2025/05/16

🟩鳥取大病院がロボット手術でミス 障害残った男性に和解金1億5000万円

 鳥取大学医学部付属病院(鳥取県米子市)で、胸部の腫瘍(しゅよう)をロボット支援手術で切除した際に医師のミスで首の動脈を損傷し重い障害が残ったとして、米子市に住む20歳代の男性が同大を相手取り損害賠償を求めていた訴訟で、14日、鳥取地裁米子支部(三島琢裁判長)で大学側が1億5000万円を支払うことで和解が成立しました。

 訴状や原告側代理人の高橋真一弁護士によると、男性は胸部の悪性腫瘍のため、2019年4月、同病院でロボットによる胸腔(きょうくう)鏡手術を受けました。その際に医師が電気手術鉗子(かんし)を深く挿入し過ぎて、首の動脈を損傷し、大量出血したといいます。腫瘍は切除されたものの脳に障害が残りました。現在は簡単な会話しかできない、話す・書く・計算に支障が出る、マンガを読んでも内容が理解できない、などの状態で、障害等級4級。通常の就労はできないといいます。

 高橋弁護士によると、病院側はミスを認めて謝罪し、当初2000万円の解決金を提示しました。男性側は「極めて不十分」として提訴しました。

 高橋弁護士は会見で、「ロボット手術とはいえ、人間が行うものでミスは起き得るとの再認識が必要。ロボットを否定する考えはない。また、病院側が提示する補償額をそのまま受け入れてはならないことを知ってほしい」と述べました。

 男性の家族のコメントも発表しました。「手術の際は事前に十分な準備を行いリスクを下げて行ってほしい。二度とこのような医療事故が起こらないことを願っている」としています。

 病院は、「和解したことは事実だが、相手があることなので詳細は控える。再発防止に努めるとともに、今後とも安全で質の高い医療の提供に最大限努める」などとするコメントを出しました。

 2025年5月16日(金)

2025/05/15

🟩子供の幸福度、日本は14位 前回より順位6つ上げる、ユニセフ調査

 先進国などの子供の幸福度についてまとめた国連児童基金(ユニセフ)の報告書が発表され、日本は子供の身体的な健康度が最も高い一方、精神的な幸福度が低く、総合順位は36カ国中14位でした。

 ユニセフは経済協力開発機構(OECD)やヨーロッパ連合(EU)に加盟している国々を対象に、さまざまなデータをもとに子供の幸福度についてまとめた報告書を14日、5年ぶりに発表しました。

 それによりますと、データが得られた36カ国のうち1位がオランダ、2位がデンマークでどちらも前回と変わらなかったほか、3位がフランスとなっています。

 日本は14位で、38カ国中20位だった前回よりも順位を6つ上げました。

 幸福度は「身体的な健康度」と「精神的な幸福度」、それに学問などの能力に関する「学力・社会的スキル」の3つの分野で測られます。

 日本は子供の肥満の割合や死亡率から算出する「身体的健康度」が前回と同じく1位で、「学力・社会的スキル」は前回より順位を大きく上げて12位でした。

 一方、「精神的幸福度」は前回より5つ順位を上げたものの32位となっています。

 これは生活にある程度満足している子供の割合が増えて各国の平均とほぼ同じ水準になった一方、自殺率が上がって4番目に高くなったためです。

 このほか報告書では、家庭や学校での人間関係などが子供の心に影響を与えるとも指摘していて、良好な親子関係を築くための保護者への支援や、学校や地域社会による暴力やいじめなどのリスクに対処などが必要だとして、各国に対策を呼び掛けています。

 林芳正官房長官は午前の記者会見で、「精神的な幸福度に関する結果は重く受け止めている。一昨年策定した『こどもの自殺対策緊急強化プラン』に基づき、教育や普及啓発、早期発見などの取り組みを進めるほか、地域の中に安全に安心して過ごせる居場所づくりを推進し、さまざまな困難を抱える子供や若者からワンストップで相談を受ける取り組みなどを進めていく」と述べました。

 2025年5月15日(木)

2025/05/14

🟩出産費用の無償化、政府検討会で大筋了承 範囲や方策など検討へ

 少子化対策の一環として出産費用の在り方を議論している政府の有識者検討会は来年度をめどに、出産費用の無償化に向けて、具体的な制度設計を進めるべきだという取りまとめの案を大筋で了承しました。これを受けて、厚生労働省は今後、無償化する範囲や方策などの検討を進めることにしています。

 政府は出産への支援を強化する方針で、昨年6月から有識者検討会で、出産費用に保険を適用すべきかどうかなど議論を進めてきていて、14日の会合では、これまでの議論の取りまとめ案が示され、大筋で了承されました。

 それによりますと、出産費用の平均が、出産育児一時金の50万円を上回り、妊産婦の経済的負担が増加しているとして、来年度をめどに、医療機関の経営実態にも十分配慮しながら、出産費用の自己負担の無償化に向けて、具体的な制度設計を進めるべきだとしています。

 その上で、無償化の方法として、一時金の増額などが考えられるとしています。

 また仮に、保険適用した場合、医療機関の自由度が効かなくなり収入が落ちるという指摘や、妊産婦の窓口負担が増えないよう自己負担割合をどう設定するのかなどの検討課題があるとしています。

 厚労省は、今後、社会保障審議会の医療保険部会で、無償化とする範囲や方策などについて、さらに検討を進めることにしています。

 2025年5月14日(水)

2025/05/13

🟩トランプ大統領、アメリカ国内の処方薬価格引き下げへ大統領令に署名

 アメリカのドナルド・トランプ大統領は、アメリカ国内の処方薬などの価格を引き下げるための大統領令に署名し、世界で最も安い価格で販売する国と同じ水準まで価格を引き下げると主張しました。

