2022/08/22

🇦🇹舌咽神経痛

舌咽神経の機能不全により、喉の奥や舌の後ろに激痛発作が繰り返し起こる疾患

舌咽(ぜついん)神経痛とは、喉(のど)、扁桃(へんとう)、舌に通っている舌咽神経(第9脳神経)の機能不全により、扁桃に近い喉の奥や舌の後ろに発作的な激しい痛みが繰り返し起こる疾患。

顔面の片側に発作的な激しい痛みが起こる三叉(さんさ)神経痛(顔面神経痛)に比べてまれな疾患であり、通常は40歳を過ぎてから発症し、男性に多く起こります。

舌咽神経痛の症状は、三叉神経痛と同様に、発作の時間は短く間欠的ですが、耐えがたい痛みが起こります。舌咽神経が知覚神経、運動神経のほかに舌の後方の3分の1の味覚を支配しているという特性上、飲食物をかむ、飲み込む、せき、くしゃみ、会話などの特定の動作が切っ掛けになって、発作が誘発されることが多くみられます。

痛みは、喉の奥や舌の後ろから始まって、耳にまで広がることがあります。数秒から数分間、痛みが続き、通常は喉と舌の片側だけに起きて、耳へ放散されます。耳に痛みが起こるのは、外耳や中耳にも舌咽神経の枝が分布しているためで、これを投射性耳痛ともいいます。

三叉神経痛を合併すると、顔面の片側に発作的な激しい痛みが起こります。迷走神経症状を合併すると、脈拍の低下を引き起こす結果、めまい、ふらつき、失神を起こすこともあります。

舌咽神経痛の原因はあまり特定されていないのが実際ですが、特定された中で多いのは血管による舌咽神経の圧迫です。舌咽神経が分布している部位の血管がもろくなったり、はれたりすることで隣にある舌咽神経を圧迫し、圧迫を受けた神経が激痛発作を起こしたり、慢性的な違和感を起こしたりします。血管のはれを起こす要因としては、顎(がく)関節症や歯性病巣感染などが考えられます。

舌咽神経が分布している部位に顎骨腫瘍(がくこつしゅよう)などの腫瘍などができた場合も、激痛発作を起こします。頭蓋(ずがい)骨や頸椎(けいつい)、筋肉に問題がある場合も、激痛発作を起こすことがあります。

例えば、舌咽神経が分布している先の一つに、頭蓋骨の頸静脈孔と呼ばれる関節の透き間があり、その透き間がかみ合わせや外傷によってずれることが要因となって、舌咽神経が圧迫されて激痛発作が起こることもあります。

また、舌咽神経痛には脳梗塞(こうそく)、脳腫瘍、脳動脈瘤(りゅう)、脳血管疾患が潜んでいることもあります。

舌咽神経痛の症状に気付いたら、神経内科、内科、脳神経外科を受診し、神経痛の原因になっている炎症や腫瘍、血管の異常、感染の有無などをよく調べることが必要です。

舌咽神経痛の検査と診断と治療

神経内科、内科、脳神経外科の医師による診断では、舌咽神経に炎症や圧迫などがみられるかどうかを調べるため、CTやMRIなど画像検査を行います。舌咽神経の電気的診断のため、筋電図検査も行います。

神経内科、内科、脳神経外科の医師による治療では、発作を予防する働きを持っている抗てんかん剤のテグレトールの服用や、舌咽神経へのアルコール注射による神経ブロックが有効です。時には、舌咽神経の切断を行わないと、痛みが消えないこともあります。

血管が原因の場合は、圧迫している動脈を移動させ舌咽神経に当たらないようにします。舌咽神経を圧迫している腫瘍が見付かった場合には、直ちに腫瘍に対する処置治療を行います。

頭蓋内血管の圧迫が主要因と考えられる場合には、その圧迫部分を排除して神経を開放する脳外科手術も行われます。頭蓋骨の頸静脈孔のずれが要因と考えられる場合には、頭蓋骨の処置治療を行って調整すると、痛みが引くことがあります。

🇸🇪石灰沈着性腱炎

石灰化したカルシウムが関節の腱などに沈着して炎症が生じ、上肢や下肢の関節周辺に痛みが起こる疾患

石灰沈着性腱炎(けんえん)とは、石灰化したカルシウムが関節の腱や靭帯(じんたい)、関節包、滑液包に沈着することにより炎症が生じ、上肢や下肢の関節周辺に痛みが起こる疾患。石灰性腱炎とも呼ばれます。

