北朝鮮当局が7月に入り、新型コロナウイルス対策として取っていた屋内外でのマスク着用義務を解除したもようです。テレビ画面や新聞の写真から、住民がマスクを着用していない姿が確認されました。アメリカ政府系のラジオ自由アジア(RFA)は、北朝鮮当局がマスク着用義務を7月1日に解除したと報じました。
朝鮮中央テレビでは2日から、屋内でマスクを着けていない住民の姿が見られました。3日には北東部の咸鏡北道の劇場で、マスクを着用していない数百人の若者がびっしりと着席している様子が映し出されました。6月30日にはまだ、屋内の行事で全員がマスクを着けていました。
朝鮮労働党機関紙の労働新聞を見ると、6月30日付け紙面に掲載された平壌樹脂鉛筆工場の写真では、写っている5人全員がマスクを着けています。一方、7月4日に掲載された咸鏡北道出版物管理局の写真の8人は誰も着用していません。咸鏡北道革命史跡館と金正淑平壌紡績工場の写真にも、マスクを着けた住民は見当たりません。
ただし、新型コロナ防疫に従事する人と田で農薬をまく農業従事者は、マスクを着けています。
RFAは西部・平安北道在住の消息筋の話として、6月30日に住民に対しマスク着用義務を7月1日付けで解除するとの指示が出されたと伝えました。国家非常防疫司令部が各道の防疫指揮部に着用義務解除を指示し、道内の工場や企業所、機関、社会団体、住民に伝達されたといいます。
だが、着用義務の解除は一時的な措置の可能性もあります。RFAによると、当局は解除を公示した際、夏場のマスク着用による皮膚と目の不調・病気が広がることを懸念した臨時措置と説明しました。
昨年5月から新型コロナウイルス感染者が急増した北朝鮮では、同年8月に金正恩朝鮮労働党総書記が新型コロナに「勝利した」と宣言し、マスク着用の義務はいったん解除されました。しかし、翌9月下旬から当局は再び全住民にマスク着用を求めていました。
北朝鮮は感染対策として、2020年1月末から国境を越える人の往来を厳格に統制しており、この措置が緩和される見通しは立っていません。
2023年7月5日(水)