2022/08/19

🇹🇷皮垂

肛門の周囲にできる皮膚のたるみ、しわ

皮垂(ひすい)とは、肛門(こうもん)の周囲にできる皮膚のたるみ、しわのこと。肛門皮垂、肛門スキンタッグとも呼ばれます。

多くは、進行した内痔核(ないじかく)が脱出した際に、脱出部が肛門の括約筋で締められて血栓を形成し、はれ上がって元に戻らなくなった嵌頓(かんとん)痔核や、血栓が周囲にたまって、はれてくる血栓性外痔核、さらに肛門部の皮膚が切れたり裂けたりした外傷で、ひりひりとした強い痛みがある裂肛(切れ痔)、あるいは肛門周囲の湿疹(しっしん)などにより、一時的に肛門部がはれ、その後、はれが委縮した後に、余った皮がたるみ、しわとなって残ったものです。

中でも肛門前方にできる皮垂は女性に特有で、出産の時に肛門がうっ血してできたり、裂肛が長期間存在した時にできます。

皮垂は皮膚の突起ですから、症状がなければ特に気にすることはありません。しかし、裂肛や肛門周囲の湿疹などに併発することが多いため、肛門部の違和感やべとつき、かゆみなどの症状を生じることもあります。徐々に大きくなるので本人は気が付かないのですが、大きくはれたり、便秘でむくむと痛みを伴います。

皮垂があるために排便後、肛門をきれいにふき切れないことで頻回にふいて、痛みやかゆみを生じることもあります。そのようなことを繰り返している結果として、皮膚の突起はますます大きくなります。

また、皮垂があるために排便時に肛門が外方に引き寄せられ、裂肛が慢性化してさらに皮垂が増大し、肛門ポリープが発生することもあります。

皮垂の検査と診断と治療

肛門科の医師による診断では、肛門を診察し、嵌頓痔核、血栓性外痔核、裂肛、肛門周囲の湿疹など併存している病変の有無を調べます。

肛門科の医師による治療では、肛門の周囲の皮膚の清潔を保ち、便通を整え、併存している病変の保存的治療を行うことにより、多くは症状が改善します。炎症性に肥大している場合は、皮膚の突起を少なくするために、炎症を抑えるための座薬、軟こうなどの外用薬や、内服薬を使用します。

しかし、皮垂は消失しません。保存的治療でも症状が消失しない場合や、 本人が皮垂を完全になくしたいと望む場合には、排便の時に毎日使う肛門の機能を損なわないように配慮しつつ、皮垂を局所麻酔下で切除します。

内痔核を伴う皮垂は根治性からも、通常の内外痔核の根治術同様、結紮(けっさつ)切除術などを併用して、皮垂の症状を強めていると考えられる脱出性の痔核も治療します。結紮切除術は、痔核につながる皮膚を剥離(はくり)して痔核を露出させ、根元を縛った上で切除する方法です。切除した後の傷口は、一般的には半分だけ縫い合わせて閉鎖します。手術で使用する糸は、術後3~6週間ほどで自然に溶けるので、抜糸の必要がありません。

皮垂を大きくしないために、肛門部を清潔にすることが大切です。排便後は、紙でふくだけでなく、お湯で洗い、よく乾燥させておくようにします。温水によって肛門を洗浄する機能を持った温水洗浄便座を使用すれば、簡便にできます。

せっけんけで洗う時は注意が必要で、せっけん成分が残るとかえって刺激し、かゆみを増強します。刺激の少ないせっけんで洗った後、十分に洗い流しておくようにします。 

🇨🇳ヒスタミン食中毒

魚肉中に含まれるヒスタミンによって引き起こされる食中毒

ヒスタミン食中毒とは、魚肉中に含まれるヒスタミンによって引き起こされる食中毒。アレルギー様食中毒の1つです。

不適切な温度管理や長期に渡る保存などにより鮮度の落ちた魚肉中では、もともと多量に含まれているヒスチジンというアミノ酸に、ヒスタミン生成菌(ヒスチジン脱炭酸酵素を有する菌)が付着することで、ヒスチジンが分解されてヒスタミンに変化し、多量に蓄積されています。ヒスタミンは熱に強く、通常の加熱では分解されないために、摂食によりヒスタミン食中毒を発症します。

