2022/08/22

🇧🇹赤血球尿

腎臓や尿路などからの出血のために、尿中に赤血球が混入している状態

赤血球尿とは、腎臓(じんぞう)や尿路などからの出血のために、尿中に赤血球が混入している状態。血尿とも呼ばれます。

赤血球尿の中には、目で見て明らかに赤い尿が出る肉眼的赤血球尿と、目で見てもわからないけれども顕微鏡で見ると尿の中に赤血球が存在する顕微鏡的赤血球尿との2つがあります。正常の人では尿中に赤血球が混入することはなく、尿を遠心分離器にかけた際に、尿中に含まれる固形物が沈殿して底にたまる尿沈渣(ちんさ)を顕微鏡で調べ、一視野に4個以上の赤血球を認めた場合が、顕微鏡的赤血球尿に相当します。

女性生殖器からの出血のために、尿中に血液が混入しているものは、赤血球尿とは呼びません。

尿は腎臓で作られ、尿管を通って膀胱(ぼうこう)に至り、一度貯留された後、尿道から排出されます。従って、この経路のどこかに腫瘍(しゅよう)、結石、炎症などが存在し出血していると、赤血球尿を生じます。男性の場合は、生殖器である前立腺(ぜんりつせん)や精巣(睾丸〔こうがん〕)と泌尿器がつながっているため、前立腺からの出血でも赤血球尿を生じることがあります。

高齢者で赤血球尿をみた時に、最も注意しなければいけない疾患は、悪性腫瘍、すなわちがんです。赤血球尿を来すがんは、腎臓がん、腎盂(じんう)がん、尿管がん、膀胱がん、前立腺がんなどです。そのほか、尿路系臓器の周囲の臓器からのがんが浸潤し、赤血球尿を生ずることもあります。例えば、大腸がん、子宮がんの転移が、それに当たります。

がんによる赤血球尿は通常、肉眼的赤血球尿なので、気付いたらすぐに検査を受ける必要があります。顕微鏡的赤血球尿でも、まれにがんによって起こされることがあります。腎臓がんでは背部痛を生じることもありますが、無症状のことも多く、肉眼的赤血球尿があった時には他の症状がなくても検査を受ける必要があります。

赤血球尿を生ずる疾患としては、結石もあります。腎臓で作られた尿の最初の通路である腎盂の中で形成された結石が、尿管の細い部分に詰まると、痛みと赤血球尿を生じます。尿管には、腎盂と尿管の移行部、総腸骨動脈圧迫部、尿管と膀胱の移行部という3つの狭窄(きょうさく)部があり、そこに結石が詰まりやすくなっています。狭窄部に詰まっていない状態では、痛みもなく赤血球尿もほとんど認めません。

尿管、膀胱でも結石ができることがあり、特に感染、異物の存在などが結石の核となるとされています。

膀胱炎もしばしば赤血球尿の原因となり、急性膀胱炎の場合は通常、排尿時痛、頻尿、白血球が混入した膿尿(のうにょう)を伴います。慢性膀胱炎の場合には、赤血球尿と膿尿だけで、痛みや頻尿の症状は比較的軽く、ほとんど自覚しないこともあります。

尿路系臓器の炎症では、細菌がついて起こる前立腺炎、腎盂腎炎、尿道炎も、赤血球尿の原因となります。高齢者になってから発症することは少ない疾患で赤血球尿を生じるものに、慢性糸球体腎炎(特にIgA腎症)、急性糸球体腎炎、多発性嚢胞(のうほう)腎、腎結核などが挙げられます。青年期からの無症候性赤血球尿としては、遊走腎、薬剤性赤血球尿などがあります。

赤血球尿の発症者の約10人に1人は原因を特定できないことがあり、特発性赤血球尿といいます。また、健常者でも激しい運動後、一時的に赤血球尿を認めることがあります。いずれにおいても赤血球尿が認められた時は、泌尿器科、ないし腎臓内科の医師の診断を受け、定期的に経過観察することが必要です。

赤血球尿の検査と診断と治療

泌尿器科、腎臓内科の医師による診断では、症状および各種検査を総合し、赤血球尿の原因を確定します。

赤血球尿に排尿時痛を伴う時は、膀胱炎、膀胱結石を疑います。赤血球尿に腹痛、背部痛を伴う時は、腎結石、尿路結石を疑います。赤血球尿に浮腫(ふしゅ)、高血圧などを伴う時は、腎糸球体病変を疑います。

肉眼的赤血球尿の場合、ある期間持続すると貧血が進行する恐れがあり、早急に精密検査を行います。尿の通過経路である腎臓、尿管、膀胱などに赤血球尿の原因となり得る腫瘍、結石などの病変はないかを調べます。腹部超音波、腎盂尿管膀胱撮影、静脈性尿路造影などを行い、異常所見を検索します。特に中高年の場合は悪性疾患を疑い、尿中に混入している異常細胞を調べる尿細胞診を繰り返し行うことがあります。

