2022/08/18

🟧フランス・パリで人間から犬への初のサル痘感染 WHOが注意喚起

 フランス・パリでこのほど、男性2人とそのペットの犬の間でサル痘がうつった可能性がある初のケースが報告されました。世界保健機関(WHO)のサル痘対応責任者の医師ロザムンド・ルイス氏は、こうした感染ルートはこれまで理論上のリスクだったと指摘しました。

 同居し、互いに複数の相手と付き合っているこの男性2人は、6月初旬にパリの病院でサル痘と診断されました。イギリスの医学雑誌「ランセット」で先週発表された報告書によると、2人の症状が出始めてから12日後、4歳のイタリアン・グレーハウンドにも症状が出始めたといいます。

 この犬は病変を起こし、飼い主の1人と同じ種類のサル痘の陽性反応が出ました。

 報告書によると、男性2人は犬をベッドで一緒に寝かせていました。自分たちに症状が出始めた当初から、犬を他の動物や人間に近付けないよう注意していたといいます。

 報告書の著者らは、「我々の知る限り、両患者の発症とそれに続く犬の発症の動態は、サル痘ウイルスが人間から犬へ感染したことを示唆している」と説明。「犬の肌や粘膜に病変が見られること、肛門や口から採取した拭い液のサル痘PCR検査の結果が陽性だったことを踏まえると、人間との濃厚接触や空気感染(あるいはその両方)による単なるウイルス保有ではなく、実際に犬の疾患を発症していたと推測される」とも指摘しています。

 著者らは、今回の研究を切っ掛けに、ペットがサル痘にかかった場合に飼い主から隔離する必要があるかどうか迅速に議論すべきだと示唆し、さらなる調査を呼び掛けています。

 ルイス氏は、サル痘はこれまで動物から人への感染しか報告されていなかったと指摘。アメリカでペットのプレリードッグを介して人が感染した事例に言及しました。

 ルイス氏はアメリカ紙ワシントン・ポストの15日のライブイベントで、「これは人間から動物への感染について我々が知る初の事例だ」「こうした例は過去に報告されておらず、犬が感染した例も以前には報告されていない」としています。

 WHOは17日、サル痘の人から犬への感染が初めて報告されたことを受け、感染者に対して動物への接触を避けるよう呼び掛けました。また、野外に生息するネズミなどへの感染リスクを下げるため、廃棄物の管理が重要だと注意を促しました。

 ウイルスが種の壁を越えて感染すると、変異により危険性が増す懸念が生じることが多いことに関して、ルイス氏は、「現時点ではサル痘ウイルスが変異したという報告はない」と強調しました。

 2022年8月18日(木)

🟧国内の新型コロナ新規感染者25万5534人で8日ぶりに最多更新 21道県で過去最多

 国内では18日午後6時15分の時点で、東京都で2万7453人、大阪府で2万4323人、愛知県で1万7993人、福岡県で1万3115人、兵庫県で1万2268人、埼玉県で1万1187人、神奈川県で1万9人など全47都道府県と空港検疫で、新たに25万5534人の新型コロナウイルスへの感染が発表されました。

 これまでで最も多かった10日の25万347人を上回り、8日ぶりに過去最多を更新しました。北海道、岩手、秋田、山形、福島、新潟、富山、石川、山梨、長野、三重、和歌山、岡山、広島、山口、徳島、愛媛、長崎、熊本、宮崎、鹿児島の21道県でも過去最多を更新しました。

 また、東京都で27人、愛知県で25人、神奈川県で20人、大阪府で19人、栃木県で16人、兵庫県で14人、鹿児島県で13人、北海道で12人、埼玉県で12人、福岡県で10人、群馬県で9人、千葉県で8人、静岡県で8人など計287人の死亡の発表がありました。

 国内で感染が確認された人は、空港検疫などを含め1646万4914人、クルーズ船の乗客・乗員が712人で、合わせて1646万5626人となっています。

 感染して亡くなった人は、国内で感染が確認された人が3万6289人、クルーズ船の乗船者が13人で、合わせて3万6302人となっています。

 厚生労働省によりますと、新型コロナウイルスへの感染が確認された人で、人工呼吸器や集中治療室などで治療を受けるなどしている重症者は、前日より17人減って18日時点で610人となっています。