魚肉に付着しているヒスタミン生成菌は、大きく2種類に分けられます。1つは腸内細菌科の細菌で、その中で最も有名なのはモルガン菌。この菌は室温で増殖し、低温では増殖しにくい性質を持っています。もう1つはビブリオ科に属する細菌で、この菌は海で生息しているため漁獲前に魚に付着している可能性が高く、低温でも増殖するので冷蔵保存の際も注意が必要です。

ヒスタミン食中毒は毎年、全国で10数例が報告されています。

原因食品としては、マグロ、カツオ、サバ、サンマ、アジ、イワシ、ブリ、シイラ、カジキなどの赤身魚や、その加工品である照り焼き、蒲焼、ムニエル、フライ、干物、すり身などが挙げられます。サバでは温度5℃5日間の保存で、腐敗臭を感じない状態でも、ヒスタミン量が中毒の最小値を超えている場合もあります。

摂食直後から60分くらいで、吐き気、嘔吐(おうと)、下痢などのほかに、顔面の紅潮、頭痛、発疹(はっしん)、発熱などの症状が現れます。症状は多くの場合、1日以内の短時間で回復しますが、重症の場合は呼吸困難や意識不明になることもあります。

ヒスタミン食中毒の検査と診断と治療

ヒスタミン食中毒の症状が現れたら、可能であれば、できるだけ早く胃の中の毒性物質を除去します。ほとんどの場合は、嘔吐で胃の中の毒性物質を吐き出せます。最初に吐いた嘔吐物を少量取っておくと、後で医師が検査をする場合に役立ちます。

続いて、大量の水分を摂取するようにします。大量の水分を口から摂取するのが難しい場合は、救急外来を受診して点滴による水分の補給を受ける必要があります。ほとんどの場合は、水分と電解質の補給のみで迅速に、そして完全に回復します。

胃の内容物が十分吐き出せず、症状が重い場合は、抗ヒスタミン剤の投与が行われ、細い管を鼻や口から胃に通して胃の内容物を除去する処置も行われます。毒素を腸から早く排出させるため、下剤を使用することもあります。

予防法としては、以下のものが挙げられます。ヒスタミンは白身魚より赤身魚から高率に検出されるので、特に赤身魚の生魚は鮮度のよいものを購入、喫食する。生魚は室温で放置せず、冷蔵または冷凍で保存する。生魚は冷凍と解凍を繰り返さない。古くなった生魚は、火を通しても食べない。

🇨🇳ヒステリー球(食道神経症)

食道には病変がないのに、食道の違和感などを覚える疾患

ヒステリー球とは、食道そのものに病変がなく正常にもかかわらず、食道の違和感や胸痛など覚える疾患。食道神経症とも呼ばれます。

症状は、食道にヒステリー球と呼ばれる異物が存在している感じ、食べ物が食道につかえる感じ、胸焼け、吐き気、胸部圧迫感、胸痛など多彩です。

発症者の多くは女性で、ストレス、自律神経失調症、情緒不安定、貧血などが背景にあります。いたずらに精神的なもの、気のせいと判断することは禁物で、発症者が不安を持つ食道由来の胸痛の原因としては、胃食道逆流によるものが多くみられます。そのほかに、食道運動機能異常、食道知覚過敏、精神疾患との関連があり、これらが相互に関係して発症することが多いようです。

中年女性では、食道通過障害の症状のほかに、鉄欠乏性貧血、舌炎を合併するプランマー・ビンソン症候群という疾患もあります。食道上部にある慢性食道炎が通過障害の原因とも考えられていますが、こちらも食道そのものに病変は認められず、心因性要素も関係しているようです。

ヒステリー球の検査と診断と治療

胸が何となくおかしいなど、食道由来の胸部違和感や胸痛を訴える症例の多くは、胃液が食道に逆流して起こる胃食道逆流症が主な原因です。この診断のためには、まず心電図や心臓エコー検査を行って心臓疾患を否定します。次に内視鏡検査やバリウム造影で食道を調べます。

