旅館業法の見直しを進める厚生労働省の有識者検討会は14日、新型コロナウイルスに感染した疑いがある人に対し、旅館やホテルなどの事業者側が宿泊を拒否できる要件をまとめました。発熱などの症状がある人が必要な感染対策に応じない場合は、事業者側が宿泊を拒否できるとしています。これを受け、厚労省は法改正に向けた作業に入ります。
現行法は、宿泊を拒否できるケースについて伝染性の疾病にかかっていると明らかに認められる場合や、違法行為などの恐れがある場合などに限定しているため、発熱やせきなどがあるだけでは宿泊を拒否できません。このため新型コロナの感染拡大の状況では、従業員や他の宿泊者へ感染が広がり、クラスター(感染者集団)が発生する懸念もあります。
有識者検討会は、宿泊拒否の理由を明確にする見直し案を提示。感染の疑いがある人について、直ちに宿泊拒否できないとする一方で、事業者側が宿泊者に医療機関の受診や必要な感染対策を要請できるようにして、正当な理由なくこれに応じない場合は宿泊を拒否できるとしています。
1~2類感染症、新型インフルエンザ等感染症、新感染症、指定感染症が対象で、パンデミック(世界的大流行)時に限ると定めました。
過去には、ハンセン病の元患者の宿泊が拒否されるなどの不当な差別も起きました。このため、事業者側の「努力義務」として、従業員の研修を徹底し、差別防止の取り組みを進めることを求めました。厚労省は具体的な対応方法などの指針を作成します。
また、現行法では宿泊者名簿に「職業」を記載するよう定めていますが、感染対策上、必要な情報でないことなどから削除し、新たに「連絡先」を追加することなども盛り込みました。
2022年7月16日(土)
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