多くは肩関節に発症しますが、股(こ)関節にも比較的よくみられます。肘(ひじ)関節、膝(ひざ)関節、頸椎(けいつい)、手関節、足関節に発症することは、まれです。

石灰沈着性腱炎の多くは、中高年に発症します。まれに、30歳代にみられることがあります。典型的な症状は、急に起こる激痛と、痛みによる関節の動きの制限です。

頻度の高い肩関節の石灰沈着性腱炎は、石灰化したカルシウムが肩腱板内に沈着することにより炎症が生じ、肩の痛みが起こります。肩腱板は肩関節で上腕を保持している筋肉と腱の複合体であり、肩関節は肩甲骨と上腕骨で構成される関節です。

>肩関節の石灰沈着性腱炎は、40歳代から60歳代の女性に多く発症します。肩を強く打つなどの思い当たる切っ掛けもなく、片側の肩の激しい痛みを突然、夜間などに覚えます。急激に痛みが増してきて、睡眠が妨げられるほどになります。また、肩の痛みのため可動域の制限がみられ、肩の挙上ができなくなります。

強い症状が発症後1~4週みられる急性型、中等度の症状が1~6カ月続く亜急性型、運動時痛などが6カ月以上続く慢性型があります。慢性型では、急性期の激痛が消失した後にも肩関節の硬さが残って、関節の可動域の低下を起こし、肩関節周囲炎(五十肩)と同じような状態になります。

石灰化したカルシウムはリン酸カルシウムの結晶で、その肩腱板内への沈着は、肩腱板の加齢による変性と、女性ホルモンの分泌減少の影響によって起こると考えられています。

体内のカルシウムは腸で吸収されて、骨を丈夫にするために使われ、不要な分のカルシウムは尿とともに排出されて、常に一定量が体内に残るようにバランスがとられています。しかし、女性では30歳代をピークに、徐々に骨量が落ちてきます。女性ホルモンの分泌減少に伴って、破骨細胞の働きが増し、骨の代謝のバランスが崩れて、骨からたくさんのカルシウムが血中に放出される結果です。

その放出されたカルシウムの多くは尿とともに体外に放出されますが、一部は腱や靭帯(じんたい)、関節包、滑液包、血管壁に沈着していくことになります。腱などの中に沈着する石灰化したカルシウムに対して、体は異物と認識して反応するために炎症が生じ、痛みが起こることになります。

石灰化したカルシウムは当初、濃厚なミルク状で、時がたつにつれ、練り歯磨き状、石膏(せっこう)状へと硬く変化していきます。石灰化したカルシウムがどんどんたまって、膨らんでくると、痛みが増してきます。そして、肩腱板から関節の周囲にある滑液包内に、石灰化したカルシウムが漏れ出す時に激痛となります。

肩関節に次いで、石灰沈着性腱炎を多く発症するのが股関節です。転倒やぶつけたなどの思い当たる切っ掛けもなく、片側の股関節の激しい痛みを突然、覚え、体重をかけると痛みが増強して、歩くのも大変つらい状態になったり、安静にしていても痛みがなくならないこともあります。痛みのため可動域の制限がみられ、股関節が深く曲げられなくこともあります。

足関節や足の先の関節などでも石灰沈着性腱炎がみられ、体重のかかる部位に当たるので、不自由さが深刻な場合が多くみられます。

手指の関節でも石灰沈着性腱炎がみられ、激痛、熱感、はれ、発赤、指の動きの制限などがみられます。手指は皮膚のすぐ下に関節があるため、肩関節や股関節では目立たないはれや熱感、発赤がわかります。

石灰沈着性腱炎の検査と診断と治療

整形外科の医師による診断では、関節の圧痛の部位や関節の動きの状態などを調べ、X線(レントゲン)撮影によって肩腱板や股関節の腱部分などに石灰化したカルシウムの沈着を確認することによって、石灰沈着性腱炎と確定します。石灰沈着の位置や大きさを調べるために、CT(コンピューター断層撮影)検査や超音波検査なども行うこともあります。