ここで胃食道逆流症による食道粘膜の病変の存在が確認されれば、そのまま治療に入ります。通常は、酸分泌抑制薬の内服が選択されます。

前記の検査で胃食道逆流症が証明されない際には、食道内酸逆流の程度を食道内腔(ないくう)に設置したpHセンサーで証明する方法が最も確実です。近年では鼻から挿入する有線型のセンサーではなく、食道内に固定する無線式のセンサーが使用できるようになっています。

以上の食道の内視鏡検査や食道内のpHのモニタリングで病変が観察されない場合は、心臓の精密検査となります。この目的は、虚血性心疾患の診断です。心臓の冠動脈造影で異常がみられる場合には、心疾患の治療を行います。冠動脈造影で異常が認められず、胃食道逆流症も否定される場合には、骨格筋由来の胸痛の検査に入ります。

最近では、心臓に異常を認めない非心臓性胸痛(NCCP)という概念が普及しています。非心臓性胸痛の約半数は、胃食道逆流症によるものと考えられています。従って、最も専門的な治療経験が要求される食道神経症をいたずらに精神的なもの、気のせいと判断することは禁物で、順序を追った検査体制で診断を進めていくことが大切となります。

精密検査を進めても、食道などに病変がなければ、過敏になっている神経を沈めるための鎮静薬や精神安定薬が投与されます。また、抱えている問題やストレスになっている原因を突き止め、その問題についてのカウンセリングを行うことで、自然とヒステリー球など食道の違和感、胸部の違和感が消えていくこともあります。

日常生活では、運動や趣味に励み、精神的、身体的機能を高めることが望まれます。

🇨🇳ヒステリー性混迷

突然、意識がはっきりせず、もうろうとした状態になる体の機能障害

ヒステリー性混迷とは、突然、意識がはっきりせず、もうろうとした状態になる体の機能障害。解離性障害の一種であり、解離性混迷と呼ばれることもあります。

過去に虐待にあったり、心がひどく傷付けられたなどの心的外傷(トラウマ)があると、自分では意識していないような心理的ストレスが積み重なっており、過去の心的外傷の記憶が突然、かつ非常に鮮明に思い出されるフラッシュバックを契機として、心が無意識のうちに逃れようとします。

すると、体の機能には全く異常がないにもかかわらず、意識はあるがはっきりとせず、もうろうとした状態となって、長時間にわたってほとんど動かず、横たわったり、座ったりしている状態となります。外部からの接触や光、音などの刺激に対して、反応が鈍くなります。

症状が重くなると、外部から話し掛けたり、体を揺すったりと刺激を加えたとしても、反応しなくなってしまう場合があります。

この状態となっても筋緊張は正常なため、静止姿勢や呼吸機能は保持されたままとなっていますが、自分の意思によって体が動かせなくなります。症状が現れている間は、発語したり、眠ったり、食事を取ったりといった行動もできなくなります。

ヒステリー性混迷の発症により、意識が回復した後に精神的なダメージを受けてしまい、苦痛を味わうことになります。そして、ヒステリー性混迷を頻繁に発症してしまうことを気にしすぎてしまうことにより、うつ状態となってしまう恐れもあります。

ヒステリー性混迷を自分自身で解決することは、非常に困難です。周りの人の協力が必要となってきます。また、症状に気が付いたり、周りの人から指摘されたりした際には、直ちに精神科、神経科、心療内科を受診する必要があります。

ヒステリー性混迷の検査と診断と治療

精神科、神経科、心療内科の医師による診断では、症状を注意深く観察し、体を診察して、一般的な体の疾患を除外するための検査を行います。

精神科、神経科、心療内科の医師による治療では、症状が出現する背景となった心理的なストレスに焦点を当てた心理療法やカウンセリングを行います。

心理療法では、本人が無意識のうちに抑圧している心理的なストレスを明らかにする記憶想起法や、催眠療法、認知行動療法などを行い、発症者がストレス対処法を自ら身に着けていくことを目指します。

