2022/08/18

🇰🇲剥脱性皮膚炎

全身の皮膚が赤くなり、皮膚表面の角質がはがれる状態

剥脱(はくだつ)性皮膚炎とは、全身の皮膚が赤くなり、皮膚表面の角質が細かい糠(ぬか)状に、あるいは、うろこ状にはがれる鱗屑(りんせつ)を伴う状態を指します。疾患名というよりも一種の症候名であり、紅皮症とも呼ばれます。

通常、かゆみがあります。全身症状として、発熱、悪寒や震えなどの体温調節障害、リンパ節のはれ、全身の倦怠(けんたい)感、体重減少などを伴います。

この剥脱性皮膚炎は、それぞれ原因の異なる皮膚病に続いて発症します。アトピー性皮膚炎、乾癬(かんせん)が悪化して起こることがあるほか、天疱瘡(てんぽうそう)、扁平苔癬(へんぺいたいせん)、毛孔性紅色粃糠疹(ひこうしん)などが全身に広がって起こります。菌状息肉症、セザリー症候群などの皮膚の悪性リンパ腫(しゅ)や、慢性リンパ性白血病でも生じます。

また、薬疹などの中毒性紅皮症もあり、乾燥した皮膚が不適切な治療により、次第に全身の皮膚に変化を起こしていく老人性紅皮症のようなものもあります。

症状や経過は、さまざまです。中毒性紅皮症や老人性紅皮症では、治療によっては比較的短期間に、軽快する場合もあります。悪性リンパ腫などによって起こる場合は、予後が悪くなります。特に、再発を繰り返す場合は、次第に衰弱して合併症を起こし、死亡することもあります。

剥脱性皮膚炎の検査と診断と治療

皮膚科専門医を受診して原因をよく調べ、それに合った治療を受けることが必要です。

皮膚科では、どの疾患がもとにあって剥脱性皮膚炎を発症したのかを調べます。病変部の皮膚を数ミリ切り取って調べる病理組織検査である皮膚生検は、もとの疾患が何かを知る上で有用です。

剥脱性皮膚炎に共通する血液検査所見として、白血球数、好酸球数、LDH(乳酸脱水素酵素)がいずれも増加します。また、剥脱性皮膚炎では有棘(ゆうきょく)細胞がんの腫瘍(しゅよう)マーカーであるSCCが血液中に増加しますが、がんの心配はありません。

剥脱性皮膚炎では全身の皮膚が侵され、症例によっては予後不良になる場合もあるため全身管理が重要であり、原則入院治療が行われます。その上で、湿疹や皮膚炎に続発する剥脱性皮膚炎には、副腎(ふくじん)皮質ステロイド剤の外用と、抗ヒスタミン剤や抗アレルギー剤の内服が有効です。脱水予防のための輸液なども行われます。

乾癬に続発する剥脱性皮膚炎には、エトレチナート(チガソン)の内服、PUVA療法(紫外線照射)、高濃度ビタミンD3含有軟こう(ボンアルファハイ軟こうなど)の外用が行われます。

薬疹による中毒性紅皮症では、原因薬剤を中止し、副腎皮質ステロイド薬の外用、時に内服が行われます。悪性リンパ腫による剥脱性皮膚炎では、PUVA療法や電子線照射が行われます。

🇷🇪白内障

眼球の中の水晶体の混濁による視力障害

「白そこひ」と通称される白内障は、眼球の中の水晶体の濁りによって、視力障害を起こしている状態です。

 水晶体というのは、凸レンズ形の透明体で、よく人間の目に例えられるカメラでいえば、レンズに相当する部分です。位置しているのは、眼球中の黒い部分である瞳(ひとみ)の後ろ。直径9mm、厚さ4mm。中身は、蛋白質と水分から構成され、周辺部の「皮質」と中心部の「核」に分かれています。そして、この水晶体は膜に包まれていて、膜の前面が「前嚢(ぜんのう)」、後面が「後嚢(こうのう)」と呼ばれています。 

