2023/05/05

🟧うつ病などの労災認定基準にカスタマーハラスメントなど追加へ 厚労省

 仕事が原因でうつ病などを発症した場合の労災の認定基準について、国は客や取引先からの迷惑行為である「カスタマーハラスメント」や「リスクを伴う感染症への対応」も心理的な負荷が大きいとして、労災の判断に際して考慮すべき類型に追加する方針です。

 仕事が原因でうつ病などの精神障害を発症したとして、労災が申請された場合に備えて、厚生労働省は心理的な負荷が大きい業務などを類型化したリストを作っており、これに該当するかを考慮して労災かどうかを判断しています。

 厚生労働省は、医師や専門家などで作る検討会で進めている労災の認定基準の見直し作業に合わせて、このリストを更新する方針です。

 この中では、顧客や取引先から商品やサービスを提供している企業の従業員に対してのクレームや迷惑行為などの「カスタマーハラスメント」のほか、「リスクを伴う感染症への対応」や「有害物質を取り扱う業務」などを新たな類型として追加することにしています。

 カスタマーハラスメントに関するトラブルが頻発していることや、感染の不安を抱えながら新型コロナの対応に当たった人が多かったことなど、最新の社会情勢や医学的知見を踏まえた対応で、労災を申請する人にとって自分が対象かどうかを確認しやすくなり、労災認定の作業の迅速化も期待されるということです。

 検討会ではこうした内容を報告書としてまとめる予定で、厚労省は報告書を踏まえて、認定基準を改正することにしています。

 2023年5月5日(金)

2023/05/04

🟧新型コロナの2020年1月以来の「緊急事態」宣言の解除検討へ WHO

 世界保健機関(WHO)は、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて出している「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」の宣言について、4日、専門家による委員会を開き、解除できるかどうか検討することにしています。

 WHOは新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、2020年1月「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言しました。

 「緊急事態」の宣言には各国で対策の強化を促す意義があり、WHOはその後、各国に対し、感染拡大を防ぐための対策をとることや、ワクチンや治療法の開発を促進し、ワクチン接種を進めること、それに変異ウイルスの監視体制を強めることなどを求め、国際的な枠組みで途上国に対するワクチンや治療薬の供給などを進めてきました。

 WHOでは、この宣言を解除できるかどうか、定期的に検討しており、4日、各国の専門家や保健当局の担当者による委員会を開き、宣言の解除について議論することになっています。前回、1月の委員会では、変異ウイルスへの懸念などから、宣言の継続が決まりました。

 WHOによりますと、今年4月26日までで世界の累計感染者数は約7億6400万人、約690万人が亡くなった一方で、ワクチンの接種回数は4月24日までで133億4000万回に上ります。新型コロナによる世界の死者数は、今年初め、中国での感染の急拡大を受けて一時増加し、その後は減少を続けていますが、過去4週間の死者数は、なおも1万人を超えているということです。

 WHOのテドロス・アダノム事務局長は4月26日の定例会見で、「今年中に緊急事態宣言を解除することに希望を持っているが、ウイルスはまだそこにある」と述べて、警戒感を示しています。

 各国で感染対策が緩和され、新型コロナが存在することを前提とした対応が進められる中、議論の行方が注目されます。

 2023年5月4日(木)

🟧アメリカのイーライ・リリーが開発中の認知症薬、病気の進行抑制に効果 アメリカや日本などの規制当局に承認申請へ

 アメリカの医薬品大手イーライ・リリーは3日、開発中のアルツハイマー病薬「ドナネマブ」について、症状の悪化スピードを遅らせる効果があったことを臨床試験(治験)で証明できたと発表しました。6月末までにアメリカ食品医薬品局(FDA)に承認に向けた申請をします。

 イーライ・リリーの発表によると、アルツハイマー病初期段階の患者1182人を対象とした治験で、効果のない偽の薬(プラセボ)を投与した患者に比べて、認知機能の低下を1年半で35%遅らせる効果がありました。同社の広報担当によると、年内に日本でも承認申請をし、2024年にも結果が出ることを予想しています。

 発表を受けて3日のアメリカ株式市場では、イーライ・リリーの株価は一時5%上昇しました。

 同社の「ドナネマブ」については、薬を少なくとも12カ月使った患者の臨床試験(治験)データが不十分だったとして、FDAが2023年1月に迅速承認プロセスを却下した経緯があります。今回の治験で十分な人数分のデータが集まったとされます。

 イーライ・リリーによると、治験で効果がみられた対象患者は、脳のスキャン画像でアミロイドたんぱくの脳内沈着とタウたんぱくが中間水準であることを示していました。ほかにタウたんぱくが高水準だった552人の患者に実施した試験では、あまり効果がない可能性が高いことが示唆されました。