また、発症者の精神的な健康を回復させるために、抗うつ剤や精神安定剤が有効なこともあります。時には、家族などの協力も得ながら、生活上の問題の解決を支援し、現実生活への適応を促します。

ヒステリー性混迷の克服には、場合によっては非常に長い時間を要してしまうこともあります。しかし、正常な日常生活を送るためには、確実に努力して克服することが必要です。

🇨🇦ヒステリー性失声症

ヒステリー性失声症とは、心因的なストレスが原因となって、声が出ない、話せない、声が出てもかすれ声や、しわがれ声になってしまう病気です。心因性失声症とも呼ばれています。30歳以上の女性に多くみられ、突然、声が出なくなるため、周囲の人たちも驚きます。

心理的な要因によることが多く、これに性格が反映して発症します。周囲への依存性が高く、自己顕示欲が強いなど、ヒステリー性格を持っている人に多い、と分析されています。心理的に厳しい立場に立っている時、欲求が満たされない時など特殊な状況下では、内的な葛藤を自分で処理することができなくなり、性格が未熟な人では、体に症状として現れてきてしますのです。一種の逃避である場合もあります。

放っておいても、自然治癒することが多い病気ですが、なかなか治らなかったり、繰り返し発症する場合は、耳鼻咽喉(いんこう)科を受診しましょう。声帯などに異常がないことが判明した場合は、精神科や心療内科を受診しましょう。

精神科などでのヒステリー性失声症の治療では、発症の原因になっている心理的な要因を探ります。医師の説明を受け、本人が病歴とともに生育暦、生活暦などを、よく把握することが大切となります。その上で、発声の訓練と、カウンセリングなどによる心理療法の二つの治療が進められ、精神安定剤を用いることもあります。

治療効果が高いため、病気は比較的すぐ、だいたい1週間くらいで治るのが、一般的と見なされています。

🇨🇦鼻せつ

鼻の穴の入口付近に細菌感染が生じ、うみがたまった状態

鼻せつとは、鼻の穴の入口付近の鼻前庭と呼ばれる部位に、細菌感染が生じ、うみがたまった状態。

不衛生な手で鼻先をこすったり、指先で鼻の穴をほじったり、鼻毛を抜いて鼻前庭の部分に傷を作ったりすることで、発症しやすくなります。

炎症を起こした状態では鼻前庭炎と呼びますが、鼻毛の毛根や皮脂腺(せん)、汗腺に、主にブドウ球菌、時に溶血性連鎖球菌などの細菌が感染し、うみを持ったはれ物できるようになったものは鼻せつと呼びます。

鼻せつが起こると、鼻先や鼻前庭に、はれ、痛み、発赤が現れます。触ると、かなりの痛みが生じます。進行すると、うみが破れて出てくることもあり、それが原因で鼻詰まりを伴うこともあります。

症状が進行すると、皮膚の真皮の深いところから皮下脂肪組織にかけて化膿(かのう)性炎症を起こして蜂窩織炎(ほうかしきえん)を生じ、鼻の先端や、鼻の全体がはれることがあります。さらには、顔面蜂窩織炎を生じ、顔面まではれることもあります。

顔のこの部分の静脈は脳へとつながっているため、静脈を通って細菌が脳に広がると、退行性血栓動脈炎や続発性の海綿動脈洞血栓症などの頭蓋内合併症が起こることもあります。最悪の場合、増殖した細菌が血液中に入って敗血症を起こし、生命の危険を伴うこともあります。

また、糖尿病を発症していたり、免疫を低下させる疾患が潜在していると、繰り返し鼻せつを発症し、症状も重くなる傾向があります。

鼻がはれたら、余計に悪化するため、いじってはいけません。耳鼻咽喉(いんこう)科を受診し、適切な治療を受けるようにします。

鼻せつの検査と診断と治療

耳鼻咽喉科の医師による診断では、鼻鏡で観察するとすぐに確定できます。鼻鏡で鼻の穴を広げた時には、かなりの痛みが生じます。

耳鼻咽喉科の医師による治療では、抗生剤が入った軟こうを塗布するとともに、抗生剤を内服します。痛みがひどい場合は、消炎鎮痛剤を併用し、局所の安静を行います。

軽ければ、自然にうみが出るのを待ちますが、化膿が進んでうみがたまっているのが明らかな場合や、抗生剤治療に反応しない場合には、メスで切開し、うみを出すこともあります。

