足元で、のどの炎症や結膜炎などの症状が出る「咽頭結膜熱」、いわゆるプール熱の流行が拡大しています。国立感染症研究所がまとめた4日から10日までの1週間(第36週)の定点医療機関当たりの報告数は、過去10年間で最も多くなっています。患者が増加傾向の自治体では、手洗いなどの感染予防の徹底を求めています。
国立感染症研究所によりますと、9月10日までの1週間に全国約3000の小児科の定点医療機関から報告された患者の数は、前の週から900人余り増え、3964人でした。
1医療機関当たりの患者数は1・26人と、前の週よりも0・29人増え、過去10年で最も多くなっています。
都道府県別では、大阪府が3・92人で最も多く、福岡県(3・72人)、沖縄県(2・65人)、奈良県(2・59人)、茨城県(2・53人)、京都府、愛媛県(ともに2・49人)、佐賀県(2・17人)、兵庫県(2・12人)、大分県(1・81人)などが続きました。
大阪府では2週連続で警報基準値(3・0人)を上回りました。福岡では3週連続で増加し、第36週に警報基準値を超過しました。福岡県感染症情報センターは週報で、手洗いやうがいをしたり、感染した人との密接な接触(タオルなどは別に使う)を避けたりするといった感染予防を呼び掛けています。
咽頭結膜熱は、アデノウイルスによる急性ウイルス性感染症で、のどの炎症や発熱、結膜炎の症状が出ます。プールでの感染も多いことから「プール熱」とも呼ばれ、主に夏場に流行します。感染経路は主に接触感染や飛沫感染で、タオルやドアの取っ手、エレベーターのボタンなど患者が触れたものを介してうつり、保育園、幼稚園、小学校などで小児の集団発生も少なくありません。
子供の感染症に詳しい、国立病院機構三重病院の谷口清州院長は、「夏休みの時期にウイルスが全国に広がり、その後学校が再開したことで急増しているとみられる。流行はしばらく続く可能性があり、おう吐や強い頭痛の症状や、食事や水分がとれないなどの様子がある場合は医療機関を受診してほしい」と話しています。
2023年9月19日(火)