整形外科の医師による治療では、痛みを取り除く目的で、水溶性副腎(ふくじん)皮質ホルモン(ステロイド剤)と局所麻酔剤の局所への注射、消炎鎮痛剤の内服、湿布を張るなどが行われます。肩関節の石灰沈着性腱炎では、注射器でたまった石灰の吸引を試みることもあります。

ほとんどの場合、保存療法で軽快します。石灰化が起こったとしても、時間の経過とともに、自然に修復しようとする体の反応により、石灰化部分が小さくなってきます。しかし、完全に石灰化部分が修復されるまでには、2~3カ月かかります。

慢性の場合は、関節の動きを回復するために温熱療法や運動療法が行われます。急性でも慢性でも強い痛みが続き、関節の運動に支障がある場合は、石灰を摘出する手術を行います。

一般に行われている治療法ではありませんが、胃潰瘍(かいよう)治療薬のシメチジンに、石灰を吸収し痛みを軽減する作用があるともされています。

🇸🇪石灰沈着性腱板炎

石灰化したカルシウムが肩腱板内に沈着することで炎症が生じ、肩の痛みが起こる疾患

石灰沈着性腱板(けんばん)炎とは、石灰化したカルシウムが肩腱板内に沈着することにより炎症が生じ、肩の痛みが起こる疾患。肩石灰沈着性腱炎、石灰沈着性腱炎、石灰性腱炎とも呼ばれます。

肩腱板は肩関節で上腕を保持している筋肉と腱の複合体であり、肩関節は肩甲骨と上腕骨で構成される関節です。

石灰沈着性腱板炎は、40歳代から60歳代の女性に多く発症します。肩を強く打つなどの思い当たる切っ掛けもなく、片側の肩の激しい痛みを突然、夜間などに覚えます。急激に痛みが増してきて、睡眠が妨げられるほどになります。また、肩の痛みのため可動域の制限がみられ、肩の挙上ができなくなります。

強い症状が発症後1~4週みられる急性型、中等度の症状が1~6カ月続く亜急性型、運動時痛などが6カ月以上続く慢性型があります。慢性型では、急性期の激痛が消失した後にも肩関節の硬さが残って、関節の可動域の低下を起こし、肩関節周囲炎(五十肩)と同じような状態になります。

石灰化したカルシウムはリン酸カルシウムの結晶で、その肩腱板内への沈着は、肩腱板の加齢による変性と、女性ホルモンの分泌減少の影響によって起こると考えられています。

体内のカルシウムは腸で吸収されて、骨を丈夫にするために使われ、不要な分のカルシウムは尿とともに排出されて、常に一定量が体内に残るようにバランスがとられています。しかし、女性では30歳代をピークに、徐々に骨量が落ちてきます。女性ホルモンの分泌減少に伴って、破骨細胞の働きが増し、骨の代謝のバランスが崩れて、骨からたくさんのカルシウムが血中に放出される結果です。

その放出されたカルシウムの多くは尿とともに体外に放出されますが、一部は腱や靭帯(じんたい)、血管壁に沈着していくことになります。腱の中に沈着する石灰化したカルシウムに対して、体は異物と認識して反応するために炎症が生じ、痛みが起こることになります。

石灰化したカルシウムは当初、濃厚なミルク状で、時がたつにつれ、練り歯磨き状、石膏(せっこう)状へと硬く変化していきます。石灰化したカルシウムがどんどんたまって、膨らんでくると、痛みが増してきます。そして、肩腱板から関節の周囲にある滑液包内に、石灰化したカルシウムが漏れ出す時に激痛となります。

石灰沈着性腱板炎の検査と診断と治療

整形外科の医師による診断では、肩の圧痛の部位や肩関節の動きの状態などを調べ、肩関節周囲炎(五十肩)の症状とよく似ているため、X線(レントゲン)撮影によって肩腱板部分に石灰化したカルシウムの沈着を確認することによって、石灰沈着性腱板炎と確定します。

石灰沈着の位置や大きさを調べるために、CT(コンピューター断層撮影)検査や超音波検査なども行います。肩腱板断裂の合併を調べるために、MRI(磁気共鳴画像)検査も行います。

