2022/08/21

💅爪甲横溝

つめの甲を横に走る溝状の変化

爪甲横溝(そうこうおうこう)とは、つめの甲を横に走る水平の溝や波打った溝ができる状態。ボーズライン、コルゲーテッドネイルとも呼ばれます。

つめに横溝ができるのは、つめの発育を抑えるような障害がつめを作り出す爪母に作用するためで、その障害の強さや期間によって深さや幅が変わってきます。非常に障害が強く加わると深くなり、期間が長くなると幅が広くなります。

初めに、爪半月(つめはんげつ)の外側の当たりに横溝が現れ、つめの発育とともに先端に移動して行きます。この横溝は爪母に障害が加わってできるものですから、現れるのは障害が加わってから数週間後です。現在できている横溝の位置から、いつごろ障害が起こったのか推測することは簡単です。また、1本のつめに横溝が2~3本同時に見られる場合は、正常な期間をおいて繰り返し障害が加わったと考えらます。

もしも、つめの横溝ができる原因が全身性疾患によるのものであるなら、すべてのつめの同じ場所に変化が見られます。一部のつめの変化の時は、爪母近くの皮膚の病変の影響が考えられます。 また、つめの根元にけがをしたり、マニキュアや薬剤によって爪母を傷付けた時に変化が見られることもあり、この時はつめの甲が凸凹になる場合もあります。

つめの横溝が生じる原因となる全身性疾患としては、急性熱性疾患のほか、尿毒症、糖尿病、ビタミンA欠乏症、低カルシウム血症、亜鉛欠乏症などの慢性疾患が挙げられます。皮膚の疾患としては、湿疹(しっしん)、皮膚炎、円形脱毛症、乾癬(かんせん)などが挙げられます。

さまざま原因がある中で、最も多いのは高熱で発病して、1~2週間で治るチフス、猩紅(しょうこう)熱などの感染症や、中毒の場合です。慢性疾患では代謝異常による疾患が多く、疾患が一時的に悪化した後に現れ、溝は浅く幅が広いのを特徴とします。

皮膚の疾患で最も多いのは、手の湿疹。手の湿疹の大部分は水仕事の多い主婦によくみられて、治りにくい慢性的な湿疹であり、つめの周辺の病変が急激に悪化して爪母にまで広がった場合に、横溝が生じます。これと同様な症状で、化膿(かのう)性爪囲炎(ひょうそう)やカンジタ菌による爪囲炎の時にも生じ、いずれもつめ周辺の疾患が治れば自然に消えて行きます。円形脱毛症や乾癬の時には、点状の凹みと同様に横溝も現れることがあります。

また、レイノー症状に伴って、横溝が現れることもあります。手が冷たい水や風に触れた時に、指が白くなる現象がレイノー症状であり、若い女性に多くみられて、指の小さな動脈が一時的に狭くなって血液が流れにくくなるために起こります。指先に血液が行かなくなると、つめの発育の障害になり、それが強く起こると横溝が現れます。何度も繰り返してレイノー症状が起こると、一枚のつめに何本もの横溝ができることもあります。

爪甲横溝の検査と診断と治療 

つめに横向きの溝ができる爪甲横溝は、一時的に爪母が障害されたために起こる場合がほとんどです。つめが形成される時期に体に何か異常があったということを示しているもので、現在の異常な状態を示すものではありません。過去、数週間から数カ月前に起こった異常の結果を見ているというわけなので、あまり気にしなくてもよいと思われます。

すべてのつめに変化がみられる全身性の慢性疾患があれば、その治療を行います。一部のつめの変化がみられる皮膚の疾患があれば、その治療を行います。

💅爪甲下角質増殖症

爪床側の角質の成長異常により、爪の甲が押し上げられるとともに、厚くなる状態

爪甲下(そうこうか)角質増殖症とは、爪(つめ)の先端にある爪床側の角質部分の不全角化という成長異常によって、爪の甲が爪床から押し上げられるとともに、押し上げられた爪の甲が厚くなる状態。