無症候性の顕微鏡的赤血球尿を各種の健康診断で指摘されている場合、尿沈渣を行い、赤血球円柱、赤血球の変形などがあれば、腎糸球体疾患を疑います。IgA腎症、急性糸球体腎炎などが考えられ、診断のため血液検査を行います。尿沈渣に異常がみられない場合、尿管、膀胱などの下部尿路系の病変を考え、肉眼的赤血球尿の時と同様に腹部超音波、腎盂尿管膀胱撮影、静脈性尿路造影などを行います。

そのほかの尿所見で、白血球の混入が認められれば膀胱炎、腎盂腎炎などの感染症、異型細胞が認められればがんを疑います。

泌尿器科、腎臓内科の医師による治療では、赤血球尿そのものより、赤血球尿の原因となる疾患の治療、経過観察を重視します。

がんの治療では、三大治療と呼ばれる外科療法、放射線療法、化学療法の3つを駆使し、状況に合わせて組み合わせた集学的治療を行います。腎臓がん、膀胱がんの早期には手術を行いますが、転移がひどい場合や年齢的に手術不可能の場合は、インターフェロン療法などの化学療法を行います。

尿路結石では、痛みや繰り返す膀胱炎、腎盂腎炎などの症状がなければ、尿とともに自然に出てくるまで経過観察で様子をみることもあります。症状がある場合や大きな結石の場合は、結石に超音波などの物理的エネルギーを加え、そのエネルギーで結石を粉砕し、体外に出す破砕療法や、手術によって除去します。

膀胱炎、腎盂腎炎などの感染症では、感染している細菌に有効な抗生物質、抗菌剤を投与します。効果は比較的早い段階で現れます。どこで炎症を起こしているかにもよりますが、水分の摂取を多くして尿量を増やし、細菌を洗い流すほか、尿の刺激性を低下させて症状を和らげます。症状の強い際は、十分な休息、睡眠を確保するようにします。

🇧🇹接触皮膚炎(かぶれ)

原因となる物質との接触で起こる皮膚の炎症

接触皮膚炎とは、原因となる物質が接触することによって起こる皮膚の炎症。一般には、かぶれとも呼ばれます。

原因となる物質は、身の回りの品や職業と関係のあるさまざまな物が挙げられます。植物類では、うるし、ギンナン、桜草など。金属類では、腕時計、ネックレス、イヤリングなど。ゴム類では、ゴム手袋、下着類のゴム、おむつカバーなど。さらに、化粧品類、香料、シャンプー、せっけん、整髪料、染髪やパーマに使われる薬剤、防臭剤、殺菌剤、ゴム製品や皮革の加工に使われる化学物質などです。

この接触皮膚炎は皮膚炎が発生する仕組みから、一次刺激性接触皮膚炎とアレルギー性接触皮膚炎に分けられます。

一次刺激性接触皮膚炎は、接触した物質の毒性が非常に強いために、接触した人全部がかぶれるようなものです。非アレルギー性の炎症反応で、うるし、ギンナン、毛虫の毛、酸、アルカリなどの家庭用・業務用化学物質、灯油やガソリン、有機溶剤などが付いた時に生じます。通常の使用法では刺激を起こさない製品でも、使用法を誤ると接触皮膚炎を起こすことがあります。

アレルギー性接触皮膚炎は、接触した物質の毒性の強さと症状の強さは相関せず、アレルギーのある人のみに生じるようなものです。まず、原因となる物質に触れると、皮膚の炎症細胞が感作されます。次に、その原因物質に再度、ないし何度か接触することによって、皮膚の炎症細胞が活発に働いて、湿疹(しっしん)を誘発します。炎症細胞が感作されていない人では、全く反応しない炎症反応です。

症状はいわゆる湿疹の型をとりますが、原因物質によって多少異なります。最も多いのは、原因物質が触った部分が赤くはれ、強いかゆみがあり、次第に小さな水膨れとなるもので、原因物質との接触が続く間は治りません。

湿疹ができるところは、原因物質が加わった部分なので、自分で気が付くことが多いものです。もし原因に気付かずに、何度も繰り返してアレルギー性接触皮膚炎などが起こっていると、皮膚が次第に厚くなったり、色が付いて治りにくくなります。かき傷やかさぶたもみられるようになります。また、原因がわかっても、職業や生活環境の関係から原因が除去できなくて、治らない場合もあります。

接触皮膚炎症候群という病態もあります。原因物質の接触した以外の部分にも湿疹が広がることで、かいて広がる場合をいいます。さらに、これが全身に広がることがあり、自家感作性皮膚炎と呼ばれます。