整形外科の医師による治療では、急性例では、激痛を早く取るために、肩腱板に注射針を刺して沈着した石灰化部分を破り、ミルク状の石灰を吸引する方法がよく行われています。三角巾、アームスリング(腕つり)などで安静を図り、消炎鎮痛剤の内服、水溶性副腎(ふくじん)皮質ホルモン(ステロイド剤)と局所麻酔剤の滑液包内注射などが有効です。

一般に行われている治療法ではありませんが、胃潰瘍(かいよう)治療薬のシメチジンに、石灰を吸収し痛みを軽減する作用があるともされています。

ほとんどの場合、保存療法で軽快します。時間がたつとともに、滑液包内に漏れ出た石灰を自然に修復しようとする体の反応により、石灰化部分が小さくなってきます。このころには肩も動かせるようになり、日常でも支障のない程度まで回復します。しかし、完全に石灰化部分が修復されるまでには、2~3カ月かかります。

亜急性型、慢性型では、石灰沈着が石膏状に固くなり、時々強い痛みが再発することもあります。硬く膨らんだ石灰化部分が肩の運動時に周囲と接触し、炎症が消失せず痛みが続くこともあります。痛みが強く、肩の運動に支障がある場合、関節鏡視下による手術で石灰化部分を摘出することもあります。確実に摘出されると治療効果は速やかに認められ、ほとんどの場合1〜2週間以内に肩の挙上が可能となります。

肩の痛みが取れたら、ホットパック、入浴などによる温熱療法や、拘縮を予防したり筋肉を強化する運動療法などのリハビリを行います。

🇸🇪雪眼炎(雪目)

スキー場などで紫外線が作用して、目の角膜に生じる炎症

雪眼炎とは、スキー場や雪山などで多量の紫外線を含む太陽光線の反射を受けて、角膜に起こる炎症。雪目、雪盲(ゆきめくら)、光誘発角膜炎とも呼ばれます。

いわば、目の日焼けであり、スキーやスノーボード、雪山登山をする際に、サングラスやゴーグルをかけないで長時間過ごすと、雪面による多量の紫外線を含む太陽光線の反射を強く受けることになり、黒目の表面を覆う角膜に炎症が起こります。太陽光線以外に、電気溶接の火花や殺菌灯の光線によっても起こります。

多くは、紫外線に目がさらされて10時間ぐらいして発症します。そのため、スキーなどをしている日中はあまり自覚症状がなく、夜半から真夜中にかけて急に目が痛み出し、目が開けられなくなることもあるので、慌ててしまうケースが多くみられます。

角膜は神経が豊富なため、痛みが非常に強く出るのが特徴ですが、両目のまぶたがはれて、常に涙が流れ出ている状態となり、白目の表面を覆う結膜は充血します。角膜の表面には細かい多数の傷がつき、全体に薄く白濁が起こることもあります。

キラキラと目を開けていられないような好天気の日に、一日中ゲレンデや雪山にいても雪眼炎にならない人がいる一方で、どんよりと曇った日に数時間スキーやスノーボードをしただけで雪眼炎になる人もいます。一般的に、若い人のほうが雪眼炎になりにくく、年齢が上がってくると目が紫外線に弱くなる傾向があります。

雪眼炎の検査と診断と治療

雪眼炎(雪目)になった際には、アスピリンやセデスなどの鎮痛剤を内服し、なるべく目を閉じた状態を保ち、冷やしたタオルを目に当てて休みます。涙は出るほうがよいので、目を水で洗わないようにします。通常、痛みは次第に和らぎますが、翌日も強い痛みが続く時には、眼科で適切な治療を受けます。

医師による検査では、特殊な染色液で染めると角膜表面は点状に染まります。治療では、ヒアルロン酸の入った角膜を保護する目薬を主に使います。そのほか、抗生剤の目薬や眼軟こうも併用します。黒目の表面は修復能が高いので普通、数日で症状は回復します。

過度の紫外線は、シミやシワといった肌の老化を早めると同様、目の老化とも関連が深く、白内障や加齢性黄斑変性を進行させると考えられています。これを防止するためには、目にも紫外線対策が必要になります。

スキー場や雪山を始め紫外線にさらされるような場所では、帽子をかぶり、UVカット加工したサングラスやゴーグルをかけたり、紫外線カットのコンタクトレンズを用います。また、太陽光線、電気溶接の火花、殺菌灯の光線を直視しないように気を付けます。