 一方、大阪府は18日、新型コロナウイルスの新たな感染者を2万4323人確認したと発表しました。感染者数は前週同曜日(2万2051人)と比べ2272人増えました。これで大阪府内の感染者の累計は170万7958人。

 新たに50~90歳代の男女19人の死亡が判明し、府内の累計死者数は5729人になりました。

 18日時点の重症者は前日から8人増の84人で、重症病床(605床)の同日の実質使用率(重い持病などを抱える軽症・中等症患者らを含む)は27・3%になりました。軽症・中等症病床には3022人が入院しており、軽症・中等症病床(4251床)の使用率は71・1%となりました。

 新規感染者のうち、感染者と同居して症状があり、PCR検査を受けずに医師の診断で陽性と判断された濃厚接触者は667人でした。自宅療養者は13万6827人。公費によるPCR検査などを3万2020件実施しました。

 2022年8月18日(木)

🟧東京都、2万7453人の新型コロナ感染確認 前週比3日連続で減少

 東京都は18日、都内で新たに10歳未満から100歳以上の2万7453人が新型コロナウイルスに感染していることを確認したと発表しました。

 確認された感染者のうち、千葉県内の陽性者登録センターを通じて申請があったのは1583人で、都外から持ち込まれた検体を都内の医療機関で検査したのは2024人でした。

 1週間前の木曜日(11日)より3794人減りました。前週を下回るのは3日連続。直近1週間平均の新規感染者は2万4347人で、前週(約2万9648人)の82・1%でした。

 18日発表の新規感染者を年代別にみると、最多は20歳代の5067人。40歳代の4851人、30歳代の4781人、50歳代の3867人と続きました。65歳以上は2898人でした。

 人工呼吸器か体外式膜型人工肺(ECMO<エクモ>)を使っている重症の患者は、17日から2人減って33人でした。

 一方、都は、感染が確認された60歳代と80歳代から90歳代の男女合わせて27人が死亡したことを発表しました。

 東京都の累計の感染者数は267万1780人となり、累計の死者数は4989人になりました。

 2022年8月18日(木)

🇮🇸肺膿瘍

細菌が感染することで肺の組織が壊れ、うみがたまる疾患

肺膿瘍(のうよう)とは、細菌が感染することで肺の一部が化膿して、組織が壊れて、うみがたまる疾患。普通は、片方の肺のみに発症します。

肺炎にかかった人のうち、抵抗力が弱い人に起こったり、肺炎の原因となった病原菌の種類によっても起こることがあります。組織が壊れた部分は空洞になってしまったり、治っても瘢痕(はんこん)が残ります。

ほとんどの化膿菌によって肺膿瘍が引き起こされますが、最もよくみられる原因菌は、空気のあるところでは増殖しにくいバクテロイデスなどの嫌気性菌。肺炎球菌や黄色ブドウ球菌、緑膿菌などの好気菌も、原因菌になる場合もあります。いくつかの菌が複数合わさって、引き起こすこともあります。

誘因としては、肺内への異物の吸引、上気道の慢性感染、結核やがんによる気道狭窄(きょうさく)、嘔吐(おうと)を繰り返すような消化器の疾患などがあります。

初期症状は寒け、発熱、胸痛、せきなど、肺炎に似ています。1週間ほどたつと、膿性のたんが多量に出るようになり、悪臭を放ったり、時には血が混じることもあります。血を吐くこともあり、大量に吐く場合などは極めて危険です。

これらの症状の現れ方によって、肺膿瘍は急性型と慢性型に分けられています。通常、慢性型は発熱も低く、すべての症状が急性型よりも軽くなります。

肺膿瘍の検査と診断と治療

肺膿瘍の症状に気付いたら、呼吸器疾患専門医のいる病院を受診します。

医師による診断は、胸部X線検査、胸部CT検査、たんの性質検査、血液検査などに基づいて行われます。肺炎の場合と同じように、肺膿瘍では胸部X線やCT検査の写真に明らかな影が認められます。肺炎の多くは熱が下がると影が消えるのに対して、肺膿瘍では解熱しても陰影が残ります。