 正常な水晶体は透明で、光をよく通します。しかし、さまざまな原因で水晶体を構成する蛋白質が変性して、白く濁ってくるのが、白内障です。

 水晶体が濁ると、光がうまく通過できなくなったり、光が乱反射して、眼球の中にあって視神経の分布している網膜に鮮明な像が結べなくなり、視力が低下します。 

 さまざまな原因で起こる白内障の中で、最も多いのは加齢によるものであり、これを「老人性(加齢性)白内障」と呼んでいます。個人差はあっても、誰でも年をとるにつれ、水晶体は濁ってきます。老人性白内障は一種の老化現象ですから、高年齢の人ほど多く発症します。

 最近では、アトピー性皮膚炎や糖尿病などの合併症として、若い人の発症が増えています。そのほか、母親の胎内で風疹(ふうしん)に感染するなどが原因で、生まれつき白内障になっているケースや、目のけがや薬剤の副作用から白内障を起こすケースもあります。

 目の中の水晶体の濁り方は一人ひとり違うため、白内障の症状はさまざまです。

 「目がかすむ」のが主症状ですが、次のような

1、「かすんで見える」

2、「まぶしくなる」、「明るいところで見えにくい」

3、「一時的に近くが見えやすくなる」、「眼鏡が合わなくなる」

4、「二重、三重に見える」

 といった症状があれば、白内障の疑いがあります。

 白内障だけでは、痛みや充血はありません。また、水晶体の濁り方は一人ひとり異なりますが、水晶体の周辺部の皮質から濁りが始まるケースが多く、中心部の核が透明であれば、視力は低下しません。また、白内障の初期には、視野の中心は正常に見えるために、気が付かないこともあります。

 濁りが中心部に広がると、「まぶしく感じる」、「目がかすむ」、「霧の中にいるようにぼやける」ようになります。中心部の核から濁り始めると、「一時的に近くが見えやすくなる」ことがあり、その後「目がかすむ」ようになります。

白内障の種類と原因

◆先天性白内障

 生まれつき水晶体に濁りのある人は、少なくありません。けれども、その濁りがひどくて、視力に影響の出るような白内障の人は、2000~3000人に1人くらいと見なされています。

 先天性白内障の原因としては、妊娠初期における母親の風疹への感染のほか、遺伝などが考えられます。親側の予防策としては、家族に先天性白内障のある人同士の結婚は避けること、妊娠初期の健康に注意することなどが大切です。

 普通、症状は進行しませんが、まれに進行する場合もあります。医師による治療法としては、手術で混濁した水晶体を取り出すか、混濁が一部である場合には、瞳の周りにある虹彩(こうさい)を切り、透明な部分まで瞳を広げるなどの処置が施されます。

 手術をしても、片側の目だけの先天性白内障では、視力はあまりよくなりません。ほかの合併症のない両眼性のケースでは、正常な視力を得ることも珍しくありません。

◆老人性(加齢性)白内障

 老人性白内障というのは、中年以後に起こる白内障で、原因のはっきりしないものを指します。50歳以上の人の視力障害では、原因の大半を占めています。視力障害は、水晶体の濁りが広がって瞳にかかるようになると、起こってきます。

 60代では60パーセント、80代ではほとんどの人が、発症しています。また、70歳以上の人では、その数パーセントが手術を必要とする程度の白内障になっている、と見なされています。特定の予防策はありませんが、全身状態を健康に保つことが大切です。

◆併発白内障

 併発白内障とは、全身的疾患、あるいは目にほかの病気があることが原因となって、生じる白内障を指します。

 原因となる病気には、ぶどう膜炎、緑内障手術後、網膜色素変性症などの目の病気、アトピー性皮膚炎、糖尿病、手足の筋肉が強直するテタニー症などの全身疾患があり、放射線の影響や、ある種の薬物投与などによる副作用として起きてくる場合もあります。治療法は、老人性白内障と同じです。

◆外傷性白内障 

 外傷性白内障とは、外傷によって直接、水晶体を傷つけたり、打撲などで間接的に水晶体に障害を受けて、生じる白内障を指します。治療法は、手術以外にはありません。 

白内障の治療と手術

◆手術前の検査 

 日常生活に支障がない程度であれば、点眼薬や内服薬により、白内障の進行を遅らせます。これらの薬剤は、水晶体が濁るスピードを遅くするもので、症状を改善したり、視力を回復させることはできません。薬物療法にははっきりした効果が認められていないのが、現状なのです。