鼻せつの予防としては、鼻先を触る、鼻毛を抜く、鼻の脂を絞るなど、鼻を刺激することを必要以上に行わないのが効果的です。鼻毛は抜かずにハサミで切り、鼻の穴をきれいにする際は直接指を突っ込むのではなく、ティッシュを使うようにします。

また、鼻の中にはもともと雑菌が多いため、小さな傷やはれ物ができた場合は、すぐに消毒することで重症化を防げます。

🇨🇦皮癬(ひぜん)

ヒゼンダニによって起こる皮膚疾患

皮癬(ひぜん)とは、0.2〜0.4ミリ程度の体長のヒゼンダニというダニの一種が寄生して、皮膚に起こる感染症。ヒゼンダニは疥癬(かいせん)虫とも呼ばれるため、皮癬は疥癬とも呼ばれています。

通常、皮癬は密な人間同士の接触により人肌を介して移るため、性行為に伴う感染が多く、性行為感染症(準性病)に含められています。しかし、衣類、タオルやシーツなどのリネン類、布団やベッドなどの大型寝具から感染することも少なくなく、家族内感染や、老人ホーム、病院、宿舎といった施設内感染もあります。近年は、寝たきりの高齢者などの介護行為を介して感染し、流行することで、問題になっています。

逆上れば、栄養摂取や衛生状態の悪かった第二次世界大戦後非常に流行しましたが、その後、皮癬は全く消滅しました。しかし、海外旅行が急激に増えた1970年代になって再び流行が始まり、なお続いています。ヒゼンダニに特効的な殺虫剤であるDDTやBHCが、人に対する毒性も強いために1971年に失効となって以降、それらに代わるものがまだないことにもよります。

ヒゼンダニに寄生されると、約1カ月の潜伏期間を経て、手指の間、陰部、腹部、わきの周囲など、顔と頭を除いた全身にかゆく、赤いブツブツした発疹(ほっしん)が現れます。特徴的なのは、皮癬トンネルと呼ばれる、細くて灰白色で長さ5ミリ~1センチくらいの発疹が手首や手指の間にできることです。皮癬トンネルの中では、雌のヒゼンダニが産卵します。近年流行している皮癬では、この皮癬トンネルが認められるものが少なくなっています。

とてもかゆいのが症状の特徴で、入浴の後や運動の後など血行のよい時は、耐えられないほどのかゆみを伴うことがあります。一般的には、かゆみは夜間に最も強くなり、布団に入って体が温まると、激しいかゆみを覚えて不眠を来すこともあります。1度治って、2度目、3度目の再感染の場合には、比較的短期間で、かゆみを自覚することもあります。

まれに、基礎疾患があったりして全身状態のよくない場合には、ヒゼンダニが極めて多数増殖し、全身が赤くなったり、手足などの角質層に厚いガサガサした肌荒れのような発疹がみられます。これをノルウェー皮癬、ないし重症型皮癬と呼び、感染力が極めて強くなります。角質層の中には多数の虫体と虫卵が含まれていて、ひどい時には100万~200万匹のヒゼンダニが寄生することになります。

そのヒゼンダニは、数千年も前からいる虫で、メソポタミア南部に栄えた古代バビロニアの時代から知られています。ナポレオン時代の戦争で皮癬の流行がフランス軍の戦意を失わせたのは有名な話で、現在もヒゼンダニは世界各国に散らばっています。

大変小さな虫のため、肉眼ではほとんど確認できません。ヒゼンダニの雌は、皮膚に取り付くと10~40分で角質層内に潜り込み、皮癬トンネルを作って1日2~3個の卵を産み続け、4~6週間で寿命を終えます。卵は3〜4日で孵化(ふか)して幼虫、若虫を経て約2週間で成虫になります。成虫の雄は、雌を探し求めて雌よりも活発に動き回ります。皮膚内で交尾後、雄は間もなく死にますが、雌はなお卵を産み続けるわけです。

