マダニが媒介するウイルス感染症「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」の宮崎県の発生報告者数が、統計を取り始めた2013年以降、全国の自治体で初めて100人になりました。感染者100人のうち、年齢別では70歳代が最多の38人で、市町村別では宮崎市が25人と最も多くなっています。
ゴールデンウイーク期間中、キャンプやハイキングなど野外活動が増えることから、宮崎県は「5月の感染が最も多い。肌の露出をできる限り避け、感染予防に努めてほしい」と注意を呼び掛けています。
一方、宮崎市にある宮崎大学の産業動物防疫リサーチセンターは2日、マダニが媒介するSFTSにかかったペットが確認されたのが4月だけで5例と、宮崎県内で急増していると発表しました。
宮崎大学の産業動物防疫リサーチセンターでは、獣医師からの依頼を受けてペットのネコやイヌのウイルス検査を行っています。
宮崎県内では4月、SFTSと診断されたネコが5匹確認されたということです。見付かったのは、宮崎市で3匹、都城市と川南町で1匹ずつです。
これまで県内で1カ月に見付かるのは多くて1匹ほどだったため、大学はウイルスを保有するマダニが増えているのではないかとみています。
SFTSは人と動物に共通した感染症で、人が感染した場合には発熱や下痢などを引き起こし、最悪、死に至ることもあります。
西日本を中心に毎年70人以上の発症が報告され、宮崎県は患者の発生が特に多い地域だということです。
大学はペットの感染を防ぐには、虫除け剤が入ったスプレーの使用や、定期的なブラッシング、屋内での飼育が有効だとしています。
産業動物防疫リサーチセンターの岡林環樹教授は、「ネコの感染は4月に多いが、翌月には人への感染が増える傾向があるので、飼い主はペットから感染しないよう注意してほしい」と呼び掛けています。
宮崎県によりますと、県内では、2013年からの10年間に100人のSFTS患者が報告され、このうち26人が亡くなったということです。
感染したと推定される場所は県北部から南部まで広く分布しているため、県では全域で注意が必要だと指摘しています。
また、農作業や山林での作業中に感染したとみられるケースが多い一方、庭仕事や自宅周辺の散歩の最中での感染が疑われる事例もあるということです。
県は、草むらややぶなどマダニがいそうな場所に立ち入る際には、かまれないよう長袖、長ズボン、それに足を完全に覆う靴を着用して肌の露出を少なくすることを呼び掛けています。
2023年5月3日(水)