 点眼薬を使用する際の注意点は、「点眼回数と量を守ること」、「容器の先が、まぶたやまつげに触れないようすること」の二点です。

 白内障が進行して、日常生活に不自由を感じるようであれば、手術を受けることを考えましょう。「視力が低下して、仕事に支障がある」、「外ではまぶしくて、極端に見えづらい」、「視力が0.7以下になって、運転免許の更新ができない」といった時に相当しますが、手術の時期は自身が不便を感じて、「手術して治したい」と思った時です。医学的には、いつでもよいのです。

 ただし、目の手術を受ける場合は、全身状態が手術の結果に影響をおよぼします。事前に全身の検査をして、高血圧や糖尿病などがある際は、十分に全身管理を行って、調子のよい時に手術を受けます。

 白内障以外の病気がある場合は、医師が手術方法を工夫したり、全身状態をみて手術の時期を決めます。手術を考える時は、医師とよく相談しましょう。

 白内障の手術を受ける前には、手術が問題なく行えるかを調べ、目に合う眼内レンズを選ぶために、さまざまな検査が行われます。眼内レンズは一カ所にピントが固定されているので、手術前に医師と相談して、自分のライフスタイルに合った度数を選んでもらうことが大切です。

 主な検査は、

1、視力、眼圧、屈折検査

2、眼底検査……網膜の状態を調べる

3、細隙灯(さいげきとう)顕微鏡検査……水晶体の濁りの状態を調べる

4、角膜内皮細胞検査……眼球の全面を覆う透明な膜である、角膜の内皮細胞が減っていないかを調べる

5、眼軸長検査……眼内レンズの度数を決める

6、問診、血液検査

 などで、水晶体の濁りが進行している場合は、網膜の電気的検査、超音波検査なども行われます。

◆手術

 一般的には、手術後の管理も含めて3~4日間ほど入院します。最近では、患者側の全身状態や手術後の通院に問題がなければ、日帰り手術を実施している施設もあります。

 日帰り手術には、手術する医師側、手術を受ける患者側に、いくつかの条件が必要となります。手術を行う医師は、手術後の容体に対して夜間でも敏速な対応ができ、適切なアドバイスが可能でなくてはなりません。

 日帰り手術を受ける患者は、「通院できる人」、「重篤な合併症がない人」、「家族の協力が得られる人」などが条件となります。日帰り手術を希望される場合は、担当する医師とよく相談してください。

 現在、白内障の手術は主に、超音波水晶体乳化吸引術によって、濁った水晶体を超音波で砕いて取り出し、人工の眼内レンズを入れるという方法で、九割以上が行われています。白内障が進行して、核が固くなっている場合は、水晶体嚢外摘出術によって、水晶体の核を丸ごと取り出すこともあります。

 超音波水晶体乳化吸引術においては、

1、眼球を3mm切開し、水晶体の前嚢を切り取る 

2、水晶体の核と皮質を超音波で砕き、吸引して取り出す。後嚢と、水晶体の位置を固定している水晶体小帯(チン小帯)は残す

3、残した後嚢の中に、眼内レンズを挿入する

 といった処置がとられます。

 挿入する眼内レンズは、直径6mmほどで、後嚢に固定するためにループがついています。眼内レンズをいったん挿入すれば、取り替える必要はありません。

 手術は、局所麻酔で行われます。手術時間は目の状態にもより異なりますので、担当医師にお尋ねください。手術を受ける時は、医師を信頼し、不安にならずに精神的安定を心掛けましょう。目の手術というと怖いイメージがありますが、白内障の手術は進歩し、材質のよい眼内レンズも開発されているので、安心して手術を受けてください。

◆手術後の注意点 

 白内障の手術直後は、「目が充血する」ことがあります。また、「目がゴロゴロする」、「涙が出る」、「目がかすむ」などの症状が出ることもあります。これらの症状は、数日から1~2週間で治まります。