肺から採取したたんの検査では、化膿菌のほかに膿球や壊死(えし)物質が認められます。血液検査では、白血球の増加と、軽、中度の貧血がみられます。

治療は、化学療法が主体となります。原因菌がペニシリンに耐性のないものであれば、まずペニシリンが用いられます。その後は経過をみながら、必要に応じて、抗生物質が投与されます。

ほとんどの場合、初期は静脈注射による投与を行い、症状が改善して体温が平熱に戻ると、経口投与になります。抗生物質の投与は、症状が消え、胸部X線検査で膿瘍の消失が確認されるまで続けます。体位ドレナージも、膿瘍の排出を促すために行います。

適当な治療が行われれば、肺膿瘍の大部分は改善します。急性の場合の治療期間の目安は、2〜3カ月。慢性の場合は、もう少し長期の治療期間が必要となります。

化学療法の治療効果が思わしくない場合は、抗生物質以外の治療も必要になります。時に、胸壁を通して膿瘍の内部へチューブを挿入し、肺膿瘍を排出させることもあります。肺の一部切除といった外科療法が行われることもあります。

💅ハイパートロフィー

爪の甲の表面の中央部分が肥大化し、極端に盛り上がる状態

ハイパートロフィーとは、爪(つめ)の甲の表面の中央部分が肥大化し、極端に盛り上がる状態。巨爪(きょそう)症、爪肥厚症、オニキクシスとも呼ばれます。

爪の甲は先端に向かって押し進むように長く伸びますが、何らかの原因で圧迫されて伸びが妨害されると、成長する部分が厚くなったりします。厚くなった部分は、後から伸びてくる爪の甲の成長を阻害し、さらに盛り上がってくるという悪循環になります。

ハイパートロフィーの原因は、遺伝、物理的圧迫、けが、糖尿病、内臓の疾患、細菌感染、血行不良、栄養不足などさまざまです。

中でも、長期間にわたって爪に何らかの物理的圧迫が加わって、ハイパートロフィーになることが多く、手の爪よりも足の爪でしばしばみられます。原因となる物理的圧迫としては、足の形に合っていない靴が挙げられます。特に、先端が細くなったハイヒールを履き続けた時、足の指先に体重がかかりやすく、足先に持続的に圧力がかかることになり、爪の甲がはがれてしまうことがあります。これを何回も繰り返した場合に、ハイパートロフィーが起こることがあります。

同様の理由で、足の形に合っていないシューズで長距離ランニングした場合に、ハイパートロフィーや、爪の両端が指の肉に食い込む陥入爪が起こることがあります。陥入爪、深爪が原因で、正常な爪の成長が妨げられ、ハイパートロフィーが起こることもあります。

ハイパートロフィーがあると、爪が割れやすくなったり、はがれやすくなったりします。そのため、割れた爪が衣服や布団に引っ掛かり、はがれた部分から細菌が入って化膿(かのう)などのトラブルを起こすことがあります。

この場合、盛り上がった部分に触ると、激しい痛みがあり、ほかの爪にも移ります。靴を履くのが困難になるのはもちろんのこと、布団がこすれても痛みを感じます。また、ハイパートロフィーの症状として、爪の変色も挙げられます。

このハイパートロフィーはたまに、爪白癬(そうはくせん、つめはくせん)と間違えられることががあります。白癬菌と呼ばれる一群の真菌(カビ)が感染して起こる爪白癬は、いわゆる水虫、足白癬や手白癬が爪に発生したもので、爪が白く濁り、爪の下が厚く、硬くなります。症状が似ていても違う疾患ですので、水虫用の治療を独自で行うと、ハイパートロフィーが完治するまでに時間がかかるなど、さらに厄介なことになる可能性があります。

ハイパートロフィーの検査と診断と治療

皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による診断では、ハイパートロフィーの原因がかなり多岐にわたっているため、その原因を見極めることがポイントになります。

症状が似ている爪白癬と鑑別するためには、皮膚真菌検査を行うのが一般的。ピンセットやメスで採取した爪を水酸化カリウムで溶かし、溶けずに残る白癬菌を顕微鏡で観察します。時には、培養を行って、原因菌の同定を行うこともあります。爪では皮膚と違って菌を見付けにくく、菌の形態が不整形で判定しにくいことが多いので、注意が必要です。

皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による治療では、ハイパートロフィーの症状が軽い場合、保湿してマッサージすることで少しずつ改善します。また、爪やすりで厚い部分を滑らかに磨いたり、磨き粉で仕上げ磨きしたりして、爪の成長を阻害する盛り上がっている部分を平らにすれば、正常な爪の甲が再生してきます。

原因となる菌が同定されれば、その増殖を止めたり、死滅させる抗生物質(抗生剤)を用います。

栄養不足が原因でハイパートロフィーを生じている場合、栄養バランスのとれた1日3食の食生活を心掛け、爪の健康に必要な栄養素である蛋白質、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、ビタミンB、さらにコラーゲン、野菜や海藻類に多く含まれるミネラル類などをしっかり摂取してもらいます。

内臓などの疾患が原因でハイパートロフィーを生じている場合、その原因となる疾患を治療することが先決です。

自分でできる対処法としては、むやみにハイパートロフィーになった患部を触らないようにします。刺激を与えないことはもちろん、ほかの隣接する指と接しないように気を付けます。

ハイパートロフィーにならないためには、いつも清潔を心掛け、正しい爪の切り方をしていることが大切で、自分の足に適した履きやすい靴を選ぶことも予防となります。どうしてもハイヒールを履く必要がある時は、なるべく長く歩かないようにします。

🇮🇸排便障害

何らかの原因により排便が困難になったり、意図しない排便が起こる障害

排便障害とは、何らかの原因により排便が困難になったり、意図しない排便が起こる障害。便秘と便失禁に大きく分けられます。

便秘は通常、排便回数が少なく、3日に1回未満、週2回未満しか、便の出ない状態。便が硬くなって出にくかったり、息まないと便が出なかったり、残便感があったり、便意を感じなかったり、便が少なかったりなど多様な症状も含みます。便の水分が異常に少なかったり、うさぎの糞(ふん)のように固い塊状なら便秘です。

便秘の症状の現れる時期は、さまざまです。一般には、加齢とともに増加する傾向にありますが、女性のほうが男性より多いと見なされ、若い女性の便秘は思春期のころに始まることも少なくありません。

この便秘は、大きく分けると機能性便秘と器質性便秘に分類され、機能性便秘はさらに弛緩(しかん)性便秘、痙攣(けいれん)性便秘、直腸性便秘、食事性便秘の4種類に分類されます。

機能性便秘というのは、大腸の働きの異常が原因で便秘が起こるもので、ほとんどの便秘が機能性便秘に相当します。

機能性便秘のうちの弛緩性便秘は、一定のリズムと緊張を持って運動して便を送り出している腸管の蠕動(ぜんどう)運動の低下により、腸の中の内容物の通過が遅れ、水分の吸収が増加するために便秘が起こるものです。排便時に腹圧をかけるのに必要な、腹筋などの筋力が弱まることも原因になります。弛緩性便秘では、排便回数や便の量が少ないタイプの便秘になります。

痙攣性便秘は、ストレスや感情の高まりに伴う自律神経のアンバランス、特に副交感神経が緊張しすぎることによって便秘が起こるものです。下行結腸に痙攣を起こした部位が生じ、その部位が狭くなって、便の正常な通過が妨げられます。痙攣を起こした部位の上部は腸の圧力が高くなるため、腹が張った感じがして、不快感や痛みを感じます。排便があっても、便の量が少なく、うさぎの糞のように固い塊状となります。

排便後には少しは気持ちがよくなりますが、十分に出切った感じがなく、すっきりしないなど、残便感を生じる人が多いようです。便秘の後に、腸の狭くなった部位より上のほうで水分の量が増えるため、水様の下痢を伴うこともあり、便秘と下痢を交互に繰り返す場合もあります。大腸の緊張や痙攣により、便が滞りやすいために起こる便秘もあります。

直腸性便秘は、習慣性便秘とも呼ばれ、排便を我慢する習慣が便意を感じにくくさせるために便秘が起こるものです。便が直腸の中に進入すると、直腸の壁が伸びる刺激で便意は起きますが、この便意をこらえて、排便を怠たったり、排便を我慢することが度重なると、刺激に対する直腸の感受性が低下して、直腸内に便が入っても便意が起こらなくなってしまい便秘となります。

