2024/04/15

🟧国立健康危機管理研究機構、2025年4月に設立へ 厚生労働省

 厚生労働省は、新たな感染症の流行に備えた専門組織「国立健康危機管理研究機構」を来年4月に設立する方針を決定しました。

 政府は、新型コロナウイルスへの対応を教訓に新たな感染症の流行に備えて、病原体などを研究する「国立感染症研究所」と、感染症の治療などに当たる「国立国際医療研究センター」を統合し、患者の診療と基礎研究などを一体的に行う「国立健康危機管理研究機構」を設立する予定で、設立時期や具体的な組織体系についての検討を進めてきました。

 9日、厚労省が、関係者や有識者からなる準備委員会の会合を開き、来年4月に設立することなどを盛り込んだ方針を決定しました。

 機構はアメリカの疾病対策センター(CDC)をモデルとし、機構の略称については「JIHS(ジース)」として、指揮命令系統を強化するため内部に「危機管理総局」を設置して対応に当たるとしており、平時から国内外の感染症の情報を収集し、厚労省などに定期的に報告するとしています。

 また、感染拡大時には研究開発や医療支援の部門などとも連携し、薬やワクチンなどの開発につなげるほか、診療対応の手引きなども策定するとしています。

 会合で、武見敬三厚労相は「新たな機構は世界をけん引する『感染症総合サイエンスセンター』であることが求められる。感染症に不安を抱くことのない社会の実現に向けた第一歩となるようにしたい」と述べました。

 2024年4月15日(月)

2024/04/14

🟧2023年大気汚染度、日本は世界96位 清浄さではアジア首位に浮上

 スイスの空気清浄器メーカー「IQエアー」がこのほど発表した2023年世界大気汚染度ランキングで、日本は汚染濃度の高さが96位でした。世界保健機関(WHO)の安全基準値を超え、前年から順位が1つ上がり、汚染は悪化しました。ただ、日本は大気の清浄さを示す汚染濃度の低さで世界39位、アジアでは前年の2位から首位に浮上しました。

 ランキングは134の国・地域が対象で、大気汚染の主な原因となる微小粒子状物質「PM2・5」の濃度を調査しました。日本は大気1立方メートル当たりの年間平均濃度が9・6マイクログラム。WHOの基準値は5マイクログラム以下で、基準を満たしたのは10カ国・地域にとどまりました。

 汚染濃度が最も高い首位はバングラデシュの79・9マイクログラム。2位はパキスタンの73・7マイクログラム、3位はインドの54・4マイクログラムと上位3位を南西アジア勢が占めました。

 2024年4月14日(日)

2024/04/13

🟧日本人の人口83万人減、過去最大 日本の総人口は13年連続マイナス

 2023年の日本の総人口は推計で1億2435万2000人と前の年より60万人近く減り、13年連続で減少しました。一方、75歳以上の人口は初めて2000万人を超え、総人口に占める割合は16・1%と過去最高となりました。

 総務省は、昨年10月1日現在の人口推計を発表し、外国人を含めた日本の総人口は1億2435万2000人で、前の年よりも59万5000人、率にして0・48%減りました。

 日本の総人口は、2011年以降、13年連続の減少となり、減少幅、減少率ともに前の年よりも拡大しています。

 また、外国人を除いた日本人の人口でみると1億2119万3000人で、前の年と比べて83万7000人、率にして0・69%の減少となりました。比較可能な1950年以降で、減少幅、減少率ともに過去最大となっています。

 日本の総人口は、戦後、増加傾向が続き、1967年に初めて1億人を突破します。そして、1974年には1億1000万人を、1984年には1億2000万人を超えます。2008年には1億2808万4000人とピークを迎えます。その後は減少傾向に転じ、2011年以降は、13年連続で減少しています。

 総人口を年齢区分別にみると、65歳以上が3622万7000人で、総人口に占める割合は0・1ポイント上がって29・1%と過去最高となりました。

 さらに、75歳以上の人口は2007万8000人で、71万3000人増えて、初めて2000万人を超え、総人口に占める割合は0・6ポイント上がって16・1%と過去最高となっています。

 一方、15歳未満の人口は1417万3000人で、割合は前の年よりも0・2ポイント下がって、11・4%と過去最低となり、少子高齢化がいっそう進んだ形となりました。

 また、15歳から64歳の「生産年齢人口」は7395万2000人で、前の年より25万6000人減ったものの、総人口に占める割合は、過去最低だった前の年を0・1ポイント上回って59・5%となりました。

 2024年4月13日(土)