爪床と爪の甲の間には、もろくなった爪が角質塊という粉となって充満します。

爪甲下角質増殖症の多くは、爪や指先に受けた外傷や、爪の水虫(爪白癬〔はくせん〕)、乾癬(かんせん)、指先の湿疹(しっしん)などの皮膚病に伴う爪の二次的な変化として生じます。ごくまれに、先天性ないし遺伝性の爪甲下角質増殖症をみることもあります。

また、爪甲下角質増殖症単独ではなく、爪の甲が爪床からはがれる爪甲剥離(はくり)症や、爪の甲の先端あるいは全体がスプーン状にへこむ匙状(さじじょう)爪(スプーンネイル)を併発することも少なくありません。爪甲剥離症や匙状爪を併発する場合、何かの病気が原因になっていることがほとんどです。

爪の水虫に伴う爪甲下角質増殖症は、最も一般的にみられるもので、著しい爪甲下角質増殖を呈します。足の親指の爪に生じることが多く、爪甲表面には爪の水虫の特徴の一つである白い濁りを認めます。

乾癬に伴う爪甲下角質増殖症は、爪の水虫と似た症状が現れ、爪甲が白濁化して、悪化すると表面がはがれ落ちます。爪の周囲に乾癬による皮膚病変を認め、頭部、腰部、下腿(かたい)前面などの好発部位にも、乾癬特有の皮膚病変を認めます。

指先の湿疹に伴う爪甲下角質増殖症は、多くは爪の縁の変化を伴います。また、爪の回りには、紅斑(こうはん)や丘疹などの湿疹性変化をみます。

爪甲下角質増殖症に気付いたら、すぐに皮膚科、皮膚泌尿器科を受診することで、早期治療が可能です。遺伝子に問題があると判明するのを早めるためにも、医療機関での検査は早いほうがよいといえます。

爪甲下角質増殖症の検査と診断と治療

皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による診断では、爪の甲の先端部分に角質増殖を起こし得る外傷や外的物質、薬品、あるいは皮膚疾患や全身疾患を検査します

主に遺伝的な問題があることもあり、外服薬や内服薬での治療で完治させられない場合には、遺伝子検査などをすることも大切です。

皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による治療では、外傷などの原因となっているものを優先的に除去ないし治療し、その後、外服薬よりも内服薬による治療を中心に行います。

爪の水虫に伴う爪甲下角質増殖症の場合、水虫の外服薬はほとんど効果がなく、グリセオフルビン、イトラコナゾールなどの内服が必要です。少なくても、3〜6カ月間内服します。

硬く厚くなった爪の外側から外服薬を塗っても、奥深く潜んでいる白癬菌まで薬の有効成分が行き渡りませんが、飲み薬ならば血流に乗って直接白癬菌にダメージを与え、体の内側から治すことができるわけです。

乾癬に伴う爪甲下角質増殖症の場合、まだ根本的な治療法はなく、外服薬、内服薬、光線療法など、症状に合わせたいろいろな治療を行います。症状が軽い場合には主に外服薬で、症状が重くなると内服薬や光線療法で治療します。いずれの治療法も治療を中止すると、再発することがあります。

外服薬には、副腎(ふくじん)皮質ステロイド薬が多く用いられています。そのほか、活性型ビタミンD3外服薬も副腎皮質ステロイド薬ほどの速効性はありませんが、副作用が軽微なので併せて使用します。古くから用いられてきた外服薬にタールやアンスラリンなどがありますが、現在は一部の病院でしか使用されていません。

内服薬としては、ビタミンA類似物質であるエトレチナート(チガソン)や、免疫抑制薬であるシクロスポリン(ネオーラル)が用いられ、一定の効果が得られています。

爪甲剥離症や匙状爪(スプーンネイル)を併発する場合、内的疾患が理由になっているため、爪自体は治療しません。肺疾患や心疾患といった原因となる疾患の検索と、それに対する治療を優先します。