 手術後1~3カ月は、手術で起きた炎症を抑え、感染を防ぐために、医師の指示どおりに点眼薬を使用します。

 手術の翌日からでも、疲れない程度に目を使ってもかまいません。ただし、挿入した眼内レンズには、ピントを合わせる調節力がないので、眼鏡が必要になります。手術後2週間~2カ月頃には、視力が回復し安定してくるので、この時期に自分の視力に合った眼鏡を作ります。

 術後の見え方で、色調の違和感やまぶしさを感じることがあります。色調の違和感は次第に慣れていきますが、まぶしさが続くようであれば、症状を緩和させるために色付きの眼鏡の使用をお勧めします。

 仕事への復帰は早い時期にできますが、本人の全身状態や仕事の種類などによって違ってくるので、医師に相談してください。手術後の注意点としては、「入浴や洗顔は1週間くらい避ける」、「 目を押したり、こすったりしない」、「 転ばない、ぶつけない」がポイントです。 

 白内障の手術後、数カ月~数年して、また「まぶしくなる」、「目がかすむ」ことがあります。「後発白内障」といわれるもので、手術の際に残しておいた水晶体の後嚢が濁ってくるために起こります。

 後発白内障は手術の必要がなく、レーザーを使って簡単に濁りを取ることができます。視力はすぐに回復し、入院の必要もありません。

🇷🇪白斑

母乳による育児中の女性の乳頭にできる、白いニキビのような出来物

白斑(はくはん)とは、授乳中の女性の乳頭(乳首)にできる、白色でニキビのような出来物。

女性の乳頭にある乳管開口部である乳口(にゅうこう)に炎症が起きた乳口炎の初期症状として、白斑は母乳による育児中の女性の乳頭にできます。

白斑をもたらす乳口炎が起こる一番の原因は、乳頭が傷付くことです。乳児が効率よく母乳を飲むためには乳頭周辺を深くくわえる必要があるのですが、体勢がしっくりこない状態や添い寝で授乳をすると、乳児が乳頭周辺を浅くくわえてしまい、乳頭に余計な負担がかかって乳頭の先を傷付けることがあります。乳頭が傷付いて、そこから細菌が感染すると炎症が起き、乳口炎を引き起こします。

また、授乳中の女性が脂質や糖質の多い食事を続けていたり、過度なストレスがかかったりすると、母乳が詰まりやすくなり、乳口炎を引き起こすといわれています。

乳頭に水疱(すいほう)ができて、次第に1〜2ミリくらいの白いニキビのような白斑と呼ばれる出来物ができて、母乳の出口をふさぐのが、乳口炎の始まりです。初期は、乳頭が赤くなったり黄色くなったりすることがあります。

ただ、片方の乳頭に15~25個ある乳口のうち一部だけが詰まって、ほかの乳口は開通している状態なので、母乳の出具合にはあまり変化がなく、最初のうちは詰まっていることを自覚しにくい傾向があります。

その後、症状が進行すると授乳中に痛みを覚え、その時に初めて炎症が起きていることを自覚する場合がほとんどです。中には、血胞と呼ばれる血が混じったものが乳頭にできることもあります。

乳口炎は、原因を解消しない限り繰り返し発症することが多く、一度なってしまうと授乳中ずっと悩まされるという人も多いようです。

白斑の自己対処法

母乳の詰まりを解消しようと、水疱を針で刺してつぶそうとしたり、白斑を無理に取ろうとしたりする人がいますが、雑菌が入って炎症を悪化させる可能性があるため、やめておきましょう。

また、乳口炎になったために授乳をやめてしまう人がいますが、母乳がいっそう詰まって逆効果で、場合によっては乳管が炎症を起こす乳管炎や、乳腺(にゅうせん)が詰まって炎症を起こす乳腺炎を引き起こす危険性があります。

