2023/09/16

🟧入院補助を月1万円に減額、高額薬に自己負担導入 新型コロナの患者支援を10月から縮小

 厚生労働省は15日、新型コロナウイルス患者への支援を10月から縮小すると正式に発表しました。現在は最大で月2万円の入院費の補助を半額の最大1万円に減額します。現在は全額公費で支援している新型コロナの高額薬に自己負担も導入します。10月に現行の支援を縮小して平時の対応に大きく近付け、2024年4月にすべてを廃止する方向で調整します。

 新型コロナは2023年5月8日に、季節性インフルエンザと同じ感染症法上の5類に分類を変更しました。現行の支援策は9月末が期限で、今夏の感染状況を見極めた上で10月以降の方針を決めるとしていました。

 新型コロナの治療薬は患者の窓口負担割合に応じて、自己負担の金額を定めます。3割負担の人は9000円、2割の人は6000円、1割の人は3000円で一律とします。

 コロナ治療薬は高額で、重症化リスクがある人を対象にした「パキロビッドパック」は治療1回につき9万9000円かかります。負担を嫌がって受診を控えることで患者の重症化を招かないよう、急激な負担増を避けました。

 医療機関への支援も縮小します。コロナ患者向けの病床を確保した医療機関に支払う病床確保料をこれまでの8割の額に減らします。感染者数がピーク時の3分の1を超えるなど流行期のみ支給し、対象も重症と一部の中等症の入院患者に絞ります。コロナ患者を診た場合の診療報酬の特例上乗せも、大幅に減額します。

 コロナ感染は足元で予断を許さない状況にあります。厚労省の発表によると、10日までの1週間に定点医療機関1カ当たりで確認された感染者数の平均は前週比0・98倍の20・19人と横ばいでした。九州では8月に感染のピークを迎えて現在は減少傾向にあるものの、関東では感染拡大が続きます。

 東邦大学の舘田一博教授は今回の支援策の見直しについて、「重症化リスクの高い高齢者らを守る視点が重要で、政府には状況を見ながら柔軟な対応をとってもらいたい」と語っています。

 2023年9月16日(土)

🟧全国で早くもインフルエンザが異例の拡大 沖縄県は夏季で4年ぶりの注意報発令

 全国でインフルエンザ感染が異例のスピードで拡大しています。沖縄県は夏季では4年ぶりとなる注意報を発令し、例年より2~3カ月程度早く9月に流行期に入った自治体も続出しています。免疫力の低下や、今年5月からの新型コロナウイルスの5類移行による人流の活発化などが、背景にあるとみられます。

 厚生労働省の統計によると、コロナ禍で外出自粛などが行われた2020年、2021年はインフルエンザの流行は収まっていたものの、昨年12月から状況が変化。全国の定点医療機関から報告された1機関当たりのインフルエンザの患者数は、流行の目安とされる1人を超える状況が続いています。

 今年9月10日までの1週間は、前週比75%増の4・48人に上りました。都道府県別で最も多いのは沖縄県で、13・43人。基準値とされる10人を超えたことから、県は14日に「インフルエンザ注意報」を発令しました。

 インフルエンザの型の内訳は、「A型」が最も多く630人、「B型」が3人、「不明」が92人となっています。また、年齢別でみますと、5歳から9歳が最も多く189人、次いで10歳から14歳が183人などとなっていて、10歳代以下の感染が全体の8割近くを占めています。

 福井県では1・41人の患者が報告されました。前週の倍近くに増え、流行期に入りました。9月に流行期に入るのは6年ぶりで、例年より2カ月早いといいます。

 高知県も前週の5倍超の3・11人に急増し、流行期入り。県内の乳幼児施設では園児など10人が感染し、集団発生が確認されました。

 東邦大学の舘田一博教授(感染症学)は、「インフルエンザにかからずに免疫力が低下していることに加え、人の動きが活発化して感染リスクが高まっている」と指摘。「コロナとインフルエンザを同時に検査できるようになって、インフルエンザの流行が見えやすくなった」とも語ります。その上で、手洗いやうがいなどの基礎的な予防対策を呼び掛け、「発熱したら医療機関を受診し、投与薬を活用してほしい」としています。

 2023年9月16日(土)

🟧東京都、卵子凍結保存に最大30万円を助成へ 今月25日から受け付け開始

 将来、妊娠を望む人を支援しようと、東京都は健康な女性などが卵子の凍結保存を行う際の支援策を取りまとめ、最大30万円を助成することとなりました。

 1人の女性が産む子供の数の指標となる昨年の東京都の出生率は全国で最も低い1・04で、都は、今年度、少子化対策の充実に向けて妊娠や子育てなどを切れ目なくサポートする取り組みを進めています。