爪甲下角質増殖症を予防するには清潔な足を維持し、食生活をきちんと管理することが大切です。足を蒸れたままにせず、しっかりときれいに洗って乾燥させるなどの工夫が必要です。健康を維持していればそれほど悪化することもなく、爪の水虫も早い時期に治療できるため、重症化せずに治せます。

💅爪甲鉤弯症

足の親指の爪甲が異常に肥厚して、弓なりに曲がった状態

爪甲鉤弯(そうこうこうわん)症とは、爪(つめ)の甲が異常に肥厚して硬くなり、異常に曲がった状態。

足の親指の爪によくみられ、金具の鉤(かぎ)や鳥のくちばし、羊の角のように、爪が分厚く変形して弓なりに曲がる症状が現れます。爪の色も濁った黄色や濁った茶色になることが多く、爪の表面もでこぼこになり、光沢がなくなります。時々、変形した部位が痛むこともあります。

遺伝的に加齢とともに生じる場合が多く、高齢者に多くみられます。また、靴による慢性的な足先への圧迫も原因となります。小さい靴を無理に履いたり、ハイヒールをいつも履いていたりすると、圧迫されやすい足の親指の爪の成長が妨げられ、先端までうまく伸びない場合に、爪甲鉤弯症が起きてきます。爪が足指の先端までないと、先端の骨が変形して上に反っくり返り、なお爪の成長が妨げられることになります。

外傷、血行障害も、爪甲鉤弯症の原因として考えられます。極めて少ないものの、甲状腺(こうじょうせん)機能低下症を始めとする内分泌系の疾患や、下肢の静脈瘤(りゅう)性症候群、血管閉塞(へいそく)、末梢(まっしょう)神経障害が原因で起きることもあります。

爪甲鉤弯症になると、爪の甲が肥厚して硬くなるので、普通の爪切りでは切れなくなって爪が長くなり、靴を履くことができなくなります。

爪の水虫といわれる爪白癬(つめはくせん)により悪化している場合もあるので、皮膚科を受診することが勧められます。

爪甲鉤弯症の検査と診断と治療

皮膚科の医師による診断では、まず爪の水虫といわれる爪白癬の検査をするのが一般的です。爪に白癬菌などが認められなければ、爪の形状から爪甲鉤弯症と確定することになります。甲状腺機能低下症など爪甲鉤弯症の原因となり得る疾患を確認することもあります。

皮膚科の医師による治療では、分厚く変形した爪を専用の爪切りで処置したり、爪やすりでできるだけ薄くなるように削ります。

日常生活に支障を来すような場合や、爪が下の皮膚から浮いている場合には、外科的に爪をすべて取り除くこともあります。変形した爪が、血管や神経にダメージを与える可能性もあるからです。爪を切除することで、痛みを緩和することにもつながります。

爪を取り去った後、アクリル樹脂製の人工爪を取り付けることもあります。この方法は、治療直後から痛みが軽減し靴を履いて帰宅できますし、入浴も可能です。また、人工爪が外れても繰り返し取り付けることができます。

足の親指の先端の皮膚の隆起が硬くなっている場合、爪の伸びを妨害する骨や皮膚の盛り上がりを外科的に取り除くこともあります。

爪の甲の前方だけを外科的に取り除き、その爪床部を開けて骨を削り、人工爪を取り付けることもあります。

甲状腺機能低下症などの疾患が原因になっている場合は、その疾患の治療がそのまま爪甲鉤弯症の治療になります。

予防法としては、足先への圧迫、血行障害も爪甲鉤弯症の原因となりますので、足指を圧迫することがないようサイズの合った靴を履くことが大切です。複数の靴を毎日履き替え、爪が当たる位置を変えてみたり、靴ひもをしっかり結んで爪が当たらないようにするのも一案です。