乳口炎の特効薬はありませんが、傷付いた乳口のケアと、母乳が詰まらないようにする適切な対処を行い、授乳を続けましょう。

傷付いた乳口の炎症を抑えるには、乳児の口に入っても大丈夫な口内炎治療薬のデスパコーワなどや、保湿剤のラノリン、スクワランやホホバや馬油(マーユ)などのオイルを毎回の授乳後、乳口に塗ってラップで押さえるのが、お勧めです。

母乳の詰まりを解消するには、乳児に乳頭をきちんと吸ってもらうための工夫を行いましょう。

まず、乳児が乳頭の根元からしっかりくわえられるような抱き方を探しましょう。また、いつも同じ抱き方はせずに、フットボール抱き、横抱き、斜め抱き、縦抱きなどいくつかの抱き方をローテーションで行うと、詰まっている乳口を吸ってもらえるようになります。

また、授乳間隔を空けないようにしましょう。間隔を空けすぎると母乳がたまって、乳房が張ってしまい、授乳時に乳口への負担が大きくなります。最低でも3時間に1回は授乳をして、乳児の昼寝などで間隔が長く空いてしまいそうなら、力をかけすぎないように搾乳(さくにゅう)をしておきましょう。

食生活を見直すのも効果的。母乳が詰まる原因につながる脂質や糖質の多い食事、乳製品は控え、できるだけ薄味の和食に慣れるのがお勧めです。ジュースやスポーツドリンクにも多くの糖分が含まれており、大量に飲むと、母乳の詰まる原因となります。水分量が減るのも母乳が詰まる原因につながるので、授乳期にはカフェインが少なめの麦茶や番茶などをたくさん飲むのがお勧めです。

乳房を温めるのも効果的。乳房が冷えて硬くなると、分泌される母乳や筋肉が冷えて出具合が悪くなります。ゆっくり風呂に入り、マッサージをして乳房を少し温めてから授乳すると、母乳の詰まりが解消されやすくなります。

ストレス解消も効果的。ストレスや疲れがたまると、体を緊張状態にさせ、乳口を収縮させて母乳の流れを滞らせます。夜の授乳で満足に睡眠が確保できない場合は、日中に乳児と一緒に昼寝をしたり、天気のよい日は散歩に出て気分転換したりするとストレス解消ができます。

乳口炎は、上手に授乳をすることができれば1週間程度で自然治癒するケースが多いのですが、痛いから、触るのが怖いからと放置しておくと、1カ月以上もつらい症状が長引くこともありますので、注意が必要です。

自分で改善できない場合は、乳房マッサージをしてくれる母乳外来や助産院に相談してください。

🇷🇪白斑(白なまず)

皮膚の色素を作る細胞が壊れ、白いまだらが出現

白斑(はくはん)とは、皮膚の色素であるメラニンを作るメラノサイト細胞の働きが止まるために、皮膚にまだらができる疾患。白なまずとも呼ばれます。

この白斑を大きく分けると、2種類あります。多いのは尋常性白斑と呼ばれるもの、その10分1程度と割合が少ないのは分節型白斑と呼ばれるもので、神経の分布に一致してまだらができます。

尋常性白斑は、生まれ付きのものではなく、小児期より後、特に中年以後にできやすいものです。原因は不明ですが、メラニンを作るメラノサイト細胞が壊れて消失することにより発症するメカニズムは、解明されています。全身どこでも突然、皮膚の一部の色が抜けて、その部分が白いまだらとなります。形状は木の葉状や類円形のものから不規則な地図の形を示すものまでいろいろで、周囲に広がっていく傾向があります。痛み、かゆみはありません。重症になると、つめが変形してしまうことがあります。

分節型白斑は、子供や若者にできやすいものです。はっきりした原因は不明ですが、皮膚の表面近くを走行している自律神経に、何らかの異常が起きて発症すると見なされています。体の左右のどちらか、片側だけに生じるのが普通で、顔や首にできやすく、特に三叉(さんさ)神経の支配領域に多いとされています。2〜3割は自然治癒しますが、残りは治療に抵抗を示します。

白斑の検査と診断と治療

白斑が重症の場合は、甲状腺(せん)疾患や膠原(こうげん)病などの自己免疫疾患を伴っていることがありますので、血液検査が行われます。自己免疫疾患では、自分の体の中の本来なら細菌などから体を守るべき白血球などが、自分自身の体の細胞を攻撃してしまいます。