2024/04/12

🟧1人暮らしの世帯、2050年に44・3%に 未婚の高齢者急増、厚労省の研究機関推計

 日本の1世帯当たりの人数が9年後の2033年には平均1・99人と初めて2人を下回るという推計を厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所が発表しました。背景の1つには、結婚をしない人の増加があるとみられ、高齢化が進む中で同居する家族がいない高齢者を、どう支えていくかが課題となっています。

 国立社会保障・人口問題研究所は5年に1度、国勢調査を基に将来の日本の世帯数などを推計しており、今回、2050年までの予測を発表しました。

 それによりますと、全世帯に占める「1人暮らしの世帯」の割合は2020年の38%から増加を続け、2050年には44・3%と30年間で6・3ポイント増える見通しです。

 これに伴って1世帯当たりの人数は、2020年の平均2・21人から減り続けて、9年後の2033年には1・99人と初めて2人を下回り、その後、2050年には1・92人にまで減少すると推計しています。

 特に1人暮らしの65歳以上の高齢者が急増する見通しで、高齢者全体に占める1人暮らしの割合は、2050年には、男性が26・1%と30年で10ポイント近く、女性も29・3%と5ポイント以上、増加すると予測しています。

 こうした背景の1つには、近年の結婚をしない人の増加があるとみられ、2050年には、1人暮らしの高齢者のうち、未婚の割合は、男性で59・7%と6割に上り、30年で26ポイント増加すると推計しています。一方、女性も30・2%と18ポイント余り増えると推計しており、同居する家族がいない1人暮らしの高齢者を、どう支えていくかが課題となっています。

 推計を行った国立社会保障・人口問題研究所の藤井多希子室長は、「現在、50歳前後の団塊ジュニア世代は未婚者の割合が高く、このまま高齢化すると身寄りのない人が増えていく。1人暮らしの高齢者を支えるためには介護だけでなく、金銭の管理や意思表示など日常生活をサポートする仕組みを早急に考えていく必要がある」と話しています。

 2024年4月12日(金)

2024/04/11

🟧PFAS、飲み水の濃度基準決定 アメリカ環境保護局、日本より大幅に厳しく

 発がん性が指摘される有機フッ素化合物「PFAS(ピーファス)」を巡り、アメリカ環境保護局(EPA)は10日、飲み水の濃度基準を最終決定しました。強制力を伴った全国基準は初。PFASは数千種類ある物質の総称で、代表的な「PFOS(ピーフォス)」と「PFOA(ピーフォア)」は各1リットル当たり4ナノグラムと、世界的にも厳しい水準に設定しました。アメリカが大きく踏み込んだことで、日本での今後の見直し議論に影響する可能性もあります。

 この2物質については安全な摂取量は存在しないとして、強制力のない目標値はゼロと決定。現実的に検査や削減が可能な規制値として1リットル当たり4ナノグラムを採用しました。日本は水道水や河川など環境中の水についてPFOSとPFOAの合計で1リットル当たり50ナノグラムを暫定目標値としています。

 EPAは、「PFNA(ペルフルオロノナン酸)」や「PFHxS(ペルフルオロヘキサンスルホン酸)」など他の種類についても、1リットル当たり10ナノグラムとするなど規制を設けました。

 国内6万6000カ所の公共水道は今後3年以内に汚染状況の監視と公表をするよう義務付けられ、規制値を超えた場合は削減措置を実施します。最大10%程度の事業者で対応が必要になるとみています。事業者らの検査・処理体制確立のため各州に資金支援します。

 PFASを巡っては、沖縄県内ではアメリカ軍普天間飛行場や嘉手納基地など基地周辺の湧き水や河川などから日本の暫定指針値を超える値が検出されています。2023年度に初実施された県の全県調査では、土壌でも全市町村から検出されました。本島の中部河川から高濃度の値が検出されたため取水を停止していた北谷浄水場は、水不足のため取水を再開しています。

 2024年4月11日(木)

2024/04/10

🟧大正製薬が内臓脂肪を減らす「アライ」発売 市販薬で肥満対策、日本でも

 9日に上場廃止となった大正製薬ホールディングス(HD)は、非上場後の注力分野として8日に、内臓脂肪を減らす市販薬「アライ」を発売しました。体内で脂肪の吸収を阻害する仕組みの治療薬です。海外では市販薬として販売されていますが、肥満を改善する医薬品の販売が日本でもようやく始まりました。大正製薬HDはアライなど市販薬の製品群を拡充し成長を目指します。