接触皮膚炎の検査と診断と治療

アレルギー性接触皮膚炎の場合、初めは原因物質が触れた部分だけに症状がみられますが、その物質への接触を続けていると範囲が広がって全身に及ぶことがあります。思い掛けない物質が原因になっていることもあります。早めに皮膚科を受診して、原因物質を確認することが大切です。

一次刺激性接触皮膚炎の場合、アレルギーとは無関係なため特に検査を行うことはしません。アレルギー性接触皮膚炎の場合、症状やその部位から原因物質を推定し、続いて貼布(ちょうふ)試験(パッチテスト)で確認します。

貼布試験では、リント布かガーゼに原因と考えられる物質を塗って、皮膚に張り付け、絆創膏(ばんそうこう)で固定します。48時間後に検査の判定を行った時、貼布した部分に発赤、または小さな水膨れができていれば陽性です。金属アレルギーの場合は、1週間たって陽性反応が出ることもあるため、診断に時間がかかります。貼布試験を行う際には、入浴はできず、汗をかかないように注意する必要もあります。

最もよい治療法は、原因物質に触れないようにすることです。医師の側では、原因物質が含まれている製品を知らせるとともに、その物質が含まれていない代替製品を紹介します。

皮膚の炎症やかゆみを和らげるには、ステロイド外用剤の塗布と抗ヒスタミン作用のある内服剤が有効です。症状が激しく、範囲が広い場合には、短期間ステロイド剤を内服します。

🇳🇵舌痛症

舌の表面は外見上異常がないのに、舌に痛みを伴う疾患

舌痛(ぜっつう)症とは、はれや炎症など舌の表面には外見上の異常がないのに、舌に痛みを感じる疾患。

発症者の多くは女性で、年齢的には更年期を迎える40歳代、50歳代に多いのが特徴です。主に舌の先端や側面に、ヒリヒリした痛みや、焼けるような痛み、しびれ、違和感が現れ、長期間続きます。食事がおいしくない、本来の味がしないなどの味覚異常などを併発していることも、しばしばあります。

舌の痛みやしびれは我慢できないほどではないものの、1日中気になって 舌に意識が集中したり、精神的に緊張したりした時に、症状が出やすいようです。口の中が痛いので、イライラしたり、他のことをやる気がそがれたりすることもあります。

食事や会話には支障がないことが多いものの、食べ終わった後や長電話の後に、また午前中よりも夕方から夜にかけて舌の痛みやしびれが悪化する傾向があります。痛む部位が移動することもあり、唇や口蓋(こうがい)にヒリヒリした痛みが現れることもあります。ガムやアメなどを口に入れておくと、少し痛みが紛れることがあります。

不眠、肩凝り、頭痛など自律神経症状を伴うことが多い傾向もあります。

この舌痛症は歯科治療の後に発症することがしばしばあり、入れ歯や歯列矯正具が口に合わず物理的な刺激によって痛みが出たり、歯の治療に用いる金属のアレルギーが原因になっていることもあります。

また、別の原因として、生体内の微量金属である鉄、亜鉛、銅やビタミンB12が欠乏しても、舌の表面が荒れやすくなり、舌の痛みを生じやすくなります。 味覚異常を伴っている場合には、血液中の亜鉛欠乏が一因となっている場合もあります。

更年期の女性に多いことから、ホルモンのアンバランスや自律神経の変調なども関係があるとも考えられています。

2002年以降の研究では、ドライマウス(口腔〔こうくう〕乾燥症)も原因になっていると考えられています。ドライマウスでは、唾液(だえき)の分泌量の低下により口の中が乾燥します。口の中の乾燥は症状の進行程度により舌にも悪影響を及ぼし、舌の乾燥、舌の表面のひび割れ、味覚障害などさまざまな症状となって現れます。カンジダ菌という真菌の増殖による舌痛、口角炎も認められます。シェーグレン症候群からもたらされるドライマウスもあります。

薬物の服用によっても、ドライマウスが生じます。従来から、舌痛症の原因の大半は心身症あるいは心気症とされてきた関係で、舌の痛みに対する不安を取り除く心理面の治療として、精神安定剤(抗不安剤)、抗うつ剤、向精神剤などが処方されるケースが一般的でした。これらの薬物は、精神面での不安を和らげる効果があるものの、かえって症状が進行するケースもあります。

精神安定剤、抗うつ剤などには、唾液腺(せん)を支配している神経に作用し、唾液分泌量を低下させる作用があることが知られており、ドライマウスの症状が現れることもあります。

舌痛症の原因の大半は現在、心身症あるいは心気症と考えられています。日常生活でストレスを抱えている時に舌痛症を発症することがありますし、ストレスを抱えている時に行った歯科治療を契機に舌痛症を発症することがあります。これは心身症と考えられます。