 この一環として、将来、妊娠を望む人を支援しようと、健康な女性などが卵子の凍結保存を行う際の支援策について検討を進めてきましたが、このほど、具体的な内容をまとめました。

 それによりますと、都が指定する医療機関で卵子の凍結保存を行った場合、最大30万円を助成します。

 対象は18歳から39歳までの都民で、助成を受けるには、卵子凍結のメリットとデメリットを理解するため、都が実施する説明会に参加するとともに、都の調査に対し継続的に協力する必要があるということです。

 また、夫婦で43歳未満の妻が凍結した卵子での妊娠に向けて治療を受ける場合、1回につき25万円を上限に最大6回までが助成されるということです。

 さらに、卵子凍結を行うための通院などで女性が仕事を休む場合に備え、休暇制度などを整備した企業にも20万円の助成を行います。

 都は9月25日から説明会の受け付けを始め、10月中旬に指定の医療機関の一覧を公表する予定です。

 東京都の小池百合子知事は記者会見で、「子供を持ちたい希望を持っているが、一生懸命働いていると、すぐに年月がたってしまい、『私はどうしよう』と迷う女性はとても多い。そういう中で、1つの選択肢としてバックアップしていこうというものだ。人生の選択を、いろいろな形でできるように後押しをしていきたい」と述べました。

 2023年9月16日(土)

🟧東京都、コロナとインフルエンザが同時に流行 コロナ患者数は「第8波」ピーク時の8割に

 東京都は14日、新型コロナウイルスとインフルエンザの同時流行が進んでいると、感染症対策連絡会議で明らかにしました。新型コロナの患者報告数は、第8波のピーク時の8割近くに達し、オミクロン型から派生した変異型「EG・5(通称・エリス)」が主流となりつつあります。一方、インフルエンザは季節外れの流行で、この時期としては過去最多の報告数になりました。専門家は手洗いなど基本的な対策を講じるよう呼び掛けています。

 都によると、新型コロナの直近1週間(4~10日)の1定点医療機関当たりの患者報告数は16・36人。感染症法上の5類移行後で最多だった前週は17・01人で、専門家は「横ばい」と評価しました。

 昨年末から今年初めにかけての第8波では、医療機関当たりの報告数の最多は19・78人で、1日当たりの感染者数の最多が2万2063人に達しました。東京都医師会の尾崎治夫会長は12日の会見で、現在の感染者数が「1万5000人規模と想定される」と懸念を表明していました。

 ゲノム解析結果では、変異型「エリス」が前週から4・8ポイント増加し、39・8%と主流になっています。エリスは感染力がこれまでの型より高いものの、重症化リスクは低いとみられます。

 インフルエンザは直近1週間の患者報告数が5・95人で、流行開始の目安となる1・0人を大幅に超えました。冬場に流行することが多く、9月のこの週の報告数としては1999年の統計開始以来過去最多となりました。

 都内では直近1週間で計53の小中高校で学級閉鎖などの臨時休業になり、東京感染症対策センターの賀来満夫所長は「換気や手洗いなどの基本的な感染対策を心掛けて」と訴えました。

 このほか、救急隊が5つの医療機関から患者受け入れを断られるか、20分以上搬送先が決まらない「東京ルール」の適用件数(7日間平均)は、150・4件と高水準。都病院協会の猪口正孝会長は、「救急医療が逼迫(ひっぱく)する事態も一部で生じている」と述べました。

 2023年9月16日(土)

2023/09/15

🟧100歳以上の高齢者、9万2139人 53年連続で過去最多を更新、女性が88・5%

 全国の100歳以上の高齢者は9万2000人余りで、53年連続で過去最多を更新しました。

 厚生労働省は、9月1日時点の住民基本台帳をもとに、国内に住む100歳以上の高齢者の数を公表しました。

 それによりますと、老人福祉法で「老人の日」と定めた15日までに100歳以上になった人は、全国で合わせて9万2139人で、昨年から1613人(男性185人、女性1428人)増えました。1970年(昭和45年)の310人から53年連続で最多を更新しています。

 性別では男性が1万550人、女性が8万1589人で、全体の88・5%を女性が占めています。

 国内の最高齢は大阪府柏原市に住む女性の巽フサさんで、1907年(明治40年)4月25日生まれの116歳です。また、男性の最高齢は千葉県館山市に住む薗部儀三郎さんで、1911年(明治44年)11月6日生まれの111歳です。