 アライは体内の脂肪の吸収を抑えることで、内臓脂肪の蓄積を阻害します。食事中に含まれる脂肪の約25%を吸収せずに排出します。体重減少効果は3%程度で限定的ながら、摂取カロリーを抑えることができるようになります。成分の「オルリスタット」は、1999年に医療用としてアメリカで承認され、2007年に市販薬として販売されました。ヨーロッパやアジア各国でも薬店で一般販売されています。

 日本では、武田薬品工業が2013年に同様の仕組みの「オブリーン」を医療目的の肥満症薬として製造販売承認を取得したものの、薬価がつかず販売されませんでした。今回のアライは肥満症ではなく、内臓脂肪減少という形で一般用医薬品(OTC)として販売されることになりました。

 副作用もあり、油分を便として排出するため、下痢や軟便などが起きます。大正製薬は服用に際して、「おむつ」や「便漏れパッド」などの着用を推奨しています。

 購入条件も厳しく、服用できるのは18歳以上の成人で、男性は腹囲が85センチ以上、女性は90センチ以上で、さらに体格指数(BMI)35未満の人が対象となります。BMI25以上で、脂質異常症や高血圧といった疾患を持つ人や妊娠中・授乳中の女性は使用できません。

 また、初回購入時は3カ月以上にわたって食事や運動といった生活習慣の改善に取り組んでいることや、購入1カ月前の食事・運動の内容、体重や腹囲を記録しておくことも条件となるため、気軽に購入・使用を始めることはできません。

 日本肥満学会は、BMIが25以上の状態を「肥満」と定め、BMIが25以上で高血圧や糖尿病などの合併症があり、医学的に減量を必要とする状態を「肥満症」と定めています。肥満症の人は、アライの対象外となります。

 もっとも肥満症に対してはオルリスタットとは違う仕組みのGLP−1というタイプの治療薬が登場し、デンマークのノボノルディスクの肥満症治療薬「ウゴービ」が医療用として処方が始まっています。欧米では肥満症の「特効薬」として普及が進んでいます。さらに新たな治療薬候補の開発を巡ってM&A(合併・買収)などの動きも活発化しています。

 大正製薬HDは非上場化後の戦略の1つとして海外での有望なOTCブランドの買収などで品ぞろえを増やし、自社のネット販売サイトにも積極的に投資していく考えのようです。

同社は上場廃止で「中長期的な視点から抜本的かつ機動的な施策に取り組む」と説明しており、主力の「リポビタン」などに加え、アライなどの自社製品を増やすことで成長を目指す考えです。

 2024年4月10日(水)

2024/04/09

🟧子供への頭部磁気刺激治療の実施は不適切 専門の学会が声明を発表

 18歳以上のうつ病患者を対象に公的な保険が適用されている「反復経頭蓋磁気刺激法(rTMS)」という頭部を磁気で刺激する治療法について、専門の学会は、一部の医療機関が発達障害に有効だとして、子供に対しても実施しているとして、子供への有効性と安全性は確かめられておらず実施は不適切だとする声明を発表しました。

 rTMSは、専用の医療機器で頭部に繰り返し磁気的な刺激を与えて脳の特定の活動を変化させる治療法で、薬による治療で十分な効果が認められない18歳以上のうつ病患者に対して公的な保険が適用されています。

 この治療法について、子供の精神医学の専門家などで作る「日本児童青年精神医学会」は声明を発表し、一部の精神科クリニックが「発達障害に有効」だとして、18歳未満の子供に対しても保険が適用されない「自由診療」で実施しているとして、「子供に対する有効性と安全性のエビデンスは不十分であり、発達障害などに、この治療法を実施することは適切ではない」という見解を示しました。

 声明では、この治療法は別の専門学会の指針で、18歳未満には実施すべきではないと明記されているとした上で、「まれに、けいれん発作が起きることもあり、決して副作用のない治療法ではない」と指摘しています。

 そして、臨床試験で安全性などを確認しないまま、子供に対して実施することは「非倫理的で危険性を伴う」としました。

 学会の岡田俊代表理事は、「安全性や効果が十分に確認されていない治療法に、子供をゆだねることは危険にさらすことにもなる。まずは、効果と安全性を検証することが大事だ」と話しています。

 2024年4月9日(火)

🟧インフルエンザ感染者、1医療機関当たり35・02人 全国的に警報レベル続く

 厚生労働省は17日、全国約5000カ所の定点医療機関から直近(1月6~12日)の1週間に報告された季節性インフルエンザの感染者数が、1医療機関当たり35・02人で、年末年始で多くの医療機関が休みだった前の週の33・82人から増加したと発表しました。警報レベルとなる30人を依然...