舌の痛いことにとらわれて、舌をいつも観察しては片時も舌の痛みから解放されず、舌がんノイローゼにまでなるような場合は、舌が気になることが疾患で、舌そのものが悪いわけではありません。これは心気症と考えられます。この舌痛症が原因で、舌がんになることはありません。

舌の痛みなどを自覚した場合、できるだけ早期に口腔内科、あるいは歯科心療科、心療歯科のような専門機関を受診して、検査を受けることが勧められます。現在のところ、診療する医療機関が割合少ないため、適切な診断と治療がされていないケースが非常に多くなっています。

舌痛症の検査と診断と治療

口腔内科などの医師による診断では、まず、視診で口腔内の検査をして、はれや炎症などの原因となる疾患がないかを確認します。また、問診では食事で症状が増強しないか、消失するかを確認します。

安静時と刺激時の唾液量を測定し、唾液腺機能を調べます。血液検査で鉄、亜鉛、銅などの微量金属やビタミンB12の値も調べます。口腔内菌検査は、食事などの影響を受けない早朝の唾液を検体としますが、真菌の一種であるカンジダ菌の増殖の有無には、とりわけ注意します。

心因的要因は問診の際に感じ取れますが、いろいろのアンケートを行って、より客観的に診断します。診断に苦慮する際は軽い精神安定剤(抗不安剤)を少量使用し、症状の変化をみることもあります。

口腔内科などの医師による治療では、検査で異常があった場合は、その治療を行います。入れ歯などの刺激が一因なら、改善する必要があります。微量金属やビタミンの不足の場合は、亜鉛製剤などで不足した物質を補充することで容易に症状は改善します。

舌の痛みやしびれの原因となるようなはれや炎症などは見付からず、神経のまひも認められず、血液検査でも特に異常値が認められない場合は心身症と見なし、薬物療法と心理療法などを行います。

最も有効な治療法は抗うつ剤を中心とした薬物療法で、不眠や不安を伴う場合は睡眠導入剤や精神安定剤を併用します。漢方薬が有効なこともあります。抗うつ剤には、その作用機序から三環系、選択的セロトニン取り込み阻害薬(SSRI)、セロトニン・ノルアドレナリン取り込み阻害薬(SNRI)などがあります。

抗うつ剤を服用すると、早ければ4日から5日目、遅くても1週間から10日くらいで、舌の痛みが緩和していきます。理想的に治療が進展していけば、3週間から4週間後には痛みは7割方改善していきます。胃腸の調子が少し悪くなる場合もあるものの、軽い整腸剤を併用すればすぐに治まります。

効果が十分得られたら、そのまま数カ月は抗うつ剤の服用を続けて再発を防ぎますが、半年から1年くらいは続けたほうがよい場合が多いようです。年単位で継続しても、きちんと通院していれば特に副作用などの問題は心配ありません。しかしながら、抗うつ剤の鎮痛効果には個人差があります。

心気症の場合は、口腔内に舌がんなどの疾患のないことを根気よく説明し、必要以上に口の中を鏡で見たり、指で触ったりしないようにと説明します。症状が治まらない際は、軽い精神安定剤を用います。

ドライマウス(口腔乾燥症)の場合は、唾液の分泌を促す薬や、ジェルやスプレー状の保湿剤で口の中を潤します。夜間の乾燥を防ぐ保湿用マウスピース(モイスチャープレートなど)、夜間義歯などを症状に応じて用います。薬の副作用が原因なら、主治医と相談して薬の変更や減量を検討します。原因がはっきりすることでストレスが軽くなり、ドライマウス自体が改善する場合もあります。

シェーグレン症候群からもたらされるドライマウスでは、残念ながら根本的な治療法はありません。口や目などの乾燥症状を軽快させることと、疾患の活動性を抑えて進展を防ぐことを目的に、内服薬と症状に応じた人工唾液、口腔乾燥症状改善薬、保湿剤、含嗽(がんそう)剤(うがい薬)などによる対症療法に頼らざるを得ないのが現状です。

日常生活上の注意としては、体内の鉄のほか、亜鉛の低下でも起こりやすくやすくなるので、偏食を避けることが重要です。舌痛症は、唾液量の低下もその要因の1つですが、唾液量の低下に引き続いて起こりやすいカンジダの増殖も重要で、歯磨き、うがいなどで口腔内を清潔に保つことを心掛ける必要があります。

🇳🇵切迫性尿失禁

急な強い尿意を催し、トイレに間に合わずに尿が漏れる状態

切迫性尿失禁とは、急な強い尿意を催し、トイレにゆく途中やトイレで準備をする間に、尿が漏れる状態。急迫性尿失禁とも呼ばれます。

この切迫性尿失禁は、自分の意思に反して勝手に膀胱(ぼうこう)が収縮する過活動膀胱が主な原因です。過活動膀胱の症状は、我慢できないような強い尿意である尿意切迫感と、昼夜を問わない頻尿です。