 これらの両方の患者を合わせた「ドナネマブ」の試験結果で、認知機能と日常生活を送るための活動を測定するためにイーライ・リリーが開発した基準で22%、より一般的な認知症進行の基準では29%、それぞれアルツハイマー病の進行を遅らせることが可能なことを示しました。

 アルツハイマー病協会のマリア・カリーヨ最高科学責任者は、「今回のデータは、これまでのアルツハイマー病治療薬の第3相試験の結果としては最も強力だ」と評価しています。

 認知症薬を巡る競争は激化しています。1月にはエーザイとアメリカのバイオジェンが共同開発したアルツハイマー病治療薬「レカネマブ」が、FDAの迅速承認プロセスを経て承認されました。両社の治療薬は、症状の進行を27%抑える効果がありました。

 一方で、アルツハイマー病薬を巡っては、副作用も懸念されています。エーザイとバイオジェンの「レカネマブ」の治験では、患者の約13%に脳のはれ、約17%に脳出血の副作用がみられました。それに対し、イーライ・リリーの「ドナネマブ」は患者の約24%に脳のはれ、31・4%に脳出血がみられました。

 2023年5月4日(木)

🟧アメリカで高齢者向けRSウイルス感染症ワクチン承認 世界初、日本でも申請

 アメリカ食品医薬品局(FDA)は3日、発熱やせきなど風邪に似た症状や肺炎を引き起こすRSウイルス(呼吸器合胞体ウイルス)感染症に対し、イギリスの製薬大手グラクソ・スミスクラインが開発したワクチンを承認したと発表しました。対象は60歳以上の高齢者。

 グラクソ・スミスクラインによると、高齢の世代を対象としたRSウイルス感染症ワクチンの承認は世界初。今年冬の流行シーズンに間に合うよう供給します。日本でも承認申請しています。

 FDAによると、約1万2500人がワクチンの接種を受けた臨床試験で、重い症状を防ぐ効果や発症を防ぐ効果が確認できたとしています。

 一方、接種を受けた中の10人に不整脈の一つ「心房細動」が確認されたということで、グラクソ・スミスクラインが今後、調査を続けるということです。

 FDAは「RSウイルス感染症は、心臓や肺に持病がある人や免疫が弱い高齢者にとって特にリスクが高い病気で、ワクチンの承認は命を脅かす病気を防ぐという観点から重要な成果だ」としています。

 アメリカ疾病対策センター(CDC)は6月にワクチン接種について議論する諮問委員会を開催する予定で、これを踏まえてCDCが推奨すれば接種を始められます。

 RSウイルス感染症ワクチンを巡る競争は、この一年で激化しました。グラクソ・スミスクライン以外にアメリカのファイザーやモデルナもFDA承認を目指しており、ファイザーも承認についての結果が5月中に出る見通しです。モデルナのポール・バートン最高医療責任者(CMO)はFDAの承認が下りるのは「2023年後半か2024年初頭を見込んでいる」と、1月に明らかにしていました。

 アメリカ国立アレルギー感染症研究所(NIAID)の推定によると、アメリカではRSウイルス感染症が原因で、年間に約1万4000人の65歳以上の高齢者が死亡しています。世界では毎年6400万人が感染し、死亡者は16万人に上ります。

 2023年5月4日(木)

🟧東京都で新たに994人感染 新型コロナ、前週より669人減

 厚生労働省は4日、東京都内で新たに994人が新型コロナウイルスに感染していることを確認したと発表しました。1週間前の木曜日より669人減りました。

 1週間平均の新規感染者数は、4日時点で1589・4人で、前の週に比べて111・9%。

 新規感染者994人を年代別でみると、0歳8人、1~4歳6人、5~9歳14人、10歳代87人、20歳代196人、30歳代194人、40歳代153人、50歳代160人、60~64歳57人、65~69歳31人、70歳代44人、80歳代36人、90歳以上8人。重症化しやすいとされる65歳以上の高齢者は119人でした。

 入院しているのは761人で、このうち人工呼吸器か体外式膜型人工肺(ECMO<エクモ>)を使っている重症の患者は、3日と同じ6人でした。

 重症者用の病床使用率は3日と変わらず5・7%、全体の病床使用率は0・1ポイント下がって15・1%となりました。

 一方、感染が確認された2人が死亡しました。

 東京都の累計は感染者438万1260人、死者8113人となりました。

 2023年5月4日(木)

