2022/08/23

🇲🇴青色母斑

通常のほくろよりも全体に青色が強いタイプのあざ

青色母斑(せいしょくぼはん)とは、青あざの一種で、通常のほくろよりも全体に青色が強く、青色から黒色調に見えるタイプのあざ。

皮膚の一部分に色調や形状の異常として現れるものが母斑で、あざとも呼ばれています。ほくろも母斑の一種で、その一番小さい型に相当します。

青色母斑の通常のものは、10ミリ以下で少しだけ皮膚から盛り上がっている小結節で、触ると硬い感触がします。

原因は、メラノサイト(メラニン細胞)にあります。通常は表皮にあって、メラニンという皮膚の色を濃くする色素を作り出すメラノサイトが、深い部分の真皮で増殖しているために、青色から黒色調に見えてしまうのです。

発生する個所としては、顔面、背中、手首、手の甲、足首、足の甲などが挙げられます。多くは乳幼児期に生じますが、30歳ころから生じるケースもあります。突然多く発生することはありません。

まれに、青色母斑がかなり大きくなることもあります。これは細胞増殖型青色母斑と呼ばれ、青年期以降に悪性化して悪性青色母斑となる可能性があります。悪性化した場合には、皮膚がんの一種で、メラノサイトががん化してできるメラノーマ(悪性黒色腫〔しゅ〕)と同様の治療を行う必要があります。

10ミリ以下の青色母斑の場合には、気にならなければ治療の必要はありません。ただ、目立つ部分に現れるので、気になってしまうようなら、皮膚科、皮膚泌尿器科、形成外科の医師に相談して下さい。悪性のものと区別がつかないケースもあるため、経過を見守ることも大切です。

青色母斑の検査と診断と治療

皮膚科、皮膚泌尿器科、形成外科の医師による診断では、特徴的な色素斑なので、ほとんどは見ただけで診断はつきます。細胞増殖型青色母斑の確定診断は、切除した小結節を顕微鏡を用いて病理組織検査することでつきます。

細胞増殖型青色母斑が疑われる場合は、リンパ節転移を起こすことがあるため、CT(コンピュータ断層撮影)検査やシンチグラム検査(RI検査、アイソトープ検査)といった全身の検査も行う必要があります。

皮膚科、皮膚泌尿器科、形成外科の医師による治療では、通常の青色母斑の場合は悪性化の心配はほとんどないため、見た目の問題で気になるならQスイッチレーザーにより、あざを除去します。

Qスイッチレーザーには、ルビーレーザー、アレキサンドライトレーザー、ヤグレーザーなどがあり、レーザーの種類により多少の効果や経過の違いがみられます。いずれのレーザー治療も痛みを伴うため、麻酔シール、注射などを使用して痛みの緩和を行います。まれに軽い色素沈着を残したり色素脱出を来すこともありますが、治療はほぼ100パーセントうまくいきます。

治療時期は何歳からでも可能ですが、小児の場合は乳幼児期からの早期治療が有効です。成人で濃くなり化粧法で隠せなくなった場合でも、完全に除去することが可能です。

細胞増埴型青色母斑が疑われる場合は、原則として、局所麻酔による手術で深く広範囲に切除します。リンパ節転移が見付かった場合には、リンパ節を切除します。

🇭🇰精神疾患

脳および心の障害で起こる疾患

精神疾患とは、脳および心の機能的、器質的な障害によって、精神の変調が引き起こされる疾患。統合失調症や躁(そう)うつ病といった重度のものから、不安障害(神経症)、パニック障害、適応障害といった中、軽度のものまでの多くの疾患を含みます。

精神の変調が髄膜炎、内分泌疾患などの身体疾患によって引き起こされる場合も含み、広義の精神疾患として知的障害や人格障害をも含みます。

精神疾患には多くの種類があり、精神医学の領域では、精神疾患の定義、診断基準が統一されていません。そのために、同じ病状に対して付けられる病名が、精神疾患の分類法によって変わってくることがあります。

世界保健機構 (WHO) による国際疾患分類(ICD-10)や、アメリカ精神医学会による統計的診断マニュアル (DSM-IV)においては、診断カテゴリーを用いて網羅的に分類しています。これにより、個々の精神疾患の診断が世界全体で以前よりも標準化され、一貫性を持つようになりつつあります。