💅爪甲色素線条

爪の甲の根元から縦方向に、黒色や褐色の線状の色素沈着が生じた状態

爪甲色素線条(そうこうしきそせんじょう)とは、爪(つめ)の甲の根元から縦方向に、黒色や褐色の線状、または帯状の色素沈着が生じた状態。

爪は、爪の甲と、爪の根元の皮下にあって爪を作り出している爪母、爪の甲を下で支える爪床から成り立っています。このうち爪母や爪母付近に何らかの病変があると、まず爪の甲の根元の表面に爪甲色素線条が現れ、爪が伸びるのに伴って、その直線状の色素沈着が次第に爪先へと移行します。

爪母や爪母付近にある病変としては、メラニンという皮膚の色を濃くする色素が異常に増加したほくろや、あざなどの色素性母斑(ぼはん)があり、爪母に色素性母斑が生じた後に、爪に爪甲色素線条が現れます。

粘液嚢腫(のうしゅ)やグロムス腫瘍(しゅよう)などの良性の腫瘍、爪部悪性黒色腫(爪メラノーマ)や基底細胞がんやボーエン病など悪性の腫瘍が爪母に生じた後にも、爪に爪甲色素線条が現れます。

また、扁平苔癬(へんぺいたいせん)や線状苔癬のなど皮膚疾患、アジソン病やクッシング症候群などの内分泌異常、ポルフィリン症や栄養失調などの代謝異常、ポイツ・イエーガー症候群や妊娠などの全身疾患、細菌や真菌の感染症、抗がん剤などの薬剤の内服、手指への放射線治療や紫外線療法、靴あるいはギターの演奏などによる繰り返す外的刺激が、爪母や爪母付近に病変を及ぼした後にも、爪に爪甲色素線条が現れます。

一般に、爪の根元に現れた爪甲色素線条は横幅1ミリ程度で始まり、次第に拡大して、その色調も濃くなります。時には爪の甲全体に拡大するばかりか、爪の根元の皮膚を覆っている後爪廓(こうそうかく)の皮膚にも色素斑がみられることもあります。多くの爪に帯状の爪甲色素線条が現れた場合は、全身疾患や薬剤の内服が原因です。

手の爪に現れる爪甲色素線条は、親指に生じることが多く、次いで人差し指や薬指です。足の爪に現れる爪甲色素線条は、親指(第一趾)がほとんどです。

新生児や幼児に生じた色素線条は、一時的に広がったりすることもありますが、いずれ思春期ころまでに自然消失することが多いものです。

成人になってから生じた爪甲色素線条で、直線状の色素沈着が淡く、輪郭がぼんやりしていれば、ほくろや、あざなどの色素性母斑が原因の可能性が高く、そのまま放置してかまいません。

しかし、爪甲色素線条の横幅が6センチ以上で、黒褐色の色調に不規則な濃淡がみられるか真黒色、20歳以後、特に中高齢者になって発生したもの、色素線条が爪の表面を越えて皮膚の部分にまで及んでいる状態であれば、爪部悪性黒色腫(爪メラノーマ)かもしれません。

がん化したメラニン細胞が増えるにつれて、色素線条が増えるだけでなく太くなっていき、長さも伸びていきます。やがて、爪全体が黒くなります。進行すると、爪が変形したり破壊されてしまいます。

爪部悪性黒色腫は、がんの中でも繁殖しやすいタイプです。そのため、爪から全身に転移していくというデメリットもあります。短期間で転移してしまうため、爪の症状の変化に気付いたら、すぐに皮膚科、ないし皮膚泌尿器科を受診することが勧められます。

爪甲色素線条の検査と診断と治療

皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による診断では、問診、視診、触診を行い、続いてダーモスコピー検査を行います。

