2023/06/28

🟧富山化学の「アビガン」、希少疾病用医薬品に指定 マダニ感染症治療に期待 

 厚生労働省は27日までに、富士フイルム富山化学(東京都中央区)の開発した抗ウイルス薬「アビガン」を希少疾病用医薬品に指定しました。アビガンは、マダニが媒介する致死率の高いウイルス感染症への効果が期待されています。指定により国の助成や薬事承認審査の優遇措置を受けることができ、同社は実用化に向けて試験開発を進めます。

 希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)は、国内の対象患者数が5万人未満で、医療上、特に必要性が高いなどの条件を満たした医薬品。アビガンは5月29日の厚労省薬事・食品衛生審議会医薬品第2部会で指定が認められ、6月22日付で厚労相から指定を受けました。

 指定されると、薬事承認、販売に向けて、開発にかかる経費負担軽減のための助成金交付、医薬品医療機器総合機構の職員による指導・助言、試験研究費の税控除、薬事承認審査の優先措置・手数料減額、再審査期間の延長―といった国の支援を受けられます。

 インフルエンザ治療薬のアビガンは、新型コロナウイルスの治療薬としては承認を得られなかったものの、マダニにかまれて感染するウイルス感染症「重症熱性血小板減少症候群」(SFTS)に効果がある医薬品として関係者から注目されています。

 SFTSは重症化すると死亡することがあり、致死率31%とする研究もあります。国内では昨年、過去最多の118人、今年も5月14日時点で43人が感染しています。ワクチンや有効な治療薬はありません。

 富山化学の過去の臨床研究では、アビガンを投与した患者23人のうち19人が回復し、致死率が17・4%まで低下しました。

 2023年6月28日(水)

🟧消費者庁、ドミノ・ピザに景品表示法違反で措置命令 サービス料の表記不十分

 ピザを注文した際にかかる「サービス料」について、消費者にわかりにくく表示していたとして、消費者庁は大手ピザチェーンの「ドミノ・ピザジャパン」に対して、景品表示法違反で再発防止などを命じる措置命令を出しました。 

 措置命令を受けたのは、東京都品川区に本社がある大手ピザチェーンの「ドミノ・ピザジャパン」です。

 消費者庁によりますと、同社は昨年10月から今年4月までの約半年余りの間、ピザを販売する宣伝のチラシに、注文時にかかる「サービス料」について、チラシの裏側などに小さな文字で記載していたほか、持ち帰りの価格より割高になるデリバリー価格に含まれる料金だと、消費者を誤認させるような表示だったということです。

 チラシは今年4月20日現在で全国の店舗の約98%に当たる953店舗で配布されていたということで、デリバリーと持ち帰りのどちらで注文しても、さらに4%から7%程度のサービス料が加算されていたということです。

 消費者庁は、こうした表示は景品表示法に違反するとして、会社に対して27日付けで再発防止などを命じる措置命令を出しました。

 措置命令を受けたことについて、ドミノ・ピザジャパンは「消費者の皆様にご心配をお掛けいたしましたことを心よりお詫び申し上げるとともに、皆様の信頼を損なうことがないよう、再発防止策の履行に全力を挙げてまいります」とホームページで発表しました。

 2023年6月28日(水)

🟧国立がん研究センター中央病院、希少がん治療薬のオンライン治験開始へ 通院なしで参加可能 

 国立がん研究センターは26日、希少がんの患者に開発中の薬を投与する治験(臨床試験)で、センターの中央病院(東京都中央区)から遠方の患者をオンライン参加できるようにすると発表しました。中央病院には一度も通院せずにすむため、地方の患者が参加しやすくなるほか、希少がんの治療薬の開発が進むことも期待されます。

 センターによると、中央病院は3月末時点で525件のがんの治験を実施しています。これに対し、地方では大学病院でさえ治験数が1ケタの場合があるといいます。特に患者の少ない希少がんでは、治験の件数が少ない上、都市部に治験が集中しやすく、地方から参加するのに移動時間や経済面での負担が大きくなっています。希少がんの患者団体からは、地方に住む患者でも参加できるよう改善の要望が出ていました。