以下の精神疾患の分類は、世界保健機構による国際疾患分類に基づきます。

●症状性を含む器質性精神障害

認知症疾患、コルサコフ症候群、頭部外傷後遺症などによる精神疾患

 ●精神作用物質使用による精神および行動の障害

アルコール、アヘン、大麻、鎮静薬または催眠薬、コカイン、覚醒(かくせい)剤・カフェイン、幻覚薬、タバコ、揮発性溶剤などの精神作用物質に関連した精神疾患。依存症、乱用、中毒などに分けられる。アルコール依存症、薬物依存症など

 ●統合失調症・統合失調型障害および妄想性障害

統合失調症、統合失調症型障害、持続性妄想性障害、急性一過性精神病性障害、感応性妄想性障害、統合失調感情障害

●気分(感情)障害

躁病、双極性障害(躁うつ病ともいう)、うつ病

●神経症性障害、ストレス関連障害および身体表現性障害

不安障害、恐怖症、単一恐怖広場恐怖社会恐怖、パニック障害全般性不安障害、強迫性障害、重症ストレス障害、急性ストレス障害PTSD(心的外傷後ストレス障害)適応障害、 解離性障害、解離性同一性障害(いわゆる多重人格)、身体表現性障害、転換性障害心気症、疼痛(とうつう)性障害、身体醜形障害

●生理的障害および身体的要因に関連した行動症候群

摂食障害、神経性無食欲症(拒食症)、神経性大食症(過食症)、 睡眠障害、不眠症、精神生理性不眠症概日リズム睡眠障害、入眠困難中間覚醒早朝覚醒過眠症、睡眠時無呼吸症候群、ナルコレプシー、原発性過眠症反復性過眠症特発性過眠症睡眠時随伴症レム睡眠行動障害、睡眠時遊行症、夜驚症

●成人の人格および行動の障害

妄想性人格障害、統合失調質人格障害、分裂病型人格障害、境界性人格障害(境界例)、自己愛性人格障害、演技性人格障害、反社会性人格障害、強迫性人格障害、回避性人格障害、依存性人格障害、性同一性障害、性嗜好(しこう)障害、フェティシズム、露出症、窃視症、小児性愛、サディズム・マゾヒズム、虚偽性障害、ミュンヒハウゼン症候群

●精神遅滞

精神遅滞

●心理的発達の障害

広汎(こうはん)性発達障害、自閉症、アスペルガー症候群

●小児期および青年期に通常発症する行動および情緒の障害

多動性障害、チック障害、トゥレット障害

●その他

幻覚、妄想、文化依存症候群、神経質、対人恐怖症

精神疾患の診断と治療

精神疾患の治療を担当するのは、主に精神科、神経科です。発症者の症状や状況によっては、心療内科や内科など他の科で診察、治療が行われている場合もあります。

精神疾患の治療とケアを行うための訓練を受けた専門家は、精神科医だけではありません。医師以外の専門家として、臨床心理士、ソーシャルワーカー、看護師などがいます。ただし、このうち薬を処方する資格を持っているのは精神科医だけです。医師以外の精神医療の専門家は、主に心理療法を行います。

医師による診断においては、精神疾患を判別するための研究が進み、以前よりはるかに正確にできるようになっています。診断方法も進歩し、CT(コンピューター断層撮影)検査、MRI(磁気共鳴画像)検査、ポジトロンCT(PET)検査(脳の特定領域への血流を測定する画像診断法の1種)といった脳の画像診断が行われています。

医師による治療法は精神疾患の種類や重症度により異なりますが、大きく分けると、身体療法か心理療法(精神療法)のいずれかです。身体療法には、薬物療法と電気けいれん療法があり、脳に直接働き掛けます。

心理療法には、個人療法、作業療法、グループ療法、家族療法、夫婦療法といったもののほか、行動療法におけるリラクセーション訓練や暴露療法などの各種技法、催眠療法などがあり、言語や行動を介して治療します。

重い精神疾患に対しては、薬物療法と心理療法を併用することが治療効果を高めると見なされています。ストレスの緩和は精神疾患の症状の緩和につながることから、音楽療法、運動療法、ユーモア療法などが活用されることもあります。

精神疾患を予防したり、症状が軽減、消失した後の再発防止のために、社会適応能力を習得したり、趣味やスポーツなどでストレスを適切に管理することも、重要視されています。

また、家族など周囲の人間が理解を示すことも必要です。精神疾患に偏見や差別的な見方を持っている人もいるため、それが発症者のストレスとなり、引きこもりがちに、内向的になることもあるためです。

