毛穴に一致して癒合しやすい紅斑が現れ、手のひら、足の裏が赤く硬くなる皮膚病
毛孔性紅色粃糠疹(もうこうせいこうしょくひこうしん)とは、毛穴に一致して癒合傾向のある紅斑が現れ、手のひら、足の裏が赤く硬くなる皮膚疾患。まれな疾患で、炎症性角化症の一種です。
乳幼児に現れる若年型と、成人になって現れる成人型があります。どちらのタイプも原因はいまだはっきりとしていませんが、若年型は遺伝傾向があり、常染色体優性遺伝が考えられています。
手指の背、肘(ひじ)、膝(ひざ)、腹部などに、一つ一つは粟粒(ぞくりゅう)ほどの大きさで、毛穴に一致した硬い紅斑の小隆起が現れます。白っぽい垢(あか)を伴い、一部の紅斑は癒合します。手のひら、足の裏も赤く、がさがさし、垢の層が厚ぼったくなります。日光は悪化の誘因になることがあります。
紅斑が癒合して全身に広がる場合もありますが、必ずどこかに正常な皮膚が残ります。かゆみなどの自覚症状はない場合が多いようです。
重症になるとすべての紅斑がつながり、全身真っ赤になる紅皮症といわれる状態になり、発熱や関節痛も起こるようになります。
毛孔性紅色粃糠疹の検査と診断と治療
皮膚科や皮膚泌尿器科の医師の診断では、特徴的な紅斑とその分布、経過から判断します。診断を確定するためには、紅斑の一部を切って顕微鏡で調べる組織検査を行います。 鑑別すべき疾患として、脂漏性皮膚炎や乾癬(かんせん)があります。
医師の治療では、副腎(ふくじん)皮質ステロイド剤が外用剤として多く用いられます。そのほか、活性型ビタミンD3外用剤も使用され、一定の効果が得られています。がさがさがひどい時は、皮膚軟化剤(尿素軟こう)なども併せて用いられます。
重症の場合は、ビタミンA類似物質の内服剤であるレチノイド(チガソン)や、 免疫抑制剤であるシクロスポリン(ネオーラル)が用いられることがあります。ビタミンAの多量の内服が効くこともあります。治りにくい場合は、光線療法(PUVA〔プーバ〕療法)も行われています。
重症の場合には、入院治療を行うこともあります。
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