尋常性白斑の治療としては、外用剤として副腎(ふくじん)皮質ステロイド軟こうやビタミンD3軟こうなどを使用する治療と、紫外線照射療法(PUVA療法)が一般的です。外用剤の皮膚への塗布は、内服薬に比べて全身に及ぼす副作用が少なく、免疫の働きを調節する作用があります。重症で急速に進行する時は、ステロイド剤の内服が必要なことがあります。

紫外線照射療法(PUVA療法)は、オクソラレンという薬を10〜30分前に塗布、ないし2時間前に内服し、その後、長波長紫外線を照射する方法です。紫外線の働きで残っている色素細胞が活発になり、色素を作るようになるのを期待します。紫外線に当たった後は、せっけんで薬をよく洗い落とします。近年では、中波長紫外線(UVB)のうち、治療に有効な波長のみを全身に照射するナローバンドUVB療法も行われています。

治療の効果があると、白斑の中に点状の色素斑ができて徐々に拡大し、島状の色素斑になります。続いて、白斑の周囲にも色素が増強すると、徐々に周囲の肌色になじんできます。ここまでの期間は発症者にもよりますが、2カ月~数年かかります。気長に治療することが必要です。残念ながら、ほとんど効果が出ない発症者も存在します。

分節型白斑の治療では、内服薬や外用剤によっても効果が少なく、表皮の移植手術が有効です。手術では、メラニンを作る細胞を、本人の正常な皮膚の表面から移植します。よく行われているのは吸引水泡移植術で、跡が残らないように皮膚を吸盤で吸い上げて人工的に水泡を作り、その皮の部分を頭をそいでおいた白斑の部分に張り付ける方法。水泡の皮に含まれていたメラノサイト細胞が白斑の部分に定着し、数週間から数カ月後には正常な色に戻ります。

通院での移植手術も可能ですが、植皮部の患部を1週間ほど固定しておく必要があるので、できる限り入院治療したがよいでしょう。

🇲🇬白板症

舌や口腔粘膜の上皮が白濁、角化する疾患

白板(はくばん)症とは、舌や口腔(こうくう)粘膜の表面が白く濁り、触れると硬い疾患。口腔白板症とも、ロイコプラキーとも呼びます。

この粘膜上皮が白濁、角化する状態は、いろいろな原因で起こります。継続的に作用する物理的、化学的な刺激で起こるもの、粘膜苔癬(たいせん)など慢性の炎症があって起こるもの、カンジダがついて起こるもののほかに、がん前駆症としての白板症もあります。原因不明なものも少なくありません。従って、白板症のすべてが悪性というわけではありません。

継続的に作用する物理的、化学的な刺激としては、たばこ、アルコール飲料、刺激性食品、過度なブラッシングによる擦過、虫歯、不適合な補綴(ほてつ)物と充填(じゅうてん)物である金冠や金属の詰め物、入れ歯などが挙げられます。

この白板症は、女性の2倍と男性に多くみられ、年齢では50歳〜70歳代に多くみられます。好発部位は舌で、次いで歯肉、ほお、口蓋(こうがい)、口腔底などが続きます。

症状としては、舌や口腔粘膜の一部がさまざまな程度の白色になり、徐々に表面にしわができます。白色の程度も高度になり、いぼ状に隆起してくるものもあります。また、隆起はしないで、赤い部分が混在してくるものもあります。白斑(はくはん)のみでは痛むことはありませんが、紅斑が混在するものでは痛みを伴うようになります。

長期に経過すると、白板症からがんが発生することもあります。ある確率で、がんに発展するような皮膚の異常をがん前駆症といいますが、がん前駆症としての白板症は、舌の側面に最も起こりやすく、不規則な形をしています。その一部が崩れて、腫瘍(しゅよう)やびらんができたり、割れ目を生じたり、隆起してくる場合には、注意が必要です。口腔扁平(へんぺい)上皮がんに進展する確率が高く、すでにがんを発生している場合があります。