普通、膀胱が正常であれば400~500mlの尿をためることが可能で、尿が250~300mlくらいになると尿意を感じて排尿が始まりますが、過活動膀胱では100ml前後の尿がたまると膀胱が収縮するために、突然の尿意を催して、我慢できなくなるのが特徴です。膀胱が正常であれば、尿意を感じ始めて10~15分ぐらいは我慢できることもありますが、過活動膀胱ではそれも難しいとされています。

この過活動膀胱を主な原因として起こる切迫性尿失禁は、せきやくしゃみ、運動時など、腹部に急な圧迫が加わった時に尿が漏れる腹圧性尿失禁と区別されていますが、実際は、切迫と腹圧の2つの要因が重なって失禁に至ることもあり、混合性尿失禁と呼ばれます。

過活動膀胱の人はとても多く、日本では40歳以上の男女のうち8人に1人は過活動膀胱の症状があり、その約半数に切迫性尿失禁の症状があると報告されています。近年40歳以下でも、過活動膀胱の症状に悩まされている人が大変多くなってきています。

女性が過活動膀胱になる最も多い原因は、膀胱と尿道を支えている骨盤底筋群や骨盤底を構成する靱帯(じんたい)が弱まる骨盤底障害です。骨盤底筋群や靱帯が弱まってたるむと、膀胱の底にある副交感神経の末端が膀胱に尿が十分にたまらないうちから活性化して、突然強い尿意が出るようになるのです。

女性は若い時は妊娠や出産で、また、更年期以降は老化と女性ホルモン低下の影響で骨盤底障害になりやすいので、男性よりも多くの発症者がいます。男性の場合も、老化や運動不足で骨盤底筋や尿道括約筋が衰えることによって過活動膀胱になることがあります。

また、男女ともに、脳と膀胱や尿道を結ぶ神経のトラブルで起こる過活動膀胱も増えています。こちらは、脳卒中や脳梗塞(こうそく)などの脳血管障害、パーキンソン病などの脳の障害、脊髄(せきずい)損傷や多発性硬化症などの脊髄の障害が原因となります。

過活動膀胱のほか、切迫性尿失禁は膀胱炎、結石などによって膀胱の刺激性が高まって起こるものもあります。

尿失禁は恥ずかしさのため医療機関への受診がためらわれ、尿パッドなどで対処している人も多いようですが、外出や人との交流を控えることにもつながりかねません。次第に日常生活の質が低下することも懸念されます。症状が続くようであれば、泌尿器科を受診することが勧められます。

切迫性尿失禁の検査と診断と治療

泌尿器科の医師による診断では、一般的に、初診時に問診を行い、尿失禁の状況、出産歴、手術歴、婦人科疾患の有無、便秘の有無などを質問します。切迫性尿失禁の主な原因となる過活動膀胱かどうかを調べるための過活動膀胱スクリーニング質問票(リンク)や、過活動膀胱の症状の程度を調べるための過活動膀胱症状質問票(OABSS)という簡単な質問票を、診断のために使うこともあります。

問診以外には、膀胱の状態を調べるための検査を行うこともあります。切迫性尿失禁の症状があるからといって、必ずしも過活動膀胱とは限りませんので、ほかの疾患の可能性も含めて確認するための検査です。初診で行う検査は、主に腹部エコー検査(残尿量の測定)、血液検査、尿検査など比較的簡単な検査で、過活動膀胱の検査には尿流測定、パッドテスト、ストレステストなどもあります。

泌尿器科の医師による治療では、膀胱の収縮を阻止し、副交感神経に働く抗コリン剤(ポラキス、BUP−4)、または膀胱壁の筋肉である排尿筋を弛緩(しかん)させるカルシウム拮抗(きっこう)剤(アダラート、ヘルベッサー、ペルジピン)を用います。抗コリン剤を1~2カ月内服すると、過活動膀胱の80パーセントの発症者で改善されます。

次の治療では、できるだけ尿意を我慢して、膀胱を拡大するための訓練をします。毎日訓練すると、膀胱が少しずつ大きくなって尿がためられるようになりますので、200~400mlくらいまでためられるように訓練します。排尿間隔を少しずつ延長させ、2時間くらいは我慢できるようになれば成功です。尿道を締める筋肉の訓練も必要です。

難産を経験した女性、40歳を過ぎた女性で、時に切迫性尿失禁と腹圧性尿失禁が重なる混合性尿失禁を起こしている場合、尿道、膣(ちつ)、肛門(こうもん)を締める骨盤底筋体操が割合効果的です。肛門の周囲の筋肉を5秒間強く締め、次に緩める簡単な運動で、仰向けの姿勢、いすに座った姿勢、ひじ・ひざをついた姿勢、机に手をついた姿勢、仰向けになり背筋を伸ばした姿勢という5つの姿勢で、20回ずつ繰り返します。

