アメリカのニューヨーク州保健当局は21日、成年の若者1人がポリオ(小児まひ)に感染したと発表しました。アメリカの住民の感染が確認されたのは2013年以来。約9年ぶり。
保健当局によると、患者は同州ロックランド郡の20歳の男性住民。今年ポーランドとハンガリーへの渡航歴があり、国外で感染したとみられます。
患者は6月に入院し、すでに退院していますが、歩行に支障が出ているといいます。他人に感染させる恐れは、すでになくなっているといいます。
患者はポリオのワクチンを未接種だといいます。保健当局は、弱毒化させた生きたウイルスが入ったワクチンの接種者と接触したのが原因ではないかとみています。保健当局は、ワクチン接種済みの国民には感染のリスクは低いとの認識を示しています。
ポリオはかつてアメリカ全土で恐れられたものの、1955年に始まった全国的な予防接種運動によって、ほぼ根絶されました。年間の患者数は、1960年代には100人以下でしたが、1970年代には10人以下に急減。アメリカ当局は1979年、国内にポリオはなくなったと宣言しました。
それから現在までの数十年間は、外国人旅行者が持ち込んだとみられる個別事案が見付かる程度でした。
ポリオウイルスは子供が感染することが多く、筋力低下やまひを引き起こし、最も深刻な場合では永続的な後遺症が残り、死に至ることもあります。
アメリカ国民は通常、生後2カ月から3~4回、ポリオワクチンの接種を受けます。疾病対策センター(CDC)のデータによると、幼児の約93%が少なくとも3回の接種をしています。
アメリカなどでは不活化させたウイルスを使った予防接種が行われている一方で、一部の国では弱毒化させた生きたウイルスを使ったワクチンの経口投与が行われています。その弱毒化させたウイルスが、まれに突然変異し、新たな流行を引き起こす危険性があります。
アメリカで最後に報告されたポリオ患者は、2013年にインドからテキサス州に移住した生後7カ月の子供でした。今回の患者と同様、ワクチン由来のウイルス株に感染していました。
新たにポリオ患者が見付かったとのニュースを受け、ニューヨーク州保健当局は22日と25日に、州内のクリニックで予防接種を予定しています。
現在、ポリオはアフガニスタンとパキスタンで流行しており、世界のほかの地域でも報告されています。
イギリスの保健当局は6月、ロンドンの下水からポリオウイルスを検出したと警告。子供にワクチンを接種するよう、保護者に呼び掛けました。
2022年7月22日(金)
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