット病との鑑別が必要な場合は、顕微鏡で乳頭分泌物やかさぶたなどの細胞を見る細胞診で、パジェット細胞という特徴的な泡沫(ほうまつ)状の細胞が認められるかどうか調べます。

皮膚科、婦人科、乳腺科の医師による治療では、乳頭、乳輪を清潔に保ち、塗り薬を使用します。

細菌の感染があれば、抗生物質入りの軟こうを塗り、感染がなければ、ステロイド剤などの軟こうを塗り、落ち着いたら保湿剤を塗ります。

乳房パジェット病の場合は、早期の乳がんと同じ治療法を適応し、病変部だけを切除して乳房を温存するケースと、乳房全体を切除するケースとがあります。検査の段階で病変が乳腺レベルにとどまっている場合は、美容的な観点を考慮して、放射線治療を併用しての乳房温存療法が選択される可能性が高くなりますが、進行程度や広がり具合によっては、乳房全体を切除するケースや乳頭を切除しなければならないケースもあります。

🇹🇴乳頭亀裂、乳頭裂傷

授乳に際して乳頭にひびが入って裂けたり、傷ができる状態

乳頭亀裂(きれつ)、乳頭裂傷とは、女性が出産を経験して新生児に授乳する際に、乳頭(乳首)の皮膚にひびが入って裂けたり、傷ができたりする状態。皮がむけてしまうこともあり、状態が悪化すると出血することもあります。

誕生後1年ぐらいまでの乳児は、母親の母乳を飲んで育ちます。特に新生児のころは、1度に飲める母乳の量が少ないため、1日の授乳回数は12回ほどで、多いケースでは15回にも及びます。

新生児が口で乳頭周辺をくわえて母乳を吸う吸綴(きゅうてつ)刺激を受けることで、母乳を作る働きをするプロラクチンや、母乳を出す働きをするオキシトシンなどのホルモンの分泌が上昇し、母親は母乳を分泌するようになりますが、生まれてすぐの新生児は想像以上に強い力で乳頭をしごくように吸ってきます。

新生児が乳頭に吸着するたびに、わずかな不快感や痛みが起こることがあります。この出産早期の乳頭の痛みは、ほとんどが母乳分泌のメカニズムが完全に機能し始めるまでに感じる一過性の乳頭痛です。多くの場合は出産後3~6日にピークを迎えて、その後母乳分泌が増加するに従って、痛みは消失していきます。

しかし、新生児が上手に乳頭周辺に吸着し、母乳を吸えない場合は、出産後すぐから始まる1日12回前後の授乳期ばかりか母乳育児をしている間はいつでも、乳頭の先端や根元の部分に亀裂、裂傷ができ、乳頭の痛みが起こる可能性があります。

新生児が乳頭を吸う力は強い上に、歯茎や舌でしごくように乳頭を刺激します。唾液(だえき)でぬれた乳頭の皮膚はふやけて傷付きやすいため、授乳中の乳頭は亀裂が入りやすく、裂傷ができやすい状態といえるでしょう。授乳時や、乳頭が下着でこすれた時に痛み、出血することもあります。

乳頭が指先ほど突出している通常の乳頭と異なって、乳頭の出っ張りが短く全体的に平たくなっている扁平乳頭、乳頭が乳房の内側に埋没している陥没乳頭だと、新生児が母乳を飲みづらく、より強く吸うことがあり、乳頭の先を傷付けることがあります。

また、新生児が効率よく母乳を飲むためには乳頭周辺を深くくわえる必要があるのですが、体勢がしっくりこない状態や添い寝で授乳をすると、乳頭周辺を浅くくわえてしまい、乳頭に余計な負担がかかって乳頭の先を傷付けることがあります。

授乳姿勢(抱き方)や新生児の口の乳頭周辺への含ませ方だけではなく、授乳後に新生児を乳頭から離す時も注意が必要です。まだ吸っているのに引っ張って引き離すと、乳頭の先を傷付けることがあります。