白板症の検査と診断と治療

口の中に、白色あるいは白色と赤色の混在する病変を見付けた場合、あるいは長い間続いていた口の中の異常が急に変化して、びらん、潰瘍(かいよう)を生じたり、大きさが増したりした場合には、すぐに皮膚科、口腔外科の専門医の診断を受けます。

白板症の診断のためには、実際の病変の一部を切り取って、顕微鏡で組織検査をする生検を行います。広範囲に病変が存在する場合は、複数の部位より切り取ります。白板症の病理組織像は多彩で、種々な程度の角化の高進、有棘(ゆうきょく)層の肥厚、上皮下への炎症性細胞浸潤、上皮の種々の程度の異形成などが認められます。特に、がん化との関連性においては、上皮異形成の程度は重要になります。

治療としては、まず刺激源になっているものがあれば、除去します。次に、ビタミンAを投与し、反応するか否かを観察します。ビタミンAによる薬物治療に反応せず、生検で上皮異形成と診断される病変があれば、病変の粘膜を手術で切除します。広範囲の病変では、切除すると機能障害が出ます。

なお、白板症のすべてが悪性というわけではなく、良性の変化にとどまることも多く、必ず治療しなければならないというものではありません。また、白板症から口腔扁平上皮がんに進展しても、経過観察を定期的に行えば、極めて早期に対処することも可能です。

🇲🇬白皮症

先天的にメラニン色素の合成能力に障害がある疾患

白皮症とは、先天的にメラニン色素の合成能力に障害があり、皮膚や毛が白くなる疾患。先天性白皮症、白子症とも呼ばれます。

まれな疾患で、2万人に1人の割合で発症しますが、世界中、あらゆる人種でみられます。原因は、メラノサイト(色素細胞)内にあるメラニン顆粒(かりゅう)合成に関与するチロシナーゼなどの酵素の異常のために、メラニン色素の合成ができないことにあります。

目、毛髪、皮膚と全身の色素ができない全身性白皮症と、額と体の一部の皮膚が対称的、部分的に白くなる限局性白皮症の二型があります。全身性白皮症では、チロシナーゼの活性が全くないために全くメラニン色素を作ることができません。限局性白皮症では、チロシナーゼの活性があって多少のメラニン色素を作ることができます。全身性白皮症は劣性遺伝、限局性白皮症は優性遺伝をします。

全身性白皮症の人(アルビノ)は、出生時より毛髪が白く、皮膚は白色調となります。目は薄い青色調となり、網膜血管の赤い色が透けて赤く見えます。目や皮膚を日光から守る働きを持つメラニン色素がないため、光に対して大変まぶしがります。また、視力の低下が現れ、不随意の眼球運動が現れることもあります。

紫外線に弱く、すぐに日焼けをして赤くなりますが、黒くはなりません。中年以後に、日光の当たる部位に皮膚がんが発生することがあります。チロシナーゼ活性がある限局性白皮症の人では、毛は黄色調となる場合もあります。皮膚だけに症状が現れる場合や、目だけに症状が現れるという場合もあります。特殊なタイプとしては、出血しやすいような症状を伴ったり、感染症を繰り返すタイプもあります。

白皮症の検査と診断と治療

皮膚科や眼科での診断は、その特徴的な見た目から容易に行うことができます。チロシナーゼ活性があるかどうかについては、毛髪を用いて検査ができます。詳しい疾患の分類についての遺伝子検査が行われる場合もありますが、治療に役立つものではありません。

白皮症には、現在のところ根本的な治療法はありません。視力の低下には、矯正ですむ場合もありますが、強度の視力低下が見られる場合もあります。

白皮症の人は、目と皮膚への影響を極力避けるため、日ごろから直射日光にに当たらない工夫が必要です。外出時には、帽子をかぶり、サングラスをかけて、長そでと長ズボンを身に着け、紫外線のブロック効果の最も高い日焼け止めを塗るといった方法を取ります。予防を行っていたとしても、長い時間直射日光に皮膚をさらすことは避けるべきです。