🇭🇰精神社会性低身長症

愛情を感じられないストレスから、子供の睡眠時に成長ホルモンが十分に分泌されず、低身長を生じる状態

精神社会性低身長症とは、母子関係や家族関係の問題によって、子供が十分な愛情を感じられないまま育った結果、成長ホルモンの分泌が低下して身長が伸びない状態。精神社会的小人症、心理社会性低身長症、愛情遮断性低身長とも呼ばれます。

低身長は、さまざまな原因で身長が伸びない状態のことで、年齢別平均身長より20%、あるいは標準偏差(SD)より2SD以上低い場合を目安としており、同性・同年齢の100人に2~3人が低身長という定義に当てはまります。

精神社会性低身長症は、乳幼児から6歳児程度の子供に多くみられます。母親など養育者からの愛情を感じられない極度のストレスや不安から、子供は心から安らいでグッスリ眠ることができず、成長するために必要な成長ホルモンが睡眠時に脳下垂体から十分に分泌されなくなる結果、身体的な成長に遅れが生じ、年齢別平均身長を著しく下回ると考えられています。

子供は愛情ばかりでなく、十分な栄養を与えられていないこともあり、栄養不足も年齢に見合った身長の伸びを止めてしまう原因の1つになります。身体的な成長の遅れだけでなく、情緒の発達、言語や知的能力の発達の遅れを生じたり、行動異常を示すこともあります。

入院、死亡、離婚などによる母親不在の環境が原因となったり、母親など養育者が深い悩みを抱えていたり、うつ状態であったり、薬物依存や知的障害、精神的な病気を持っていたりして、適切な子育てができないことが原因となったりします。

母親など養育者自身が子供時代に十分な愛情を受けて育っていない場合に、世代を超えて子育てに影響する世代間伝達、愛情不足の連鎖もあります。夫婦仲が悪く、家庭環境の雰囲気が悪いことが原因になることもあります。

栄養障害によって現れる症状として、身長が低い、体重の増えが悪い、腕や脚が細い、やせている、肋骨(ろっこつ)が目立つ、お尻がへこんでいるなどがあります。不適切な養育の結果として観察される症状としては、おむつかぶれがひどい、皮膚が汚い、汚い服を着ているなどがあります。子供の心理的な変化や行動異常によって現れる症状としては、目を合わせない、表情が乏しい、感情表現が乏しい、動作が緩慢、抱きついたり寄り添ったりしない、親に抱かれるのを嫌がる、異様な食欲増進、尿や便をもらす、寝付きが悪い、かんしゃくを起こすなどがあります。

愛情不足の養育や、より重大な問題がある虐待やネグレクト(育児放棄)が生後1年以内に始まり、3年以上続く時は、情緒や知能の障害が永久に回復しないといわれています。

養育者が子供の精神社会性低身長症に気付いたら、母子手帳の成長曲線をつけてみたり、子供らしい豊かな表情をしているかどうか、気を配りましょう。心配なことがあれば、小児科医や保健師に相談しましょう。

精神社会性低身長症の検査と診断と治療

小児科の医師による診断では、過去から現在までの身長、体重、頭囲の計測値から成長曲線をつくり、子供の成長を評価します。食事の内容から、栄養学的な分析をします。また、養育環境についての情報を集めます。

小児科の医師による治療では、食事の内容について養育者に栄養指導を行い、子供の年齢に見合った十分な食事を与えるようにします。

また、子供と養育者にとって、ストレスの少ない環境になるように調整をします。母親など養育者に対する心理カウンセリングが必要な場合もあります。養育者は子供に対してストレスを与えていないつもりでも、気付いていない家庭の習慣が子供のストレスになっている場合もあります。

子供にとってストレスの少ない環境で、年齢に見合った十分な栄養を与えると体重が増加し、成長ホルモンの反応も回復して身長の伸びが促進されなど、成長の遅れは取り戻されます。

しかし、虐待やネグレクト(育児放棄)など養育者の子育てに重大な問題がある場合、ケースによっては養育者と子供を遠ざけることも必要です。入院で治療を受けさせたり、乳児院など保護観察施設で養育したりすることで遅れていた成長が改善されることもあります。

母親が不在の場合、あるいは母親がいても子供に愛情を十分に与えることができない場合には、母親に代わって父親や親に代わる養育者が十分な愛情を注ぐことで防ぐことは可能です。

🇭🇰精神遅滞(精神薄弱)

全般的な知能が低く、環境への適応に障害

精神遅滞とは、知的機能が全般的に平均よりも低く、同時に環境への適応機能の障害が認められる発達障害の一つ。法令上は18歳までに、多くは一般的に生まれた時点、あるいは早期の乳幼児期に障害が生じ、日常生活において、何らかの援助や介助が必要となります。

