2023/12/02

🟧腎臓病の難病の薬候補発見 京都大、iPS細胞由来「ミニ臓器」で

 京都大や北海道大などの研究チームは、iPS細胞(人工多能性幹細胞)を使って有効な薬を探す「iPS創薬」の手法を使い、水がたまったのう胞(袋)が多数形成されて腎臓の機能が低下する難病「多発性のう胞腎」に有効とみられる薬をマウス実験で見い出したと、アメリカの科学誌「セル・リポーツ」に11月30日付けで発表しました。臨床試験(治験)を来年1月に始め、人での安全性や有効性を調べます。

 多発性のう胞腎は、進行すると人工透析が必要となります。遺伝子の変異が原因で、薬はありますが、すべての患者に効果があるわけではありません。薬を使う場合は、大量の水を飲む必要もあります。

 研究チームはiPS細胞を培養し、腎臓の中で尿の通り道となる「集合管」と似たミニサイズ(約1ミリ)の「オルガノイド(ミニ臓器)」組織を作製。狙った遺伝子を書き換えるゲノム編集で特定の遺伝子を働かせないようにすると、のう胞が自然に形成されることを確認しました。

 他の病気で使われる治療薬など96種類の薬剤をこの組織にかけて効果を分析。白血病で使われる治療薬の一種を選び、この病気を発症させたマウスに与え、のう胞形成を抑制する効果を確認しました。

 治験は白血病治療薬「タミバロテン」を使い、京都大発ベンチャー企業が担います。研究チームを率いる長船健二京都大教授は、「新規の薬を作るより早く患者に届けることができる」としています。

 2023年12月2日(土)

🟧来年度の診療報酬改定で「薬価」引き下げの見通し 薬の市場価格が6%下回る

 医療機関が仕入れる薬の市場での価格が、国が定めた価格を平均で6%下回ったとする厚生労働省の調査結果が公表され、来年度の診療報酬改定で「薬価」は引き下げられる見通しとなりました。

 医療機関に支払われる診療報酬は診療や医療サービスの対価で、人件費などに充てられる「本体」と、医薬品や医療機器の公定価格を定める「薬価」で構成されていて、政府は来年度の改定率を年内に決定することにしています。

 これに向けて厚労省は、1日に開かれた中央社会保険医療協議会(中医協)で、「薬価」についての調査結果を公表しました。

 それによりますと、医療機関が仕入れる薬の市場価格は今年9月には、国が定めた価格を平均で6%下回り、医療器具などの価格も2・5%下回りました。

 「薬価」は市場価格に近付ける形で見直されることから、来年度の改定では引き下げられる見通しです。

 具体的な引き下げ幅や対象となる薬の品目の検討は今後行われますが、価格差は前回より1ポイント縮まっていて、引き下げ幅は縮小するものとみられます。

 一方、診療報酬の「本体」部分については、日本医師会などが医療従事者の賃上げが必要だとして、大幅な引き上げを求めているのに対し、財務省は賃上げには理解を示しつつ、現役世代の保険料負担を軽くする必要があるとして、引き下げを主張していて、今後の焦点となります。

 武見敬三厚労相は閣議の後の記者会見で、「昨年は平均で7・0%、その前は7・6%下回っていて、徐々に実勢価格との差が縮小してきている。医薬品を適正な価格で流通するよう働き掛けてきたことや、原材料の調達コストが高騰していることが影響を与えた可能性がある。来年度の診療報酬改定に向けて、医療機関の経営状況の調査結果も踏まえ、引き続き検討していく」と述べました。

 2023年12月2日(土)

🟧PFASの1種「PFHxS」を製造使用禁止へ 来年6月から輸入できず

 環境省は11月28日、健康への影響が懸念されている有機フッ素化合物「PFAS(ピーファス)」について、新たに「PFHxS(ペルフルオロヘキサンスルホン酸)」を製造や使用を原則禁止する第1種特定化学物質に追加すると発表しました。この物質を使った製品は、現在国内でつくられていないものの、来年6月から海外からの輸入も原則禁止になります。

 PFASは自然界でほとんど分解されず、人体に取り込まれれば体内に長く残るため「永遠の化学物質」とも呼ばれます。数千種類が存在するうち、代表的な「PFOS(ピーフォス)」と「PFOA(ピーフォア)」は、すでに製造や使用が原則禁止。PFHxSは2022年6月、有害化学物質を国際的に規制するストックホルム条約会議で追加が決まり、国内でも対応しました。

 環境省によると、海外では水や油をはじくレインコートやスキーウェア、泡消火剤などに使われている製品があるといいます。PFOSやPFOAのような水質の暫定目標値は現時点でありません。

 PFOAとPFOSは、国が水道水や地下水に含まれる暫定目標値を設定。各地の河川や井戸などで目標値を超える検出が相次ぎ、住民に不安が広がっています。

 環境省によると、PFHxSは、動物実験で血液や甲状腺などへの影響が報告されていますが、人の健康に関しては詳しくわかっていません。国内での使用や輸入実績は近年ほぼないものの、2022年度の調査では河川や地下水など全国47地点中、30地点以上で検出されました。ほかのPFASの製造過程で発生した可能性などが考えられるものの、原因は不明といいます。

 2023年12月2日(土)

🟧PFAS、東京都多摩地域の地下水調査結果を市民団体が公表 3割で暫定目標値を超える値

 有害性が指摘されている化学物質を含む「PFAS(ピーファス)」を巡り、市民団体が、東京都多摩地域で、井戸水に含まれる濃度を調べた結果、調査地点の約3割で、国の暫定の目標値(1リットル当たり50ナノグラム)を超える値が検出されたと公表しました。

