2022/08/14

🇧🇸単純性甲状腺腫

甲状腺が腫れるが、機能は正常

単純性甲状腺腫(せんしゅ)とは、甲状腺が腫(は)れる疾患。しかし、甲状腺の機能に異常はなく、炎症や腫瘍(しゅよう)もなく、単に甲状腺全体が均一に腫れている状態です。

原因ははっきりしませんが、生体に必要な甲状腺ホルモン量の不足が生じ、不足を補うために甲状腺刺激ホルモン(TSH)が増加して、甲状腺が腫れると考えられます。

その単純性甲状腺腫に含まれるものとして、思春期の甲状腺ホルモン需要の増大によるもの、甲状腺ホルモンを作る材料であるヨードの地域的な摂取不足によるもの、ヨードの過剰摂取によるもの、甲状腺ホルモン合成酵素の軽度の障害によるもの、甲状腺肥大を来す薬物の内服によるものなどが挙げられます。

思春期の甲状腺ホルモン需要の増大によるものとしては、思春期の女性で甲状腺の腫れが時々みられ、思春期甲状腺腫という名で呼ばれています。この場合、思春期を過ぎると自然に元に戻ると見なされます。

ヨードの地域的な摂取不足によるものは、大陸の奥地や山岳地帯に住んでいる人たちにみられ、土壌と水分にヨード含有量が少なく、ヨードを含む食べ物も少ないために起こってくるのであり、地方性甲状腺腫という名で呼ばれています。

ヨードの過剰摂取によるものは、海藻類などからヨードを多量に摂取にしているために起こってくるのであり、北海道の一部など単純性甲状腺腫が多発している地方があります。ヨードの摂取量とは関係はなく、他の何らかの原因によって起こっているとする説もあります。

症状としては、甲状腺腫が非常に大きくなると、気管や食道が圧迫され、多少呼吸や飲み下しが困難になることもありますが、非常にまれです。首が少し太く見える程度の腫れの場合には、ほかに症状はないのが一般的です。ただ、首の前や咽喉(いんこう)頭の違和感を覚える場合はあります。

検査と診断と治療

医師による検査では、慢性甲状腺炎(橋本病)や、バセドウ病に代表される甲状腺機能亢進(こうしん)症などとの区別のために、血液検査が行われます。腺腫様結節との区別のために、超音波検査が行われることもあります。

血中甲状腺ホルモン値が正常で、抗甲状腺抗体も陰性であり、自覚症状も特になく、柔らかい小さな甲状腺腫が触れる場合は、単純性甲状腺腫と診断されます。

ほとんどの場合、治療は必要なく、時々経過を追うだけで十分です。日常生活においても、海藻類などのヨードの摂取不足や過剰摂取に気を付ける以外は、特にありません。

甲状腺の肥大を来す薬物の内服がある場合は、それを是正します。甲状腺腫が大きい場合は、甲状腺ホルモン剤を服用すると、3カ月くらいで腫れていた甲状腺が縮小していきます。

なお、甲状腺腫が大きい場合は、後に橋本病やバセドウ病が出現する可能性を考えて、年1回程度病院でチェックするとよいでしょう。思春期の腫れに関しても、後々橋本病やバセドウ病が出現する場合もあるので、時々経過観察するとよいでしょう。

0 件のコメント:

コメントを投稿

🟪新型コロナ、沖縄県が独自で注意喚起へ 流行時に「拡大準備情報」を発出 

 沖縄県は19日、新型コロナウイルス感染症の流行が疑われる場合、県独自で「新型コロナ感染拡大準備情報」を発出すると発表しました。新型コロナについては、過去の感染データの蓄積が乏しいことなどから、国がインフルエンザのような注意報や警報の発令基準を設けていない一方、重症化する高齢者...