以前は精神薄弱と呼ばれていましたが、この用語は最近ではほとんど用いられず、1994年頃から精神遅滞と呼ばれるようになりました。日本では2000年から、法律用語、行政用語としては知的障害が用いられています。知的機能が遅れていることで、精神遅滞は自閉症や学習障害と混同されることがあります。

多くは原因不明です。原因として想定されているものは、以下に示すようにさまざまです。髄膜炎や脳炎などの感染症、頭部外傷、フェニールケトン尿症などの代謝異常症、ダウン症などの染色体異常、子宮内胎児発育遅延や母体のアルコール摂取といった出生前要因などが挙げられ、脳の機能の成熟障害が存在すると見なされています。

心理的、環境的な原因で発達が遅れている場合には、精神遅滞とはいいません。

症状の現れ方については、重度の精神遅滞の子供は一般に、首の座りが遅い、座ることができないなど、運動の発達が遅いことで乳児期に気付きます。染色体異常による場合は、身体奇形を伴うことが多く、出産直後に判明するものも少なくありません。

身体発達に異常がない、軽度から中等度の精神遅滞の場合には、乳幼児の発達課題を乗り越えることができず、少しずつ明らかになってくることが多くみられます。初めの数年間は正常な発達をしているようにみえますが、バイバイをしないことや言葉が出ないことなど、言語の発達の遅れ、遊びの不得手、体の動きの不器用さなどから判明してきます。

全般的な知能が低いために、日常生活や社会生活への適応に障害が生じ、食事、衣服の着脱、トイレでの排便、排尿といった身の回りのことが一人でうまくできない、同じ年齢の子供と遊ばない、といった症状がみられます。小学校に入って、集団生活に適応できないために問題行動が目立ち、初めて精神遅滞に気付くこともあります。

成年期では、一般的な職場への就労はハードルが高いものの、本人の能力に合っている環境であれば問題はありません。一般的な職場での就労が困難な場合は、障害者の保護者やボランティアなどが開設する通所施設で活動するケースが多くみられます。

精神遅滞の検査と診断と治療

兄弟姉妹と比べて、あるいは近所の子供と比べて、自分の子供は発達が遅いのではないかという心配があれば、成長障害や身体的な病気の有無も含めて、小児科医、児童精神科医、小児神経専門医を始めとした医師の診察を受ける必要があります。

医師による診断では、面接や診察、質問用紙、知的水準を測る知能検査、ないし幼児では発達検査などを行って、症状を調べます。これらの検査は、発達の遅れている点を明らかにするだけでなく、子供の優れた能力を見いだすことにもなります。

専門医であっても、一度の診察や検査で長期的な発達の予測をすることは困難です。時間を空けて診察し、発達の経過も併せて判断することが必要です。

しかしながら、フェニールケトン尿症や被虐待児など、ごく一部の場合を除けば、精神遅滞に対する医学的治療はありません。元来が知的機能の遅れであり、その基礎は大脳皮質に存在する神経細胞の働きの弱さにあるため、薬物によって治したり、知能段階を高めることは不可能とされています。

合併する身体の病気が予想される場合には、必要な検査を定期的に行うことがあります。例えば、てんかんの合併が考えられる場合には、脳波検査を行います。もちろん、合併症の症状を改善させる治療も行います。

精神遅滞に対する医学的治療はないため、治療の目標は一人ひとりの子供に応じた教育と訓練に置かれます。つまり、現在の知能に沿った生活能力を訓練して、その知能段階で生きていける能力を開発することが、目標となります。身体機能訓練、言語訓練、作業療法、心理カウンセリングなどを開始し、現実的で達成可能な目標を定め、教育と訓練を行うことにより、子供の持つ発達の可能性を最大限に発揮させることができます。

心理的な問題、自傷行為などの行動の問題に対しては、カウンセリングや環境の調整を行います。十分に行き届いた指導やサポートのためには、個別や少人数集団における特別な教育環境が必要になります。

長期的には、身の回りのことが一人でできるようになること、将来の職業につながるような技能を身に着け、社会に適応していくことが目標となります。

精神遅滞の子供の抱える問題点は、年齢や発達段階によって変化します。周囲の人にとって大切なことは、年齢や発達の段階によって直面するハンディキャップを理解し、子供の能力に見合った教育手段を選ぶことです。小児科医などの医師、発達相談、地域の発達支援プログラムなどを利用して、情報を得るとよいでしょう。