 今回の治験自体は四国がんセンター(松山市)や島根大病院(島根県出雲市)など国内4施設で実施され、このうち中央病院のみオンライン治験をします。治験の対象は、類上皮肉腫という手や腕などにできるがんの患者。比較的若い人に多く、国内の主な病院での患者数は2015年までの10年間で174人といいます。

 治験では、一部の血液がんで承認されている薬「タゼメトスタット」の有効性と安全性を、類上皮肉腫の患者で調べます。8月から患者登録を始める予定です。

 オンライン治験で、地方の患者は地元の病院を受診します。中央病院とはタブレット端末で結ばれており、主治医の同席のもと定期的に治験の診療を受けます。

 治験薬は中央病院から患者宅に直接送られます。血液検査や薬の効果を判定する画像検査は、地元の病院で受けます。これらの情報はクラウド上で共有されます。

 副作用が出た時には中央病院が対応し、緊急時は地元の病院も協力します。

 同じような取り組みは、愛知県がんセンターが昨年から別のがん治療薬の治験で実施しています。

 中央病院の島田和明病院長は、「オンライン治験は患者を早く集められるため、治験期間の短縮やコスト削減にもつながる」と語っています。希少がんで実績を重ねて、ノウハウを他の機関とも共有し、遠方の患者でも治験に参加しやすい環境を作ることを目指しているといいます。

 日本希少がん患者会ネットワークの真島喜幸理事長は、「希少がんは治療薬が少ない。オンライン治験が広がり、身近な医療機関から参加できるようになれば、患者の希望になる」と話しています。

 2023年6月28日(水)

🟧目の遺伝子治療薬「ルクスターナ」を国内で初承認 アメリカでは1億2000万円

 製薬大手ノバルティスファーマは26日、目の遺伝性難病の治療薬「ルクスターナ」について、厚生労働省から製造販売の承認を受けたと発表しました。先駆けて承認されたアメリカでの価格は両目で85万ドル(約1億2000万円)で、日本でも高額となることが見込まれます。

 目の病気の遺伝子治療薬が承認されたのは、国内初となります。対象は、難病「遺伝性網膜ジストロフィー」のうち、「RPE65」という遺伝子に異常がある患者。網膜の光を感じ取る機能が低下し、半数以上は10歳代後半までに失明に至るものの、これまで有力な治療法がありませんでした。

 治療では、両目の網膜下に薬を1回ずつ注射し、正常な遺伝子を細胞に送り込みます。投与対象は、網膜に光を感じ取る細胞が残っていることが条件で、同社は5年間で15人程度を見込みます。

 薬の公定価格(薬価)は今後、中央社会保険医療協議会(中医協)で審議されます。これまでの国内最高額は、全身の筋力が低下する難病「脊髄性筋委縮症」(SMA)の遺伝子治療薬で、2020年に承認されたノバルティスファーマの「ゾルゲンスマ」の1億6707万円となっています。

 2023年6月28日(水)

2023/06/27

🟧緊急避妊薬、処方箋不要に 厚労省、今夏から一部薬局で試験的販売へ

 望まない妊娠を防ぐ「緊急避妊薬」について、厚生労働省は26日、今夏にも一定の要件を満たす薬局に限定し、調査研究として試験的に処方箋なしに販売する方針を決めました。販売する薬局は各都道府県に最低1カ所設けます。購入には現在、医師の処方箋が必要で、休日や夜間に入手しにくいなどの声が上がっていました。来年3月末までの調査結果などを踏まえ、市販化の可否を判断します。

 緊急避妊薬は、性行為から72時間以内に服用すると、妊娠を防ぐ可能性が高まります。市販化に向けた機運の高まりを受け、厚労省の検討会が議論を進めています。

 厚労省は、同日開かれた検討会で試験的な販売案を提示。緊急避妊薬の調剤実績のある薬局を中心に、(1)研修を受けた薬剤師が販売(2)夜間・土日祝日の対応が可能(3)プライバシー確保のための個室がある(4)近隣の産婦人科医などと連携できる、などの要件をもとに選定・公表する方針です。実際に販売する薬局は今後、日本薬剤師会など関係団体と詰めます。