ダーモスコピー検査は、病変部に超音波検査用のジェルを塗布してから、ダーモスコープという特殊な拡大鏡を皮膚面に当て、皮膚に分布するメラニンや毛細血管の状態を調べ、デジタルカメラで記録するだけの簡単なもので、痛みは全くありません。

すべての指の爪に爪甲色素線条がみられた時は、原因となり得る疾患があるか否かを検査します。また、爪部悪性黒色腫(爪メラノーマ)が疑われる場合に生検を行います。通常は色の濃い増殖部分全体を切除し、顕微鏡で病理学的に調べます。もし爪部悪性黒色腫だった場合、がんが完全に切除されたかどうかを確認します。

一方、爪部悪性黒色腫の周囲組織を切り取ると、がん細胞が刺激されて転移を起こすことが考えられるため、生検をせずに視診と触診などで診断する医師もいます。

確定診断に至ったら、ほかの部位への転移の有無を調べるためのCT(コンピュータ断層撮影)検査、MRI(磁気共鳴画像撮影)検査、PET(陽電子放射断層撮影)検査、X線(レントゲン)検査、超音波(エコー)検査などの画像検査や、心機能、肺機能、腎機能などを調べる検査を行います。

皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による治療は原則的に、爪部悪性黒色腫の部位を外科手術によって円形に切除します。手術が成功するかどうかは、皮膚のどの程度の深さにまで爪部悪性黒色腫が侵入しているかによって決まります。初期段階で最も浅い爪部悪性黒色腫であれば、ほぼ100パーセントは手術で治りますので、周囲の皮膚を腫瘍の縁から最低でも約1センチメートルは一緒に切除します。

皮膚の中に約0・8ミリメートル以上侵入している爪部悪性黒色腫の場合、リンパ管と血管を通じて転移する可能性が非常に高くなります。転移した爪部悪性黒色腫は致死的なものになることがしばしばあり、抗がん剤による化学療法を行いますが、治療の効果はあまりなく余命が9カ月を切る場合もあります。

とはいえ、このがんの進行の仕方には幅がありますし、発症者の体の免疫防御能によっても差がありますので、化学療法、インターフェロンによる免疫療法、および放射線療法などいろいろな手段を組み合わせた集学的治療を行い、たとえ爪部悪性黒色腫が転移しても健康を保って何年も生存する人もいます。

一度、爪部悪性黒色腫を発症した人は、再発するリスクが高くなります。そのため、発症者は毎年皮膚科、皮膚泌尿器科で検査を受けるべきです。

良性の腫瘍による爪甲色素線条の場合は、放置して経過を観察します。皮膚疾患、内分泌異常、代謝異常、全身疾患、細菌や真菌の感染症などによる爪甲色素線条の場合は、原因を除去すれば数年後には色素沈着が消失します。薬剤の内服による爪甲色素線条の場合は、内服を中止すると色素沈着は消失します。

💅爪甲周囲炎(爪囲炎)

爪の周囲の皮膚が赤くはれる状態

爪甲(そうこう)周囲炎とは、爪(つめ)の周囲の皮膚が赤くはれ、うみが出ることもある状態。爪囲炎とも呼ばれ、医学用語ではバロニキアと呼ばれています。

これには、化膿(かのう)性の爪甲周囲炎と、カンジダ性の爪甲周囲炎のほか、学齢期に発症しやすい稽留(けいりゅう)性肢端(したん)皮膚炎などがあります。

化膿性の爪甲周囲炎は、黄色ブドウ球菌、連鎖球菌などの化膿菌が入って急性の炎症を起こすものです。爪囲部のささくれ、小さな切り傷、足では爪切りの際の傷や爪が皮膚に食い込んでいるところなどから感染が起こり、爪囲が赤くはれ上がり、自発痛、圧痛が強くなります。