ある程度の障害のある子供には、療育手帳を交付してもらい、特別児童扶養手当の受給手続きを取ることも大切です。公的援助の内容と手続きについては、児童相談所に相談してください。

🇮🇲成人スティル病

子供のスティル病と同様の症状が成人に起こる疾患

成人スティル病とは、子供の若年性関節リウマチのうち、高熱が出るタイプのスティル病と似ている症状が、大人に起こる疾患。成人スチル病ともいわれます。

スティル病は長い間、子供ににしかかからない疾患と考えられていましたが、1971年にイギリスのバイウォータースが、16歳以上になって発病するケースがあることを報告しました。以降、同様のケースが世界中で報告され、現在では大人になってから発病したスティル病(成人発症スティル病)と、子供の時に発病し、その後大人の年齢になって再発した場合(小児発症スティル病の再発)を併せて、成人スティル病と総称しています。

20~40歳代の比較的若い成人に多いと見なされますが、まれに高齢者にもみられます。日本における男女比は、約1:2です。成人スティル病が発病する決定的な原因は、不明です。ウィルスなどの病原微生物による感染が引き金となり、それに免疫異常が絡んで発症するのではないかと考えられています。また、近年、発病者ではインターロイキン6あるいは18などサイトカイン(炎症を引き起こす液性因子)が著しく高くなっていることが知られ、遺伝子レベルでも研究が進んでいます。

一日のうちに、高熱が上がったり下がったりする発熱が、症状として特徴的です。一般には、夕方から夜間に発熱がみられ、 昼間は平熱であることが多いようです。そして、発熱時に薄いピンク色の発疹(はっしん)が前胸部や腕に現れますが、これは一過性のもので、かゆみなどの症状に乏しいため気付かれにくい傾向があります。

手やひざの関節の痛みとはれ、リンパ節のはれ、のどの痛み、肝臓や脾(ひ)臓のはれも伴います。

成人スティル病の検査と診断と治療

急性期の検査では、白血球増加や炎症所見、肝機能障害などを認めます。また、血液中にフェリチンという、組織中で鉄を貯蔵する役割を持つ蛋白(たんぱく)が増加することも。特徴です。なお、関節リウマチや他の膠原(こうげん)病で陽性になることが多いリウマトイド因子や、抗核抗体などの自己抗体(自己の組織成分に対する抗体)は、この成人スティル病では通常、陰性です。

治療の中心は抗炎症療法で、非ステロイド性消炎鎮痛剤が用いられます。十分に解熱しない場合、肝障害がある場合、薬剤アレルギーがみられる場合は、中等量の副腎(ふくじん)皮質ホルモン(ステロイド剤)が用いられ、多くのケースでは症状の改善がみられます。副腎皮質ホルモンが十分効かなかった場合は、免疫抑制剤を併用し、関節炎が持続する場合には、リウマチの際に使われる抗リウマチ剤が併用されることもあります。

再発は比較的多くみられますが、全身症状の経過は一般に良好です。副腎皮質ホルモンによる治療が開始されたら、自己調節することなく、根気よく治療を続けることです。副腎皮質ホルモンを中止できない場合には、骨粗鬆(こつそしょう)症など副作用にも注意するべきです。

🇮🇲成人T細胞白血病(ATL)

ウイルスに感染して発症する白血病

成人T細胞白血病(Adult T-cell Leukemia:ATL)とは、レトロウイルス、腫瘍(しゅよう)ウイルスであるヒトTリンパ球向性ウイルス1型(Human T Lymphotropic Virus type 1:HTLVー1)の感染により発症する腫瘍性疾患。

悪性リンパ腫の一種ですが、大部分が白血病化するために、成人T細胞白血病と呼ばれたり、成人T細胞白血病リンパ腫(Adult T-cell Leukemia Lymphoma:ATLL)と呼ばれたりします。1976年に、京都大学の高月医師、内山医師らによって初めて報告、命名された疾患です。

この成人T細胞白血病(ATL)の発症は、ヒトTリンパ球向性ウイルス1型(HTLVー1)を体の中に持っているキャリアの分布と一致することが知られています。キャリアは、日本では120万人、世界では1000~2000万人いると推定されています。

日本では、従来から九州、沖縄など西南日本に多くみられますが、近年は関東、中部、近畿で増え、全国的にキャリアと発症者が存在しています。世界的には、カリブ海沿岸諸国、南アメリカ、アフリカ、南インド、イラン内陸部などにキャリアと発症者の集積が確認されています。それらの地域からの移民を介して、ヨーロッパ諸国、アメリカ合衆国などでも、キャリアと発症者の存在が報告されています。