 「PFAS」は、有機フッ素化合物の総称で、このうち、「PFOS(ピーフォス)」と「PFOA(ピーフォア)」については有害性が指摘されており、東京都が行っている地下水の調査では、これまでに都内の17自治体で、国の暫定の目標値を上回る値が検出され、このうち12自治体が多摩地域です。

 こうした中、京都大学大学院の原田浩二准教授と市民団体は、多摩地域の地下水を独自で調査し、1日に立川市で開いた記者会見で、その結果を公表しました。

 それによりますと、132カ所の井戸のうち、27%に当たる36カ所で目標値を超える値が検出され、このうち、立川市の井戸では、目標値の62倍の値が検出されたということです。

 このほか、来年2月から国の規制対象に追加される予定の「PFHxS(ペルフルオロヘキサンスルホン酸)」についても、立川市や国立市などで、検出されたということです。

 原田准教授は、「水を採取した井戸の位置や深さを併せて調べたことで、発生源がどこにあるのか、汚染がどのように広がっているのかを検討する情報となった。今後、この結果をもとに、都や自治体には対策を検討してほしい」と指摘しました。

 2023年12月2日(土)

2023/12/01

🟧大麻類似「HHCH」に構造が似た成分を「包括指定」で規制対象へ 厚労省

 大麻に近い有害成分が入ったグミを食べた人が相次いで体調不良を訴えた問題を受けて、厚生労働省は早ければ年明け以降に、グミに入っていた「HHCH(ヘキサヒドロカンナビヘキソール)」に似た成分をまとめて指定薬物として規制対象にする、「包括指定」を行う方針を明らかにしました。

 大麻に類似した危険ドラッグを巡っては、法律で規制されると、未規制の類似の成分が作られて商品化されて出回る、いたちごっこの状態が続いていることが、問題になっています。

 体調不良になる人が相次いだ「大麻グミ」に含まれていた「HHCH」については、厚生労働省がすでに規制対象の薬物に追加し、12月2日から販売や所持、使用が禁止されます。違反すれば懲役3年以下もしくは300万円以下の罰金などとなります。

 しかし今後、「HHCH」と似た成分が含まれた製品が出てくる恐れがあることから、厚労省は早ければ年明け以降に、「HHCH」と構造が似た成分をまとめて指定薬物として規制対象にする、「包括指定」を行う方針を明らかにしました。

 このほか、厚労省麻薬取締部などが「HHCH」を含む商品を販売しているかどうか、11月29日までに17の都道府県の66の販売店や製造所に立ち入り検査を行った結果、43の店舗などで「HHCH」を含む商品が確認され、いずれも検査命令と販売停止命令を出したことも明らかにしました。

 武見敬三厚相は、「SNSなどを通じて危険性を伝え、HHCHの成分を含む商品を購入しないよう注意喚起を行うとともに、類似の成分については必要な知見の収集を進め、できるだけ迅速に包括措置の手続きを進めたい」と話しています。

 2023年12月1日(金)

🟧東京都のプール熱感染者数、前週と同水準 警報の基準超える

 東京都内の感染症について、都は11月30日、11月26日までの1週間の1医療機関当たりの感染者数を公表しました。

 それによりますと、子供を中心に感染する咽頭結膜熱、いわゆるプール熱が3・53人と前の週の3・51人とほぼ同じ水準で、引き続き。警報の基準を超えています。

 一方、インフルエンザは16・38人と前の週の1・34倍で、引き続き、注意報の基準を超えています。

 また、新型コロナウイルスは1・56人と前の週の1・33倍で、今年9月7日以来、増加に転じました。

 東京都は換気や場面に応じたマスクの着用、せっけんでの手洗いなどの感染対策を呼び掛けています。

 2023年12月1日(金)

🟧秋の平均気温が過去最高を記録 春と夏に続き3季連続、気象庁発表

 気象庁は1日、秋(9~11月)の平均気温が、平年値(1991~2020年の平均)を1・39度上回り、1898年(明治31年)の統計開始から最も高くなったと発表しました。今年は春(3~5月)と夏(6~8月)も過去最高を記録し、3季連続の更新となりました。

 気象庁によると、これまでの秋の最高は昨年・2022年のプラス0・90度。年間の1位は2020年のプラス0・65度で、今年が過去最高となれば、直近5年間が上位5番目までを占めることになります。

 世界気象機関(WMO)は、今年の世界の平均気温が産業革命前を約1・4度上回り、観測史上最高となる見通しを示しています。

 気象庁は1日、今秋の平均気温が平年を1.39度上回り、統計を開始した1898年以降で最も高くなったと発表した。過去最高の更新は、春と夏に続き3季連続となった。

 秋の高温の要因について、気象庁は、寒気が南下しにくく、全国的に暖かい空気に覆われやすかったとしています。

 一方、秋の期間の日本近海の平均海面水温は平年と比べてプラス1・2度となり、統計を開始した1982年以降、最も高くなりました。

 気象庁は、要因の一つに「台風の少なさ」を挙げています。台風による強い風が海水をかき混ぜることによって海面水温は低下しますが、今年9月と10月の台風の発生数は合わせて4個と過去最少となり、日本の周辺の海域を通過する台風が少なかったため、海面水温の低下が抑えられたということです。

 2023年12月1日(金)

🟧アメリカの病院でブタ腎臓移植の男性死亡 手術から2カ月、退院して療養中 

 アメリカで、脳死状態の患者以外では世界で初めて、遺伝子操作を行ったブタの腎臓の移植を受けた60歳代の患者が死亡しました。移植を行った病院は、患者の死亡について移植が原因ではないとみています。  これはアメリカ・ボストンにあるマサチューセッツ総合病院が11日、発表しました。  ...