🇨🇳舌がん

口の中に発生するがんで、大部分は舌の両サイドに発生

舌(ぜつ)がんとは、口の中の舌前方に発生するがん。歯肉がん、唾液腺(だえきせん)がんなど口の中に発生するがんの中では、最も頻度が高くて約50パーセントを占めます。

この舌がんは、普通に鏡で見える範囲の舌前方の3分の2、すなわち舌背部後方にある8〜10個の突起に相当する有郭(ゆうかく)乳頭より、前方部に生じたがんをいいます。有郭乳頭より後方に発生したものは、舌根がんと分類されます。

好発部位は舌の側縁から下面で、特に臼歯(きゅうし)部に相当する側縁部に多く発症し、舌の先端、中央、裏面にできるのはまれです。組織学的には、その大多数が扁平(へんぺい)上皮がんですが、まれに腺系(せんけい)がんも発生します。初期の舌がんではアフタ性口内炎と間違えやすく、放置していると進行がんになります。

病変の表面には、こぶ状に膨らむ腫瘤(しゅりゅう)、びらん、潰瘍(かいよう)を形成することが多く、白板、肉芽(にくげ)、乳頭状を示すものもあります。白板型、肉芽型および乳頭型のがんは外向性に発育し、粘膜表層を広範囲に侵すものの、深部への浸潤は比較的少ない傾向があります。腫瘤型や潰瘍型は内向性に発育し、深部組織に深く浸潤して、嚥下(えんげ)障害や構音障害などを生じます。

頸部(けいぶ)リンパ節への転移も多くみられ、治療後に現れる後発転移も多く認められます。全経過をみると、約50パーセントに転移が認められます。通常、口腔(こうくう)がんでは病変と同じ側の頸部リンパ節へ転移しますが、舌がんでは両側に転移することもあります。

女性の約2倍と男性に多く、50〜70歳代に多く発生します。最近では、20歳代の若い人にも認められつつあります。発生の原因は、不明です。誘因としては、口腔内の不衛生、喫煙、飲酒、義歯や虫歯による持続的な刺激が考えられています。

早期では、ほかのがんと同じように、ほとんど自覚症状はありません。ただ舌の表面がわずかにザラザラしたり、白い斑点(はんてん)状の病変が認められるものが多いようです。

最初から浅いびらんや潰瘍ができる場合には、舌が歯にこすれて痛い、食べ物がしみるなどの症状がみられます。進行してくると、舌に硬いしこりが触れるようになり、しこりの表面には潰瘍を生じ、出血しやすく、次第に激しい痛みを伴うようになります。舌の動きが悪くなり、ろれつが回らない、飲み込みにくいなどの症状も現れます。

舌がんの検査と診断と治療

口内炎が治りにくかったり、舌の側縁に白い斑点があったり、しみて痛かったりしたら、耳鼻咽喉(いんこう)科や、口腔外科、頭頸部外科を受診します。

医師による診断では、触診を重視します。触診により、周囲の舌の軟らかさとがんの浸潤による硬さとの違いがはっきりします。表在性のがんの場合でも、触診に勝る診断法はありません。

舌の深部に浸潤している場合には、CT検査やMRI検査を行い、がんの広がりを診断すると同時に、頸部のリンパ節転移の有無を診断します。しかし、口腔のCT検査、MRI検査では、歯の治療に使われた金属材料のため十分な所見が得られないこともあります。確定診断には、潰瘍部の細胞片を採取して調べます。

治療方法には、大きく分けて手術治療と放射線治療の2つがあります。

長径2センチ未満や、長径2〜4センチ未満の舌がんでは、放射線治療が有効です。外から放射線を照射する方法ではなく、放射線を出す線源と呼ばれる針やワイヤーを舌に刺して、直接組織内に放射線を照射する方法です。治療の数日後に、刺した線源を抜き取ります。また、放射線を出して、次第にエネルギーが減衰していく金属の小粒子を埋め込む方法もあります。これらの放射線治療は、比較的浅い部分にあるがんで有効。

一方、手術治療は小さいがんでも有効です。大きな進行がんでは、切除手術と再建手術を同時に行います。舌がんでは部分切除術、半側切除術、亜全摘術、全摘術などがあります。部分切除術以上の切除では、再建手術を行います。