ヒトTリンパ球向性ウイルス1型の感染経路としては、母乳を介する母子間垂直感染と、輸血、性交渉による水平感染が知られていて、出産時や母胎内での感染もあります。輸血では、感染リンパ球を含んだ輸血により感染し、血漿(けっしょう)成分輸血、血液製剤では感染しません。なお、日本では現在、献血に際して抗体スクリーニングが行われており、輸血後の発症はなくなりました。性交渉による感染に対しても、成人T細胞白血病を発症することは極めてまれであるため、今のところ特別な対策は立てられていません。

ほとんどが母乳感染により、乳幼児の感染者が40~60年の潜伏期を経て、成人T細胞白血病を発症します。日本で発症するのはヒトTリンパ球向性ウイルス1型のキャリア1万人について年間6〜7人あまり、発症の割合は3〜5パーセントほど。40歳以上の人がほとんどで、60~70歳に最も多く発症します。

リンパ球はリンパ系組織、血液、骨髄の中にあり、細菌やウイルスなどの感染と戦っていますが、機能の違いからT細胞、B細胞、ナチュラルキラ-細胞(NK細胞)に分けられます。成人T細胞白血病では、T細胞が悪性化して、リンパ節や血液の中で異常に増加し、骨髄や肝臓、脾臓、消化管、肺など全身の臓器に広がっていきます。末梢(まっしょう)血液中に出現する場合、特徴的な花びらのような形状をした核を有し、花細胞と呼ばれています。

症状としては、首、わきの下、足の付け根など全身のリンパ節がはれたり、肝臓や脾臓の腫大、皮膚紅斑(こうはん)や皮下腫瘤(しゅりゅう)などの皮膚病変、下痢や腹痛などの消化器症状がしばしばみられます。病勢の悪化によって、血液中のカルシウム値が上昇して高カルシウム血症になると、全身倦怠(けんたい)感、便秘、意識障害などを起こします。

>悪性化したリンパ球が骨髄に広がった場合には、正常な赤血球や血小板が作られなくなります。このために動悸(どうき)、息切れなどの貧血の症状や、鼻血、歯肉出血などの出血症状がみられることがありますが、他の白血病と違ってあまり多くありません。悪性化したリンパ球が中枢神経と呼ばれる脊髄(せきずい)や脳に広がると、頭痛や吐き気が認められることもあります。

また、免疫担当細胞として重要なT細胞ががん化して、強い免疫不全を示すため、感染症にかかりやすくなり、真菌、原虫、寄生虫、ウイルスなどによる日和見感染症を高頻度に合併します。

成人T細胞白血病の検査と診断と治療

成人T細胞白血病は、ウイルス感染症、カビによる感染症、カリニ原虫による肺炎、糞線虫(ふんせんちゅう)症といった寄生虫感染症など、健康な人にはほとんどみられない日和見感染症が起こりやすいことで知られています。疲れやすい、熱が続く、リンパ節がはれる、皮疹(ひしん)が塗り薬でよくならないなどの症状が続く場合は、血液内科の専門医のいる病院を受診して検査を受けるようにします。

血液の悪性腫瘍が疑われた場合、まず血液細胞の数や内容を調べる血液検査が行われます。成人T細胞白血病では、花びらのような形をした核を持つ異常なリンパ球の出現が特徴的です。また、血液検査では、ヒトTリンパ球向性ウイルス1型に感染して抗体があるかどうかも調べます。リンパ節がはれている場合には、リンパ節生検が行われ、局所麻酔による小切開でリンパ節を取り出し、顕微鏡で悪性細胞の有無を調べます。最終的に成人T細胞白血病の診断を確定するためには、血液やリンパ節の悪性細胞の中に入り込んだウイルス遺伝子の検査が行われる場合もあります。

成人T細胞白血病と診断された後、疾患の広がりを調べるために全身の検査が行われます。目に見えない腹部や骨盤部のリンパ節がはれてないか、肝臓や脾臓に広がっていないかを調べるために、腹部CTや腹部超音波検査が行われます。胃や十二指腸に広がっていないかどうかを調べるためには、胃内視鏡検査やX線検査が必要です。肺に広がっていないかどうかを調べるためには、胸部X線検査や胸部CTが行われます。