この化膿性の爪甲周囲炎は、ひょうそ、ひょうそうとも呼ばれます。ひょうそという疾患名は、指趾(しし)の化膿性炎症全体に付けられるもので、化膿性の爪甲周囲炎から、さらに炎症症状が真皮深層、脂肪織にまで拡大した指の蜂窩織(ほうかしき)炎、あるいは骨、関節部の化膿性炎症が真皮にまで波及した時にも付けられます。

従って、ひょうそという時には、指先全体が赤紫色に強くはれ、痛みが強い状況で、うみが出たり、皮膚が破れ、潰瘍(かいよう)になることもあります。

カンジダ性の爪甲周囲炎は、水仕事の機会の多い中年女性や糖尿病などの人に起こりやすいものです。主に、爪の周囲が赤くはれ上がり、押すと圧痛があり、爪と皮膚の間から、うみが出ることがあります。非常に治りにくく、次第に爪も黄白色に濁り、厚くなってきます。これはカンジダ菌という真菌、いわゆるカビの一種が爪と皮膚の間で増殖し、爪にも入っているからです。この疾患は、指間びらん症と合併することもあります。

稽留性肢端皮膚炎は、極めてまれに起こるものです。四肢の末端に紅斑(こうはん)や小さな膿疱(のうほう)を突然生じ、徐々に爪にまで炎症が拡大して、爪が変形してしまいます。文字通り、皮膚炎が肢端(四肢末端)に稽留して(とどまって)しまうという訳です。

現在では、膿疱性乾癬(かんせん)の一種と考えられるようになってきました。原因については不明な点が多く、必ず生じる爪の変形についても、そのメカニズムは現在のところ不明なままです。

爪甲周囲炎の検査と診断と治療

爪甲周囲炎の検査では、細菌培養を必ず行います。慢性に経過し症状の軽い場合は、カンジダ性爪甲周囲炎などを疑ってカビの検査も行います。

治療としては、軽い化膿性の爪甲周囲炎の場合は、抗生物質含有軟こうの塗布で十分です。治りが悪い場合には、抗生物質の内服と、局所の安静が必要となります。 カンジダ性の爪甲周囲炎の場合は、抗真菌剤を使用します。

また、化膿が強い場合は、切開排膿が必要となります。糖尿病性のものは、血糖コントロールの悪い時にできやすいので、食事や生活の改善が必要です。

予防法としては、爪甲周囲炎は水仕事の機会の多い女性や調理人などがかかりやすく、特にささくれ、小さい傷がある時に菌が入りやすくなりますので、指先に小さい傷がある時には、まめに消毒を行い、水などに指先をつける時には、手袋をして直接、触らないように注意する必要があります。

稽留性肢端皮膚炎の診断を確定するためには、皮膚生検を行う場合もあります。ただし、爪のみに症状が現れる爪乾癬との鑑別が難しいといわれています。

治療には、強めのステロイド外用剤を使用することが多いのですが、十分な効果が得られない場合もあります。ほかには、ビタミンA誘導体であるエトレチナートの内服や免疫抑制剤の内服、紫外線療法などが試みられています。生命に影響を及ぼすことはありませんが、再発を繰り返しやすく、非常に治りにくい疾患です。

💅爪甲縦条

爪の甲の表面に縦方向の線や溝が入っている状態

爪甲縦条(そうこうじゅうじょう)とは、手指や足指の爪(つめ)の甲の表面に縦方向の線や溝が入っている状態。爪の甲の表面に横方向の線や溝が入っている爪甲横溝(おうこう)とともに、すじ爪の一種です。

この爪甲縦条は、誰にでも認められるもので、10歳代、20歳代ではほとんど目立ちません。老化現象の一つとして、加齢とともに滑らかだった爪の甲の表面に線や溝が目立つようになり、40歳以上ではすべての爪の甲に100パーセント現れ、50歳代くらいからは増加します。年齢によって、縦方向の線や溝の数も隆起の程度も異なります。

