京都大病院の池口良輔准教授らのチームは24日、細胞を材料にして立体的な組織をつくる「バイオ3Dプリンター」で細い管を作製、手の指などの神経を損傷した患者3人に移植する治験を実施し、神経の再生を確認したと発表しました。副作用や合併症はありませんでした。
池口准教授は記者会見で、「神経が損傷して仕事ができなくなり、苦しんでいる患者はたくさんいる。新しい治療法の選択肢になれば」と話しました。
チームによると、3人はけがで手の指や手首付近の神経を損傷した30~50歳代の男性。患者の腹部の皮膚から細胞を採取し、3Dプリンターで約6週間培養するなどして、直径約2ミリ、長さ約2センチの細い管「神経導管」を作りました。
神経の損傷部位に移植して約1年経過を観察。導管の内部を神経が伸びて再生したことを確認しました。移植した導管から神経再生を促すタンパク質が放出されるなどしたとみられます。全員仕事に復帰し「指先の感覚がほぼ通常に戻った」などと話しました。
現在は患者自身の神経を採取して移植する手術が行われているものの、採取部位に痛みが残るなどの課題がありました。また、人工神経の移植は機能再生が限定的といいます。
2023年4月25日(火)