朝、昼、夕、就寝前の4回に分けて、根気よく毎日続けて行うのが理想的です。3カ月以上続けても効果のない場合には、手術が必要となる可能性が高くなります。

骨盤底筋の強化を目的として、電気刺激によって骨盤底筋や尿道括約筋など必要な筋肉を収縮させる電気刺激療法もあります。また、腟内コーンという器具を腟内に15分程度、1日2回ほど保持し、それを徐々に重たいものに変えていくことで骨盤底筋を強化し、症状を軽減する方法もあります。

重症例や希望の強い場合などには、手術による治療を行います。尿道括約筋の機能が低下している場合には、尿道の周囲にコラーゲンを注入する治療や、尿道括約筋を圧迫するように腹部の組織や人工線維で尿道を支えるスリング手術、日本ではあまり行われていない人工括約筋埋め込み術などがあります。

🇳🇵せつ、よう

毛穴の周囲が赤くはれ、中心にうみを持つ状態

せつ、ようとは、俗におでき、できもの、はれものなどといわれるもの。

せつは、毛穴から化膿(かのう)球菌が入って増殖し、毛を包んでいる毛包とその周囲に化膿性炎症を起こしたものです。毛包に一致した小さな赤いしこりで始まり、次第に大きくはれ、鶏卵大までの自発痛、圧痛のある赤いしこりとなり、その中心にうみの集合した膿栓を作ります。化膿性炎症は、皮下の脂肪組織にまで及ぶこともあります。

顔面にできたせつは、特に面疔(めんちょう)と呼ばれ、かつては非常に怖がられていました。顔が解剖学的に脳に近く、皮膚に付いた化膿菌が上顎(じょうがく)洞などの空白から、脳内に入りやすかったからです。現在は合成ペニシリンを始めとして抗菌剤がたくさんありますので、面疔は正しく治療すればほとんど心配することはない疾患になっています。

ようは、せつが数個以上集合したものをいいます。それと同時に、周囲のリンパ腺(せん)もはれ、激しい時には、全身の発熱を伴うこともあります。ようはせつより症状が重いことが多く、大抵はうみが出て治った後、皮膚に瘢痕(はんこん)が残ります。できることが多いのは、首の後ろ、肩、しり、太もも。

せつ、ようの原因は化膿球菌の感染で、黄色ブドウ球菌による場合が多いのですが、溶血性連鎖球菌による場合もあります。皮膚の小さい傷や皮膚が湿った状態が長く続くと、それが誘因となります。

せつ、ようが一度に混じって体のあちこちに多発したり、治ったと思ったら次から次へとできる場合を、せつ腫(しゅ)症といいます。

なお、せつの軽度のものを毛包炎あるいは毛嚢(もうのう)炎といい、さらに毛包炎の軽いものを吹き出物ということがあります。また、化膿菌が真皮に入って炎症を起こすと丹毒となり、皮下組織に広がると蜂窩織(ほうかしき)炎となります。いずれも、せつよりは重症です。

せつ、ようの検査と診断と治療

せつ、ようができた時は、清潔にして局所を安静にしたほうが治りが早いので、自分の指で触ったり、圧迫してはいけません。特に、口の回りとか、ももの付け根などにできた場合には、なるべく安静にする必要があります。

せつが繰り返しできたり、ようができる場合には、糖尿病や免疫を低下させる疾患が潜在していることがありますので、皮膚科医による検査を受けます。

せつ、ようでは、うみから常に黄色ブドウ球菌などが、時に表皮から黄色ブドウ球菌なども検出されます。ようでは、血液検査で白血球数が増え、体の中の炎症反応を調べる検査であるCRPが陽性になります。小さいせつは、毛包炎とは区別できないことがあり、粉瘤(ふんりゅう)に二次的に感染が起こると、せつ、ようと区別できないこともあります。

せつ、ようの治療としては、抗菌剤を内服し、痛みの強い時には消炎鎮痛剤を併用し、局所の安静を行います。化膿が進んでいる時には、メスで切開排膿したほうが治りが早く、痛みも楽になります。ようでは、抗菌薬の点滴注射を行うこともあります。せつ腫症では、鼻の粘膜の細菌培養も行って、黄色ブドウ球菌などが発見されれば菌を除く処置をします。

🇲🇲セリアック病

小麦に含まれる蛋白質のグルテンが小腸粘膜に障害を起こし、栄養素の吸収が減少する疾患

セリアック病とは、小麦に含まれる蛋白(たんぱく)質のグルテンが小腸粘膜に障害を起こし、栄養素の吸収不良が現れる疾患。グルテン腸症、グルテン過敏性腸炎、グルテン腸症候群、グルテン不耐症、スプルー、セリアックスプルーなどとも呼ばれます。