加齢とともに縦方向の線や溝が増える原因は、胃腸の働きが衰え始めるとともに、爪に十分に栄養素がゆき届かなくなるためです。特に亜鉛不足の場合は、線や溝が現れやすくなります。

若い人でも、食事での栄養バランスの偏りやダイエットなどで、爪に必要な蛋白(たんぱく)質、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、ビタミンBなどの栄養素不足になった場合は、爪に線や溝が現れます。妊娠を切っ掛けに、線や溝が現れることもあります。

また、冬の季節に空気が乾燥すると、爪も肌と同じように乾燥し、線や溝が現れやすくなります。また、季節を問わず乾燥肌の人は、爪にも線や溝が現れやすくなります。

さらに、若い人でも、血液循環が悪い場合は、爪に線や溝が現れやすくなります。

高熱が出た時に現れることもあり、精神的ストレス、不規則な生活習慣が原因で、爪に線や溝が現れることもあります。

爪甲縦条の改善法と予防法

すじ爪になり、爪の甲の表面に縦方向の線や溝が入る爪甲縦条が現れても、若い人では規則正しい生活を心掛けることで改善します。

1日3回の食事で蛋白(たんぱく)質、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、ビタミンB、さらにコラーゲン、野菜や海藻類に多く含まれるミネラル類など、爪に必要な栄養素をしっかり摂取し、質のよい睡眠をたっぷりとるだけでいいのいです。また、爪甲縦条を引き起こす精神的ストレスを解消することも、大事です。

縦方向の線や溝が目立って気になる場合は、爪の甲の表面を軟らかい爪やすり(ファイル)で磨くと、滑らかな状態にすることができます。さらに、乾燥を防ぎ血液循環をよくするために、爪とその周辺にハンドクリームやキューティクルオイルなどの保湿剤を塗って、擦り込むようにマッサージします。

💅爪甲縦裂症

爪の甲の表面に縦の割れ目が入り、中央で裂ける状態

爪甲(そうこう)縦裂症とは、爪(つめ)の甲の表面に縦の割れ目が入り、中央で裂ける状態。オニコレクシス、スプリットネイルとも呼ばれます。

爪の甲に縦線が入るのは老化現象として一般的にみられるものですが、爪甲縦裂症では縦の割れ目が入るまでに至り、しかも、その割れ目は深く、爪が2つに分かれていることがはっきり確認できるほどになります。

1本の爪に縦の割れ目が1~3本同時にみられる場合のほか、数本の爪に縦の割れ目が1~3本同時にみられる場合、すべての爪に縦の割れ目が1~3本同時にみられる場合もあります。炎症や痛みを伴う場合もあります。

爪甲縦裂症の原因は、爪母の損傷、栄養素不足、マニキュアや薬剤、水仕事、爪根部の末梢(まっしょう)循環障害、皮膚疾患、全身性疾患などいくつかあります。

爪の付け根の皮下にあり、爪を作り出している爪母を強打したり、傷付けたりして、爪母が損傷した場合は、新しく生えてくる爪にはすでに縦の割れ目が入っていたり、中央で裂けていたりします。この縦の割れ目は爪母に損傷が加わってできるものですから、現れるのは損傷が加わってから数週間後です。

食事での栄養バランスの偏りやダイエットなどで、爪に必要な蛋白(たんぱく)質、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、ビタミンBなどの栄養素不足になった場合も、爪がもろくなっているために、圧迫などによって簡単に縦の割れ目が入ることがあります。偏った食生活や過度なダイエットによって鉄欠乏性貧血になり、これが原因で爪甲縦裂症になることもあります。

手の爪に施すマニキュア、足の爪に施すペディキュア、マニキュアなどを落とす除光液(エナメルリムーバー)を使用する機会の多い女性や、仕事で有機溶剤や殺菌・消毒用のアルコールの一つであるエタノール(エチルアルコール)を使用している人の場合、揮発性の高い溶剤が爪から水分と脂分を奪い、爪表面を乾燥させるために、縦の割れ目が入りやすくなります。マニキュアなどを落とす除光液に含まれるアセトンなどが外的刺激になって、爪甲縦裂症を誘発することになります。