🇲🇬ハグランド病

踵の後ろ上部に、骨性の隆起や軟部組織の肥厚を認め、痛みが生じる疾患

ハグランド病とは、アキレス腱(けん)が付着する踵(かかと)の骨である踵骨(しょうこつ)後ろ上部に、骨性の隆起や軟部組織の肥厚を認め、痛みが生じる疾患。ハグランド変形、ハグルンド病と呼ばれることもあります。

ハグランド病では、まず踵骨後ろ上部に骨性の隆起が生じ、この突出した部分が靴の内側とこすれるために、ほとんどの場合は、アキレス腱の付着部と踵骨後部との間にある踵骨後部滑液包と呼ばれるゼリー状の滑液の入った袋状の軟部組織が炎症を起こし、踵骨後部滑液包炎を引き起こします。

踵骨後部滑液包炎が起こると痛みが生じ、滑液の分泌量が多くなって滑液包の中に過剰な滑液がたまります。また、炎症が続くと、滑液包自体が肥厚することもあります。

ハグランド病の多くは、踵骨後部が圧迫や摩擦を受けやすいパンプスやハイヒールなど踵の部分が硬い靴や、足のヒールカーブの形状と合わない靴を履いていることが原因となって、生じています。靴が原因となるのは、20~30歳代の女性に多く、両足の踵に発生する傾向があります。

>また、足関節のオーバーユース(使いすぎ)を起こしやすい長距離走のランナーなどのスポーツ選手、扁平足(へんぺいそく)の人、ハイアーチ(凹足)の人にも、生じてます。

扁平足は、土踏まずのくぼんだ部分がなくなって、起立時や歩行時に足の裏のアーチがつぶれ、足の裏全体が地面にくっ付く足です。ハイアーチは、足の甲が極端に高く、起立時や歩行時に土踏まずの部分が地面に接しない足です。

ハグランド病の急性期には、踵の後ろ上部に発赤、はれを認め、押すと痛みが生じます。靴を履いた状態で足首を反らすと、靴の踵の部分の内側から圧迫されて痛みが強くなる場合もあります。

慢性期になると、踵骨後部滑液包は肥厚し、皮膚に色素沈着を認めます。痛みは、歩行時や長時間の立ち仕事時、運動時に増悪し、下腿(かたい)が疲れやすくなります。靴を普通に履くことが困難になり、革靴や踵の部分のある靴を避けて、サンダルを履いたり、スニーカーの踵の部分を踏んで使用することが多くなります。

踵の後部に突出した部分があり、痛みがある場合には、早く痛みを取るためにも、整形外科などを受診することが勧められます。

ハグランド病の検査と診断と治療

整形外科、形成外科、ないし足の外科の医師による診断では、X線(レントゲン)検査や超音波(エコー)検査を行うと、踵骨後ろ上部の骨性突出、踵骨後部滑液包のはれや肥厚などを確認できます。

整形外科、形成外科、ないし足の外科の医師による治療では、原因となっスポーツ活動があるなら中止し、適合性の悪い靴の使用を避けます。

日常の歩行時などに痛む場合は、踵を高くするヒールパッド(ヒールウエッジ)を靴に挿入するか、後縁の軟らかい靴など圧迫や摩擦が少なく踵との適合性が高い靴と交換します。

また、痛みや炎症を鎮めるために、アイシング、電気療法、超音波療法を行います。さらに、アキレス腱への負担を減らす目的で、踵にソルボという衝撃吸収のゴムを装着することもあります。

保存療法で症状が改善しない場合や、踵や足部の形状に異常があり慢性化の傾向を示す場合は、踵骨後ろ上部の骨性隆起を切除し、踵骨後部滑液包を摘出する手術などを行います。

🟥アフリカ連合、エムポックス緊急宣言終了 新規感染者数減少で拡大抑止

 アフリカ連合(AU)の疾病対策センター(CDC)は23日までに、エムポックス(サル痘)の拡大を受けて2024年8月に出した緊急事態宣言を終了した。22日付。2025年前半から後半にかけて新規感染者数の減少傾向が続き、拡大を抑止できたためとしている。  アフリカでは2024年に...