成虫が人肌を離れた場合、25℃・湿度90%で3日間、25℃・湿度30%で2日間、12℃・高湿度で14日間生存可能ですが、50℃では湿度に関係なく約10分間程度で死にます。

皮癬(ひぜん)の検査と診断と治療

皮膚症状から皮癬が疑われた場合、市販薬などで自己治療せず、皮膚科を受診して治療を受けてください。市販のかゆみ止めでは治りません。また、生活を共にしている家族や同僚などに、同じかゆみ、発疹、発赤の症状が出ていないかどうか確認し、感染の拡大を防ぐことが重要です。

医師が診断する方法は、皮膚に出ている症状です。皮癬トンネルなどを見付けて、皮癬だと診断します。また、皮膚の一部をメスやピンセットで削り顕微鏡で調べることで、ヒゼンダニの虫体、虫卵が見付かれば診断確定です。

標準的治療では、硫黄製剤の軟膏(なんこう)を1日1回、あるいはオイラックス軟膏を1日2回、全身に塗る方法が主に行われます。軟膏を首から下の全身に満遍なく、塗り残しなく、発疹部だけでなく全体に塗ることが、大事です。1回の薬剤使用料は、20グラムを限度とされます。

硫黄の入浴剤を併用する方法もあります。角質軟化作用のある10~20パーセント尿素軟膏の併用も効果的です。ただし、湿疹様変化を生じても、虫体や虫卵が生存している内はステロイド入り軟膏は使用しません。長期間ステロイド軟膏による治療を続けた場合、重症型のノルウェー皮癬となり得るからです。かゆみが激しい時は、抗ヒスタミン剤を内服します。

近年、皮癬に対する特効的な内服薬として欧米で使用されていたイベルメクチン(商品名:ストロメクトール)が、日本でも使用可能となりました。1回内服、経過により1週間後に再度内服することにより、ヒゼンダニは死滅するといわれています。

ノルウェー皮癬の重症例では、発症者は隔離入院しなければならず、家族は面会を自粛するように求められます。重症例では、安息香酸(あんそくこうさん)ベンジルやγ–BHC(ガンマ–ベンゼンヘキサクロリド)を全身に塗ることがあります。

普通の皮癬の多くは1カ月ほどで症状が軽快しますが、できればその後さらに1カ月程度治療を継続したほうがよいでしょう。皮膚をかくことや、硫黄製剤などによる皮膚への刺激のため、2次的に湿疹を伴ってくることもありますので、その治療も適宜必要になってきます。

硫黄製剤の使用のため皮膚があまりにガサガサして、かゆい時は、一時使用を中断し、白色ワセリンなどで皮膚を休ませます。ただし、硫黄製剤を使う以上は、ある程度のガサガサは覚悟しなければなりません。角質がはがれ落ちて、ヒゼンダニが早く落ちることも、治癒を早くするための一法です。

この他、日常生活で体を清潔にし、こまめな洗濯や熱湯消毒をすることなども、医師から指示されることになります。体は風呂に入って、石けんで良く洗い、洗髪もします。硫黄の入浴剤が効果を現しますが、効果を期待しすぎて濃度が過ぎると硫黄かぶれを起こすために、かゆみが出ることもありますので、注意が必要です。風呂の後、ヒゼンダニを殺虫できる軟膏を全身に塗ります。

皮癬は夫婦、親子間などで移りますので、念のため、シーツ、下着、洋服は毎日、取り替えます。ヒゼンダニは熱に弱いので、50℃のお湯に10分間つけてから、洗濯することが望まれます。熱風乾燥機も効き目がありますので、10分以上かけます。部屋については、こたつ、カーペットに特に注意し、毎日ていねいに電気掃除機をかけます。掃除機のパックは毎日、取り換えるようにします。

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 ロッテは26日、「めっちゃふくらむフーセンガムボトル」(2024年7月発売)などガム3商品を自主回収すると発表した。回収個数は計約3万個になる見込み。原材料である「エンドウたんぱく」に、国内で使うことが認められていない食品添加物「メチルパラベン」「PEGエステル類」が含まれて...