食事性便秘は、食物繊維の少ない食物を偏って食べていることが原因で、腸壁に適当な刺激がなくなって便秘が起こるものです。また、食事の量が極端に少ない場合も便秘になります。

一方、器質性便秘というのは、腸や肛門(こうもん)の腫瘍(しゅよう)や炎症、閉塞(へいそく)などの疾患、あるいは巨大結腸症のような腸の長さや大きさの先天的異常などが原因で便秘が起こるものです。器質的便秘の原因となる疾患としては、大腸がん、大腸ポリープ、クローン病、腸閉塞(イレウス)、虫垂炎など腹の手術の後の腸の癒着、潰瘍(かいよう)性大腸炎、後腹膜腫瘍、子宮筋腫、直腸がん、直腸ポリープ、直腸脱、直腸重積(じゅうせき)、直腸瘤(りゅう)などがあります。

また、便秘には、旅行や生活の変化に伴う数日間だけの一過性の便秘と、症状が1〜3カ月以上続く慢性便秘があります。便秘が続くと、腸内細菌のバランスが崩れ、腐敗便がたまると、肌のトラブルや大腸がん発生の引き金になります。

それまで規則的であった排便が便秘に変化した場合や、便に血が混じる場合、腹痛を伴うような場合は、器質的便秘が疑われるので、早めに肛門科、あるいは消化器科、婦人科を受診し検査を受ける必要があります。

便失禁は、排便や排ガスを十分にコントロールできない状態

便失禁とは、排便や排ガスを十分にコントロールできない状態。

便意を催してからトイレに行くまで我慢できずに失禁するタイプの切迫性便失禁と、便意を感じないままに無意識のうちに便が漏れるタイプの漏出性便失禁があり、両方を併せ持つタイプもみられます。

便失禁の原因には、いろいろなものがあります。原因のうち最も多いものとして、出産時の肛門周辺の筋肉の損傷があります。排便には内肛門括約筋、外肛門括約筋、肛門挙筋、恥骨直腸筋という4種類の筋肉が関与していますが、出産の際に肛門括約筋などが傷付き、その伸縮自在の筋肉の強さが低下することで便失禁、ガス失禁、下着が汚れる、肛門がただれてかゆくなる、便の偏位などの症状が起きます。また、出産の際に肛門括約筋を支配する神経が傷付くこともあります。

この障害は出産後すぐに気付くこともありますが、年を取るまで明らかにならないこともあり、この場合には出産と便失禁との因果関係がはっきりしないことがあります。

肛門や肛門周囲の組織の手術を受けたり、しりもちをつくなどのけがをすることで、内外肛門括約筋を傷付けた場合も、便失禁が起こります。肛門周囲の組織に感染症が起こった場合にも、肛門括約筋が傷付くことがあり、便失禁が起こることがあります。高齢になるにつれ肛門括約筋が弱くなったり、脊髄(せきずい)から肛門周辺の筋肉に入っている神経線維が委縮してくる結果、便失禁が起こることもあります。

腸の炎症や、直腸腫瘍、直腸が肛門から飛び出す直腸脱といった疾患により、便失禁が起こることもあります。多発性硬化症や糖尿病といった疾患により、肛門括約筋を支配する神経が障害されるために、便失禁を来すこともあります。脳卒中、脊髄損傷、脳神経疾患、痴呆(ちほう)により、神経の刺激が肛門へ届かなくなるために、便失禁を来すこともあります。

さらに、下剤の乱用が、便失禁の原因となることもあります。直腸に固まった便が詰まっている時に下剤を飲むと、固まった便の回りを下痢便が伝って失禁することがあります。

我慢できずに失禁するタイプの切迫性便失禁は、意識的に力を入れた時の肛門の締まりが弱くなっており、出産時に肛門周辺の筋肉を損傷した人、肛門や肛門周囲の組織の手術を受けた人に多くみられます。無意識のうちに便が漏れるタイプの漏出性便失禁は、無意識での肛門の締まりが弱くなっており、高齢者や直腸脱の発症者などに多くみられます。