骨髄に広がっていないかどうか調べるためには、骨髄穿刺(さくし)も行われます。骨髄穿刺は、局所麻酔後、胸骨または腰の骨に細い針を刺して骨髄液を吸引し、顕微鏡で観察します。その他、中枢神経である脳や脊髄への広がりを調べるために、局所麻酔後に腰の部分の背骨の間から針を刺して少量の脳脊髄液を採取する場合もあります。

成人T細胞白血病は多彩な症状、臨床経過をとることで知られていますが、一般には急性型、リンパ腫型、慢性型、くすぶり型、急性転化型の5つの病型に分類されています。

急性型は、血液中に花びらの形をした核を持つ異常リンパ球が出現し、急速に増えていくものです。リンパ節のはれや、皮疹、肝臓や脾臓の腫大を伴うことも多くみられ、消化管や肺に異常なリンパ球が広がる場合もあります。感染症や血液中のカルシウム値の上昇がみられることもあり、抗がん剤による早急な治療を必要とします。

リンパ腫型は、悪性化したリンパ球が主にリンパ節で増殖し、血液中に異常細胞が認められない型です。急性型と同様に急速に症状が出現するために、早急に抗がん剤による治療を開始する必要があります。

慢性型は、血液中の白血球数が増加し、多数の異常リンパ球が出現しますが、その増殖は速くなく、症状をほとんど伴いません。無治療で経過を観察することが、一般的に行われています。

くすぶり型は、白血球数は正常でありながら、血液中に異常リンパ球が存在する型で、皮疹を伴うことがあります。多くの場合、無治療で長期間変わらず経過することが多いため、数カ月に1回程度の外来受診で経過観察が行われます。

急性転化型は、慢性型やくすぶり型から、急性型やリンパ腫型へ病状が進む場合をいいます。この場合には、急性型やリンパ腫型と同様に、早急に治療を開始する必要があります。

成人T細胞白血病の治療として一般に行われているのは、抗がん剤を用いた化学療法です。抗がん剤は静脈注射や飲み薬などいろいろな種類があり、血管の流れによって全身に運ばれて悪性化したリンパ球を殺すため、全身療法といわれています。また、髄腔内注射といって、腰の正中部より細い針で抗がん剤を髄液内に入れます。

成人T細胞白血病に対する抗がん剤は、通常、非ホジキンリンパ腫に有効な抗がん剤が用いられます。これらの抗がん剤の併用療法によって、30~70パーセントの場合で悪性細胞がかなり減少して、検査値異常が改善した状態が得られますが、最終的な治癒が期待できるのは残念ながらごく一部にとどまっています。

成人T細胞白血病の細胞には、抗がん剤が最初から効きにくかったり、途中から効きにくくなったりする性質があり、化学療法にしばしば抵抗性を示すからです。また、見掛け上症状がよくなったとしても、再発率は非常に高いことが知られています。

このように治療が難しい疾患ですが、よりよい治療法を開発するために臨床試験が行われています。研究段階の治療法の中で、現在最も期待されているのは同種造血幹細胞移植。化学療法により疾患がある程度コントロールされている、感染症を合併していない、全身状態がよい、50歳以下である、白血球の型が合っているドナーがいるなどの条件を満たす場合は、検討する価値のある治療法です。

また、ミニ移植といって、造血幹細胞移植の前の処置を軽くすることにより、50歳以上の高齢者にも適用可能な同種造血幹細胞移植法も検討されています。

🇨🇳成人夜尿症

睡眠時に無意識のうちに排尿する夜尿症を成人まで持続している状態

成人夜尿症とは、睡眠時に無意識のうちに排尿してしまう夜尿症を成人まで持続している状態。成人になってから初めて、夜尿症を出現した状態も含みます。

小児の夜尿症は5歳では約20パーセント弱の頻度でみられますが、10歳では約5パーセントまで減少し、成人まで持続する人は1パーセンと程度と考えられています。

乳児のころからずっと続いている夜尿症は、神経系の発達が未熟であることにより、膀胱(ぼうこう)が尿でいっぱいになっても目が覚めないことが原因の場合や、膀胱が尿でいっぱいになる前に勝手に縮んでしまう過活動膀胱が原因の場合があります。また、尿を濃縮し、尿量を減らすホルモンである抗利尿ホルモンは通常、昼間よりも夜間に多く分泌されますが、夜尿症児では夜間の抗利尿ホルモンの分泌の増加が不十分であることが認められています。