 アメリカのトランプ大統領は12日に大統領令に署名し、アメリカ国内の処方薬などの価格を引き下げるため、商務省とアメリカ通商代表部(USTR)による適切な措置を求めるとともに、関係省庁が連携し30日以内に価格引き下げの目標について製薬会社などに伝えるよう指示しました。

 トランプ大統領は記者会見で、「これ以上、大手製薬会社による価格のつり上げを許さない。しかし、そうさせているのはほかの国々なのだ。我が国は世界のどの国よりも薬の価格が高い。10倍も高い場合がある」と述べ、不満を示しました。

 そして、ヨーロッパ連合(EU)を名指しして、適切な対応をとらない国などには追加の関税を課す可能性を示唆するとともに、世界で最も安い価格で販売する国と同じ水準まで価格を引き下げると主張しました。

 トランプ大統領は先週、「地球を揺るがす進展がある」と述べたり、11日にはSNSで「最もインパクトのある発表になる」と投稿したりして、今回の発表への期待感をあおっていました。

 2025年5月13日(火)

2025/05/12

🟩光免疫療法、同様名で自由診療クリニックなどで治療 学会が注意喚起

 5年前に世界で初めて日本で承認された、がんの治療「光免疫療法」と同様の名前の治療が自由診療のクリニックなどで行われていることについて、専門の学会は、国に承認された治療とは異なるものとみられるとして、注意を呼び掛けています。

 「光免疫療法」は、光に反応する化学物質と組み合わせたがんの薬を患者に投与し、レーザー光を当てて薬を活性化することで、がん細胞を攻撃する治療法で、5年前、再発するなどした頭頸(けい)部がんの治療薬が世界で初めて日本で承認されました。

 日本頭頸部外科学会は実施施設として全国の大学病院など約120カ所を認定していますが、同様の名前の治療が自由診療のクリニックなどで行われているとして注意を呼び掛ける文書を、12日に公表しました。

 この中では、認定した施設以外の治療に学会は一切関与しておらず、希望する場合は認定した施設を受診するよう強く推奨するとしています。

 学会などによりますと、自由診療のクリニックなどで行われている治療は国に承認されたものとは異なり、有効性や安全性は確立していないとみられるということです。

 日本頭頸部外科学会の朝蔭孝宏理事長は、「『光免疫療法』と検索して学会と関係のない医療機関に行ってしまうと、本来の治療にたどりつくまでに時間がかかるおそれがあるので、注意してほしい」と話していました。

 2025年5月12日(月)

2025/05/11

🟩指令受信の設定忘れ、救急隊の出動に6分遅れ 搬送時に60歳代男性は心肺停止状態

 名古屋市消防局は10日、仮眠中の救急隊員が、急病者搬送の指令に気付かず、出動が約6分遅れたと発表しました。別の救急隊が出動して心肺停止状態だった同市天白区の60歳代男性を病院に運んだものの、死亡が確認されました。

 市消防局によると、10日午前4時30分、名古屋市天白区の急病者の家族から救急搬送要請の119番がありました。本部機動部隊に所属する救急隊の3人が指令を受信する装置の設定を忘れ、仮眠していたため、指令センターからの指令を受けることができませんでした。指令センターは別の救急隊を出動させましたが、約6分の遅れが生じたといいます。救急隊が通報先に到着した際、急病者の男性は心肺停止状態で、病院に到着後に亡くなったといいます。

 消防局は、搬送した病院の医師の見解として「遅延が傷病者の予後に影響を与えたとは考えにくい」と説明し、死亡との因果関係は不明としています。

 伊藤一義消防局長は、「亡くなった方とご家族におわび申し上げる。今後このようなことが発生しないよう再発防止の徹底に取り組む」とのコメントを出しました。

 2025年5月11日(日)

2025/05/10

🟩逆子の適切処置、医師が怠った疑い 男児障害、京都府警が書類送検

 逆子の胎児を正常な位置に戻す施術で適切な処置を怠り、生まれた男児(4)に脳性まひなどの障害を負わせたとして、京都府警は9日、京都第一赤十字病院(京都市東山区)に勤務していた50歳代の男性医師を業務上過失傷害容疑で京都地検に書類送検しました。捜査関係者への取材でわかりました。

 捜査関係者によると、男性医師は2020年12月、母親(37)に対し、腹部を押すなどして逆子の胎児を正常な位置に戻す「外回転術」を2度行った後、胎児が低酸素状態となったにもかかわらず、緊急帝王切開などの適切な処置を怠った疑い。母親が昨年7月、男性医師を府警に告訴していました。

 告訴状によると、男性医師は20年以上の経験がある産婦人科医。母親は施術の2日後、別の医師による帝王切開で男児を出産しましたが、男児には脳性まひなど重度の障害が残り、介護が必要な状態といいます。告訴状によると、医師はすでに同病院を退職し、別の医療機関で勤務しています。

 京都第一赤十字病院は昨年7月、マスコミの取材に「医療過誤が発生したことは事実で、再発防止に努めている」とコメントしていました。

 2025年5月10日(土)

🟪18~39歳のがん患者、4割超が金銭的負担で生活に影響 国立がん研究センターが患者実態調査

 がん治療による金銭的な負担から生活に影響があった患者は、全体の2割に上るとの調査結果を国立がん研究センターがまとめました。中でも18〜39歳では4割を上回り、若年患者ほど治療が経済的に重くのしかかっている実態が浮き彫りになりました。  調査は、患者の実態を把握し、国のがん対策...