便失禁は起こる頻度の高いもので、特に加齢とともに起こる頻度が高くなってきますが、羞恥(しゅうち)心のために、どんなに不快な症状があっても医療機関へ行かず、自己療法で我慢している人が少なくありません。医師に気軽に相談することが重要です。

排便障害の検査と診断と治療

肛門科、あるいは消化器科、婦人科の医師による便秘の診断では、器質的便秘が疑われる場合は、まず大腸の検査を行います。これには注腸X線検査と大腸内視鏡検査があり、ポリープやがん、炎症性腸疾患などを診断します。

機能的な慢性便秘を詳しく調べる検査として、X線マーカーを服用して大腸の通過時間を調べる検査や、バリウムによる模擬便を用いて、排便時の直腸の形や動きを調べる排便造影検査があります。

肛門科、あるいは消化器科、婦人科の医師による便秘の治療では、食事指導、生活指導、運動、緩下剤といった保存的治療法が主体となり、これらをうまく取り入れて便通をコントロールするようにします。日常の食生活で不足しがちな食物繊維を補うためには、市販の食物繊維サプリメントであるオオバコ、小麦ふすまなどを活用するのもよい方法です。

緩下剤は、腸への刺激がなく、水分を保持して便を軟らかくする酸化マグネシウムなどの塩類下剤を主体として使用します。センナ系、漢方などの速効性の刺激性下剤は、できるだけ常用しないように心掛けます。刺激性下剤を常用すると、次第に腸が下剤の刺激に慣れて効果が鈍くなり、ますます便秘が悪化することがあるためです。

直腸瘤が便秘の原因となっている場合は、その症状と大きさから判断して手術で治療することもあります。

肛門科、あるいは消化器科、婦人科の医師による便失禁の診断では、まず問診により、便失禁の程度とそれが生活に及ぼす影響について明らかにします。便失禁の原因の多くは、詳しく病歴を聴取することにより明らかになります。

例えば、女性の場合、過去の出産歴は重要です。出産の回数が多かったり、新生児の体重が大きかったり、鉗子分娩(かんしぶんべん)の既往があったり、会陰(えいん)切開の既往があったりすると。肛門括約筋が損傷されていることがあります。時には、全身疾患や薬剤が原因となって便失禁を来すこともあります。

次いで、肛門部の診察を行います。これにより肛門括約筋の損傷が容易に明らかになることがあります。肛門領域をもっと詳しく調べるために、他の検査が必要となることがあります。例えば、肛門内圧検査では、小さなカテーテルを肛門内に挿入し、肛門括約筋を緩めた時と締めた時の圧力を測定します。この検査によって、肛門内圧がどの程度弱いか、または強いかが明らかになります。

肛門括約筋を支配する神経が正常に機能しているかどうかを調べるために、他の検査が必要になる場合もあります。さらに、肛門領域に対して超音波検査を行い、肛門括約筋が損傷している領域を明らかにすることもあります。

肛門科、消化器科、婦人科の医師による治療では、症状が軽度ならば、食事習慣の改善指導および整腸剤での処置を行います。時には、現在処方されている薬剤を変更することで、症状が改善することもあります。

大腸炎など直腸領域の炎症性疾患が便失禁の原因になっている場合には、原因疾患を治療することによって、症状が改善することもあります。

肛門括約筋を強くするために、簡単な体操(ケーゲル体操)が勧められることもあります。バイオフィードバックという治療法があり、特殊な機械を用いて正しく肛門括約筋を締めるコツを体得することによって、排便時の肛門領域の知覚を改善し、肛門括約筋を強くすることもできます。

肛門括約筋が損傷している場合には、手術を行うこともあります。手術には、肛門の皮下に紐(ひも)を入れて、肛門を小さくするチールシュ法、肛門括約筋縫合術、代替筋利用手術法などがあります。

肛門括約筋縫合術は、外肛門括約筋を折り畳むように縫い縮めることで肛門に力を入れやすくし、同時に肛門後方で恥骨直腸筋を縫縮することにより、直腸を前方に折り曲げて、直腸肛門角を強くすることで便が直腸から肛門に下りてきにくくするものです。しかし、手術直後から完全に便の漏れがなくなるわけではありません。手術で筋肉の緩みを取って、筋肉が効率よく働けるようにすることはできても、筋力が強化されるわけではありません。その後に、筋力増強のためのリハビリテーションが必要となります。