乳頭亀裂、乳頭裂傷ができて、そこから細菌が感染すると炎症が起き、乳口(にゅうこう)炎、乳腺(にゅうせん)炎を引き起こすこともあります。

乳頭亀裂、乳頭裂傷の自己対処法

乳頭亀裂の段階で授乳を続けられそうなら、授乳姿勢(抱き方)や、傷が当たらないような含ませ方を工夫して負担を軽くします。

まず、新生児に大きな口を開けてもらい、乳頭から乳輪部全体を含ませます。新生児が寝てしまう時は、足裏を刺激して起こして、口が大きく開いた時に首の後ろを支えてパクリと吸わせましょう。新生児の下唇と上唇がドナルドダックのように外側にめくれて、角度は130度ぐらいに大きく開きます。

次に、しっかり大きく含ませながら、傷付いた個所が新生児にしごかれないように、フットボール抱き、横抱き、斜め抱き、縦抱きなどいくつかの抱き方を行って吸ってもらい、どこか痛くない個所がないか探しましょう。片方だけの乳房の乳頭に傷付いた個所があるのであれば、もう片方だけで授乳を行い、症状の改善を待つこともできます。

新生児を乳頭から離す時は要注意で、乳頭を伸ばしながら無理やり離すのではなく、指を新生児の口角から入れるようにして透き間を作って引き離します。

傷が痛む時は、新生児がなめても大丈夫な薬を塗布しましょう。授乳後に、ピュアレーンやランシノーのような羊のオイルを塗布します。ピュアレーンやランシノーは付けたまま授乳しても差し支えありませんが、病院などで抗生物質配合の軟こうなどを処方された場合は、清浄綿などで拭き取ってから授乳をするようにしましょう。

乳頭裂傷まで進んで痛みを伴う場合は、直接の授乳を休むことをお勧めします。搾乳してほ乳瓶に移したものを飲ませるか、ミルクを飲ませてください。少し休むことで、症状は随分と改善されます。

乳頭保護器(ニップルシールド)を用いるのもよいのですが、傷の状態によっては悪化してしまう場合があります。

🇼🇸近目

遠くがはっきり見えず、近くがよく見える目の状態

近目(ちかめ)とは、遠方からの平行光線が網膜よりも前で像を結ぶために、遠くの物がはっきり見えず、近くの物がよく見える状態。近目は俗語で、医学用語としては近視を使うほか、近眼(きんがん)、近視眼とも呼ばれます。

角膜や水晶体の屈折力と、角膜頂点から網膜までの長さである眼軸(がんじく)長との相対関係において、屈折力が強すぎるか、眼軸長が長すぎるために、近目が起こると考えられています。角膜や水晶体の屈折力が強すぎるために起こる近目は、屈折性近視と呼ばれます。眼軸が長すぎるために起こる近目は、軸性近視と呼ばれます。大部分の近目は、軸性近視です。

近目の原因は現在のところ、よくわかっていませんが、遺伝的な要素と環境的な因子が関係すると考えられています。

眼軸の長さは、成長に伴い伸びていきます。新生児は眼軸の長さが短く、生まれた直後には軽い遠目(とおめ)、すなわち遠視の状態になっています。遠目とは網膜の後方でピントが合うため、遠くを見る時はもちろん、近くを見る時も調節しないとはっきり見えない目のことですが、新生児は角膜や水晶体の屈折力が強くなっているので、それほどひどくはありません。

眼球の発達とともに、眼軸の長さが伸びると角膜や水晶体の屈折力が弱くなり、全体のバランスが調整されるようになって、屈折異常のない目である正視になっていくことが多いものです。しかし、これらのバランスが崩れると、近目になると考えられています。

親が近目の場合、子供が近目になる可能性は比較的高く、遺伝的な要素が複雑に絡んでいると考えられます。一般的な近目の場合、環境的な因子も影響すると考えられています。勉強、読書、テレビ、コンピューターゲームといった近くを見る作業を長く続けていると、目が疲れ、好ましくないのはいうまでもありません。しかし、こういったことが近目の原因になるかどうか、はっきりした証明はありません。