グルテンは主に小麦に含まれ、大麦、ライ麦、オート麦など他の麦類では含有量が比較的少量です。このグルテンに対する遺伝性の不耐症がセリアック病であり、発症した人がグルテンを含んだ食品を摂取すると、グルテンの分解ができず、腸管免疫システムがそれを異物と認識して過剰に働くことで、産生された抗体が小腸の絨毛(じゅうもう)を攻撃し、慢性的な炎症が起こります。

この炎症によって、上皮細胞が変性したり、絨毛が委縮して、その突起が平坦(へいたん)になったりします。その結果、平坦になった小腸粘膜は糖、カルシウム、ビタミンB群などの栄養素の吸収不良を起こし、小腸がしっかり機能しなくなることで、さまざまな症状が出てきます。

しかし、グルテンを含んだ食品の摂取をやめると、正常な小腸粘膜のブラシ状の表面とその機能は回復します。

セリアック病は、小児のころに発症する場合と、成人になるまで発症しない場合とがあります。症状の程度は、炎症によって小腸がどれだけ影響を被ったかで決まります。

成人で発症する場合は通常、下痢や栄養失調、体重減少が起こります。中には、消化器症状が何も現れない人もいます。セリアック病の発症者全体のおよそ10パーセントに、小さな水疱(すいほう)を伴い痛みとかゆみのある湿疹(しっしん)がみられ、疱疹性皮膚炎と呼ばれます。

小児のころに発症する場合は、グルテンを含む食品を食べるまでは症状が現れません。通常、パンやビスケット、うどんなどによってグルテンを摂取するようになる2歳から3歳の時に発症します。

子供によって、軽い胃の不調を経験する程度から、痛みを伴って腹部が膨張し、便の色が薄くなり、異臭がして量が多くなる脂肪便を起こすこともあります。

セリアック病による吸収不良から起こる栄養素の欠乏は、全身の栄養状態の悪化を招いて栄養失調を起こし、さらに別の症状を起こします。別の症状は、特に小児で現れやすい傾向にあります。

一部の小児は、成長障害を起こし身長が低くなります。鉄欠乏による貧血では、疲労と脱力が起こります。血液中の蛋白質濃度が低下すると、体液の貯留と組織の浮腫(ふしゅ)が起こります。

ビタミンB12の吸収不良では、神経障害が起こり、腕と脚にチクチクする感覚を生じます。カルシウムの吸収不良では、骨の成長異常を来し、骨折のリスクが高くなり、骨と関節が痛みます。

また、カルシウムの欠乏では、歯のエナメル質の欠陥と永久歯の障害を起こします。セリアック病の女児では、エストロゲンなどのホルモン産生が低下し、初潮がありません。

下痢、脂肪便、体重減少、貧血などのセリアック病を疑わせる症状に気付いたら、消化器内科を受診します。

セリアック病の検査と診断と治療

消化器内科の医師による診断では、小腸のX線検査と小腸の内視鏡検査を行います。小腸の繊毛が委縮、平坦化している状態が認められることと、グルテンを含む食品の摂取をやめた後に小腸粘膜の状態が改善していることにより確定します。また、グルテンを含む食品を摂取した時に産生される特異抗体の濃度を測定する検査を行うこともあります。

消化器内科の医師による治療としては、グルテンを含まない食事を摂取し、各種の栄養剤、ビタミンを補給します。

少量のグルテンでも症状を起こすので、グルテンを含む食品をすべて避けなければなりません。グルテンを含まない食事への反応は迅速に起こり、小腸のブラシ状の表面とその吸収機能は正常に戻ります。

ただし、グルテンはさまざまな食品中に広く含まれているので、避けるべき食品の詳細なリストと栄養士の助言が必要です。

グルテンを含む食品の摂取を避けても症状が継続する場合は、難治性セリアック病と呼ばれる状態に進んだ可能性があり、プレドニゾロンなどのステロイド剤(副腎〔ふくじん〕皮質ホルモン剤)で治療します。

まれに、グルテンを含む食品の摂取を避け、薬物療法を行っても改善しなければ、静脈栄養が必要となります。小児では初診時に非常に重篤な状態になっている場合もあり、グルテン除去食を開始する前にしばらく静脈栄養の期間が必要になります。

グルテンを避ければ、セリアック病のほとんどの発症者はよい状態を保てますが、長期間にわたってセリアック病が継続すると、まれに腸にリンパ腫(しゅ)を形成し、死に至ることもあります。グルテン除去食を厳格に守ることで、腸のリンパ腫やがんなどの長期間にわたる合併症のリスクを減少させられるかどうかは、不明です。

セリアック病の人は、グルテンを含まない穀物である米やトウモロコシを中心に、卵、肉、魚、牛乳、乳製品、野菜類、豆類、果物類を中心に摂取することになります。加工食品の場合、グルテンを含まないと表示されている物以外は注意が必要。

