厚生労働省の専門部会は29日、天然痘ワクチンをサル痘の予防に使うことを了承しました。感染者と接触した人などに打ち、発症や重症化を防ぐ効果が期待されています。国内での感染者は28日までに2人確認されていて、感染拡大を防ぐための接種体制整備が急務となっています。
厚労省は手続きを進め、近く正式に承認します。ワクチンはKMバイオロジクス(熊本市)が生産し、国がバイオテロ対策として一定量を備蓄しています。厚労省は確保量を明かしていないものの、サル痘対応の初動で必要な量は調達済みと説明しています。
世界的な感染拡大を受け国内でも6月から、臨床研究の枠組みを使って天然痘ワクチンの接種が可能になりました。専門部会には、サル痘向けの用途を正式に薬事承認することが諮られ、臨床研究などのデータをもとに審議されました。承認により副作用の救済制度の対象になります。
厚労省は接種の運用や対象範囲の検討を急ぎます。感染者と接触した人や接触する可能性のある医療従事者らには臨床研究の枠組みで打ちます。感染者との接触リスクが高い希望者への対象拡大は、8月以降に議論を進めます。ワクチンは一般に流通しておらず、当面は接種可能な施設は限られる見通し。
天然痘ワクチンの予防接種は日本では1976年まで実施されていました。接種経験がある40歳代後半より上の人は、サル痘への免疫が残っている可能性もあります。
サル痘はウイルスに感染して発症します。皮膚の病変や体液、血液を介した感染が中心で、現在は男性同士の性的接触による感染が多数を占めます。
発熱や発疹、リンパ節のはれなどがみられ、ほとんどの人は数週間で自然に治ります。天然痘治療薬の投与も治療効果が期待されています。
2022年7月30日(土)
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