水仕事の多い人や、湿気の多い環境にいる人も、水分過多によって爪がもろくなったり、お湯の使用によって爪の脂分が奪われるために、縦の割れ目が入りやすくなることもあります。蛋白質を分解する成分が入っている洗剤などが、蛋白質の一種のケラチンを主成分とする爪への外的刺激になって、爪甲縦裂症を誘発することもあります。

自律神経失調症や糖尿病などが原因で末梢循環不全という疾患を発症し、手足などの末梢まで血液循環が行き届かず爪に必要な栄養素不足になった場合も、爪に縦の割れ目が入ったり、爪が伸びなかったりすることがあります。

乾癬(かんせん)、湿疹(しっしん)、皮膚炎、化膿(かのう)性爪囲炎(ひょうそう)、カンジタ菌による爪囲炎などの皮膚疾患がある場合も、爪がもろくなって爪の甲の先端や中央部に縦の割れ目が入ることがあります。

卵巣機能障害、甲状腺(こうじょうせん)機能低下症、慢性肝障害、貧血、低体温、糖尿病、高尿酸血症、神経疾患などの全身性疾患がある場合も、それが原因で爪甲縦裂症を合併発症することもあります。

爪に縦の割れ目が入るのは、体に異常が出ているシグナルかもしれません。爪に何カ所も割れ目が入る、炎症や痛みがあるなどの場合は、皮膚科、ないし皮膚泌尿器科を受診することが勧められます。

爪甲縦裂症の検査と診断と治療

皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による診断では、爪の甲に縦の割れ目を起こし得る外的物質や薬剤、あるいは皮膚疾患や全身疾患を検査して、原因がわかるようであれば、それを除去ないし治療します。

皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による治療は、原因に応じて行います。一般的には、爪の角質に浸透しやすい保湿剤やステロイド剤(副腎〔ふくじん〕皮質ホルモン)をこまめに塗ったり、ビタミンEの飲み薬を使用する場合があります。

爪を作り出している爪母の損傷が原因で爪甲縦裂症を来している場合は、現在の医療では手当できないとされています。

栄養素不足が原因の場合は、まずは蛋白質、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、ビタミンB、さらにコラーゲン、野菜や海藻類に多く含まれるミネラル類など、爪に必要な栄養をしっかり摂取します。

マニキュア、除光液、有機溶剤、あるいは水仕事などが原因であれば、極力それらの使用や機会を中止したり、減らします。爪への負担が減るため、多くのケースでは自然に治ります。仕事などでどうしても薬剤、水、洗剤などを使わなくてはいけない場合は、手を保護するものを着用したり、使った後にハンドクリームなど油分の高いもので保湿ケアを行います。

爪の末梢循環不全が原因であれば、ステロイド剤を配合した塗り薬をこまめに塗ったり、末梢血管の収縮を防ぐビタミンEの飲み薬を内服します。医師による治療と並行して、血液循環をよくするために日ごろから、手足のマッサージ、爪もみを心掛けます。

一部の爪に爪甲縦裂症がみられる皮膚疾患があれば、その治療を行います。カンジダ菌の感染の可能性の強い時には、抗真菌剤の外用を行います。すべての爪に爪甲縦裂症がみられる全身性疾患があれば、その治療を行います。

🟥千葉県旭市の農場のうずら10万羽余り、鳥インフルエンザで処分

 千葉県旭市にある農場で死んだうずらから「高病原性」の疑いがある鳥インフルエンザウイルスが検出され、県はこの農場で飼育されているおよそ10万8000羽の処分を始めた。千葉県内で鳥インフルエンザの感染が確認されたのは今シーズン初めてである。全国では18例目。  千葉県によると、2...