文部科学省は13日、幼稚園児(5歳)から高校3年生までの発育や健康状態を調べる2021年度の学校保健統計調査の結果(速報値)を発表しました。標準体重より20%以上重い「肥満傾向」の子供の割合は、高3を除く全学年で、コロナ禍前の2019年度より増えました。学校の長期休校の影響などで大幅に増加した2020年度に比べると、多くの学年で改善していました。
発表によると、肥満傾向の割合は小学生で5~10%台、中学生は9~10%台、高校生は8~9%台。幼稚園児は3・66%でした。コロナ禍前の2019年度と比べ、小学生と中学生の一部で1ポイント以上増えており、特に男子で増加が目立ちました。
肥満傾向は、現在の方式で調査を始めた2006年度以降は改善傾向にあったものの、新型コロナウイルスの感染が拡大し、長期休校に見舞われた2020年度は大幅に悪化。2021年度はやや改善し、文科省は「生活リズムが崩れ、運動不足となった2020年度と比べ、通常の生活に戻りつつある」とみています。ただ、大半の学年でコロナ禍前には戻っておらず「活動範囲が狭い状況が続いているのではないか」としています。
また、裸眼視力1・0未満の中学生の割合は過去最悪の60・28%で初めて6割を超えました。小学生は過去最悪の前年度より0・65ポイント減の36・87%、高校生は1・24ポイント増の64・41%でした。
原因として、外遊びが減り、ゲーム機やスマートフォンなどを操作する時間が長くなった影響が考えられます。2021年度からは小中学校で1人に1台のパソコンやタブレット端末を配って行うデジタル授業が本格的に始まりました。
調査の統計分析アドバイザーを務める衛藤隆・東大名誉教授(健康教育学)は、「コロナ禍でタブレット端末やスマートフォンの利用が増え、近くを見る時間が長くなり、視力低下につながっていることが考えられる」と指摘しています。
例年、学校保健統計調査は4~6月に行いますが、コロナ禍の影響で2020、2021年度は1年間に期間を延長して実施しました。文科省は調査時期が例年と異なるため、「過去の数値と単純比較はできない」としています。
2022年7月17日(日)
0 件のコメント:
コメントを投稿