近目は、適当な凹レンズの眼鏡、コンタクトレンズで矯正すれば、正視と同じように遠くの物も見えるようになります。

凹レンズで矯正しても、子供が遠くも近くも見にくくしているようであれば、病的近視の可能性があります。近目のごく一部である病的近視は、幼児期の段階から始まって進行します。眼軸が異常に長くて近目の度が強いため、眼鏡をかけてもあまりよく見えるようにはなりません。

また、眼球がかなり大きくなっているため、網膜が引き伸ばされて非常に薄くなっており、目をちょっと打っただけで、網膜の中心部がひび割れや出血によって委縮したり、網膜が眼底からはがれてくる網膜剥離(はくり)などの症状を起こします。このような病的近視は、発生する原因がまだ不明で、遺伝が関与しているともいわれます。

なお、近目のごく始まりの状態を仮性近視、あるいは偽近視といいます。若年者が照明や姿勢の不良のもとで、長い時間続けて本を読むなど、目を近付けての作業を続けた際、近目になりかけの状態のまま、毛様体筋という調節に関係する筋肉の緊張が続き、軽い近目状態になっているものです。

仮性近視の場合は、時々作業を中止して遠方を見て、目を休める必要があります。また、正確な屈折検査を受け、必要なら眼鏡、コンタクトレンズを使用します。

近目の検査と診断と治療

大部分の近目(近視)は疾患ではなく、遠くが見えにくいだけの普通の目です。現代社会では、近くを見る作業が多いため、近くがよく見える近目が有利な場合もあります。日ごろから目をいたわる生活を心掛け、見えにくくなってきたら眼科医に相談します。

近目の矯正は、凹レンズの眼鏡やコンタクトレンズを用いて行われるのが一般的。凹レンズにはピントが合う焦点を遠くにする働きがあり、適切な度の凹レンズを用いれば、網膜にピントが合って遠くがよく見えるようになりますので、正常の視力まで矯正できます。眼鏡やコンタクトレンズを作る場合は、眼科医に目の疾患や異常などを検査してもらった上で、適切なものを処方してもらいます。

近目になったからといって、日常生活に支障を来さなければ、すぐに眼鏡やコンタクトレンズを用いる必要はありません。教室の黒板の字が見えにくくなるような不都合が生じてきた場合に、用いればよいのです。 また、眼鏡では常にかける必要はなく、黒板や遠くを見る時など必要に応じてかければよいのです。眼鏡をかけたり外したりしても、近目の度が進むようなことはありません。

コンタクトレンズは、角膜の表面に接触させて用いるレンズで、目立たないことから眼鏡をかけたくない人に好まれています。左右の視力に差がありすぎて眼鏡が使えない場合でも矯正でき、眼鏡のように曇ったりせず、視野が広くなるという優れた点があります。一方、慣れるまでに時間がかかったり、異物感があったり、角膜を傷付けることがあったりという欠点があります。レンズの取り扱いや管理なども大変なので、小学生などには眼鏡を用いることが勧められます。

近目の治療には、点眼薬を用いる方法や手術的方法もあります。点眼薬を用いる治療法は、近目になりかけの仮性近視、偽近視の時期に行われることがあります。仮性近視では、近くを長く見続けた結果、毛様体筋が異常に緊張して水晶体が厚くなり、一時的に近目の状態になっているので、点眼薬で目の調節を休ませます。

手術的方法には、角膜周辺部分をメスで放射状に8本切開する放射状角膜切開術や、エキシマレーザーで角膜の中央部を凹面状に削る角膜切除術などがあります。放射状角膜切開術は、手術結果を予測できない点や、不正乱視の発生、切開創が弱いなどの欠点がみられます。角膜切除術は、光線の通るひとみの角膜を切除するため、切除した部分に薄い濁りが出ます。

また、手術的方法は強度の近目では効果が弱く、安定した視力が得られない場合もありますので、治療を受ける場合は、十分説明を聞いて納得してから受けます。

病的近視に対しては、現在のところ有効な治療方法はなく、研究が続けられています。網膜剥離や眼底出血などが起こらないように注意し、起きた場合は早急に手術する必要があります。