半側切除までであれば、手術後の言語は十分に保たれます。切除した部分が大きいほど、言語と咀嚼(そしゃく)、嚥下などの機能障害が強く出ます。近年では、再建手術が進歩したため、舌の3分の2を切除しても術後の機能は比較的良好で、社会復帰が容易にできるようになっています。

手術の前後に、放射線照射を行ったり、抗がん剤による化学療法を加えることもあります。術後は積極的に舌を動かして、リハビリテーションを行う必要があります。

頸部リンパ節転移に対する治療も、大切になります。初診時になかったリンパ節転移が治療後に現れることが、約20〜30パーセントにみられます。見付けたら早急に、転移のあるリンパ節のみならず、頸部のリンパ節を周囲の組織も含めてすべて摘出することが必要です。

リンパ節の後発転移が予後に影響し、舌がんの5年生存率は全体で約60パーセントです。

🇨🇳セックス依存症(性依存症)

性的な行為におぼれ、自らのコントロールを失う精神疾患

セックス依存症とは、セックスに限らず性的な行為におぼれ、自らのコントロールを失う精神疾患。性依存症とも呼ばれます。

日本ではいまだ認知度が低いものの、アメリカでは薬物やアルコール依存症と同じく代表的な依存症の一つとして、ホルモン療法などによる治療が行われています。

薬物がやめられない薬物依存症、酒がやめられないアルコール依存症と同じく、性的な行為がやめられない強迫性を持ち、自らの意思で興奮や刺激を求める性衝動をコントロールできなくなります。依存する対象には、実際に相手のある性交渉だけでなく、自慰行為やポルノへの過度な耽溺(たんでき)や収集、強迫的な売買春、乱交、露出、のぞき行為、盗撮、性的ないたずら電話、インターネットを介したアダルト・チャットなどすべての性的な行為が含まれます。

何らかのストレスや落ち込み、心理的な問題などで苦しんでいる状態で、セックスなどの性的な行為によって救われるという経験をすると、その快感を求めて繰り返すことになるのが主な原因。緊張感からの解放、現実やストレスからの逃避、生きていることの自己確認、男らしさ女らしさの証明など、いろいろなものが誘因となります。

セックス依存症のリスクとしては、性病、金銭的な負担、不倫などによる社会的地位の喪失、性犯罪などによる逮捕、異性関係を巡っての配偶者との不和、子供などの家族への虐待、性行為をしていない時の空虚感、不安感、焦燥感などが挙げられます。

なお、性的な行為への依存を依存症の一つとして位置づけられるのかどうか、また、どのあたりに正常と依存症の境界を引くかなど、アメリカでも1970年代から長い間論争が続いています。依存症ではなく行動制御障害であるという説もあり、セックス依存症という概念を一切認めないとする考えを持つ人々も存在します。

セックス依存症の検査と診断と治療

セックス依存症で苦しんでいる場合は、精神科、心療内科、あるいはメンタルクリニックを受診します。また、各都道府県に設置されている精神保健センターには相談できる部門がありますので、予約の上、精神科医、臨床心理士(カウンセラー)の面接を受けることができます。

医師の側は、依存症に至った原因を探り、薬物療法や精神療法などの方法で矯正を図ります。薬物療法では、精神安定剤、抗うつ剤、抗不安剤、睡眠薬などが処方され、精神療法では、臨床心理士によるカウンセリングや催眠療法、各種療法が行われます。

また、同じような境遇の人々が集まり、お互いに影響を与えるセックス依存症の自助グループに参加することが、有効な場合もあります。日本でも小規模ではありますが、首都圏にグループがあり、定期的に集まるなどして個々に快復へ向けた活動を続けています。

🇧🇹赤血球増加症

貧血とは逆に、赤血球が増加する疾患

赤血球増加症とは、貧血とは逆に、血液中の赤血球が正常範囲を超えて増加する疾患。多血症とも呼びます。

下痢、嘔吐(おうと)、発汗、熱傷などで体液中の水分が失われて脱水症になった場合、血液が濃縮して見掛け上、赤血球が増加しますが、これも広義の赤血球増加症に含め、相対的赤血球増加症、相対的多血症と呼ぶことがあります。また、脱水症状もなく、はっきりとした原因がないストレス性赤血球増加症も、相対的赤血球増加症に含めます。ストレス性赤血球増加症は、肥満があるヘビースモーカーの男性によくみられ、短期間で改善します。