肛門の手術や出産時の外傷による肛門括約筋の損傷が原因のものは、手術的に肛門括約筋を修復することで、元通りに治すことができます。加齢による便失禁には、完全に治す治療法はありませんが、近年行われている低周波電気刺激治療器の使用は特に筋肉の老化によるものに対して効果があります。

脳卒中、脊髄損傷、脳神経疾患による便失禁は、治すことができません。近年、末梢(まっしょう)神経の障害が原因と思われるものに対しては、神経の移植や人工肛門括約筋なども試みられていますが、まだはっきりした結論は出ていません。

予防対策は、まず便失禁が減るように排便をコントロールすることです。特定の食べ物や飲料で下痢や水様便、軟便になりがちな人は、それらを控えるように注意します。水様便や軟便はどうしても漏れやすいですし、硬い便は肛門に無理がかかります。肛門に負担のかからない質のよい便が直腸に下りてくるように、運動や食事、場合によっては薬を使用して、根気強く便秘や下痢をコントロールすることも必要です。

また、便秘で刺激性下剤を服用している場合は、塩類下剤(酸化マグネシウムなど)に変更して下痢や軟便にならないようにコントロールします。普段から下痢や軟便が多い人は、便を固める作用のある止痢薬で有形便にコントロールすることも有効です。

排便後しばらくして失禁する場合は、排便のたびに座薬や浣腸(かんちょう)を使用し、直腸内の残便をなくすように試みることが有効な場合もあります。突然の便失禁に対しては、一時的に便の排出を抑える肛門用タンポン(アナルプラグ)を使用するのも一つの方法です。

🇸🇨肺MAC症

結核菌以外の抗酸菌であるMAC菌によって引き起こされ、肺などに病変ができる疾患

肺MAC(まっく)症とは、結核菌の仲間の抗酸菌の一つであるMAC菌によって引き起こされ、肺などに病変ができる呼吸器感染症。非結核性抗酸菌症と呼ばれる呼吸器感染症の一種です。

非結核性抗酸菌症は、結核菌と、らい菌以外の抗酸菌によって引き起こされ、肺などに病変ができる呼吸器感染症で、非定型抗酸菌症とも呼ばれます。

抗酸菌とは、結核の原因である結核菌の仲間を指し、水中や土壌など自然環境に広く存在して、酸に対して強い抵抗力を示す菌です。結核菌よりもかなり病原性が低く、健康な人では気道を介して侵入しても通常は速やかに排除されて、ほとんど発症しません。

結核と症状が似ているために間違えられることもありますが、結核と非結核性抗酸菌症の大きな違いは、人から人へ感染しないこと、疾患の進行が緩やかであること、抗結核剤があまり有効でないことなどがあります。

非結核性抗酸菌症の原因は通常、非結核性抗酸菌(マイコバクテリウム)と呼ばれる抗酸菌で、約150種類が知られており、人に病原性があるとされているものだけでも10種類以上あります。

日本で最も多いのはマイコバクテリウム・アビウム・イントラセルラーレ、略してMAC菌で、約80パーセントを占めます。次いで、マイコバクテリウム・カンサシーが約10パーセントを占め、その他が約10パーセントを占めています。

肺MAC症に代表される非結核性抗酸菌症はリンパ節、皮膚、骨、関節など全身どこにでも病変を作る可能性があるものの、結核と同様、最も病変ができやすいのは肺です。発症様式には2通りあり、1つは体の弱った人あるいは肺に古い病変のある人に発症する場合、もう1つは健康と思われていた人に発症する場合です。

感染系路として、MAC菌など非結核性抗酸菌の吸入による呼吸器系からの感染と、非結核性抗酸菌を含む水や食物を介する消化器系からの感染があると見なされています。

自覚症状が全くなく、胸部検診や結核の経過観察中などに偶然、見付かる場合があります。症状として最も多いのは咳(せき)で、次いで、痰(たん)、血痰、喀血(かっけつ)、全身倦怠(けんたい)感など。進行した場合は、発熱、呼吸困難、食欲不振、やせなどが現れます。一般的に症状の進行は緩やかで、ゆっくりと、しかし確実に進行します。