🟧全国で新たに7343人感染 新型コロナ、前週より4500人減

 厚生労働省は4日、新型コロナウイルスの新規感染者が全国で7343人確認されたと発表しました。前週の木曜日より約4500人減りました。

 また、国内で感染して亡くなった人は、大阪府で3人、愛知県で3人、大分県で2人、愛媛県で2人、東京都で2人、山口県で1人、山梨県で1人、徳島県で1人、滋賀県で1人、石川県で1人、神奈川県で1人の合わせて18人、累計で7万4614人となっています。

 都道府県別の新規感染者数の最多は東京都で994人。次いで神奈川県の591人、大阪府の500人、北海道の474人、広島県の424人、兵庫県の357人、茨城県の249人、長野県の243人、埼玉県の236人、千葉県の234人、愛知県の221人、静岡県の207人と続きました。

 また、新型コロナウイルスへの感染が確認された人で、人工呼吸器や体外式膜型人工肺(ECMO<エクモ>)をつけたり、集中治療室などで治療を受けたりしている重症者は、4日時点で71人となっています。重症者の数は、3日と比べて変わりませんでした。

 一方、北海道は4日、道内で新たに474人が新型コロナウイルスに感染し、旭川市で1人が死亡したと発表しました。日別の新規感染者数は前週の木曜日より391人少なく、4日ぶりに前週の同じ曜日を下回りました。

 道内で発表された新規感染者数は、道が207人、札幌市が121人、函館市が101人、旭川市が33人、小樽市が12人の合わせて474人です。

 このうち道が発表した感染者数を医療機関の所在地別にみますと、釧路地方が35人、石狩地方が26人、渡島地方が16人、オホーツク地方が14人、胆振(いぶり)地方が13人、後志地方が11人、空知地方が7人、十勝地方が5人、日高地方が2人、根室地方が1人、それに道の陽性者登録センターが77人となっています。

 これで道内の感染者は、札幌市の延べ56万6388人を含む、延べ136万1102人となりました。亡くなった人は4606人となっています。

 2023年5月4日(木)

2023/05/03

🟧日本のコロナ関連の論文数、G7最低の世界14位 ワクチンや治療薬開発の遅れに影響か

 新型コロナウイルスの研究で、日本の研究者が2020年~今年4月に発表した論文の数は世界14位と、先進7カ国(G7)の中で最も少なかったことが、科学技術振興機構の辻真博フェローの調査で明らかになりました。アメリカやイギリスなどに比べて研究活動が低調だったことが、ワクチンや治療薬の開発の遅れにつながったとみられます。

 辻フェローが、国際的な科学論文の検索・分析が可能な学術出版大手エルゼビアのデータベースでコロナ関連の論文数を調べたところ、2020年~今年4月に世界で発表された約45万本中、日本から発表されたのは1万476本で、国・地域別のシェア(占有率)は2・28%と世界14位にとどまりました。

 国別で最も多かったのがアメリカの10万8393本(占有率23・64%)で、イギリスの4万3288本(同9・44%)、中国の4万1833本(同9・12%)が続きました。イタリア、ドイツ、フランスのほか、コロナの感染者数や死者数がより少なかったカナダも、日本の論文数を上回っていました。

 シェアの年別推移を分析すると、日本はコロナ禍初期の出遅れが顕著で、2020年は16位でした。その後、徐々に順位を上げ、2021年は15位、2022年は13位、今年1~4月は10位となったものの3%にとどまっています。

 一方、コロナ以外の医学分野の論文数を調べてみると、2020~2023年の日本の順位は、「がん」3位、「脳神経」5位、「免疫」6位と軒並み上位で、世界トップレベルを維持していました。

 日本のコロナ研究の低調ぶりについて、辻フェローは「日本はコロナ禍前、米欧のように感染症の脅威に直接さらされてこなかったため、感染症の研究者が少なく、研究環境も十分整備されていなかった」と話しています。

 5月8日には、新型コロナの感染症法上の分類が季節性インフルエンザと同じ5類に引き下げられます。しかし、辻フェローは「新興感染症による将来のパンデミックに備え、5類引き下げ後も感染症の研究は継続する必要がある」と訴えています。

 2023年5月3日(水)

🟧国内最高齢は岐阜県土岐市の115歳女性に 明治42年生まれ

 岐阜県土岐市は6日、市内に住む明治42年(1909年)生まれの115歳の女性が国内で最高齢になったと発表しました。  土岐市によりますと、国内最高齢となったのは、市内に住む、林おかぎさん、115歳です。  林さんは明治42年の9月生まれで、世界でも最高齢とされた兵庫県芦屋市の...