摂取できない食品としては、パン、うどん、ラーメン、ヌードル、パスタ(スパゲッティ、マカロニ)、ビスケット・クッキー・クラッカーなどの菓子、ケーキ、ビール、大麦水などが挙げられます。

グルテンを含んでいる可能性がある食物としては、豚肉(ソーセージ、ボローニャソーセージ)、缶詰のパテや肉、ミートボール、ハンバーガー、ホットドッグ、ソース、トマトソース、調味料、コーヒー代用品、チョコレート、ココア、アイスクリーム、キャンディー、食品色素などが挙げられます。

🇲🇲セレウス菌食中毒

食物の腐敗細菌であるセレウス菌によって引き起こされる食中毒

セレウス菌食中毒とは、食物の腐敗細菌として古くから知られているセレウス菌によって引き起こされる食中毒。似たものに、ウェルシュ菌食中毒、エルシニア食中毒があります。

セレウス菌は土壌細菌の一つで、土壌、水、ほこりの中など自然環境に広く分布し、農作物などを濃厚に汚染しています。米や小麦を原料とする食品中で増殖すると、エンテロトキシンを始め、いくつかの異なる毒素を作ります。従って、このセレウス菌による食中毒は、毒素の違いにより下痢型と嘔吐(おうと)型の2つのタイプに分類されます。

日本では、後者の嘔吐型がほとんどで、米飯、焼き飯によるものが圧倒的に多く、全体の70パーセント以上を占めています。また、食品中では芽胞を作って生存し、発芽して増殖する温度は10~45度、至適温度は28~35度で、熱に抵抗性があります。

原因となる食品は、米飯、焼き飯のほか、ピラフ、オムライス、チキンライス、焼きそば、スパゲティ、弁当、にぎり飯、すし、カレー、プリン、スープ、野菜、野菜の煮物、豆腐のおから、厚焼き卵、ローストチキン、ハンバーグ、香辛料などが挙げられます。とりわけ、前日またはそれ以前に炊いた米飯を調理加工した食品、調理した焼き飯などを室温で長時間放置した残り物が、主な原因となります。

下痢型は主に食肉製品やスープから感染し、潜伏期間は8~16時間で、主な症状は腹痛、下痢で、ウェルシュ菌食中毒に似ています。下痢毒素のエンテロトキシンは、56度5分の加熱で毒力がなくなります。

嘔吐型は主に米飯、焼き飯、スパゲティから感染し、潜伏期間は1~5時間で、主な症状は激しい吐き気、繰り返す嘔吐、腹痛で、ブドウ球菌食中毒に似ています。嘔吐毒素は、熱に強く126度90分の加熱でも安定しているので、調理過程ではなかなか死滅しません。抵抗力の弱い高齢者がかかった場合は、死亡することもあります。

なお、このセレウス菌食中毒が正式に厚生労働省の食中毒統計に収載されるようになったのは、1983年(昭和58年)からです。

セレウス菌食中毒の検査と診断と治療

セレウス菌は少量摂取しても決して食中毒にはかかることはなく、必ず、食品中でおびただしく増殖することが、食中毒の前提となっています。下痢型で感染型のセレウス菌食中毒、嘔吐型で毒素型のセレウス菌食中毒とも、症状が現れた場合は、すぐに医療機関を受診し適切な処置を受けます。自己判断で下痢止めの薬などを飲むと、回復を遅らせることもあります。

医師は急性の中毒症状から感染を疑いますが、セレウス菌食中毒と確定するには、実際に糞便(ふんべん)や原因食品、または食品原材料から原因となっている菌を分離することが必要です。下痢型ではウェルシュ菌食中毒、嘔吐型ではブドウ球菌食中毒との鑑別がなされます。

感染初期や軽症の場合は、整腸剤を投与したり、輸液によってブドウ糖液、リンゲル液などの電解質液、あるいは水を補充して症状の改善を待ちます。高齢者などで重症化した場合は、抗菌剤の投与による治療も行われます。

 セレウス菌食中毒の予防対策は他の食中毒と変わりませんが、米飯および焼き飯による食中毒予防のポイントを紹介します。

一度に大量の炊飯をせず、焼き飯などの調理加工までの時間を短くし、十分に加熱すること。焼き飯などに使用する鶏卵は、新鮮なものを使用すること。調理加工した食品は、できる限り保存せず、早めに食べること。

保存する場合は、炊飯後の米飯は素早く50度以上の高温、または10度以下に冷却すること。調理加工後の食品は、2時間以内に冷蔵庫に入れること。米飯を放冷する時は、小分けにするか、清潔な容器に移し、できるだけ早く温度を下げること。米飯、焼き飯などは、10~50度の温度帯で保存しないこと。さらに、常温では2時間以上放置しないこと。

大量に作った焼き飯などを翌日再調理することは、避けること。

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