夜尿症には3タイプあり、多量の尿を漏らしてしまう多量遺尿型、少しだけ尿を漏らす排尿機能未熟型、そして、両者の混合型があります。成人の夜尿症では排尿機能未熟型が多くみられ、過活動膀胱が代表的な原因で、膀胱炎や前立腺(ぜんりつせん)肥大症などの病気、冷え性、常習性便秘によっても起こります。多量遺尿型は、抗利尿ホルモンの分泌不足、水分の取りすぎ、生活リズムの乱れ、精神的な問題が原因で起こります。

また、乳児のころからずっと夜尿症が続いている場合を一次性夜尿症、少なくとも半年間は夜尿症がなかった時期があり、再度出現した場合を二次性夜尿症と分類します。大人になってから初めて夜尿症が出現した場合も、二次性夜尿症に分類されます。

小児の場合では、二次性夜尿症は下の子供の誕生など精神的なものが原因となっていることがあります。しかし、成人の場合にはそのようなことは考えにくく、何らかの隠れた病気の存在を疑う必要があります。

成人夜尿症の原因の一つは、睡眠障害です。アルコールや睡眠薬が、その睡眠障害の原因になっていることもあります。睡眠障害のうちでも頻度の高い睡眠時無呼吸症候群では、夜間の尿量が増えるため、夜中に何回もトイレに起きるようになり、夜尿症の原因となることもあります。また、睡眠時遊行症、いわゆる夢遊病も、夜尿症を合併することが多いと考えられています。

尿を蓄えたり排出したりする働きを持つ膀胱は、手や足と同じように神経によって動きが調節されています。従って、神経の病気が夜尿症の原因となることがあります。脳血管障害や脳腫瘍(しゅよう)、免疫異常により神経系が障害される多発性硬化症などの重大な神経の病気が、夜尿症によって判明する場合もあります。

ただし、これら神経の病気では、昼間にも頻尿や尿失禁、排尿困難感などの症状を伴うことが多いようです。ほかにも、糖尿病や尿崩症のように極端に尿の量が増えるような病気でも、夜尿症が引き起こされることがあります。

このように、とりわけ成人になってから始まる夜尿症では、多様な原因を考える必要があり、重大な病気が隠れている場合もあるので、夜尿症が継続するようでしたら、一度泌尿器科の専門医を受診することが勧められます。

成人夜尿症の検査と診断と治療

成人夜尿症の原因は多種多様で、その原因に応じて治療法や治療薬などの対処法も異なります。膀胱炎や前立腺肥大症、睡眠障害、脳血管障害、脳腫瘍、多発性硬化症、糖尿病、尿崩症などの基礎疾患がある場合には、その治療を優先的に行います。

基礎疾患がないことが認められた場合は、泌尿器科の医師はまず、睡眠時におむつをして夜尿の量を測定する検査を行い、夜尿症のタイプを判別します。その後、診断結果を基にタイプ別の原因を調べて、その原因に応じた治療薬の投与が行います。

抗利尿ホルモンの量が少ないために夜尿の量が多くなる多量遺尿型の夜尿症では、イミプラミン(トフラニール)、クロミプラミン(アナフラニール)、アミトリプチン(トリプタノール)三環系抗うつ剤が使用されます。この治療薬が使用される目的は、精神の安定、膀胱括約筋の緊張を促すなどです。

膀胱に尿を多くためることができない排尿機能未熟型の夜尿症では、パップフォー、ポラキスなどの尿失禁治療薬が使用されます。成人がこれらの治療薬を用いた場合、副作用として、のどが渇く、目が乾く、排尿困難などが起こる可能性があります。 排尿機能未熟型のタイプの場合、尿意を感じた時にすぐにトイレにゆくのではなく、なるべく我慢する排尿抑制訓練も必要です。また、1日3回、肛門(こうもん)を締める運動を一緒に行うと効果的です。

尿が少し漏れるとアラームが鳴る装置を用い、排尿抑制を繰り返す夜尿アラーム療法という治療法も有効です。睡眠中の膀胱容量が増えてきますので、排尿の時間帯が遅くなってゆき、最終的には朝起きるまで排尿せずにすむようになります。

いずれのタイプの夜尿症も、基本になるのは日常生活でのケアです。例えば、夕食後は水分をあまり取らないようにし、就寝前には一切飲まないようにします。夜尿症は温度が低いことで悪化しやすいので、夏場にクーラーをつけすぎないようにします。冬は就寝前に入浴するようにし、できるだけ体を温めた状態で床に就くようにし、寝具は前もって温めておきます。また、抗利尿ホルモンという尿量を減らすホルモンは睡眠中に起こされると減ってしまうので、睡眠中には起こされないようにします。

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