 また、人口10万人当たりの100歳以上の高齢者数は73・74人。都道府県別では、島根県が155・17人と11年連続で最も多く、次いで、高知県が146・01人、鳥取県が126・29人でした。一方、最も少なかったのは、34年連続で埼玉県で44・79人、次いで、愛知県が47.69人、千葉県が50・22人でした。

 今年度中に100歳を迎える人は、海外に住む日本人や国内に永住する在日外国人も含めると、4万7107人(前年度比1966人増)で、厚生労働省は長寿を祝って記念品を送ることにしています。

 2023年9月15日(金)

🟧新型コロナ感染状況、前週の0・98倍 ほぼ横ばいも感染対策徹底を

 新型コロナウイルスの全国の感染状況は、9月10日までの1週間では1つの医療機関当たりの平均の患者数が20・19人で、前の週の0・98倍となっています。

 厚生労働省は、「緩やかな増加傾向が続いていて、前の週からは減少したもののほぼ横ばいだといえる。引き続き感染対策を徹底してほしい」としています。

 厚生労働省によりますと、9月4日から10日までの1週間に全国約5000の定点医療機関から報告された新型コロナの患者数は、前の週から1545人減って9万9744人となりました。また、1つの医療機関当たりの平均の患者数は20・19人で、前の週の0・98倍となりました。

 都道府県別では、多い順に宮城県が32・47人、岩手県が29・87人、千葉県が27・45人、埼玉県が26・95人、石川県が25・65人、栃木県が25・51人、茨城県が25・43人、岐阜県が24・24人、福島県が24・13人、秋田県が23・88人、愛知県が23・84人、静岡県が23・83人、新潟県が23・53人、富山県が22・13人、長野県が21・74人、神奈川県が21・43人、宮崎県が21・03人などとなっていて、25の府県で前の週より増加しています。少ないのは沖縄県が12・26人、香川県が13・09人、大阪府が14・62人、和歌山県が14・96人、広島県が15・02人。

 このほか、9月10日までの1週間に新たに入院した人は全国で1万1566人で、前の週と比べて1744人の減少となりました。

 厚生労働省は全国の流行状況について、「新型コロナの5類移行後、緩やかな増加傾向が続いていて、前の週からは減少したもののほぼ横ばいだといえる。年齢別では20歳未満が増加している一方でそれ以外は減少していて、学校再開などの影響が続いているとみられる。引き続き、感染対策を徹底してほしい」としています。

 2023年9月15日(金)

2023/09/14

🟧「レプトスピラ症」が集団発生、沖縄・西表島の河川でカヌーの10歳代男性4人 過去に死亡例も

 沖縄県は12日、西表島の河川で8月にカヌーをした石垣市在住の10歳代男性5人のうち4人から、重症化すると腎機能障害などで死亡するリスクもある、レプトスピラ症の集団発生が確認されたと発表しました。 

 沖縄県ワクチン・検査推進課によると、男性らが8月21日にカヌーをした際、遊泳したり河川の水が口に入ったりしたといいます。その後、発熱や頭痛、腎不全などを発症したため入院。2人は現在も治療が続いています。

  細菌の病原性レプトスピラは、ネズミやマングースなどの野生生物の腎臓に潜み、排せつされた土壌や水に触れた皮膚の傷や粘膜を通して感染します。3日から2週間程度の潜伏期間を経た後、高熱や頭痛、筋肉痛などの症状が出るほか、重症化すると腎機能障害などで死に至るリスクもあります。

 沖縄県内では、レプトスピラ症で昨年70歳代の男性が発熱や腎不全などの症状が出て死亡したほか、一昨年は感染者が11人確認されています。

 県は、傷がある場合は河川での遊泳を控える、河川や滝の生水は飲まない、河川に入ったり、土壌に触れたりする時は肌を露出しないなどを呼び掛けています。

 また、初期の症状が風邪に似ていることから、数日の間に川などに行った経験があれば、受診する際に医師に話して早期の治療につなげてほしいとしています。

 2023年9月14日(木)

🟥「エコーウイルス11型」感染、厚労省が調査開始 昨年に新生児3人死亡

 昨年、風邪の原因となるエコーウイルス11型に感染した新生児3人が死亡する事例があり、厚生労働省は今年2月から実態調査を始めました。日本小児科学会も昨年12月に医療従事者向けの注意喚起を出しています。  エコーウイルス11型は、感染しても無症状のこともあるものの、風邪症状や、ま...