結核の減少とは逆に、肺MAC症など非結核性抗酸菌症の発症者は増えてきており、確実に有効な薬がないため、患者数は蓄積され、重症者も多くなってきています。特に、気管支を中心に病変を作る肺MAC症は中年以降の女性に増えていますが、近年は若年者にも見付かっています。新規の発症者は年間、8000人から1万人に上るとみられています。

肺MAC症は、浴室が主な感染源になっている可能性が高いことが明らかになっています。お湯を循環させる追いだき口、浴槽にためた水、浴室の排水口、シャワーヘッドの表面や内側でもMAC菌が見付かっています。

症状に気付いたら、呼吸器科の医師、あるいは内科、呼吸器内科、感染症内科の医師を受診するのがよいでしょう。

肺MAC症の検査と診断と治療

呼吸器科などの医師による診断は、胸部X線やCTなどの画像診断を糸口とします。非結核性抗酸菌症で最も頻度の高い肺MAC症は、特徴的な画像所見を示します。異常陰影があり、喀痰(かくたん)などの検体からMAC菌を見付けることにより、診断が確定されます。

ただし、MAC菌などの非結核性抗酸菌は水中や土壌など自然環境に広く存在しており、たまたま喀痰から排出されることもあるので、ある程度以上の菌数と回数が認められることと、臨床所見と一致することが必要です。

2008年に肺MAC症の診断基準が緩やかになり、特徴的画像所見、他の呼吸器疾患の否定、2回以上の菌陽性で診断できることになっています。菌の同定は、PCR法やDDH法などの遺伝子診断法により簡単、迅速に行われます。

肺MAC症などの非結核性抗酸菌症と最も鑑別すべき疾患は、結核です。そのほか、肺の真菌症、肺炎、肺がんなども重要です。

呼吸器科などの医師による治療は、結核に準じて行われます。非結核性抗酸菌の多くは抗結核剤に対し耐性を示しますが、治療に際しては、菌によって効果があるので、まずは抗結核剤をいくつか併用します。

最も一般的なのはクラリスロマイシン、リファンピシン、エタンブトール、ストレプトマイシンの4剤を併用する方法です。この方法による症状、X線像、排菌の改善率は、よくても50パーセント以下にすぎません。治療後、再び排菌する例などもあり、全体的な有効例は約3分の1、副作用の出現率も3分の1程度あります。

薬剤は結核の時よりはるかに長期間服用する必要があり、確実に有効な治療法がないので患者数は増え、進行例が増えてきているのが現状です。完全に治すことは難しく経過観察が必要ですので、肺MAC症などの非結核性抗酸菌症と診断された場合には、通院不要と判断されることはありません。自覚症状がないまま悪化する場合もあるので、症状がなくても通院を中断せず、最低数カ月から半年に1度は受診することが大切です。

症状が特に強く、肺病変が著しい場合には、肺切除などの外科療法が行われます。

生活は普通通りにできますし、人から人へ感染しないので、自宅で家族と一緒に生活してもかまいません。糖尿病、高血圧、高脂血症などの生活習慣病がなければ、特に食事の制限もありません。

水中や土壌など自然環境に存在している非結核性抗酸菌が感染するということは、体が弱っている、すなわち免疫が落ちていることが考えられますので、過労を避けつつ適度な運動を心掛けて、体力を増強させるような生活が望まれます。

自宅内ではMAC菌などの住み着きやすい風呂場、シャワーヘッドなどを清潔に保つように留意します。地震に備え、水を浴槽にためる人が増えましたが、少なくとも肺MAC症の人はしないほうがよく、浴室を掃除する時はマスクをしたほうがよいでしょう。MAC菌などは乾燥に弱いため、浴室を乾燥させるのもお勧めです。

🟥アフリカ連合、エムポックス緊急宣言終了 新規感染者数減少で拡大抑止

 アフリカ連合(AU)の疾病対策センター(CDC)は23日までに、エムポックス(サル痘)の拡大を受けて2024年8月に出した緊急事態宣言を終了した。22日付。2025年前半から後半にかけて新規感染者数の減少傾向が続き、拡大を抑止できたためとしている。  アフリカでは2024年に...