目は、非常に大切です。目を疲れさせないように、日ごろから目の健康を心掛けます。

正しい姿勢で、勉強や読書をします。背筋をきちんと伸ばし、目と字の距離は30センチくらい離します。勉強や読書を1時間したら、10分間くらい目を休ませます。本は、寝転んで読まないようにします。テレビを見たら、しばらく目を休ませます。パソコン作業やコンピューターゲームなどは、40分以上続けないようにします。

照明は、明るすぎたり、暗すぎたりすることのないよう注意します。読書や勉強をするには普通、300ルクスが必要です。蛍光灯のスタンドでは、15~20ワットの明るさに相当します。

運動や散歩などを行い、遠くを見る習慣をつけ、目に負担のかからない生活を送るようにします。栄養のバランスを考えて、緑黄色野菜などを十分に取り入れた食生活を送ります。

🇼🇸蓄膿症

蓄膿(ちくのう)症とは普通、慢性の副鼻腔(ふくびくう)炎のことをいいます。鼻腔の周りの骨の中にある大小の空洞が副鼻腔で、ここに炎症が起こり、うみがたまる病気が、慢性、あるいは急性の副鼻腔炎です。

蓄膿症は、風邪などによって一時的に起こる急性副鼻腔炎を繰り返しているうちに慢性化したものが多いのですが、インフルエンザ、はしか、チフス、肺炎、鼻の湾曲、虫歯などが原因となる場合もあります。

症状には、鼻水、鼻詰まり、頭重感などがあります。鼻水は粘液性のものや、膿性のこともあります。また、後鼻孔からのどへ鼻水が多く回り、これを後鼻漏(こうびろう)と呼びます。朝起きて、せきや、たんがやたらに出る人は、その可能性が高くなります。鼻詰まりのため口呼吸となり、のどへ回った鼻水が気管支へ入り、気管支炎を起こすこともあります。

頭重感は前頭部に起こることが多いのですが、頭全体が重苦しいこともあります。このほか、嗅(きゅう)覚障害を起こしたり、精神的に落ち着かず、集中力が低下することもあります。

医師による治療では、副鼻腔の洞内の粘液を排出しやすくして、粘膜のはれをとるために、鼻腔内に血管収縮薬をスプレーします。次いで、粘液を出してきれいになった鼻腔、副鼻腔に抗生物質、副腎(ふくじん)皮質ホルモン薬などの薬液を吸入するネブライザー療法を行い、炎症やはれを抑えます。

また、たんぱく分解酵素薬を内服することで、粘液、膿汁を少なくします。近年、マクロライド系抗生物質の少量長期間内服が、効果的と判明し行われています。

これらの治療が有効なのは軽度の場合で、程度によっては手術をします。手術には、鼻腔内から副鼻腔を開放して、膿や粘膜を取り除く方法、上唇の内側と歯肉の境目の口腔粘膜を切開し上顎(じようがく)洞を開放する方法があります。篩骨(しこつ)洞や前頭洞では鼻外からの手術も行われます。多くは局所麻酔で行われ、1~2週間の入院が必要です。最近では、内視鏡を用いる手術が盛んになっています。

子供の場合、副鼻腔は発達段階にあり、手術をすると歯の発育や顔の形に影響を与えることもあり、原則として手術は行いません。どうしても手術が必要な場合は、15歳ぐらいになってからがよいでしょう。

🇼🇸恥骨結合炎

左右2つの恥骨が骨盤の前方で結合している部分に、損傷が起こって炎症化する障害

恥骨結合炎とは、左右2つの恥骨が骨盤の前方で結合している部分に、損傷が起こって炎症化する障害。スポーツ活動などによる骨盤を左右にずらす動きにより、発生することが多い障害です。

恥骨は骨盤の一部であり、左右2つの恥骨がクッションの役割をしている軟骨円板によって結合している恥骨結合は、体幹の前面、ちょうど陰部付近に当たる体の中心に存在しています。また、恥骨には、上恥骨靱帯(じんたい)、恥骨弓靱帯、内転筋(内もも)、腹直筋、薄筋(はっきん)など、数多くの筋肉、腱(けん)、靱帯が付着しています。