狭義の赤血球増加症、すなわち、全身の血管内を流れる赤血球の総数である循環赤血球量が増加する異常は、絶対的赤血球増加症と呼ばれます。これには、真性赤血球増加症と二次性(続発性)赤血球増加症があります。

真性赤血球増加症の原因は不明で、骨髄の慢性増殖性疾患、すなわち本態は腫瘍(しゅよう)と考えられています。

二次性赤血球増加症は、何らかの理由で、腎臓(じんぞう)で産生される造血ホルモンのエリスロポエチンが過剰に分泌され、刺激を受けた骨髄が赤血球を大量に作るために生じます。気圧が低い高地に暮らす人にみられ、また、ある種の先天性心臓病で、動脈血に静脈血が混じる場合や、肺気腫などのため肺からの酸素摂取がうまくいかない場合などに、全身の組織が酸素欠乏状態に陥り、エリスロポエチンの産生が高まります。

その結果、赤血球が大量に作られて赤血球増加症になれば、単位容積血液当たりの酸素運搬量が増えます。この一連の現象は、酸素欠乏を解消しようとするための、目的のある反応と解釈できます。一方、腎臓の疾患とか、ある種のがんでは、酸素欠乏がなくても、エリスロポエチンの過剰産生を来すことがあり、二次性赤血球増加症を生じます。

赤血球増加症の症状としては、血液中の赤血球が増加すると血液の粘度が増加し、血流障害を起こすことから、顔面紅潮と結膜充血のほか、疲れやすい、頭痛、めまい、耳鳴りなどの不定愁訴があります。時には、全く自覚症状がなく、たまたま検査をして赤血球増加症を発見されるケースもあります。

真性赤血球増加症では、しばしば高血圧と、脾臓(ひぞう)が大きくはれる脾腫を認めます。二次性赤血球増加症では、基礎になる疾患いかんにより、それぞれの症状が加わることになります。

赤血球増加症の検査と診断と治療

真性赤血球増加症では、赤血球ばかりでなく、血小板と白血球も増えます。真性多血症は、特徴的な症状と検査所見がそろえば積極的に診断できますが、実際には除外診断によらねばならないことが少なくありません。つまり、まず循環赤血球量を測定して、相対的赤血球増加症と鑑別し、次いで二次性赤血球増加症の原因となる基礎的な疾患の有無を詳しく調べて、どれにも該当しなければ真性赤血球増加症の診断をすることになります。

検査上、 赤血球数なら600万/μl以上、ヘモグロビン濃度なら18.0g/dl以上、ヘマトクリットなら55%以上が、赤血球増加症に相当します。ヘマトクリットとは、血液中の赤血球の割合のことです。

治療においては、赤血球増加症のための自覚症状が強く、心臓血管系の疾患を合併する可能性がある時は、発症者の静脈から一定量の血液を体外に出す瀉血(しゃけつ)をします。瀉血をすれば症状は改善しますが、すぐに赤血球が増えて元に戻るため、ブスルファン、ヒドロキシウレアなどの化学療法薬を使い、骨髄造血を抑制する措置を講じます。

これは真性赤血球増加症の場合にのみ適用され、二次性赤血球増加症では、まず原因の除去に努めます。

真性赤血球増加症は10〜20年と、慢性の経過をたどります。その間、医師の指示通りの療養に努めることが大切となります。治療を怠ると、すぐに赤血球数と血小板数が増加し、脳卒中や心筋梗塞(こうそく)、胃腸出血、肺塞栓(そくせん)症を招いて、死に至ることも多くみられます。

>予防のためには、脱水症状にならないように水分はきちんと補給し、喫煙、飲酒は控えます。ストレスをためないように過労は避け、適度な運動とバランスのよい食事を心掛け、肥満、高血圧、高脂血にならないように気を付けます。

🟥広島で被爆した在外被爆者訴訟、国に賠償命じる判決 広島地裁

 広島で被爆した後に朝鮮半島へ移り住み、健康管理手当が受けられなかった在外被爆者の遺族が国に賠償を求め、請求権が消滅したかどうかが争われた裁判で、広島地方裁判所は、時効が成立するとした国の主張は権利の乱用だとして、国に賠償を命じる判決を言い渡した。  戦後、海外に移り住んだ在外...