熊本市のワクチンメーカー、KMバイオロジクスは6日、開発中の新型コロナウイルスワクチンについて、中期段階の臨床試験(治験)で効果や安全性を確認できたと発表しました。
2021年10月から18歳以上の健康な成人2000人を対象に、ワクチンを3回接種した際の有効性や安全性を調べる中期段階の治験を始めました。その結果、40歳以下でウイルス感染や重症化を防ぐ「中和抗体」の値が高くなりました。発熱やけん怠感などの日常生活に影響のある副作用も既存ワクチンより少なく、インフルエンザワクチンと同程度だったといいます。緊急承認制度の適用を視野に、9月に承認申請する見通しで、年度内の供給開始を目指すということです。4月からアストラゼネカ製ワクチンと比較する最終段階の治験を始めており、その結果は追加提出する予定。
生後6カ月から18歳未満の子供を対象にしたワクチンの治験も、6月に対象の600人が1回目接種を終えました。9月末に2回目接種後の有効性や安全性に関するデータが得られ次第、成人向けの承認申請にデータを加えます。国内では5歳未満に使える新型コロナワクチンはまだ実用化されていません。
KMバイオロジクスが手掛けるワクチンは「不活化ワクチン」と呼ばれ、ウイルスの毒性をなくして免疫を作るのに必要な成分だけで製剤するため、副作用リスクが低いとされます。
KMバイオロジクスの永里敏秋社長は6日の記者会見で、「これまでとは違うタイプのワクチンの実用化により若い世代の接種率を向上させ、感染を抑制して社会生活の正常化に貢献したい」と話しています。
2022年7月9日(土)
0 件のコメント:
コメントを投稿