恥骨結合は原則としてほとんど動かない部位なのですが、妊娠や出産により骨盤が緩んだり、ゆがんだりすると、あるいはスポーツ活動などにより骨盤を左右にずらす動きを行うと、恥骨結合に動きが生じます。

スポーツ活動では、ラグビーのタックルなどで直接、恥骨結合に打撲を受けた場合のほか、ランニングやキック動作、急激なストップ動作、方向転換を繰り返すことで、恥骨結合の軟骨円板がねじれたり、恥骨に付着している筋肉に引っ張られることで、恥骨結合周辺などの骨盤、股(こ)関節、鼠径(そけい)部が損傷し、炎症へと発展して、痛みが生じます。

恥骨結合炎の発生率が高いスポーツ活動は、サッカー、陸上競技中・長距離、ラグビー、ホッケー、ホッケーに似たラクロス、ウエートリフティングなどで、20歳前後の男子選手に多く発生しています。

とりわけサッカーでは、急激なダッシュ、ストップ、方向転換などを頻繁に行うために、骨盤や股関節には大きな負担がかかり、足の内側でボールをけるインサイドキックをすると、内転筋の恥骨付着部には大きな負荷が加わります。これらの動作を繰り返し行っているため、恥骨結合部の骨と軟骨円板がこすれ合い、炎症により痛みが出る恥骨結合炎が多く発生しています。

恥骨結合炎の主な症状は、恥骨結合の痛みです。初期は、痛みより、太ももの付け根に張りを覚える人が多いようです。しかし、この段階でも、恥骨結合部を押すと圧痛を生じます。進行すると、内転筋の動きに一致した運動痛、鼠径部や太もも、腹部にまで放散する痛みを生じます。

慢性化すると、鼠径部が常に痛みます。特に下肢を伸展して挙上、外転する動作で誘発されやすく、股関節の可動域制限、筋力低下がみられます。

恥骨結合炎の検査と診断と治療

整形外科、ないし形成外科の医師による診断では、恥骨結合の圧痛の有無を確認し、画像検査を行います。X線(レントゲン)検査やMRI(磁気共鳴画像撮影)検査を行うと、典型例では、内転筋や薄筋の恥骨付着部の骨融解、恥骨結合の変形、左右の恥骨の高さの違いなどが認められます。ただし、骨まで変化が及ぶケースは、比較的少ないといえます。

整形外科、形成外科の医師による治療では、軽症の場合は、消炎鎮痛剤を服用することでスポーツ活動の継続も可能性です。

痛みがひかないほど進行している場合は、スポーツ活動を中止して安静を保ち、恥骨結合への負担を軽減する必要が出てきます。アイシング(冷却)、時にホットパックなどの温熱療法、消炎鎮痛剤の投与、ステロイドホルモン剤の局所注射などを用いますが、長期的には運動療法によるリハビリテーションが回復を促進します。

初期のリハビリテーションは、股関節の外転可動域訓練、筋力強化、内転筋のストレッチングから開始して、水中歩行、エアロバイクによる免荷訓練、その後ジョギング、2カ月でスポーツ活動の練習を行います。

保存療法を行っても痛みが長期間にわたって消失しない場合は、手術治療が考慮されます。手術にはさまざまな方法があり、恥骨結合の固定術、薄筋腱切離、骨片摘出術、内転筋内の血腫(けっしゅ)除去、ヘルニア修復術など、主な病変を特定して原因に対処します。

🟥アフリカ連合、エムポックス緊急宣言終了 新規感染者数減少で拡大抑止

 アフリカ連合(AU)の疾病対策センター(CDC)は23日までに、エムポックス(サル痘)の拡大を受けて2024年8月に出した緊急事態宣言を終了した。22日付。2025年前半から後半にかけて新規感染者数の減少傾向が続き、拡大を抑止できたためとしている。  アフリカでは2024年に...