厚生労働省の薬事・食品衛生審議会薬事分科会と専門家部会の合同会議が20日開かれ、塩野義製薬が開発した新型コロナウイルス感染症の飲み薬「ゾコーバ」について、緊急承認を見送ることを決めました。軽症者に使える国産初の飲み薬が誕生するか注目されていたものの、「有効性が推定できるとは判断できない」としました。臨床試験の最終段階(第3相)の結果を待ち、今秋にも改めて審議します。
緊急承認制度は、新型コロナのワクチンや治療薬の実用化が欧米に遅れた反省から今年5月に新設されました。臨床試験の中間段階の結果で、安全性が確認され、有効性が「推定」できれば、暫定的に承認します。専門家部会と上位組織の薬事分科会の2段階で審議しますが、この日は合同で開催されました。
ゾコーバは、ウイルスの増殖抑制を狙う薬。塩野義製薬がオミクロン型変異ウイルス流行下で行った臨床試験では、体内のウイルス量の減少効果が確認できた一方で、疲労感や発熱など12症状の総合的な改善効果については、統計的に有意な差が得られませんでした。
合同会議では、「第7波の拡大に伴い、危機感が高まっている」「ウイルス量を減少させる効果はあり、隔離期間を短縮できる可能性はある」など、承認に前向きな意見もありました。しかし、「今回のデータからは有効性が推定できない」「併用できない薬が多く、使いにくい」など、科学的な観点から慎重な意見が大勢を占めました。今回は緊急承認を見送り、継続審議とすることが決まりました。
塩野義製薬は臨床試験の最終段階を進めており、この秋にも結果がまとまる見通しで、厚労省は最終段階の試験結果の提出を待ち、承認の可否を改めて判断する方針。承認された場合、政府は100万回分を購入することで会社側と基本合意しています。
2022年7月20日(水)
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