 調査研究では、薬局が販売時に購入者へ説明や指導ができたかや、購入者へのアンケートで避妊の結果や産婦人科受診の有無などを確認し、市販化に向けた対応策の検討に生かします。

 緊急避妊薬は「レボノルゲストレル」というホルモン剤を成分とする錠剤の薬で、排卵を遅らせる作用などがあり、性行為から72時間以内に1回服用することで、80%以上の確率で妊娠を防げるとされています。

 副作用は子宮からの出血や頭痛などが報告されていますが、重大なものはないとされています。

 厚労省の専門家の検討会で示された資料によりますと、海外では約90の国や地域で、医師の処方箋がなくても薬局などから購入できるということです。

 また、購入にかかる費用はイギリスやアメリカなど7カ国のデータでは、日本円で約6000円以下ですが、日本では平均で約1万5000円となっています。

 2023年6月27日(火)

🟧新型コロナ重症患者の人工呼吸器を2分間停止 大阪府立病院医師「同意得ようと」

 東大阪市の大阪府立中河内救命救急センターで2021年3月、男性医師が新型コロナウイルス感染後に重症化した男性患者の人工呼吸器を約2分間故意に停止し、患者を重篤な状態に陥らせていたことが、明らかになりました。

 患者との間に人工呼吸器の装着方法を巡る意見の相違があったといい、医師は病院に「命の危険はなく同意を得るために許される範囲だと考えた」と説明。病院は「重大な倫理違反がある」として、患者に謝罪しました。

 府などによると、患者は60歳代(当時)で集中治療室に入院し、口からのどに管を通す形で人工呼吸器を装着していました。40歳代(当時)の男性医師は細菌感染で起きる肺炎などの合併症を防ぐため、気管の一部を切開して管を入れる方法への変更を患者に提案。しかし、説明不足から患者の理解が得られず、同意を得る目的で人工呼吸器を停止させたといいます。

 患者は血液中の酸素濃度が90%を下回るなど重篤な状態に陥り、人工呼吸器を再開後に回復しました。翌日には気管切開して挿管し、現在は退院して社会復帰しているといいます。

 この問題を受けて病院が設置した倫理委員会は、「装着方法の変更という目的自体は不適切といいがたい」とした上で、医師と患者の間で「『呼吸器止めてみます?』『止めてみろ』と売り言葉に買い言葉のようなやりとりがあった」と指摘。「患者の自由意思による決定とはいいがたい。故意に苦痛を与える行為で重大な倫理違反がある」と結論付けました。 病院を管理する市立東大阪医療センターは2021年12月、この医師を戒告の懲戒処分にしていますが、男性医師は処分の撤回を求める裁判を起こしています。

 2023年6月27日(火)

🟧医療承認を得ずに、インフルエンザに効くとうたいミネラルウオーターを販売 女性社長ら3人不起訴、千葉地検

 千葉地検は26日、医薬品としての承認を受けていないミネラルウオーターをインフルエンザに効くとうたって販売したとして、医薬品医療機器法違反(承認前医薬品の広告、無許可販売業と貯蔵の禁止)の疑いで逮捕された東京都文京区の飲料水販売会社「超ミネラル総研」社長の女性(76)=千葉市稲毛区=と、同社社員の男性2人(51歳と55歳)を不起訴処分としました。地検は不起訴の理由を明らかにしていません。

 千葉区検は同日、同社と同社社員の男性(57)を同法違反の罪で略式起訴しました。千葉簡裁は同社に罰金100万円、追徴金270万8770円の略式命令を出し、同社は即日納付しました。男性にも罰金50万円の略式命令が出されました。

 起訴状によると、昨年3~6月、インフルエンザウイルスを不活性化させる効果があるなどと自社のウェブサイトで広告したミネラルウオーターを、代理店に計約321万4000円分販売したとされます。

 2023年6月27日(火)

🟩20歳代男性がレプトスピラ症に感染 茨城県内で5年ぶり確認

 茨城県は15日、県内の20歳代男性が、重症化の恐れがある感染症「レプトスピラ症」と確認されたと発表しました。男性は腎不全などで10月16日に入院したものの、すでに回復し、退院しています。茨城県内での確認は5年ぶり。渡航先のタイで感染したとみられます。  県感染症対策室によると...